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第二部 ジェノサイド
第53話 忌まわしき過去を振り返る 阿久野の場合
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――――――――――――――――
残り時間――43分
残りデストラップ――2個
残り生存者――5名
死亡者――11名
重体によるゲーム参加不能者――2名
状態不明者──1名
――――――――――――――――
子供の頃はテレビに出てくるようなヒーローになりたくて、大きくなったら絶対に警察官になろうといつも考えていた。目指したのは『弱きを助け強きを挫く』正義の味方。
だが、どこでどう道を踏み外したのか、行き着いた先はなぜか悪徳刑事という道だった。
どこで自分の道は狂ってしまったのか?
そんなことは自分でも嫌になるくらいはっきりと自覚している。
あの日起こった凶悪な事件──。
それによって、子供の頃から思い描いていた正義の味方の夢は、儚くも砕け散ってしまったのだ。
あの日、もしも身重の妻の傍に自分がいたら、未来は違っていたかもしれない。もしも、あの日に戻れるのならば――いや、いくら望んでも、今さら過去を取り戻すことは絶対に出来ないのだ。それに自分はもう戻れないところまで来てしまっている身である。
だから、俺は泣き言を吐くつもりはない。今はやれることをやるしかないのだ。例え、それが刑事としての道から大きく外れていたとしても──。
混濁する意識の中で、そんなことを考えていた。
すべては一本の電話から始まった。あの電話に出た瞬間、阿久野の未来から一切の希望は消滅し、決して明けることのない絶望的な暗闇だけが広がることとなった。
――――――――――――――――
その日、阿久野はひとりである事件の容疑者のアパート前で張り込みをしていた。簡単な張り込みのはずだった。容疑者が帰ってくるのを待って、その場で逮捕するだけだ。
刑事は本来、二人一組で行動する決まりになっている。しかし、その日の阿久野は単独で行動していた。
それには訳があった。阿久野には身重の妻がいた。妻と産まれてくる子供の為にも、少しでも早く昇進して、多くの給料が欲しかったのだ。だから仕事が休みにも関わらず、手柄欲しさの余り、勝手に単独行動をとっていたのである。
肝心の容疑者が姿を見せる前に、阿久野のスマホに着信が入った。署からの電話だった。てっきり単独行動がバレたことによる、課長からの叱責の電話かと思った。
慌ててすぐに通話に出た。
「はい、阿久野ですが」
「阿久野だな。今から俺の話をよく聞けよ」
予想通り、電話の相手は課長だった。だが、声の調子がいつもと違っていた。
「たった今、派出所勤務の巡査から、緊急事態を知らせる連絡があった」
「派出所勤務の巡査?」
派出所勤務の巡査──俗にお巡りさんと呼ばれる警察官のことである。
「阿久野、お前の自宅の最寄の派出所勤務の巡査だ」
「俺の家って……」
瞬間、体に言い知れぬ震えが走り抜けた。刑事生活を十数年も過ごしていれば、話の先の展開はおのずと読めてくる。
「家には家内がいるんだ! 家内は身重の体なんだ!」
上司に対して敬語を使うことも忘れて怒鳴っていた。
「分かってる。だからお前に真っ先に連絡したんだ」
「──家内に何かあったんですか?」
押し殺した声で静かに尋ねた。刑事としての勘が、何か良くないことが起きたのだと囁いていた。
「詳しい事情はまだ分からんが──」
「そんなことはどうでもいいです! 俺の家内はどうしたんだ! それを早く教えてくれ!」
「──阿久野、冷静に聞くんだ! お前の奥さんは包丁を持った少年に襲われた──」
「お、お、襲われた……」
瞬間、頭が真っ白になった。
「阿久野? 阿久野? おい、俺の話を聞いているのか?」
「──それで、家内の……容態は……?」
ようやくといった感じで声に出して訊いた。
「少年と揉み合いになったみたいで、その際に胸元を深く刺されて──」
みなまで聞く前に、張り込み中の車を急発進させていた。
「家内は今どこにいるんですか?」
ハンドルを強く握り締めながら、スマホに向かって聞き返した。
「緊急車両で救急病院に運ばれた」
「俺もすぐにそこに向かいます」
「阿久野? おい、阿久野? お前は自宅にいなかったのか? いったいどこにいたんだ? 現場にいる刑事がお前と話をしたいと言ってるが──」
阿久野は上司からの通話を勝手に切ると、助手席に置いてあった赤色灯を手に取り、車の屋根に取り付けた。甲高いサイレンがたちまち住宅街に木霊する。当たり前だが、私用での赤色灯の使用は禁止されているが、阿久野にとって今は緊急事態と同じである。
赤色灯のお陰で赤信号はすべて無視して、救急病院を目指した。
「頼む、無事でいてくれよ。頼むから、無事でいてくれよ……」
10分ほどで、阿久野が運転する車は市内の病院に着いた。しかし、妻は救急救命室に運び込まれて手術中で、顔を確認することは出来なかった。
それから数時間──。
阿久野は救急救命室の前で待ち続けた。その間に課長が顔見せたが、何を話したかまったく覚えていない。顔を蒼くした妻の両親も掛け付けてきた。仕事が休みだった阿久野がなぜ身重の妻の傍にいなかったのかと聞いてきたが、答える気力がなく、曖昧に言葉を濁すことしか出来なかった。両親は不審げな目で阿久野の顔を見つめてきたが、あえて気付かない振りをし続けた。
夜中遅くになって、ようやく救急救命室のドアが開いた。数時間振りに見る妻の姿。しかし、妻が阿久野の呼びかけに答えることはなかった。麻酔が効いた状態の妻は深い眠りにあったのだ。妻の体には何本ものチューブが取り付けられており、チューブの先には初めて見るような機械があった。
執刀医が簡単な説明をしてくれた。最悪の事態は免れたが、依然、危険な常態が続いているとのことだった。
阿久野は妻のことはもちろん心配だったが、お腹の赤ちゃんのことも心配だったので、執刀医にそのことについても尋ねた。
幸いにして赤ちゃんも無事ということだったが、このあと母体に異常が起これば、赤ちゃんもどうなるかは分からないということだった。
阿久野は妻が寝かせられたベッドの傍で、そのまま一晩過ごした。
犯人である未成年の少年が逮捕されたと知ったのは翌朝のことだった。
――――――――――――――――
事件後、阿久野の生活は一変した。最初こそ同僚たちは阿久野のことを心配してくれて、気遣わしげに接してくれていたが、事件当日に阿久野がひとりで勝手に容疑者を追っていたと知った途端、阿久野のことを見る目が変わった。
自業自得──言葉には出さなくとも、皆の目がそう言ってきた。
さらに追い討ちをかける事態が起きた。マスコミが被害者が刑事の妻だと嗅ぎ付けたのである。マスコミは執拗に阿久野から詳しい話を聞こうと探りまわってきた。署内で阿久野は完全に浮いた存在になってしまった。次第に仲間たちから疎まれるようになった。その様子を見ていた課長が、阿久野に対して半強制的に長期休暇を命じた。
阿久野は警察から少し距離を置くことになった。
同じ頃、妻を包丁で刺した未成年の少年もまた、世間で大きな話題の的になっていた。まだ中学生の少年が猟奇的な重大事件を引き起こしたことに大人たちは驚いた。しかし、何よりも驚きをもって伝えられたのが、少年の犯行に至る動機の供述内容であった。
少年は阿久野の家に金目当てで入ったわけではなかった。身重の妊婦のお腹から、まだ産まれ出ぬ赤ちゃんを無理やり取り出そうと考えて、犯行に及んだのだった。
衝撃が世間に走った。どうせ誰でもいいから殺したかったとかいう、勝手極まりない犯行だろうと思っていたところに、予想もしない犯行動機が出てきたのである。
少年に対して、様々な議論が生まれた。しかし阿久野にしてみれば、そんなことなどどうでもよかった。未成年の少年が自分の身重の妻を包丁で刺し殺そうとした事実に変わりはなかったからである。問題は少年がきちんと罪を償う気持ちがあるのかどうかだった。それを知りたかった。
医療少年院への送致処分──。
結果として、少年に下された判決がそれだった。少年だから、未成年だから、心がまだ大人でないから、そんな理由で少年は無罪にも等しい判決を受けた。
阿久野は納得がいかなかった。やるせない思いでいっぱいだった。そして、無力感に溢れた。
司法が正しい判断をしないのならば、自らの手で少年に罪を償わせる。
そんな考えが胸に生まれた。
阿久野は長期休暇の時間を利用して、少年に関する情報を集めることにした。だが、ここでもまた法律の壁が立ち塞がった。少年に関する情報は極秘扱いとなっており、刑事である阿久野の情報源をもってしても、少年の居所を探し出すことは出来なかったのである。
そうやって阿久野が少年の情報を探ることに躍起になっている間に、家庭内ではある変化が起きていた。そのことに阿久野は気が付かなかった。いや、それとなく感じてはいたのだが、面と向かって確認するのが怖くて、それには触れずにいたのだ。
その変化とは――いつのまにか阿久野と妻との間に、見えない溝が生まれていたのである。阿久野にしてみれば、妻の仇をと思って行動していたのだが、それが逆に妻に心労を生じさせる要因になっていた。妻は阿久野にそばにいて欲しかったのだ。殺人未遂事件に巻き込まれて精神的に不安定である妻を家に残して、夫は犯人である少年の居所探しに励んでいたのだから、2人の間に不和が生まれたのは当然の帰結ともいえた。
それでも子供さえ産まれれば、また元通りの仲に戻れると阿久野は信じていた。
だが、出産を契機に妻が発した言葉は、離婚の二文字だった。
妻は産まれたばかりの子供を連れて、実家に帰ってしまった。阿久野は何度も妻の実家を訪れたが、その度に門前払いを食った。事件のときに阿久野が家に居さえすれば娘は怪我を負わずに済んだはずだという思いが、妻の両親にはあったのだ。
結局、一度も我が子をその腕で抱くことなく、阿久野は妻と離婚した。
それから阿久野の更なる魂の彷徨が始まる。
――――――――――――――――
離婚した阿久野は仕事に復帰することになった。事件と離婚で落ち込んで家に閉じこもっているよりは、仕事に打ち込んだ方が良いという課長の判断だった。
所属は刑事1課から、刑事2課へと移動になった。もう殺人などの極悪事件を追うことはなくなった。代わりに詐欺事件や薬物事件を扱うことになった。
昇進を捨てた阿久野は日々、漫然と過ごした。必要最低限の職務だけに従事した。どうせ頑張って昇進したところで、喜んでくれる家族はもういないのだ。
そんなある日、薬物事件の捜査の過程で、阿久野は違法薬物を大量に隠しているマンションに単身出向くことになった。単独行動は禁止されているが、その頃阿久野と組んでいた刑事は、阿久野の単独行動を見て見ぬ振りをしていた。それほどまでに阿久野は同僚から嫌われていたのである。
マンションの部屋には、違法滞在しているとおぼしき外国人が数人いた。リビングのテーブルの上には、パケと呼ばれるビニールの小袋が何十個と乱雑に置かれていた。中には真っ白い粉末が入っていた。
しかし、何よりも阿久野の目を奪ったのが、無造作に積まれた札束の山である。ひと束百万として、二千万近くの札束が置かれていた。
もしも、この金を自由に使えたら──。
頭の中で甘い誘惑が生まれた。
正義の味方を目指したところで、
家族の為に昇進を目指したところで、
少年犯罪によってすべてを潰されてしまった。しかも、当の少年は罪の償いすらしていない。
だとしたら、刑事である自分が悪に堕ちたところで、何が悪いというのだろうか?
正義の為ではなく、自分の為に刑事の力を使うことのどこが悪いというのだろうか?
部屋にいた外国人がニヤッと微笑みかけてきた。海外では今だに警察に対してワイロの効果がある国がある。どうやら部屋にいた外国人も、阿久野の顔色を見て、ワイロが使えると踏んだらしい。
「マネー、マネー、プリーズ」
外国人が札束をひとつ持って、阿久野の手に無理やり握らせようとしてきた。
阿久野は札束から視線を外すことが出来なかった。脳裏に、あの事件以降の辛い日々が走馬灯のように蘇っていく。
もうあんな毎日はゴメンだった。周りからの同情交じりの視線なんてクソ喰らえだ。これからはこの金を使って、楽しく生きたっていいはずだ。そもそも自分は事件の被害者なのだ。被害者が苦しむ社会は間違っている。被害者こそ救済されるべきなんだ。社会や司法が被害者を救済しないのであれば、もう自分の手で救済の道を作るしかなかった。
阿久野は黙って外国人に微笑みかけた。外国人も同じような笑みを返してきた。後ろ暗い考えを有する者同士にしか分かりえない、そんな笑みだった。
この日を境に、阿久野は刑事としての矜持を捨て去った。これからは刑事としての立場を利用して、金儲けの為だけに生きようと決めた。
最初は犯罪者の罪を見逃す代わりにワイロを受け取るだけだった。すぐにもっと良い方法を思いついた。オレオレ詐欺をしている暴力団と手を組んで、老人たちから大金を騙し取ることにしたのである。さらには、街角に立つ難病手術の為の募金活動に目を付けると、わざと関係者をそそのかせて、集めた大金をせしめ取った。他にも、一般人と犯罪者集団との示談の仲介役を買って出て、示談金の一部を自分の懐に入れたこともあった。
裏の仕事で得られる金は順調に増えていった。もしかしたら自分は刑事なんかではなく、非合法で金儲けをする方が向いているのではないかとすら思うようになった。
だが、そこに慢心が生まれた。
美人局詐欺師に引っ掛かった地主の老人から大金を奪う仕事に失敗してしまったのである。しかも、こちらの素性を察したらしい女詐欺師に逃走を許してしまった。
阿久野は自分の地位を守る為に、すぐに女詐欺師の行方を追った。裏の仕事がバレてしまう恐れがあったので、警察の力を借りることは出来なかった。自分ひとりで女詐欺師を追うしかなかった。
社会的な立場を危うくしかねない、非常に危機的な状況に陥った阿久野の元に、あの男から電話が掛かってきた。
紫人と名乗る男から――。
――――――――――――――――
そうだ。それで俺はすぐにあの男の話にのることにしたんだ。そのお陰で、あの女詐欺師を遊園地で始末することが出来たんだよな。
混濁していた意識が、徐々にはっきりしてくる。
これで後顧の憂いがきれいさっぱり消え……いや、まだダメだ。あのガキに俺の正体を知られちまったからな!
記憶がさらに蘇ってきた。阿久野は園内で、妹の手術費用を得るために募金活動をしていた高校生と、その募金で集まった大金を盗んだ男の高校生になる小娘に遭遇したのだ。その2人も口封じの為に始末するつもりだった。小娘の方は銃で撃ってやったが、しかしガキには逃げられてしまった。
あのガキを見付け出して、一緒に始末しねえとな。やれやれ、公務員の時間外勤務はまだまだ終わらねえってことか。
そこまで記憶が回復したところで、最後に一番大事な男の顔を思い出した。
阿久野の人生を決定付けた因縁の男――。外見こそ別人のように様変わりしていたが、瞳の色だけは当時のままだった。
あの男の瞳は一度だって忘れたことはない。深い狂気を宿した瞳――。
あの瞳のど真ん中に銃弾を撃ち込んでやりたかった。瞳を潰して、あいつから光を奪ってやりたかった。そして、自分と同じ決して明けることのない絶望的な暗闇に叩き落してやりたかった。心に残る遺恨の傷を癒すには、相手にも同じ傷を付けるしかないのだ。
心を狂い焦がすほどの暗い憎悪の炎が、胸の奥で燃え盛っていく。
神様は自分のことを見捨てなかった。いや、神様ではない。死神様が見捨てずに、こうして最高の好機を与えてくれたのだ。
さあ、休憩はもう終わりだ。あいつの後を追わないとな。いや、あいつだけじゃない。高校生のガキも必ず殺してやる。いや、この園内にいる人間は、全員皆殺しにしてやる! 今夜生き残るのは、俺ひとりで十分だぜ!
櫻子の銃撃を受けて地面の上に倒れていた阿久野は、復讐の炎を力の糧にして、おもむろに立ち上がった。脇腹に鈍い痛みが走る。さきほど銃弾を受けた箇所である。
「クソっ、さっきの着弾の衝撃で、肋骨にヒビが入っちまったかもしれないな」
面倒くさそうにスーツの上着を脱ぐ。ワイシャツの上には、真っ黒いベストを着けていた。ただのベストでははない。金属のプレートが間に挟んである防弾ベストである。
「どうやら皮膚には届いていないみたいだな。万全を期しておいて正解だったぜ」
防弾ベストをめくって、腹部を直接見て調べてみた。出血箇所はどこにもない。つまり、まだまだ十分に戦えるというわけだ。
「さてと、まずは銃の弾を補給しないとならねえな。鬼窪の野郎が持っていた拳銃は、『毒娘』に先を越されて取られちまったからな。いや、待てよ。鬼窪が銃を持っていたということは、予備の弾も必ず持ってきたはずだよな。あいつは昔から用心深いからな。――よし、それを探すのが先だな」
阿久野は行動の順番を決めると、再び園内を歩き出した。その歩みに迷いは一切ない。
残り時間――43分
残りデストラップ――2個
残り生存者――5名
死亡者――11名
重体によるゲーム参加不能者――2名
状態不明者──1名
――――――――――――――――
子供の頃はテレビに出てくるようなヒーローになりたくて、大きくなったら絶対に警察官になろうといつも考えていた。目指したのは『弱きを助け強きを挫く』正義の味方。
だが、どこでどう道を踏み外したのか、行き着いた先はなぜか悪徳刑事という道だった。
どこで自分の道は狂ってしまったのか?
そんなことは自分でも嫌になるくらいはっきりと自覚している。
あの日起こった凶悪な事件──。
それによって、子供の頃から思い描いていた正義の味方の夢は、儚くも砕け散ってしまったのだ。
あの日、もしも身重の妻の傍に自分がいたら、未来は違っていたかもしれない。もしも、あの日に戻れるのならば――いや、いくら望んでも、今さら過去を取り戻すことは絶対に出来ないのだ。それに自分はもう戻れないところまで来てしまっている身である。
だから、俺は泣き言を吐くつもりはない。今はやれることをやるしかないのだ。例え、それが刑事としての道から大きく外れていたとしても──。
混濁する意識の中で、そんなことを考えていた。
すべては一本の電話から始まった。あの電話に出た瞬間、阿久野の未来から一切の希望は消滅し、決して明けることのない絶望的な暗闇だけが広がることとなった。
――――――――――――――――
その日、阿久野はひとりである事件の容疑者のアパート前で張り込みをしていた。簡単な張り込みのはずだった。容疑者が帰ってくるのを待って、その場で逮捕するだけだ。
刑事は本来、二人一組で行動する決まりになっている。しかし、その日の阿久野は単独で行動していた。
それには訳があった。阿久野には身重の妻がいた。妻と産まれてくる子供の為にも、少しでも早く昇進して、多くの給料が欲しかったのだ。だから仕事が休みにも関わらず、手柄欲しさの余り、勝手に単独行動をとっていたのである。
肝心の容疑者が姿を見せる前に、阿久野のスマホに着信が入った。署からの電話だった。てっきり単独行動がバレたことによる、課長からの叱責の電話かと思った。
慌ててすぐに通話に出た。
「はい、阿久野ですが」
「阿久野だな。今から俺の話をよく聞けよ」
予想通り、電話の相手は課長だった。だが、声の調子がいつもと違っていた。
「たった今、派出所勤務の巡査から、緊急事態を知らせる連絡があった」
「派出所勤務の巡査?」
派出所勤務の巡査──俗にお巡りさんと呼ばれる警察官のことである。
「阿久野、お前の自宅の最寄の派出所勤務の巡査だ」
「俺の家って……」
瞬間、体に言い知れぬ震えが走り抜けた。刑事生活を十数年も過ごしていれば、話の先の展開はおのずと読めてくる。
「家には家内がいるんだ! 家内は身重の体なんだ!」
上司に対して敬語を使うことも忘れて怒鳴っていた。
「分かってる。だからお前に真っ先に連絡したんだ」
「──家内に何かあったんですか?」
押し殺した声で静かに尋ねた。刑事としての勘が、何か良くないことが起きたのだと囁いていた。
「詳しい事情はまだ分からんが──」
「そんなことはどうでもいいです! 俺の家内はどうしたんだ! それを早く教えてくれ!」
「──阿久野、冷静に聞くんだ! お前の奥さんは包丁を持った少年に襲われた──」
「お、お、襲われた……」
瞬間、頭が真っ白になった。
「阿久野? 阿久野? おい、俺の話を聞いているのか?」
「──それで、家内の……容態は……?」
ようやくといった感じで声に出して訊いた。
「少年と揉み合いになったみたいで、その際に胸元を深く刺されて──」
みなまで聞く前に、張り込み中の車を急発進させていた。
「家内は今どこにいるんですか?」
ハンドルを強く握り締めながら、スマホに向かって聞き返した。
「緊急車両で救急病院に運ばれた」
「俺もすぐにそこに向かいます」
「阿久野? おい、阿久野? お前は自宅にいなかったのか? いったいどこにいたんだ? 現場にいる刑事がお前と話をしたいと言ってるが──」
阿久野は上司からの通話を勝手に切ると、助手席に置いてあった赤色灯を手に取り、車の屋根に取り付けた。甲高いサイレンがたちまち住宅街に木霊する。当たり前だが、私用での赤色灯の使用は禁止されているが、阿久野にとって今は緊急事態と同じである。
赤色灯のお陰で赤信号はすべて無視して、救急病院を目指した。
「頼む、無事でいてくれよ。頼むから、無事でいてくれよ……」
10分ほどで、阿久野が運転する車は市内の病院に着いた。しかし、妻は救急救命室に運び込まれて手術中で、顔を確認することは出来なかった。
それから数時間──。
阿久野は救急救命室の前で待ち続けた。その間に課長が顔見せたが、何を話したかまったく覚えていない。顔を蒼くした妻の両親も掛け付けてきた。仕事が休みだった阿久野がなぜ身重の妻の傍にいなかったのかと聞いてきたが、答える気力がなく、曖昧に言葉を濁すことしか出来なかった。両親は不審げな目で阿久野の顔を見つめてきたが、あえて気付かない振りをし続けた。
夜中遅くになって、ようやく救急救命室のドアが開いた。数時間振りに見る妻の姿。しかし、妻が阿久野の呼びかけに答えることはなかった。麻酔が効いた状態の妻は深い眠りにあったのだ。妻の体には何本ものチューブが取り付けられており、チューブの先には初めて見るような機械があった。
執刀医が簡単な説明をしてくれた。最悪の事態は免れたが、依然、危険な常態が続いているとのことだった。
阿久野は妻のことはもちろん心配だったが、お腹の赤ちゃんのことも心配だったので、執刀医にそのことについても尋ねた。
幸いにして赤ちゃんも無事ということだったが、このあと母体に異常が起これば、赤ちゃんもどうなるかは分からないということだった。
阿久野は妻が寝かせられたベッドの傍で、そのまま一晩過ごした。
犯人である未成年の少年が逮捕されたと知ったのは翌朝のことだった。
――――――――――――――――
事件後、阿久野の生活は一変した。最初こそ同僚たちは阿久野のことを心配してくれて、気遣わしげに接してくれていたが、事件当日に阿久野がひとりで勝手に容疑者を追っていたと知った途端、阿久野のことを見る目が変わった。
自業自得──言葉には出さなくとも、皆の目がそう言ってきた。
さらに追い討ちをかける事態が起きた。マスコミが被害者が刑事の妻だと嗅ぎ付けたのである。マスコミは執拗に阿久野から詳しい話を聞こうと探りまわってきた。署内で阿久野は完全に浮いた存在になってしまった。次第に仲間たちから疎まれるようになった。その様子を見ていた課長が、阿久野に対して半強制的に長期休暇を命じた。
阿久野は警察から少し距離を置くことになった。
同じ頃、妻を包丁で刺した未成年の少年もまた、世間で大きな話題の的になっていた。まだ中学生の少年が猟奇的な重大事件を引き起こしたことに大人たちは驚いた。しかし、何よりも驚きをもって伝えられたのが、少年の犯行に至る動機の供述内容であった。
少年は阿久野の家に金目当てで入ったわけではなかった。身重の妊婦のお腹から、まだ産まれ出ぬ赤ちゃんを無理やり取り出そうと考えて、犯行に及んだのだった。
衝撃が世間に走った。どうせ誰でもいいから殺したかったとかいう、勝手極まりない犯行だろうと思っていたところに、予想もしない犯行動機が出てきたのである。
少年に対して、様々な議論が生まれた。しかし阿久野にしてみれば、そんなことなどどうでもよかった。未成年の少年が自分の身重の妻を包丁で刺し殺そうとした事実に変わりはなかったからである。問題は少年がきちんと罪を償う気持ちがあるのかどうかだった。それを知りたかった。
医療少年院への送致処分──。
結果として、少年に下された判決がそれだった。少年だから、未成年だから、心がまだ大人でないから、そんな理由で少年は無罪にも等しい判決を受けた。
阿久野は納得がいかなかった。やるせない思いでいっぱいだった。そして、無力感に溢れた。
司法が正しい判断をしないのならば、自らの手で少年に罪を償わせる。
そんな考えが胸に生まれた。
阿久野は長期休暇の時間を利用して、少年に関する情報を集めることにした。だが、ここでもまた法律の壁が立ち塞がった。少年に関する情報は極秘扱いとなっており、刑事である阿久野の情報源をもってしても、少年の居所を探し出すことは出来なかったのである。
そうやって阿久野が少年の情報を探ることに躍起になっている間に、家庭内ではある変化が起きていた。そのことに阿久野は気が付かなかった。いや、それとなく感じてはいたのだが、面と向かって確認するのが怖くて、それには触れずにいたのだ。
その変化とは――いつのまにか阿久野と妻との間に、見えない溝が生まれていたのである。阿久野にしてみれば、妻の仇をと思って行動していたのだが、それが逆に妻に心労を生じさせる要因になっていた。妻は阿久野にそばにいて欲しかったのだ。殺人未遂事件に巻き込まれて精神的に不安定である妻を家に残して、夫は犯人である少年の居所探しに励んでいたのだから、2人の間に不和が生まれたのは当然の帰結ともいえた。
それでも子供さえ産まれれば、また元通りの仲に戻れると阿久野は信じていた。
だが、出産を契機に妻が発した言葉は、離婚の二文字だった。
妻は産まれたばかりの子供を連れて、実家に帰ってしまった。阿久野は何度も妻の実家を訪れたが、その度に門前払いを食った。事件のときに阿久野が家に居さえすれば娘は怪我を負わずに済んだはずだという思いが、妻の両親にはあったのだ。
結局、一度も我が子をその腕で抱くことなく、阿久野は妻と離婚した。
それから阿久野の更なる魂の彷徨が始まる。
――――――――――――――――
離婚した阿久野は仕事に復帰することになった。事件と離婚で落ち込んで家に閉じこもっているよりは、仕事に打ち込んだ方が良いという課長の判断だった。
所属は刑事1課から、刑事2課へと移動になった。もう殺人などの極悪事件を追うことはなくなった。代わりに詐欺事件や薬物事件を扱うことになった。
昇進を捨てた阿久野は日々、漫然と過ごした。必要最低限の職務だけに従事した。どうせ頑張って昇進したところで、喜んでくれる家族はもういないのだ。
そんなある日、薬物事件の捜査の過程で、阿久野は違法薬物を大量に隠しているマンションに単身出向くことになった。単独行動は禁止されているが、その頃阿久野と組んでいた刑事は、阿久野の単独行動を見て見ぬ振りをしていた。それほどまでに阿久野は同僚から嫌われていたのである。
マンションの部屋には、違法滞在しているとおぼしき外国人が数人いた。リビングのテーブルの上には、パケと呼ばれるビニールの小袋が何十個と乱雑に置かれていた。中には真っ白い粉末が入っていた。
しかし、何よりも阿久野の目を奪ったのが、無造作に積まれた札束の山である。ひと束百万として、二千万近くの札束が置かれていた。
もしも、この金を自由に使えたら──。
頭の中で甘い誘惑が生まれた。
正義の味方を目指したところで、
家族の為に昇進を目指したところで、
少年犯罪によってすべてを潰されてしまった。しかも、当の少年は罪の償いすらしていない。
だとしたら、刑事である自分が悪に堕ちたところで、何が悪いというのだろうか?
正義の為ではなく、自分の為に刑事の力を使うことのどこが悪いというのだろうか?
部屋にいた外国人がニヤッと微笑みかけてきた。海外では今だに警察に対してワイロの効果がある国がある。どうやら部屋にいた外国人も、阿久野の顔色を見て、ワイロが使えると踏んだらしい。
「マネー、マネー、プリーズ」
外国人が札束をひとつ持って、阿久野の手に無理やり握らせようとしてきた。
阿久野は札束から視線を外すことが出来なかった。脳裏に、あの事件以降の辛い日々が走馬灯のように蘇っていく。
もうあんな毎日はゴメンだった。周りからの同情交じりの視線なんてクソ喰らえだ。これからはこの金を使って、楽しく生きたっていいはずだ。そもそも自分は事件の被害者なのだ。被害者が苦しむ社会は間違っている。被害者こそ救済されるべきなんだ。社会や司法が被害者を救済しないのであれば、もう自分の手で救済の道を作るしかなかった。
阿久野は黙って外国人に微笑みかけた。外国人も同じような笑みを返してきた。後ろ暗い考えを有する者同士にしか分かりえない、そんな笑みだった。
この日を境に、阿久野は刑事としての矜持を捨て去った。これからは刑事としての立場を利用して、金儲けの為だけに生きようと決めた。
最初は犯罪者の罪を見逃す代わりにワイロを受け取るだけだった。すぐにもっと良い方法を思いついた。オレオレ詐欺をしている暴力団と手を組んで、老人たちから大金を騙し取ることにしたのである。さらには、街角に立つ難病手術の為の募金活動に目を付けると、わざと関係者をそそのかせて、集めた大金をせしめ取った。他にも、一般人と犯罪者集団との示談の仲介役を買って出て、示談金の一部を自分の懐に入れたこともあった。
裏の仕事で得られる金は順調に増えていった。もしかしたら自分は刑事なんかではなく、非合法で金儲けをする方が向いているのではないかとすら思うようになった。
だが、そこに慢心が生まれた。
美人局詐欺師に引っ掛かった地主の老人から大金を奪う仕事に失敗してしまったのである。しかも、こちらの素性を察したらしい女詐欺師に逃走を許してしまった。
阿久野は自分の地位を守る為に、すぐに女詐欺師の行方を追った。裏の仕事がバレてしまう恐れがあったので、警察の力を借りることは出来なかった。自分ひとりで女詐欺師を追うしかなかった。
社会的な立場を危うくしかねない、非常に危機的な状況に陥った阿久野の元に、あの男から電話が掛かってきた。
紫人と名乗る男から――。
――――――――――――――――
そうだ。それで俺はすぐにあの男の話にのることにしたんだ。そのお陰で、あの女詐欺師を遊園地で始末することが出来たんだよな。
混濁していた意識が、徐々にはっきりしてくる。
これで後顧の憂いがきれいさっぱり消え……いや、まだダメだ。あのガキに俺の正体を知られちまったからな!
記憶がさらに蘇ってきた。阿久野は園内で、妹の手術費用を得るために募金活動をしていた高校生と、その募金で集まった大金を盗んだ男の高校生になる小娘に遭遇したのだ。その2人も口封じの為に始末するつもりだった。小娘の方は銃で撃ってやったが、しかしガキには逃げられてしまった。
あのガキを見付け出して、一緒に始末しねえとな。やれやれ、公務員の時間外勤務はまだまだ終わらねえってことか。
そこまで記憶が回復したところで、最後に一番大事な男の顔を思い出した。
阿久野の人生を決定付けた因縁の男――。外見こそ別人のように様変わりしていたが、瞳の色だけは当時のままだった。
あの男の瞳は一度だって忘れたことはない。深い狂気を宿した瞳――。
あの瞳のど真ん中に銃弾を撃ち込んでやりたかった。瞳を潰して、あいつから光を奪ってやりたかった。そして、自分と同じ決して明けることのない絶望的な暗闇に叩き落してやりたかった。心に残る遺恨の傷を癒すには、相手にも同じ傷を付けるしかないのだ。
心を狂い焦がすほどの暗い憎悪の炎が、胸の奥で燃え盛っていく。
神様は自分のことを見捨てなかった。いや、神様ではない。死神様が見捨てずに、こうして最高の好機を与えてくれたのだ。
さあ、休憩はもう終わりだ。あいつの後を追わないとな。いや、あいつだけじゃない。高校生のガキも必ず殺してやる。いや、この園内にいる人間は、全員皆殺しにしてやる! 今夜生き残るのは、俺ひとりで十分だぜ!
櫻子の銃撃を受けて地面の上に倒れていた阿久野は、復讐の炎を力の糧にして、おもむろに立ち上がった。脇腹に鈍い痛みが走る。さきほど銃弾を受けた箇所である。
「クソっ、さっきの着弾の衝撃で、肋骨にヒビが入っちまったかもしれないな」
面倒くさそうにスーツの上着を脱ぐ。ワイシャツの上には、真っ黒いベストを着けていた。ただのベストでははない。金属のプレートが間に挟んである防弾ベストである。
「どうやら皮膚には届いていないみたいだな。万全を期しておいて正解だったぜ」
防弾ベストをめくって、腹部を直接見て調べてみた。出血箇所はどこにもない。つまり、まだまだ十分に戦えるというわけだ。
「さてと、まずは銃の弾を補給しないとならねえな。鬼窪の野郎が持っていた拳銃は、『毒娘』に先を越されて取られちまったからな。いや、待てよ。鬼窪が銃を持っていたということは、予備の弾も必ず持ってきたはずだよな。あいつは昔から用心深いからな。――よし、それを探すのが先だな」
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