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目覚めない病気
07
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「街の外、東の方に、魔法を研究しているというお爺さんがいるのよ」
「魔法の研究を」
私のつぶやきに、マリアは頷いて続ける。
「そう、街から苦情、というのか、気味が悪いという話が寄せられてたのだけど、害はないからどうしようかと、オルリヌが言っていたわ」
そこまで言ってマリアは考える様に少し俯く。ややあって、顔をあげた。
「そういえばオルリヌは、いつだったか一人でそのお爺さんを訪ねたはずよ」
シネヴィラとマークの表情が変わる。犯人を見つけたかのような表情。マリアも近い表情をしている。
「もしかしたら、その時そのお爺さんと何かあったのかも、それで恨まれたとかかもしれないわ、そんな怪しい人間、理不尽な逆恨みだってしかねないわ!」
決めつける様なマリアの口調に、私は呆れて頭を抱えそうになる。まだわからないではないか。助けを求める様に、私はシネヴィラとマークに視線を移す。二人もその意見に賛同している様に、頷いていた。もう疲れ果てて、思考力が鈍っている可能性がある。おそらくこの二人はオルリヌに付きっ切りで、あまり休めていないだろう。もうそれでいいではないか、と思考放棄している可能性さえある。
とりあえず、ここにいる誰も冷静に話を聞ける状態ではなさそうだ。私はその場で誰よりも早く、動き始めた。ここにいる人間に任せると最悪の場合、話も聞かずに犯人として、そのお爺さんをつるし上げそうな雰囲気だった。
「なるほど、その人が犯人かわかりませんが、話を聞いてみる価値はありそうですね」
サイラスに視線を送って、寝室のドアに向かう。
「オーロラ様? もしかして自ら話を?」
シネヴィラの驚いた様な口調の声が、後ろから聞こえてくる。私は振り返って笑顔を浮かべた。
「はい、いつもそうしているのですよ」
そう言って一礼すると、私はサイラスと一緒にドアの方に向かう。ドアに手をかけてから、一度振り向いて三人の顔を見る。面倒なことになっているけど、それも最後の楽しみへのスパイスである。あぁ、楽しみ。おバカさんの追い詰められた顔を見るのが。とても。
私は悦に浸った笑顔を浮かべてしまいそうになり、逃げる様に部屋から出た。
「魔法の研究を」
私のつぶやきに、マリアは頷いて続ける。
「そう、街から苦情、というのか、気味が悪いという話が寄せられてたのだけど、害はないからどうしようかと、オルリヌが言っていたわ」
そこまで言ってマリアは考える様に少し俯く。ややあって、顔をあげた。
「そういえばオルリヌは、いつだったか一人でそのお爺さんを訪ねたはずよ」
シネヴィラとマークの表情が変わる。犯人を見つけたかのような表情。マリアも近い表情をしている。
「もしかしたら、その時そのお爺さんと何かあったのかも、それで恨まれたとかかもしれないわ、そんな怪しい人間、理不尽な逆恨みだってしかねないわ!」
決めつける様なマリアの口調に、私は呆れて頭を抱えそうになる。まだわからないではないか。助けを求める様に、私はシネヴィラとマークに視線を移す。二人もその意見に賛同している様に、頷いていた。もう疲れ果てて、思考力が鈍っている可能性がある。おそらくこの二人はオルリヌに付きっ切りで、あまり休めていないだろう。もうそれでいいではないか、と思考放棄している可能性さえある。
とりあえず、ここにいる誰も冷静に話を聞ける状態ではなさそうだ。私はその場で誰よりも早く、動き始めた。ここにいる人間に任せると最悪の場合、話も聞かずに犯人として、そのお爺さんをつるし上げそうな雰囲気だった。
「なるほど、その人が犯人かわかりませんが、話を聞いてみる価値はありそうですね」
サイラスに視線を送って、寝室のドアに向かう。
「オーロラ様? もしかして自ら話を?」
シネヴィラの驚いた様な口調の声が、後ろから聞こえてくる。私は振り返って笑顔を浮かべた。
「はい、いつもそうしているのですよ」
そう言って一礼すると、私はサイラスと一緒にドアの方に向かう。ドアに手をかけてから、一度振り向いて三人の顔を見る。面倒なことになっているけど、それも最後の楽しみへのスパイスである。あぁ、楽しみ。おバカさんの追い詰められた顔を見るのが。とても。
私は悦に浸った笑顔を浮かべてしまいそうになり、逃げる様に部屋から出た。
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