魔女の記憶を巡る旅

あろまりん

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第五章【灰】

魔女と弟子

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下着姿でいようとする痴女…チャコーレアに服を着させ、席に着いた。
持ってる服が全て胸元が大胆に空いたドレスローブしかない、のはどうなってるんだ。

ティティも配膳の合間にチラッチラッとない谷間を見せてこようとする。
いい加減、きちんとした教育をしないとこのエルフも痴女になってしまいそうだ。



「どっと疲れたな」

「あらまあ、まだ寝室ベッドにも誘えていないのに」

「するな」

「アイーラとはしたのでしょう?私もお相手して頂戴な。魔女を相手にして平気な男なんてそうはいないのだもの」

「・・・どういう意味だ?」

「言った通りの意味よ?貴方、アイーラと睦んでも彼女になかったのでしょう?かなり魔力耐性があるのね。
雛様のお気に入りとなるにも頷けるわ」



チャコーレアの話によると、魔女が人間の男と交わると、その男は魔力過多となっていわゆるを起こすらしい。
うまく作用すれば、雛の言っていた『魔女集会サバト』のように、互いの魔力を高め合う行為となるのだが、下手をすると奴隷のようになってしまうと。



「昔から交合という行為は、互いの魔力を高め合う行為でもありましたのよ?
『房中術』という言葉を聞いたことはなあい?」

「・・・西大陸の国で聞いた事はある。てっきり国王が愛人を侍らすための話かと思っていたが」

「行為自体はそういうことですから、間違いではないわねえ。でも、そもそもは互いを高め合う修行の一環。
それが堕落する行為とされてしまったのは、魔力酔いのせいなのよねえ」

「アイーラはそこまで言ってなかったな」

「アイーラ自身、行為自体を愉しんでいるのだから説明はしなかったのでしょうね。
魔力酔いを起こしたとしても、しっかりアフターケアをしてからいなくなるのだから、男も覚えていないでしょう」

「そういう事か」

「だ・か・ら?今日は私と睦んで頂戴?雛様の手が付いているなら遠慮もするけれど、そうではないようだものね。報酬はきちんと出すわよ?」

「勘弁してくれ」

「あら、『黄金の林檎』と引き換えでも?」

「なっ!?」



にっこり、と微笑むチャコーレア。
・・・くそ、読まれてるな。

ガシガシ、と頭をかく。その仕草に相手の笑いが漏れた。



「やっぱり、『黄金の林檎』は欲しいものなのねえ」

「こんなところにあるのか?」

「ええ、あれは『魔女の果実』だから」

「・・・なるほど。灰の魔女が管轄しているという事か」

「ええそうよ。貴方程の冒険者なら、万能薬の元になるあれを欲しがらないはずがないと思っていたわ」



万能薬、どころではない。
『黄金の林檎』は、ショゴス島の爺さんにも言われていた素材のひとつだ。俺の呪いを解くための。
それらしき噂話や依頼があれば率先して受けていたが、まさかここで見つかるとは。
…そもそも、ここはどこだ?

ティティが焼きたてのパンを運んできたので、一旦話もお開きとした。
食事の支度は、全てティティがやっているらしい。

ティティはもともとエルフの里にいたのだが、チャコーレアが旅で寄った時に弟子にしてもらったそうだ。
チャコーレア曰く、『面白そうだから』だと。



「ティティ・・・ティルティリカティムティオはね、エルフの中でも珍しくなのよお」
「そうなのです~」

「は?無性・・・というと、男でも女でもないという事か」

「ええ、両性のエルフはいるけれど、無性というのはエルフの長い時の中でも稀なの」
「ティティも驚いたのです」

「どう・・・なるんだ?」

「さあ?」
「さあなのです」

「いいのか、それで」

「両性のエルフは、思春期がくればどちらかに変貌するようなのよ。でも無性のエルフがどうなのか、ということはこの子の里にも伝わっていないの」
「ティティも不思議なのです~でも不自由していないのです~」

「だから私が引き取ったというわけ。エルフの里長も困っていたから」
「おじいちゃんゴメンなのです~」

「里長の孫、なのか?」

「いいえ、妹だったわ」

「は?」

「ティティ、貴方いくつだったかしら」
「確か、364歳です~」

「嘘だろ!?」



どう見ても10歳前後。そのティティが300年越してるだと!?



「なんで弟を『おじいちゃん』って呼んでるんだ!」

「仲良しのカムラがそう呼んでたので移りました~」

「おい、カムラってのは」

「ティティの弟さんの孫ね」

「・・・弟も可愛そうだな」



見た目が子供のティティ。仲良し、と言っていたのは、同じくらいの背格好だったからなのだろう。
そりゃ里長も困るだろう。自分の姉が成長せず、あまつさえ自分の孫と一緒に『おじいちゃん』呼ばわりしてくるのだから。



「よく魔女に預けたな」

「人間とは違って、エルフとは今でも魔女私達は懇意にしているのよ。
お互い、長い時を生きるものだからという共通点もあることだしね。エルフの里も人間が入ることのできない場所にあるから」

「なるほどな。チャコーレアに出会えて、ティティは幸運だったな」

「はいなのです~お師匠様は優しいし、頭もいいし、ティティの憧れです~」
「エルフは魔法も得意だしね。弟子としては合格。エリカの弟子もからかいやすくていいけれど」

「・・・爺さんがか?」

「違うわよ、あのじゃなくて、今の子よ」



爺さんをあのと呼ぶくらい、チャコーレアも長い時を生きる魔女なのだと認識する。
だからこそ、エルフのティティを側に置いているのだろう。

ティティもチャコーレアの側は楽なのかもしれない。

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