24 / 48
第四章
新しい案件と彼の家族①
パリから帰国して、初めての出勤日。
この一週間の間に、東京はすっかり季節が代わったらしい。
街中には約一か月後のクリスマスを待ちわびるように、どこかしこに緑と赤を基調としたモチーフが飾られているし、テレビをつけると情報番組では今年はどこのイルミネーションが綺麗だの初開催だの、そんな話題で持ちきりだ。
もちろん、寒さも増しているのだとは思うが、パリの方が寒かったからあまりそれは実感がない。
そして我が社も例外なく、クリスマス色に染めあがっていた。
エントランスのロビーには、大きなクリスマスツリーが飾られていたのだ。これは、毎年この時期になると飾られる。
「もうそんな季節なんだな」
今日も今日とて一緒に出勤した三条さんがそう言う。
私たちの手には、たくさんの紙袋が握られていた。パリの、職場へのお土産だ。
私たちはなんだかちょっとだけ季節に置いてけぼりをくらったような気持ちで、メディア局のフロアへと向かった。
メディア局へ着くと、すぐに冨永局長に局長室へと呼ばれた。
私たちは鞄とコートを置くと、すぐに局長室へ向かう。
入室すると、そこにはメディア局の私の後輩、ディレクターの雨宮さんがいた。
彼女は小柄でショートヘア。
新卒二年目ながら快活でガッツもあり、向上心もあるからメディア局の若手の中でも、特に注目されている我が社の期待の星である。
私たちが入室した瞬間、彼女は分かりやすくぎょっとしたが、すぐにはっと姿勢を整え私たちに「よろしくお願いします」と頭を下げてきた。
「揃ったね」
雨宮さんが私たちに下げていた頭を上げたとき、局長机にいた冨永局長が口を開いた。
「次の仕事なんだけれど、TMCの広告コンペに出そうと話が出ていてね。君たちに企画立案、制作を任せたいと思っているんだ」
局長の言葉に、私は目を見開いた。
TMCとは、東京都内でも利用客の特に多い大手鉄道会社だ。
そこのコンペを勝ち取れば、もちろん大きな収入になる。
「リーダーは三条くん。制作統括は早苗さんに、動画制作の立案等を雨宮さんにお願いしたいんだけれど、どうだろう」
「もちろんです! やらせてください」
雨宮さんは我先にとそう言うと、ペコリと頭を下げる。
負けていられないな。
そう思い、私も頭を下げた。
「精一杯、務めさせていただきます」
制作統括なんて初めてだ。不安が過るけれど、三条さんが一緒ならうまくいくような気がした。
すると冨永局長はクスリと笑って、三条さんを見た。
「三条くんは他の案件の統括も抱えてるから、全体を見て後方支援な感じになると思う。頼めるよね」
「はい」
三条さんはキリッとしたいつもの顔で卒なくそう言う。
以前と変わらぬその顔が、今日はいつにも増して頼もしく見えた。
その後、TMCコンペチームが立ち上がる。
さっそくミーティングのために会議室に集められ、顔合わせをおこなった。
メンバーは私たち三人のほかに、マーケターと営業が一人ずつ配置された。
マーケターは凄腕で子煩悩だと噂の山田さん。営業は都路くんが担当だった。
抜擢されたメンバーの凄さに、私は尻込みしてしまいそうになる。
私はこのチームの、制作統括を任されたのだ。
「このような大きなコンペに参加するのは初めてなので、何卒皆様のお力添えをよろしくお願い致します」
自己紹介の順番が回ってきて、緊張しながら口を開く。
全員のあいさつの後に、さっそくマーケティング局から共有があり、予算、テーマなどを話し合った。
約一ヶ月後のコンペに向けて、一丸となって頑張ろうと気合を入れ、ミーティングは終わった。
スピード感のあるミーティングだった。
明らかに今までは違う空気感のそれを終えると、私は必死にアイディアをひねり出しながら会議室を出る。
すると、さっそく雨宮さんが私の元へやって来た。
「午前中にアイディア出すんで、午後一で打ち合わせしてもらってもいいですか?」
「もちろんだよ、よろしくね」
さすが、若手のホープだ。雨宮さんのガッツを、私も見習わなくては。
私も改めて気合を入れ直し、午前中の業務に励んだ。
***
午前の業務を終えると、私は紙袋を持ってランチルームへ向かった。
これは、南江と都路くんへのお土産だ。二人に渡したいと連絡すると、ランチルームでといわれたのだ。
ランチルームへ着くと、注文したランチのトレーを手に、さっそく二人を探した。
四人がけの席に並んで座っていた二人を見つけ、ランチをテーブルに置くと、私は紙袋を手渡した。
「はい、南江にはパリジャン・マカロンだよ。都路くんには、今年のボジョレー。ちょうど、解禁日だったから」
「ありがとー!」
甘いものが好きな彼女は、嬉しそうに受け取ってくれた。
都路くんも紙袋の中の瓶を見て目を輝かせている。
といっても、お土産を吟味してくれたのは三条さんだ。
シャルル・ド・ゴール空港を経つ便は昼過ぎだったから、空港でのお土産選びには十分に時間をかけることができた。
旅行中は、三条さんにおんぶに抱っこだった。
ここから先は一緒にコンペに挑むんだし、三条さんは他の案件も抱えているのだから、私がしっかりしよう。
パリのこと、そしてこれからのことを考えていると、不意に南江が口を開いた。
「で、フランス、どうだったの?」
「楽しかったよ。さすが、花の都って呼ばれるだけあるよね。パリだけで、もっと何日もいられたと思う。特にルーブル美術館は――」
「ちょ、待った!」
南江は急に手をパーにして私の前に突き出した。
「そうじゃないのよ。私たちが聞きたいのは」
南江が手を下ろすと、彼女はニヤニヤしながら私の左手を指さした。
三条さんにもらった、あの指輪が煌めいている。
「ああ……」
彼女が聞きたいのは、三条さんとのことだ。しかも、恋愛的な意味での。
私はあの夜を思い出してしまい、頬が熱くなってゆくのを感じた。
「えっと……『ラブ』、でした」
いつだったか彼女に口パクで言われたことを、ボソッとつぶやく。
それだけで羞恥に襲われるが、同時にそう言えることが嬉しくもあった。
すると、都路くんが急に噎せだす。
「ちょっと、何やってんのよ」
南江がため息をこぼしながら、都路くんに水を差し出した。
「いや、三条さんは仕事ん時はあんなにしっかりしてるから、意外だっただけだ」
「ちょっとヤダ、なに想像してるのよ」
都路くんと南江の掛け合いに、私の顔はどんどん熱くなる。
彼らの会話を聞きながら、帰国してからの私生活を思い出していたからだ。
フランスから帰ってきてから、一緒にいるだけで三条さんに見惚れてしまう。
わけもなく一緒に過ごす時間が増えたし、夜は離れ離れになるのが変な感じがして、三条さんのベッドで一緒に寝ている。
気持ちを切り替えて出勤したつもりだったけれど、こういう話を振られるとつい気が緩み、勝手に頬が動く。
「やっぱり『ラブ』だったか」
南江がそうこぼし、私の顔を覗いてきた。
「コンペには気合入れろよ、緩んでんじゃねーぞ」
都路くんはそう言って、盛大なため息をこぼしながらランチを口に運んでいた。
この一週間の間に、東京はすっかり季節が代わったらしい。
街中には約一か月後のクリスマスを待ちわびるように、どこかしこに緑と赤を基調としたモチーフが飾られているし、テレビをつけると情報番組では今年はどこのイルミネーションが綺麗だの初開催だの、そんな話題で持ちきりだ。
もちろん、寒さも増しているのだとは思うが、パリの方が寒かったからあまりそれは実感がない。
そして我が社も例外なく、クリスマス色に染めあがっていた。
エントランスのロビーには、大きなクリスマスツリーが飾られていたのだ。これは、毎年この時期になると飾られる。
「もうそんな季節なんだな」
今日も今日とて一緒に出勤した三条さんがそう言う。
私たちの手には、たくさんの紙袋が握られていた。パリの、職場へのお土産だ。
私たちはなんだかちょっとだけ季節に置いてけぼりをくらったような気持ちで、メディア局のフロアへと向かった。
メディア局へ着くと、すぐに冨永局長に局長室へと呼ばれた。
私たちは鞄とコートを置くと、すぐに局長室へ向かう。
入室すると、そこにはメディア局の私の後輩、ディレクターの雨宮さんがいた。
彼女は小柄でショートヘア。
新卒二年目ながら快活でガッツもあり、向上心もあるからメディア局の若手の中でも、特に注目されている我が社の期待の星である。
私たちが入室した瞬間、彼女は分かりやすくぎょっとしたが、すぐにはっと姿勢を整え私たちに「よろしくお願いします」と頭を下げてきた。
「揃ったね」
雨宮さんが私たちに下げていた頭を上げたとき、局長机にいた冨永局長が口を開いた。
「次の仕事なんだけれど、TMCの広告コンペに出そうと話が出ていてね。君たちに企画立案、制作を任せたいと思っているんだ」
局長の言葉に、私は目を見開いた。
TMCとは、東京都内でも利用客の特に多い大手鉄道会社だ。
そこのコンペを勝ち取れば、もちろん大きな収入になる。
「リーダーは三条くん。制作統括は早苗さんに、動画制作の立案等を雨宮さんにお願いしたいんだけれど、どうだろう」
「もちろんです! やらせてください」
雨宮さんは我先にとそう言うと、ペコリと頭を下げる。
負けていられないな。
そう思い、私も頭を下げた。
「精一杯、務めさせていただきます」
制作統括なんて初めてだ。不安が過るけれど、三条さんが一緒ならうまくいくような気がした。
すると冨永局長はクスリと笑って、三条さんを見た。
「三条くんは他の案件の統括も抱えてるから、全体を見て後方支援な感じになると思う。頼めるよね」
「はい」
三条さんはキリッとしたいつもの顔で卒なくそう言う。
以前と変わらぬその顔が、今日はいつにも増して頼もしく見えた。
その後、TMCコンペチームが立ち上がる。
さっそくミーティングのために会議室に集められ、顔合わせをおこなった。
メンバーは私たち三人のほかに、マーケターと営業が一人ずつ配置された。
マーケターは凄腕で子煩悩だと噂の山田さん。営業は都路くんが担当だった。
抜擢されたメンバーの凄さに、私は尻込みしてしまいそうになる。
私はこのチームの、制作統括を任されたのだ。
「このような大きなコンペに参加するのは初めてなので、何卒皆様のお力添えをよろしくお願い致します」
自己紹介の順番が回ってきて、緊張しながら口を開く。
全員のあいさつの後に、さっそくマーケティング局から共有があり、予算、テーマなどを話し合った。
約一ヶ月後のコンペに向けて、一丸となって頑張ろうと気合を入れ、ミーティングは終わった。
スピード感のあるミーティングだった。
明らかに今までは違う空気感のそれを終えると、私は必死にアイディアをひねり出しながら会議室を出る。
すると、さっそく雨宮さんが私の元へやって来た。
「午前中にアイディア出すんで、午後一で打ち合わせしてもらってもいいですか?」
「もちろんだよ、よろしくね」
さすが、若手のホープだ。雨宮さんのガッツを、私も見習わなくては。
私も改めて気合を入れ直し、午前中の業務に励んだ。
***
午前の業務を終えると、私は紙袋を持ってランチルームへ向かった。
これは、南江と都路くんへのお土産だ。二人に渡したいと連絡すると、ランチルームでといわれたのだ。
ランチルームへ着くと、注文したランチのトレーを手に、さっそく二人を探した。
四人がけの席に並んで座っていた二人を見つけ、ランチをテーブルに置くと、私は紙袋を手渡した。
「はい、南江にはパリジャン・マカロンだよ。都路くんには、今年のボジョレー。ちょうど、解禁日だったから」
「ありがとー!」
甘いものが好きな彼女は、嬉しそうに受け取ってくれた。
都路くんも紙袋の中の瓶を見て目を輝かせている。
といっても、お土産を吟味してくれたのは三条さんだ。
シャルル・ド・ゴール空港を経つ便は昼過ぎだったから、空港でのお土産選びには十分に時間をかけることができた。
旅行中は、三条さんにおんぶに抱っこだった。
ここから先は一緒にコンペに挑むんだし、三条さんは他の案件も抱えているのだから、私がしっかりしよう。
パリのこと、そしてこれからのことを考えていると、不意に南江が口を開いた。
「で、フランス、どうだったの?」
「楽しかったよ。さすが、花の都って呼ばれるだけあるよね。パリだけで、もっと何日もいられたと思う。特にルーブル美術館は――」
「ちょ、待った!」
南江は急に手をパーにして私の前に突き出した。
「そうじゃないのよ。私たちが聞きたいのは」
南江が手を下ろすと、彼女はニヤニヤしながら私の左手を指さした。
三条さんにもらった、あの指輪が煌めいている。
「ああ……」
彼女が聞きたいのは、三条さんとのことだ。しかも、恋愛的な意味での。
私はあの夜を思い出してしまい、頬が熱くなってゆくのを感じた。
「えっと……『ラブ』、でした」
いつだったか彼女に口パクで言われたことを、ボソッとつぶやく。
それだけで羞恥に襲われるが、同時にそう言えることが嬉しくもあった。
すると、都路くんが急に噎せだす。
「ちょっと、何やってんのよ」
南江がため息をこぼしながら、都路くんに水を差し出した。
「いや、三条さんは仕事ん時はあんなにしっかりしてるから、意外だっただけだ」
「ちょっとヤダ、なに想像してるのよ」
都路くんと南江の掛け合いに、私の顔はどんどん熱くなる。
彼らの会話を聞きながら、帰国してからの私生活を思い出していたからだ。
フランスから帰ってきてから、一緒にいるだけで三条さんに見惚れてしまう。
わけもなく一緒に過ごす時間が増えたし、夜は離れ離れになるのが変な感じがして、三条さんのベッドで一緒に寝ている。
気持ちを切り替えて出勤したつもりだったけれど、こういう話を振られるとつい気が緩み、勝手に頬が動く。
「やっぱり『ラブ』だったか」
南江がそうこぼし、私の顔を覗いてきた。
「コンペには気合入れろよ、緩んでんじゃねーぞ」
都路くんはそう言って、盛大なため息をこぼしながらランチを口に運んでいた。
あなたにおすすめの小説
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
各務課長が「君の時間を十分ください」と言った結果
汐埼ゆたか
恋愛
実花子はカフェで恋人と待ち合わせしているが、彼はなかなか来ない。
あと十分でカフェを出ようとしたところで偶然上司の各務と会う。
各務から出し抜けに「君の時間を十分ください」と言われ、反射的に「はい」と返事をしたら、なぜか恋人役をすることになり――。
*☼*――――――――――*☼*
佐伯 実花子(さえき みかこ) 27歳
文具メーカー『株式会社MAO』企画部勤務
仕事人間で料理は苦手
×
各務 尊(かがみ たける) 30歳
実花子の上司で新人研修時代の指導担当
海外勤務から本社の最年少課長になったエリート
*☼*――――――――――*☼*
『十分』が実花子の運命を思わぬ方向へ変えていく。
――――――――――
※他サイトからの転載
※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
※無断転載禁止。
拾ってないのに、最上位が毎日“帰る”んですがーー飼い主じゃありません!ただの受付係です!
星乃和花
恋愛
王都ギルド受付係リナは、今日も平和に働く予定だった。
……のに。
「お腹すいた」
そう言って現れたのは、最上位の英雄レオン。
強いのに生活力ゼロ、距離感ゼロ、甘え方だけは一流。
手当てすれば「危ない」と囲い込み、
看病すれば抱きしめて離さず、
ついには――
「君が、俺の帰る場所」
拾ってない。飼ってない。
ただ世話を焼いただけなのに、英雄が毎日“帰ってくる”ようになりました。
無自覚世話焼き受付嬢 × 甘えた天然英雄の
距離感バグ甘々ラブコメ、開幕!
⭐︎火木土21:20更新ー本編8話+後日談9話⭐︎
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101