35 / 48
第三章
01
しおりを挟む
私はベッドの中で目を覚ました。異様な気配を感じて。同じような朝をまた迎えた。私はベッドから体を起こして、窓を眺める。薄暗さはない朝。早朝にこういう起き方をしないだけ、マシなんだろうか。
「はぁ」
だいぶ深めのため息をつくと、ベッドから出て、体を伸ばす。家の外にはきっと昨日のように、スライムが沢山いるんだろう。もう、無視をして過ごすか。
「もう」
昨日の傷ついたスライムの映像が頭を過る。トラブルから逃げてきたモンスターが、またいるかもしれない。一応、顔は見ておくか。
「お人好し……だね」
つい苦笑を浮かべて、私は家の外に出てみる。
「……種類が増えてる」
私の家の前にたむろしているモンスターは明らかに種類が増えていた。スライムはもちろんの事、コボルドが十体ほど、さらにゴブリンが二十体ほど、スライムと合わせると、五十体はいる。
「おはようございます!」
スーが私に気付いて、前に進み出てきた。爽やかな挨拶が、憎たらしいとさえ思ってしまう。
「これはどういう事?」
なんとなく体の力が抜けそうになり、私は出入口の枠組みの所に左手をついて、体を支える。頭が疲れてしまったのか、右手は自然におでこを押さえていた。
「みんな穏健派で、サワ様の事を慕って」
「本当は譲りたくはないけど、話を進めるために、百歩譲って、スライムたちは良い、でもコボルドとゴブリンはなんで?」
コボルドの方はコルと出会って、縁は出来ていた。コルが他のコボルドの穏健派に話をして、来る事になったとか、そんなものだろう。だが、ゴブリンの方はなぜだ。接点はあっただろうか。魔王軍のゴブリンしか会っていないぞ。しかも全員葬った。
「コボルドの方は、コルさんが」
「分かった、それだけで予想できる、ゴブリンの方は?」
「……助けられたと言っていますよ?」
「助けた?」
何の話だろう。私は腕を組みながら、記憶を探す。助けたとは何だろうか。どこかで、何気ない行動がゴブリンを助けたのか。
「直接、お礼を言いたいと言っているので、話を聞いてみてはどうですか?」
「そうだね」
スーの申し出に私は頷く。それを見てスーは体を反転させて、進み始めた。それに私も続く。少しの距離でも、モンスターたちの間を進んでいくと、嬉しそうに「サワ様」と声が聞こえてくる。無視するのも気がひけるから、一応、手を振って応える。アイドルにでもなった気分だ。
「この者たちです」
スーが立ち止まり、ゴブリンの一団の前でそう言った。まぁ、家のドアの所から、見えてたけど。
「はぁ」
だいぶ深めのため息をつくと、ベッドから出て、体を伸ばす。家の外にはきっと昨日のように、スライムが沢山いるんだろう。もう、無視をして過ごすか。
「もう」
昨日の傷ついたスライムの映像が頭を過る。トラブルから逃げてきたモンスターが、またいるかもしれない。一応、顔は見ておくか。
「お人好し……だね」
つい苦笑を浮かべて、私は家の外に出てみる。
「……種類が増えてる」
私の家の前にたむろしているモンスターは明らかに種類が増えていた。スライムはもちろんの事、コボルドが十体ほど、さらにゴブリンが二十体ほど、スライムと合わせると、五十体はいる。
「おはようございます!」
スーが私に気付いて、前に進み出てきた。爽やかな挨拶が、憎たらしいとさえ思ってしまう。
「これはどういう事?」
なんとなく体の力が抜けそうになり、私は出入口の枠組みの所に左手をついて、体を支える。頭が疲れてしまったのか、右手は自然におでこを押さえていた。
「みんな穏健派で、サワ様の事を慕って」
「本当は譲りたくはないけど、話を進めるために、百歩譲って、スライムたちは良い、でもコボルドとゴブリンはなんで?」
コボルドの方はコルと出会って、縁は出来ていた。コルが他のコボルドの穏健派に話をして、来る事になったとか、そんなものだろう。だが、ゴブリンの方はなぜだ。接点はあっただろうか。魔王軍のゴブリンしか会っていないぞ。しかも全員葬った。
「コボルドの方は、コルさんが」
「分かった、それだけで予想できる、ゴブリンの方は?」
「……助けられたと言っていますよ?」
「助けた?」
何の話だろう。私は腕を組みながら、記憶を探す。助けたとは何だろうか。どこかで、何気ない行動がゴブリンを助けたのか。
「直接、お礼を言いたいと言っているので、話を聞いてみてはどうですか?」
「そうだね」
スーの申し出に私は頷く。それを見てスーは体を反転させて、進み始めた。それに私も続く。少しの距離でも、モンスターたちの間を進んでいくと、嬉しそうに「サワ様」と声が聞こえてくる。無視するのも気がひけるから、一応、手を振って応える。アイドルにでもなった気分だ。
「この者たちです」
スーが立ち止まり、ゴブリンの一団の前でそう言った。まぁ、家のドアの所から、見えてたけど。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。
「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」
まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。
目が覚めたら、婚約破棄されていた。
理由は「地味で面白みがない」から。
泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。
最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。
でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。
厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。
そして就任スピーチで宣言した。
「500人全員の名前を、覚えます」
冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。
悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。
元婚約者は——後悔し始めていた。
婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。
なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
最安もふもふ三匹に名前をつける変な冒険者ですが、この子たちの力を引き出せるのは私だけです ~精霊偏愛録~
Lihito
ファンタジー
精霊に名前をつける冒険者は、たぶん私だけだ。
うさぎのノル、狐のルゥ、モモンガのピノ。三匹とも最安の契約で、手のひらに乗るサイズ。周りからは「手乗り精霊で何ができる」と笑われている。
でも、この子たちへの聞き方を変えるだけで、返ってくる答えはまるで違う。三匹の情報を重ねれば、上位の精霊一体では見えないものが見える。
上位パーティが三度失敗した大型討伐。私は戦わない。ノルに地中を、ピノに上空を、ルゥに地上を調べさせて、答えを組み上げる。
——この世界の精霊の使い方、みんな間違ってませんか?
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる