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第一章
爽やか王子の素顔
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黒崎理人のエスコートで休憩スペースへ到着する。
後はこいつがパーティー会場に戻れば海野さんを追えるな。
それにしても海野和俊はどこに行ったんだろうか。一番怪しいのは展示室の奥の部屋だがそこへ向かった確証もない。
真白は休憩スペースにあるソファに座って黒崎理人がいなくなるのを待つ。しかし黒崎理人は一向に会場に戻ろうとしない。
ここには真白と黒崎理人の二人きり。沈黙がこの場の空気を支配する。その沈黙を破るように真白は口を開いた。
「会場に戻らないのですか?」
「うん。君が気になるからね」
黒崎理人は急に砕けた口調になる。
オレが気になるとはどういうことだろうか。心配してくれている、とかだろうか。
「それはどういう意味なのでしょうか?」
「そのままの意味だよ」
そう言いながら黒崎理人は少し離れた場所からこちらに近づいて来る。
「君、名前は?」
ソファに座る真白の目の前で黒崎理人は立ち止まった。彼の表情は非常ににこやかだ。心なしか楽しそうにすら見えてくる。
「名乗っておりませんでしたわね。姫野舞姫ですわ」
真白がそう答えると、黒崎理人はにこやかな表情を崩さずにこう言い放った。
「それ偽名だよね?」
「なっ! いきなり失礼ではありませんこと?」
なんでバレた!?
今日のオレの振る舞いでバレる要素ないだろ!?
やばいやばい、これは非常にマズい。
「本物の姫野舞姫は欠席だって知ってんだよね、こっちは」
そう言い放った黒崎理人の表情や口調はいつものものとは全く違っていた。優しげな表情はどこへやら、今は冷たい瞳で真白を見下ろしている。
ってか、こいつ誰!?
黙り込む真白を見て肯定と受け取ったのか、黒崎理人は満足そうに微笑んだ。そして黒崎理人は真白の頭を両腕で挟むようにしてソファの背もたれに手をかけた。
「なんでか教えてあげるよ」
「…………」
「僕が流した情報だから、だよ? お・じょ・う・サ・マ?」
まるで真白が庶民の出であることを見透かしたかのような物言いだ。そしてこのしたり顔。腹立つことこの上ない。
「……なるほどな。オ……私はまんまと騙されたってわけだ。まぁ、貴方も色んな方をその紳士的な態度で騙していたんだろうけど?」
ってオレ何言ってんだ!?
あまりにも腹立つ言い方するもんだからつい言ってしまったが、偽名使って潜入してたのは事実だしこのままだとオレの身が危うい!
しかも今オレって言いかけた!
落ち着け、挑発に乗るなオレ。
そこでずい、と黒崎理人の顔が近付く。
「随分威勢がいいな。お前何者だ? 何が目的だ? 答えろ」
息がかかりそうなくらい近くに黒崎理人の顔があるが真白は無言を貫く。ここで妖退治です、なんて答えて信じてもらえるわけが無い。
さて、ここからどう逃げる。早くしないと海野和俊に、妖に逃げられてしまう。
「なんだ今度はだんまりか?」
黒崎理人はニヤニヤと楽しむような表情を見せる。
こいつ、そんな表情も出来たのか。
そんな表情してもイケメンはイケメン。そんな表情でも相変わらずキレイな顔。それすらも今は腹が立つ。
そして黒崎理人は真白の耳元に唇を寄せた。
「言えないっていうなら言いたくなるようにしてあげるよ」
そうつぶやいた瞬間黒崎理人の手が真白の首元に触れる。その手はするりと撫でるようにゆっくりゆっくり下へと降りていく。
「おま……! 何すん……んっ」
抗議の声を上げようとすると口を塞がれた。それも黒崎理人の唇で。
それはいわゆるキスというやつだ。
こいつ、まじでありえない……!
何度も何度も繰り返される噛み付くようなキス。
驚きのあまり両手が自由だということを忘れて真白は思いっきり黒崎理人を睨む。
その間も肩や腰を撫でる手の動きは止まらない。このままでは胸元の詰め物に気付かれて男だとバレてしまうかもしれない。
これでも言わないつもりか? と黒崎の目が訴えかける。
お前が言えなくしてるんだろうが!
この静かな空間に自分のものとは思えない甘い声が響く。
息、苦しくなってきた……。
ふと唇が離れてやっと呼吸が出来ると安堵する。
「お前、気に入ったよ」
黒崎理人は意地悪そうにニヤリと笑い、真白の胸元に手を伸ばす。
そのときだった。
―――ドカンッ
少し遠くの方で爆発音が聞こえた。それと同時に感じる濃い妖気。
これは展示室からか?
真白ははっとして黒崎理人を押しのける。爆発音で気を抜いていたのか黒崎理人は少しふらついた。黒崎理人は少しイラついたように頭をかく。
「……チッ。お前は絶対に逃がさないからな」
吐き捨てるように言うと黒崎理人はそのまま展示室の方へ向かって行った。
な、なんだったんだ……?
少しの間呆けていた真白だったが段々と怒りが湧いてくる。
オレの初めて返せ!
真白は手で口元をごしごしと拭い、乱れていたワンピースを直す。
許すまじ黒崎理人……!
ふつふつと湧き上がる怒りを胸に真白も展示室の方へ急いだのだった。
後はこいつがパーティー会場に戻れば海野さんを追えるな。
それにしても海野和俊はどこに行ったんだろうか。一番怪しいのは展示室の奥の部屋だがそこへ向かった確証もない。
真白は休憩スペースにあるソファに座って黒崎理人がいなくなるのを待つ。しかし黒崎理人は一向に会場に戻ろうとしない。
ここには真白と黒崎理人の二人きり。沈黙がこの場の空気を支配する。その沈黙を破るように真白は口を開いた。
「会場に戻らないのですか?」
「うん。君が気になるからね」
黒崎理人は急に砕けた口調になる。
オレが気になるとはどういうことだろうか。心配してくれている、とかだろうか。
「それはどういう意味なのでしょうか?」
「そのままの意味だよ」
そう言いながら黒崎理人は少し離れた場所からこちらに近づいて来る。
「君、名前は?」
ソファに座る真白の目の前で黒崎理人は立ち止まった。彼の表情は非常ににこやかだ。心なしか楽しそうにすら見えてくる。
「名乗っておりませんでしたわね。姫野舞姫ですわ」
真白がそう答えると、黒崎理人はにこやかな表情を崩さずにこう言い放った。
「それ偽名だよね?」
「なっ! いきなり失礼ではありませんこと?」
なんでバレた!?
今日のオレの振る舞いでバレる要素ないだろ!?
やばいやばい、これは非常にマズい。
「本物の姫野舞姫は欠席だって知ってんだよね、こっちは」
そう言い放った黒崎理人の表情や口調はいつものものとは全く違っていた。優しげな表情はどこへやら、今は冷たい瞳で真白を見下ろしている。
ってか、こいつ誰!?
黙り込む真白を見て肯定と受け取ったのか、黒崎理人は満足そうに微笑んだ。そして黒崎理人は真白の頭を両腕で挟むようにしてソファの背もたれに手をかけた。
「なんでか教えてあげるよ」
「…………」
「僕が流した情報だから、だよ? お・じょ・う・サ・マ?」
まるで真白が庶民の出であることを見透かしたかのような物言いだ。そしてこのしたり顔。腹立つことこの上ない。
「……なるほどな。オ……私はまんまと騙されたってわけだ。まぁ、貴方も色んな方をその紳士的な態度で騙していたんだろうけど?」
ってオレ何言ってんだ!?
あまりにも腹立つ言い方するもんだからつい言ってしまったが、偽名使って潜入してたのは事実だしこのままだとオレの身が危うい!
しかも今オレって言いかけた!
落ち着け、挑発に乗るなオレ。
そこでずい、と黒崎理人の顔が近付く。
「随分威勢がいいな。お前何者だ? 何が目的だ? 答えろ」
息がかかりそうなくらい近くに黒崎理人の顔があるが真白は無言を貫く。ここで妖退治です、なんて答えて信じてもらえるわけが無い。
さて、ここからどう逃げる。早くしないと海野和俊に、妖に逃げられてしまう。
「なんだ今度はだんまりか?」
黒崎理人はニヤニヤと楽しむような表情を見せる。
こいつ、そんな表情も出来たのか。
そんな表情してもイケメンはイケメン。そんな表情でも相変わらずキレイな顔。それすらも今は腹が立つ。
そして黒崎理人は真白の耳元に唇を寄せた。
「言えないっていうなら言いたくなるようにしてあげるよ」
そうつぶやいた瞬間黒崎理人の手が真白の首元に触れる。その手はするりと撫でるようにゆっくりゆっくり下へと降りていく。
「おま……! 何すん……んっ」
抗議の声を上げようとすると口を塞がれた。それも黒崎理人の唇で。
それはいわゆるキスというやつだ。
こいつ、まじでありえない……!
何度も何度も繰り返される噛み付くようなキス。
驚きのあまり両手が自由だということを忘れて真白は思いっきり黒崎理人を睨む。
その間も肩や腰を撫でる手の動きは止まらない。このままでは胸元の詰め物に気付かれて男だとバレてしまうかもしれない。
これでも言わないつもりか? と黒崎の目が訴えかける。
お前が言えなくしてるんだろうが!
この静かな空間に自分のものとは思えない甘い声が響く。
息、苦しくなってきた……。
ふと唇が離れてやっと呼吸が出来ると安堵する。
「お前、気に入ったよ」
黒崎理人は意地悪そうにニヤリと笑い、真白の胸元に手を伸ばす。
そのときだった。
―――ドカンッ
少し遠くの方で爆発音が聞こえた。それと同時に感じる濃い妖気。
これは展示室からか?
真白ははっとして黒崎理人を押しのける。爆発音で気を抜いていたのか黒崎理人は少しふらついた。黒崎理人は少しイラついたように頭をかく。
「……チッ。お前は絶対に逃がさないからな」
吐き捨てるように言うと黒崎理人はそのまま展示室の方へ向かって行った。
な、なんだったんだ……?
少しの間呆けていた真白だったが段々と怒りが湧いてくる。
オレの初めて返せ!
真白は手で口元をごしごしと拭い、乱れていたワンピースを直す。
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