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エキセントリック・メイドドリーム
解決編13
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アリーンとエルラが部屋を出て行くのを見送ってから、私は使用人たちを見渡す。この中には、エミラから血の匂いを感じ取った者もいるだろうな。怖くて黙ってしまった、という感じだろう。私達は卑しい身分だから、何かあれば簡単に切り捨てられる。
使用人は、とりわけメイドは、獣人族の割合が高い。獣人族は普通の人間に動物の耳と尻尾をつけただけの見た目だから、愛玩用という意味合いが強いのかもしれない。それに獣人族は、社会的地位が低い卑しい身分だ。人間からしたら命令しやすい、という事なのかもしれない。そういう事があって、私は卑屈になって、獣人族以外を『人間』という言い方で区別してしまう。獣人族だってれっきとした『人間』だ。いけない癖だと思ってるけど、なかなか苦労した経験は抜けないのだ。
いろいろ考えた所で、目の前の事態を思い出す。とりあえず今はエミラの件を終わらせなければ。
「これで言い逃れは出来ませんよ」
エミラは力なく座り込んでいた。トールが傍らに座り込んで、エミラの両肩に手を添えている。
「どうしてこんな事……僕は王になんて」
トールの言葉を遮る様に、エミラが口を開く。
「私は、平民だった、しかも最下層のかなり貧困な」
エミラは人間だ。貧困層のほとんどは獣人族だけど、エミラやアリーンの様に、人間も一定数いる。そして、そういう人間は耳と尻尾を切り落とした獣人族ではないか、と疑われるのが常だ。魔法で人間の耳を作る事も可能だから、まぎれこむ事ができないことは無い。
「この国は、獣人族への差別が強すぎる……獣人族の皆はそれだけで貧困に苦しむし、貧困層の人間は獣人族と疑われる」
セブリアンが何か言おうとして口を開きかけたけど、寸前で結局何も言わずに黙る。恵まれた人間の言葉はきっと、今のエミラには届かない。
「私は必死で、もがいて抜け出した、やっと手に入れた生活でトールも生まれた……幸せだったけど、でも」
「……噂ですね」
生まれてきたトールを獣人族では、と疑う噂が流れたのではないか。そんな中で、アンデストとセブリアンが生まれて、王位継承権第三位になった。そういう事ではなかったとしても、国民は噂を真実だと思ってしまったかもしれない。エミラが私の言葉に頷いて続ける。
「怖かったの、私自身だけならまだしも、トールもこのまま外に追いやられて、またあの薄暗い貧困へと落とされるかもしれないって」
だから王様とアンデストを殺して、その罪をセブリアンに着せようとしたのか。それで残ったトールが王様になれば、噂は残ってしまうかもしれないけど皆黙る。
「……差別、それのせいで」
トールが小さく呟く。
「トール……あなたの名前は花から取ったの、トール・シンクフォイル……そのまま付けたらさすがに長いから、トールを名前にして、トールが生まれた記念に作った庭園にシンクフォイルと名付けたの」
優しく微笑んだエミラが、トールの頬に手を添えた。
「花言葉はね……明るく輝いて……獣人族とか人間とか関係なくなるくらい、光り輝く素晴らしい王様になってほしくて、そうつけたのよ」
トールが拳を握るのが見えた。何かを決意したような、そんな。
使用人は、とりわけメイドは、獣人族の割合が高い。獣人族は普通の人間に動物の耳と尻尾をつけただけの見た目だから、愛玩用という意味合いが強いのかもしれない。それに獣人族は、社会的地位が低い卑しい身分だ。人間からしたら命令しやすい、という事なのかもしれない。そういう事があって、私は卑屈になって、獣人族以外を『人間』という言い方で区別してしまう。獣人族だってれっきとした『人間』だ。いけない癖だと思ってるけど、なかなか苦労した経験は抜けないのだ。
いろいろ考えた所で、目の前の事態を思い出す。とりあえず今はエミラの件を終わらせなければ。
「これで言い逃れは出来ませんよ」
エミラは力なく座り込んでいた。トールが傍らに座り込んで、エミラの両肩に手を添えている。
「どうしてこんな事……僕は王になんて」
トールの言葉を遮る様に、エミラが口を開く。
「私は、平民だった、しかも最下層のかなり貧困な」
エミラは人間だ。貧困層のほとんどは獣人族だけど、エミラやアリーンの様に、人間も一定数いる。そして、そういう人間は耳と尻尾を切り落とした獣人族ではないか、と疑われるのが常だ。魔法で人間の耳を作る事も可能だから、まぎれこむ事ができないことは無い。
「この国は、獣人族への差別が強すぎる……獣人族の皆はそれだけで貧困に苦しむし、貧困層の人間は獣人族と疑われる」
セブリアンが何か言おうとして口を開きかけたけど、寸前で結局何も言わずに黙る。恵まれた人間の言葉はきっと、今のエミラには届かない。
「私は必死で、もがいて抜け出した、やっと手に入れた生活でトールも生まれた……幸せだったけど、でも」
「……噂ですね」
生まれてきたトールを獣人族では、と疑う噂が流れたのではないか。そんな中で、アンデストとセブリアンが生まれて、王位継承権第三位になった。そういう事ではなかったとしても、国民は噂を真実だと思ってしまったかもしれない。エミラが私の言葉に頷いて続ける。
「怖かったの、私自身だけならまだしも、トールもこのまま外に追いやられて、またあの薄暗い貧困へと落とされるかもしれないって」
だから王様とアンデストを殺して、その罪をセブリアンに着せようとしたのか。それで残ったトールが王様になれば、噂は残ってしまうかもしれないけど皆黙る。
「……差別、それのせいで」
トールが小さく呟く。
「トール……あなたの名前は花から取ったの、トール・シンクフォイル……そのまま付けたらさすがに長いから、トールを名前にして、トールが生まれた記念に作った庭園にシンクフォイルと名付けたの」
優しく微笑んだエミラが、トールの頬に手を添えた。
「花言葉はね……明るく輝いて……獣人族とか人間とか関係なくなるくらい、光り輝く素晴らしい王様になってほしくて、そうつけたのよ」
トールが拳を握るのが見えた。何かを決意したような、そんな。
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