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第七章 覇道、世界を統べる
第87話 宣戦布告
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帝国による共和国侵攻より、約一年半もの月日が流れた。
共和国ではヴァルカン主導の元、経済復興が行われ、戦争の傷跡など見る影もない程だった。
特に共和国によってヴァルカンによる自治が委託されたエスタマイル周辺地域は、ヒト、モノ、カネが行き交う共和国第二の都市へと成長の道を歩んでいた。
対する帝国もヴァルカンの“助言”を受けて両派閥は解体され内戦も集結。一応は小康状態を保っていた。
しかし内戦の影響は帝国の栄光に暗い影を落とし、共和国にも劣る国力となってしまった帝国はヴァルカンを強く頼り、その依存度を深めた。
そしてその両者に対して終戦を仲介したのもまたヴァルカンだった。
終戦に際しては白紙講和を第一に、更に今後の軍事衝突に関しては民間軍事会社ヴァルカンがその仲裁を行うものとし、三者間の合意により終戦が成立した。
「社長、放送の用意が整いました」
「ああ。ご苦労」
ジェイは別に誰に見られるわけでもないが服の襟を整え、マイクが設置された壇上へ登った。
「ジェイ様、本当にやられるのですね」
「……ああ。これは俺からの、この世界への宣戦布告だ。今、この世界の全ての住人に対して挑戦状を叩きつける」
ドワーフが開発した長距離無線通信魔道具により、ヴァルカンの拠点を中心に世界各国の主要都市とを結ぶ巨大通信網が確立されていた。
「さて、始めようか」
ヴァルカン幹部が厳かな表情で見つめる中、一人不敵な笑みを浮かべたジェイはそっとマイクのスイッチを入れた。
「──全世界の諸君、ご機嫌よう! 私は民間軍事会社ヴァルカン取締役、ジェイだ。今日は諸君らに伝えるべき事があってこのような機会を設けさせていただいた。
共和国と帝国との終戦を仲介した我が社は、積極的な戦後復興を行っていることはご存知の通りだろう。
また近隣諸国の諸君らにおいても、インフラ整備から自由貿易の推進、郵便や傭兵業と幅広い社会活動を通じて密接に関わっている。
この一年程度の期間に、人類史の針は大きく進んだと言っていい!
しかしながら、世の人は私のことを死の商人と呼ぶらしい!
なんと悲しいことだろうか! 私はこの世界で最も平和を愛する人間であると誓える。
ではそんな私から一つ、諸君らに提案したい事がある。
──いや、これは提案ではなく宣告だ。全世界で恒久的な平和を実現するために諸君らには従ってもらう。
それは世界各国による同時的軍事放棄だ!
来年の今日この日をもって、世界の政治から軍隊というものを切り離す! 国家は軍隊を所持してはならない! 持てるのは最低限の警察機能を有する武力のみだ!
またそれに合わせ、国家外における集団戦力の保持も禁止する! 如何なる傭兵団も冒険者チームも存在してはならない!
ではお前たちヴァルカンはどうするのか? 今まで軍隊や冒険者がになってきた仕事はどうするのか?
そんな疑問をお持ちだろう! それについて、まとめて答えよう。
──民間軍事会社ヴァルカンは全国家と契約し、その独立権及び治安維持を保障する唯一の世界的独立軍事機関として生まれ変わる!
民間軍事会社ヴァルカンはその特性上、領土を持たず、政治的に中立な立場を維持し、全ての戦争・紛争を仲裁するための軍事力のみを保有する!
資金は軍事以外の事業から賄い、如何なる国家からの干渉も受けない完全独立型の組織である!
全ての国家又はそれに準ずる共同体は、軍事力や自衛権についての一切をヴァルカンに委託するよう準備していただこう! それが来年までの一年間という期間だ!
これより半年以内に契約を成立し、その後の半年間で軍備放棄を進めてもらう。
これを拒否するものは世界に戦乱をもたらす意思があるものと見なし、我々の軍事力をもってこれを制裁する! 諸君らに拒否権はない!
……どうか全人類の夢を叶えるべく、ご理解いただきたい。
なおこの計画について、ワッフェ共和国、シュテルクスト帝国は同意し、ドワーフ及びエルフの国に至っては既に実行に移している段階である。
この計画は何人たりとも止めることは許されない!
繰り返し申し上げよう! 何人たりともこの計画を阻むことは許さない!
……以上で発表を終える。質問や意見のある者はその国、或いは属する共同体に送付せよ。その組織と契約を結ぶ際に答えよう。
どうか賢明な判断が下されるよう願っている」
十分強に及ぶ演説を終え、ジェイは静かに壇上を後にした。
その場にいたアインたちヴァルカン幹部の中には涙を流す者が続出していた。
「――ジェイ様!」
「ああ」
「しかし、これで遂に始まりますね」
「ああ。これから始まるのは人類史最後の戦争だ。旧体制に縋り付く全ての人間を排除する。……ノアの方舟に乗れるのは平和主義者だけだ」
「その覇道、どこまでもお供します」
共和国ではヴァルカン主導の元、経済復興が行われ、戦争の傷跡など見る影もない程だった。
特に共和国によってヴァルカンによる自治が委託されたエスタマイル周辺地域は、ヒト、モノ、カネが行き交う共和国第二の都市へと成長の道を歩んでいた。
対する帝国もヴァルカンの“助言”を受けて両派閥は解体され内戦も集結。一応は小康状態を保っていた。
しかし内戦の影響は帝国の栄光に暗い影を落とし、共和国にも劣る国力となってしまった帝国はヴァルカンを強く頼り、その依存度を深めた。
そしてその両者に対して終戦を仲介したのもまたヴァルカンだった。
終戦に際しては白紙講和を第一に、更に今後の軍事衝突に関しては民間軍事会社ヴァルカンがその仲裁を行うものとし、三者間の合意により終戦が成立した。
「社長、放送の用意が整いました」
「ああ。ご苦労」
ジェイは別に誰に見られるわけでもないが服の襟を整え、マイクが設置された壇上へ登った。
「ジェイ様、本当にやられるのですね」
「……ああ。これは俺からの、この世界への宣戦布告だ。今、この世界の全ての住人に対して挑戦状を叩きつける」
ドワーフが開発した長距離無線通信魔道具により、ヴァルカンの拠点を中心に世界各国の主要都市とを結ぶ巨大通信網が確立されていた。
「さて、始めようか」
ヴァルカン幹部が厳かな表情で見つめる中、一人不敵な笑みを浮かべたジェイはそっとマイクのスイッチを入れた。
「──全世界の諸君、ご機嫌よう! 私は民間軍事会社ヴァルカン取締役、ジェイだ。今日は諸君らに伝えるべき事があってこのような機会を設けさせていただいた。
共和国と帝国との終戦を仲介した我が社は、積極的な戦後復興を行っていることはご存知の通りだろう。
また近隣諸国の諸君らにおいても、インフラ整備から自由貿易の推進、郵便や傭兵業と幅広い社会活動を通じて密接に関わっている。
この一年程度の期間に、人類史の針は大きく進んだと言っていい!
しかしながら、世の人は私のことを死の商人と呼ぶらしい!
なんと悲しいことだろうか! 私はこの世界で最も平和を愛する人間であると誓える。
ではそんな私から一つ、諸君らに提案したい事がある。
──いや、これは提案ではなく宣告だ。全世界で恒久的な平和を実現するために諸君らには従ってもらう。
それは世界各国による同時的軍事放棄だ!
来年の今日この日をもって、世界の政治から軍隊というものを切り離す! 国家は軍隊を所持してはならない! 持てるのは最低限の警察機能を有する武力のみだ!
またそれに合わせ、国家外における集団戦力の保持も禁止する! 如何なる傭兵団も冒険者チームも存在してはならない!
ではお前たちヴァルカンはどうするのか? 今まで軍隊や冒険者がになってきた仕事はどうするのか?
そんな疑問をお持ちだろう! それについて、まとめて答えよう。
──民間軍事会社ヴァルカンは全国家と契約し、その独立権及び治安維持を保障する唯一の世界的独立軍事機関として生まれ変わる!
民間軍事会社ヴァルカンはその特性上、領土を持たず、政治的に中立な立場を維持し、全ての戦争・紛争を仲裁するための軍事力のみを保有する!
資金は軍事以外の事業から賄い、如何なる国家からの干渉も受けない完全独立型の組織である!
全ての国家又はそれに準ずる共同体は、軍事力や自衛権についての一切をヴァルカンに委託するよう準備していただこう! それが来年までの一年間という期間だ!
これより半年以内に契約を成立し、その後の半年間で軍備放棄を進めてもらう。
これを拒否するものは世界に戦乱をもたらす意思があるものと見なし、我々の軍事力をもってこれを制裁する! 諸君らに拒否権はない!
……どうか全人類の夢を叶えるべく、ご理解いただきたい。
なおこの計画について、ワッフェ共和国、シュテルクスト帝国は同意し、ドワーフ及びエルフの国に至っては既に実行に移している段階である。
この計画は何人たりとも止めることは許されない!
繰り返し申し上げよう! 何人たりともこの計画を阻むことは許さない!
……以上で発表を終える。質問や意見のある者はその国、或いは属する共同体に送付せよ。その組織と契約を結ぶ際に答えよう。
どうか賢明な判断が下されるよう願っている」
十分強に及ぶ演説を終え、ジェイは静かに壇上を後にした。
その場にいたアインたちヴァルカン幹部の中には涙を流す者が続出していた。
「――ジェイ様!」
「ああ」
「しかし、これで遂に始まりますね」
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