婚約破棄された姫は復讐をはたして、ざまぁと笑う

高岩唯丑

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「婚約破棄ですね……これは」
 昼過ぎ頃、私は女房に頼んだ用事の結果を聞かされて、画然とした。
「爽姫様、こういう事もありますよ」
 あの殿方は私の所に二日も通っておいて、突然、他の姫の所に通い、そして、結婚したらしい。
 平安時代、姫の所に、殿方が夜這いをしに来るのは当たり前だった。というより、結婚をする前に夜這いをするのが常だった。そして、三日間連続で夜這いをすると、結婚する事になる。つまり、夜這いをした段階で、婚約したとも言える。
「爽姫様、あの方お気に入りでしたものね……大丈夫ですか?」
「……大丈夫、一人にして」
 私の言葉には明らかに怒気がおびていた。抑えられない怒り。女房達はそそくさと、部屋から立ち去っていく。
「くそっ」
 初めてだったから痛かった。それでも、優しい声と手つきで、気遣ってくれて、とても嬉しかった。その一晩で私はその人に恋をした。顔は暗くて見えなかったけど、性格は大好きだったのだ。
 その人が二日目にも来てくれた事はとても嬉しかった。一日目の緊張と怖さはもう吹き飛んでいて、とても楽しい夜だった。この人となら本気で。そう思っていたのに。
「あぁ、くそっ」
 怒りが渦巻いてくる。どす黒い感情が私の中に溢れてくる。胸が熱い。私は胸の辺りの着物を握り締める。
「あぁぁぁ」
 来ていた十二単を脱ぎ捨てた。こんな重たいもの来て、奴を追い詰められない。
「殺してやる、後悔させてやる、私を弄んだ事を、死をもって償わせてやる」
 決意をした瞬間、体の中のどす黒い感情が、体の外にあふれ出てきたような感覚がする。いつも守られて生きてきて、体を動かしたことがほとんどないのに、今なら、走り回れる気がした。黒い感情が体力の代わりをしてくれているような、そんな感じだ。
 私は御簾を振り払い部屋を出る。その音で女房たちが集まってきた。
「爽姫様! 誰か! 誰か!」
 私の異様な状況に女房達は恐れおののく。宿直の兵たちが次第に集まってきた。
「爽姫様なのか……本当に?」
 兵たちも私の状況に困惑するばかりだ。止められるのは面倒だ。私は、その場から、ジャンプして移動する。
「ははっ、体が軽い! これなら簡単に奴を殺せる!」
 よくわからない高揚感に包まれる。すでに人間ではなくなっている。そんな事を少しは考えたが、それよりも、奴を八つ裂きにする事の方が重要だった。
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