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学園生活、1年目 ~後期・Ⅰ ~
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しおりを挟む赤毛のイケメンに『何か礼を』と言われて困る私。
うーん、何かないかな?物をもらう、っていうのは申し訳ないしな…あ、そうだ。
「ん?何かあるか?」
「あの、私探してる物があって。もしサヴァンさんが知ってたら教えて欲しいんですけど」
「いいぜ、何探してるんだ?」
「お米、なんです」
『米?』と首を傾げるサヴァン。うーん、彼でも知らないかな?ご実家が投資家って事は、他の国の事にも詳しかったりする?と思ったんだけど。
私が『米』について説明しようと思うと、彼は私の持っていた本を見て言った。
「察する所、あんたが探してるのは食べ物なのか?それも東方の国の物?」
「あ、そうなんです。といっても『あるかもしれない』って所なんですけど」
私は、少し脚色して話した。元々東の方に住んでいた時に食べた事があって、どこで採れるのかよく知らない、子供の時の話なんだけど、という事にした。
なんか設定あやふやかな?と思ったけど、彼は真剣に考え込んでくれている。
「東、東、なあ?なんか聞いた事があるっちゃある気がすんだけどな・・・悪い、ちっと待っててくんねえか」
彼は立ち上がると、書架の奥に引っ込んでしまった。
あれ、もしかして心当たりあるのかな?少し待っていたけど、すぐには戻ってこなさそうなので、私は読書を再開した。もしかしたらこの本にもあるかもしれないし。目指せお米!銀シャリ!おにぎり食べたいよぉ!
*********************
30分ほど経っただろうか。休憩、と思ってお茶をひと口。そういえばサヴァンさんはどうしたんだろうな、と思うと、隣にばすん、と振動が。
ふと見ると、彼は数冊の本を持って帰ってきていた。
一冊の本を開きながら、私に見せる。
「あんたが探してんのってこれか?」
開かれたページには、確かにリゾットの絵と作り方が。
え、本当に!?私はそれを確認するべく、その本を借りてよく読んでみる。
確かにそれは私の知るリゾットの作り方だった。
米、米だよ!作り方載ってるって事は、お米がこの世界に存在するって事!
次のページを捲ると、そこにもお米を使った料理の記述があった。や、やったよ!やりました!
「やった、あった!」
「それでいいみたいだな?よかったぜ」
「ありがとうサヴァンさん、よく知ってましたね!?」
「俺も前に食べた事あるんだ、その時は珍しい物があるもんなんだなと思ったぜ。結構旨いしな」
「これ、お米って手に入ります?」
「ん?欲しいのか?・・・そうだな、取り扱いがあるかもしれないが、調べてみないと何とも言えねえな」
「是非お願いします!お礼はしますから!」
米だよ、米の手がかり!ここで失う訳にはいかない!
バートン商会のメグのお父さんにも聞いたけど、取り扱いないって言ってたんだもん!
私の剣幕に驚いたのか、ちょっと目を見張ってビックリしたサヴァンさん。琥珀色の目を見開いたけど、すぐにククっと笑った。
「いいぜ、それくらい調べておいてやるよ。礼をしないといけないしな」
「あ、でも、それは」
「どうしても礼がしたい、ってんならそうだな・・・その呼び方、なんとかなんねえか?」
「えっ?」
「サヴァンさん、じゃなくて。俺の名前はエドワードってんだ。そうだな『エド』って呼んでくれよ」
「えっそれはちょっと」
「敬語もナシな?」
「待ってそれはさすがに」
「呼び方は『エド』、敬語もナシ。それが守れんなら、今度の休みまでにゃ調べてきてやるがどうする?」
「お願いします」
お米の為ならそれくらい容易い(おい)
だってだって!半年お米ナシ生活はもう辛いの!早く毎朝朝食におにぎり食べたいの!
まぁ学園内での呼び方くらいいいでしょ、この人貴族の御曹司だから度々顔合わせる訳じゃないだろうし。
「その代わり、呼び方も喋り方も二人の時だけにしてね」
「ん?いいぜ、それで。周りにどうこう言われて困るのはそっちだもんな、仕方ないさ。それに」
「なに?」
「今の状況も役得だしな?」
ニヤリ、とエロ顔で笑うエド。
ふと気付くと、私はエドに密着と言っていいくらい詰め寄り、彼の太腿に手を置いて乗り出していた。
…しまった、飲み会の席でのお誘い攻撃に近い。
そーっと離れる私に声を押し殺して笑うエド。
「結構衝撃だったんだぜ?こんな所でお誘いされてんのかと思ってよ。さすがに手を出す訳にはいかねえから我慢してたんだが」
「ついお米に気を取られて・・・スミマセン」
「まあそれだけご執心の物って事だろ?・・・妬けるぜ」
「何言ってんだか・・・」
私とエドは出してきた本を片付けて、図書館を出た。
ここでいいわ、という私をエドはちゃんと馬車の乗り場まで送ってくれた。紳士…
「気をつけて帰れよ?ちゃんと調べとくから、休み前の放課後、共用カフェで待ち合わせでいいか?」
「わかった、ありがとうエド」
「任しときな。・・・やっぱそっちの方がいいな、あんた」
「えっ?」
何のことだろう?私がそう答え、エドを見ていると、彼はそっと私の頭を撫で、そのまま髪の毛を撫でてひと房指に絡ませた。
「喋り方だよ。さっきまでの敬語よりも、今の方がずっといい」
「・・・あ、ありがとう」
「ま、これも二人だけの秘密、だろ?」
ニヤリとする笑いにドキリとする。
ホントに15~6歳の少年とは思えない。もしかして年齢誤魔化して入学してない?気のせいなの?
この年からこれで、周りの女子は大丈夫?想像妊娠しちゃわないかしら?
内心ドキドキしつつも平静を装ってじゃあね、と踵を返した。しかしお米の情報ゲットは大きい…期待しちゃおう!
********************
休み前の放課後、貴族と平民共用カフェ。私がカフェに着いた時にはすでにエドはいて席を取ってくれていた。
席に向かう前に注文をして、彼の待つ席に。
机の上にはたくさんの封筒が。
彼はその中の一つに目を通していたみたいだ。
「よう、待ってたぜ?」
「遅くてゴメンね。これは恋文かしら?」
「気になるか?」
「この中の誰がエドを射止めるのかは気になるわ」
さてそれはどうかな?と笑って私に手紙を渡した。
え、人のラブレター見る趣味ないんですけど、と思いつつも見てしまう。これは条件反射なんです、恋愛話は大好きです。
「・・・」
「どうだ?」
「・・・・・・ごめんなさい、比喩が多くて私には意味が分かりません」
「そうか、そう思うのが俺だけじゃなくてよかったぜ」
内容がなんて言うか…多分『お慕いしております』だと思うんだけど、なんかのポエムの引用?劇の表現真似したの?って感じでわかりずらい。これが貴族のお嬢様の感性なのか、わからぬ。
「ゴメンあとこの香水の匂い胸焼けしそう」
「・・・いい匂いっちゃそうなんだけどな」
お手紙に香りを付けるのはいい、だけどこれはぶっ掛けてるってレベルですよ!珈琲や紅茶の匂い台無し!
エドが貰ってきた物にそうするのは申し訳ないけど、私はアールグレイの紅茶の香り飛ばさないで!とばかりに手紙達を押し付ける。
エドも苦笑いして遠ざけてくれた。あー、アールグレイの香りホッとするわぁ。
「モテる男は大変ねえ」
「皆、好意でしてくれてる事だからな、返事くらいはしねえとな」
「エドは優しいのね」
「ま、邪険にする訳にもいかねえさ、これも処世術だからな?」
貴族の処世術、って大変ね。確かに伯爵家の三男とくれば、生家の爵位を継ぐわけじゃないし、何処ぞのお嬢様の所へ婿入りするのが定石なのだろう。彼を見るとそれが当たり前な感じだし、それにはこういった『処世術』が後々意味をなしてくるはず。
私とこうして話をしてくれるのは、その面倒くさい事がないからかもね。平民の女子生徒ならそういう事に関係ないもの。
「で、だ。お待ちかねの米についてなんだが」
「待ってました」
「明日、デートしねえか?」
「・・・どうしてそうなったの?」
エド曰く、お米を売っている所と渡りは付けたらしい。しかし、取り扱いは少ししかなく、エドを介して欲しいらしい。
その為、一度一緒にその商会に行ってもらいたいとか。
「悪いな、サクッと紹介できりゃいいんだけどよ、何しろ向こうも相手を見てからじゃねえと話を進めたがらねえんだ。俺が間に入るから、危険はない。もし万が一何かあっても俺がコズエを守るから心配しなくていい」
「私一人、っていうのも説得力ないから、今お世話になっている所の人を連れていってもいいかしら」
「ああ、構わねえよ」
確かに品物の取引だものね。
自分が年若い子供の感覚じゃなかったわ。ここはセバスさんにでも言って、ダンとかボルツ辺りに着いてきてもらった方がいいかも。お米の事は再三相談してあるからいいとして。
私はエドと明日待ち合わせをして、カフェを後にした。
よーし!ようやくお米のご飯食べられるようになるかもー!
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