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第一章 おれとアイツの出逢い
龍ケ崎冬吾という変態
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「それおれのネックレス……!」
龍ケ崎さんはニヤリと笑う。
昨日はそれどころじゃなかったから分からなかったけど、この人本当に顔が整ってる……。
綺麗な顔立ちと細くて切れ長の目が相まってやや冷たい印象を受ける。
いかにもデキる男って感じがするな。
「これ返して欲しいか?」
龍ケ崎さんはネックレスを前に突きつけた。
目の前でネックレスが揺れる。
「当たり前だ!」
おれはそう言いながらネックレスに手を伸ばす。
……が、おれの指がネックレスに触れる直前、龍ケ崎さんはネックレスを持った手を引っ込めた。
「……おい、どういうつもりだ!」
おれの問いに龍ケ崎さんは答えずニヤリと口を歪ませる。
「返して欲しかったら俺から奪い取ってみろ」
「はぁ?」
本当にこの男の目的がわからない。
ただ簡単には返してくれないらしい。
龍ケ崎さんはネックレスを持った手を頭の高さまで上げて、左右に揺らす。
コイツ、おちょくってんのか……!
届くか届かないか微妙な高さだな。
男にしては少し低めの身長がここに来てアダになるとは思わなかった。
おれは背伸びをしてネックレスに手を伸ばす。
よし、届いた!
ネックレスを掴んだその瞬間。
ガシッと腰に手を回されて抱きしめられてしまった。
「なにすん――んあっ」
抗議の言葉を発しようとするも、服の中に侵入してきた手が胸の先に触れて嬌声が漏れる。
ヤバい、これ昨日と同じパターン……!
なんとか逃げようともがくけれど昨日と同様びくともしない。
そうしているうちに龍ケ崎さんはおれの乳首をつまんでは弄りつまんでは弄りを繰り返す。
「んっ……それ、やめろっ……」
「お前が勝手に感じてるだけだろ?」
耳元で囁かれ肩がピクリと跳ねる。
なんでこんなことになってんの?
おれネックレス探しに来ただけなのに。
「んっ……離せよっ、龍ケ崎……!」
おれが恨みを込めて名前を呼ぶと龍ケ崎のこめかみがピクっと動いた……気がした。
「……俺の名は冬吾だ。冬吾と呼べ」
「は、はぁ?」
何がお気に召さなかったのか龍ケ崎はそんなことを言ってくる。
龍ケ崎の目が早く呼べと言っている。
ふっざけんな!
痴漢野郎の名前なんざ……
「誰がっ呼ぶか……!」
おれがそう答えると龍ケ崎は面白そうに口角を上げた。
次の瞬間、ぐいっと顔を引き寄せられ唇が重なる。
それがキスだと理解したのは口内に龍ケ崎の舌が入ってきてからだった。
「んんっ……!んあっ……はぁっ」
舌と共に意識ごと絡めとられそうになる。
頭に靄がかかったような感覚に陥る。
初めての感覚におれは急に怖くなって慌てて離れようと龍ケ崎の胸を押し返す。
それに気付いたらしい龍ケ崎は意地悪そうな表情をして唇を離した。
「お前キス初めてか」
さらりと真顔でそう言われ、おれは顔に熱が集まってくるのを感じた。
「初めてだったら悪いかよ……!」
「いや?悪くない」
ご機嫌そうに言われておれは混乱する。
意地悪そうな顔でも整ってるだけあって色っぽい。
なんなんだ、本当に……。
「それで冬吾と呼ぶか?」
そしてなんでコイツはこんなにも昨日会ったばかりのおれに名前を呼ばせようとするのか。
おれはコイツと深い関係になってやるつもりはない。
「呼ばねぇよ」
「強情だな。なら……」
龍ケ崎はそう言っておれのズボンを下着ごと下ろした。
「え、ちょ!?」
「呼びたくならせてやる」
外気に晒されるおれの下半身。
これはまじでシャレにならない!
夜遅いとはいえ誰が来るかもわからない路地裏手前の街灯真下。
何考えてんだコイツ!!
おれはネックレスを持っていない方の手で履き直そうとズボンを抑える。
龍ケ崎の手がおれのモノに触れる。
これ以上流されてたまるか!
おれは力を込めて龍ケ崎を思いっきり“睨んだ”。
すると、龍ケ崎は昨日と同様ピタリと動きを止める。
本当は二回立て続けにやると疑われやすいから自力で逃げ出したかったけど、背に腹はかえられない。
やはり龍ケ崎は驚いた表情をする。
そりゃそうか。
急に自分の身体が動かなくなるんだから。
おれは手早くズボンを履き直し、手元にネックレスがあるのを確認する。
ふとこの男にされたことを思い出したおれは動かない龍ケ崎の向こう脛を軽く蹴ってやった。
龍ケ崎のこめかみに青筋が浮かぶ。
やっべ、龍ケ崎が動き出す前に退散だ!
おれは脱兎のごとくその場から逃げ出した。
――――――――
俺は引き止めることが出来ずにただ遠くなる青年の背を見送った。
「なかなか強気な子でしたね、冬吾様」
物陰で待機していた男がひょっこりと顔を出す。
その言葉を聞く限り一部始終を聞いていたのだろう。
「日下部か。あぁ、落としがいがある」
「しかし、何年もあなたに仕えてきましたがあなたから手を出すのも相手に出し抜かれる姿を見るのも初めてですよ」
日下部は意外そうな顔をして眼鏡をくいっと上げる。
それは身体が急に動かなくなったからなのだが、それを口にすると負け惜しみに聞こえそうな気がして言いとどまった。
しかし、あれはなんだったのか。
一度ならず二度までも、しかもあの青年と対峙したときのみ。
探りを入れてみるか。
「日下部。今の青年について調べられるか?」
「やってみますが、あなたがそこまで興味を示すのも珍しいですね。それでしたら後を追えば良かったのでは?」
「いや、手は打ってある。すぐに探し出してやるさ」
龍ケ崎さんはニヤリと笑う。
昨日はそれどころじゃなかったから分からなかったけど、この人本当に顔が整ってる……。
綺麗な顔立ちと細くて切れ長の目が相まってやや冷たい印象を受ける。
いかにもデキる男って感じがするな。
「これ返して欲しいか?」
龍ケ崎さんはネックレスを前に突きつけた。
目の前でネックレスが揺れる。
「当たり前だ!」
おれはそう言いながらネックレスに手を伸ばす。
……が、おれの指がネックレスに触れる直前、龍ケ崎さんはネックレスを持った手を引っ込めた。
「……おい、どういうつもりだ!」
おれの問いに龍ケ崎さんは答えずニヤリと口を歪ませる。
「返して欲しかったら俺から奪い取ってみろ」
「はぁ?」
本当にこの男の目的がわからない。
ただ簡単には返してくれないらしい。
龍ケ崎さんはネックレスを持った手を頭の高さまで上げて、左右に揺らす。
コイツ、おちょくってんのか……!
届くか届かないか微妙な高さだな。
男にしては少し低めの身長がここに来てアダになるとは思わなかった。
おれは背伸びをしてネックレスに手を伸ばす。
よし、届いた!
ネックレスを掴んだその瞬間。
ガシッと腰に手を回されて抱きしめられてしまった。
「なにすん――んあっ」
抗議の言葉を発しようとするも、服の中に侵入してきた手が胸の先に触れて嬌声が漏れる。
ヤバい、これ昨日と同じパターン……!
なんとか逃げようともがくけれど昨日と同様びくともしない。
そうしているうちに龍ケ崎さんはおれの乳首をつまんでは弄りつまんでは弄りを繰り返す。
「んっ……それ、やめろっ……」
「お前が勝手に感じてるだけだろ?」
耳元で囁かれ肩がピクリと跳ねる。
なんでこんなことになってんの?
おれネックレス探しに来ただけなのに。
「んっ……離せよっ、龍ケ崎……!」
おれが恨みを込めて名前を呼ぶと龍ケ崎のこめかみがピクっと動いた……気がした。
「……俺の名は冬吾だ。冬吾と呼べ」
「は、はぁ?」
何がお気に召さなかったのか龍ケ崎はそんなことを言ってくる。
龍ケ崎の目が早く呼べと言っている。
ふっざけんな!
痴漢野郎の名前なんざ……
「誰がっ呼ぶか……!」
おれがそう答えると龍ケ崎は面白そうに口角を上げた。
次の瞬間、ぐいっと顔を引き寄せられ唇が重なる。
それがキスだと理解したのは口内に龍ケ崎の舌が入ってきてからだった。
「んんっ……!んあっ……はぁっ」
舌と共に意識ごと絡めとられそうになる。
頭に靄がかかったような感覚に陥る。
初めての感覚におれは急に怖くなって慌てて離れようと龍ケ崎の胸を押し返す。
それに気付いたらしい龍ケ崎は意地悪そうな表情をして唇を離した。
「お前キス初めてか」
さらりと真顔でそう言われ、おれは顔に熱が集まってくるのを感じた。
「初めてだったら悪いかよ……!」
「いや?悪くない」
ご機嫌そうに言われておれは混乱する。
意地悪そうな顔でも整ってるだけあって色っぽい。
なんなんだ、本当に……。
「それで冬吾と呼ぶか?」
そしてなんでコイツはこんなにも昨日会ったばかりのおれに名前を呼ばせようとするのか。
おれはコイツと深い関係になってやるつもりはない。
「呼ばねぇよ」
「強情だな。なら……」
龍ケ崎はそう言っておれのズボンを下着ごと下ろした。
「え、ちょ!?」
「呼びたくならせてやる」
外気に晒されるおれの下半身。
これはまじでシャレにならない!
夜遅いとはいえ誰が来るかもわからない路地裏手前の街灯真下。
何考えてんだコイツ!!
おれはネックレスを持っていない方の手で履き直そうとズボンを抑える。
龍ケ崎の手がおれのモノに触れる。
これ以上流されてたまるか!
おれは力を込めて龍ケ崎を思いっきり“睨んだ”。
すると、龍ケ崎は昨日と同様ピタリと動きを止める。
本当は二回立て続けにやると疑われやすいから自力で逃げ出したかったけど、背に腹はかえられない。
やはり龍ケ崎は驚いた表情をする。
そりゃそうか。
急に自分の身体が動かなくなるんだから。
おれは手早くズボンを履き直し、手元にネックレスがあるのを確認する。
ふとこの男にされたことを思い出したおれは動かない龍ケ崎の向こう脛を軽く蹴ってやった。
龍ケ崎のこめかみに青筋が浮かぶ。
やっべ、龍ケ崎が動き出す前に退散だ!
おれは脱兎のごとくその場から逃げ出した。
――――――――
俺は引き止めることが出来ずにただ遠くなる青年の背を見送った。
「なかなか強気な子でしたね、冬吾様」
物陰で待機していた男がひょっこりと顔を出す。
その言葉を聞く限り一部始終を聞いていたのだろう。
「日下部か。あぁ、落としがいがある」
「しかし、何年もあなたに仕えてきましたがあなたから手を出すのも相手に出し抜かれる姿を見るのも初めてですよ」
日下部は意外そうな顔をして眼鏡をくいっと上げる。
それは身体が急に動かなくなったからなのだが、それを口にすると負け惜しみに聞こえそうな気がして言いとどまった。
しかし、あれはなんだったのか。
一度ならず二度までも、しかもあの青年と対峙したときのみ。
探りを入れてみるか。
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「やってみますが、あなたがそこまで興味を示すのも珍しいですね。それでしたら後を追えば良かったのでは?」
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