【改訂版】異世界転移で宇宙戦争~僕の専用艦は艦隊旗艦とは名ばかりの単艦行動(ぼっち)だった~

北京犬(英)

文字の大きさ
37 / 199
アイドル編

035 アイドル編12 防衛戦

しおりを挟む
 専用艦CIC内のコクピットで仮想スクリーンを開き、外部映像を表示する。
視点はステーションの管制塔から前方の次元跳躍門ゲート方向を見るカメラだ。
最前線担当の艦艇が吐く後方噴射の光が流星雨のように次元跳躍門ゲート手前の宙域へと向かっていく。
僕はその数の多さに驚愕した。全力出撃なのだろうか?

 次元跳躍門ゲートとステーションの間にはアステロイドベルトがある。
もし敵が次元跳躍門ゲートを超高速で抜けてきた場合に盾とする目的だ。
次元跳躍門ゲートから出た途端に目の前に岩塊が迫って来たら、たまったもんじゃないだろう。
だから次元跳躍門ゲートから出てくる艦艇は次元跳躍門ゲート出口手前の亜空間に一旦停止し、低速で抜けるのが常識となっている。
なので最前線の前衛艦隊は次元跳躍門ゲートの手前で待ち伏せ攻撃をする。
そこを突破して来た敵艦を中衛艦隊がアステロイドベルト内で迎撃戦を行う。
そしてアステロイドベルトを突破して来た艦を我々後衛組とステーションの要塞砲で撃滅する。
最終防衛ラインだ。


 僕達後衛艦隊に出撃準備が発令された。
あの数の艦隊でも対処出来ない敵艦が突入してくるという予測なのだろう。
僕は専用艦格納庫の格納扉を開放し出撃に備えた。

「ここからじゃ、作戦状況は把握出来ないな。何か戦場全体を見る手段は無いものか……」

 その僕の意識に艦載AIが反応し戦術兵器統合制御システムが起動する。
ステーションの戦術電脳に接続、作戦状況を覗き見しまった。
現在、次元跳躍門ゲートから侵入して来た敵艦隊と前衛艦隊が交戦中。
外部映像を見ると遥か彼方で爆発の花が無数に咲いていた。
敵艦が沈む光なのか、それとも味方艦の沈む光なのか。
僕は身近な所に忍び寄ってきた死に恐怖した。

「そうか、あそこに居たら死ぬ可能性があったんだな。後方で喜べというのは本当だったんだ」

 僕は先のタカヲ氏の言葉を思い出していた。
中衛艦隊に戦闘準備が発令された。
時同じくして僕達後衛艦隊に発進命令が出る。
敵味方識別信号確認。識別アイコンが青になっていることを確認する。
僕は専用艦を格納庫から発進させる。緊急発進なので真っぐ発進する。
格納庫の出口がステーション外縁から外側に向かって開いているので、真っ直ぐ進めば僚艦との衝突の危険は無い。
そのまま管制塔の誘導で担当宙域に進出し待機する。


 前衛艦隊を突破してきた敵艦を中衛艦隊が葬っていく。
僕らの任務は中衛艦隊の取りこぼしの撃破になる。
どこから来るかわからない敵艦を僕らは適当に漂って待っている。
手持ち無沙汰で待つよりも、中衛艦隊のどこが手薄なのかを予測した方がいいんじゃないだろうか?
中衛艦隊の分布と索敵情報を担当宙域前方限定で収集してみる。
対艦レーダーと戦術兵器統合制御システムが連動し精密な状況図が作られる。
味方艦とリンクすることで岩塊の裏も含む多角情報が積み重なっていく。

 そこには穴があった。
僕は専用艦をその穴の正面に移動させる。
まさかとは思うけど、射撃補助装置を起動、遮蔽フィールドにも備える。
ブラスターを発射手前の状態まで温める。
Gバレットは命にかかわる場合のみの最後の手段にする。
だが、Gバレットは仮想空間とは違ってチャージ不足で発射不能になっている。
Gバレットは発生させた重力が着弾のエネルギーに変わる。
その重力を発生させるためには発生するエネルギーと同等のエネルギーを弾体にチャージする必要があった。
実戦で使うのは初めて。まだ1発分もエネルギーがチャージ出来ていなかった。
となると撃てるのはブラスターとミサイル2発と特殊弾の侵食弾だ。
大口径副砲が欲しいな。


 中衛艦隊の迎撃戦がほぼ終結し、作戦終了の合図を待つだけの状況となった。
敵艦は迎撃されたか撤退したかでレーダー上から消えていた。
後は遮蔽フィールドで隠れている艦が居ないかを細々と探す残敵掃討に移行する。
僕達後衛艦隊は出番もなく引き上げを待っていた。

 作戦終了が宣言される。
僕達傭兵隊は三々五々と引き上げを始めた。
その時、僕の専用艦が重力異常を感知した。
あの迎撃の穴と推定した場所だ。
僕はブラスターとともにレールガンで侵食弾を撃ち込んだ。

 敵艦の遮蔽フィードがブラスターで焼かれて剥がれる。
続けてレールガンで加速された浸食弾が敵艦の停滞フィールドを抜き艦体に命中する。
何も起きない。大きな爆発とか侵食フィールドが発生して装甲を抉るとか、目に見える効果が何もない。
このままじゃこっちが良い的だ。僕は慌てて専用艦に回避運動をさせる。
識別信号赤。敵艦に間違いない。だが敵艦が動かない。

「なんだ? 何が起きてる?」

 目の前の仮想スクリーンにARメッセージが出る。

『侵食完了。データリンク開始。乗っ取りますか?』

 僕はYESアイコンを掴んだ。

『ナーブクラック開始。5・4・3・2・1終了しました。敵艦を拿捕しました』

 敵艦の識別信号が緑に変わる。僕は慌てて通信を送る。

「そこの敵艦は僕が鹵獲しました。撃たないでください!」

 僚艦の傭兵たちが目の前に現れた獲物を狩ろうと群がってきていた。
折角無傷で拿捕した敵艦を傷付けられたらたまらない。
しかし、通告前に放たれた数発のレールガンとビームが当たってしまった。
無傷だった敵艦が僕の目の前で破壊されていく。
これって弁償してもらえるんだろうか?
いや通告前、さらに敵味方識別信号が赤の状態で撃ったならお咎めなしなんだろうな。
ああ、借金完済のチャンスが目の前で消えていく……。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

現代ダンジョンの苦情係 〜元クレーム処理担当の俺、魔物の言葉がわかるので菓子折り一つで世界を救う〜

ぱすた屋さん
ファンタジー
「その咆哮は、騒音公害に当たります」 現代日本に出現した『ダンジョン』と、そこから溢れ出す魔物たち。 人々が英雄(Sランク探索者)の活躍に熱狂する一方で、組織の闇に葬られた部署があった。 ――ダンジョン管理ギルド・苦情係。 そこへ左遷されてきたのは、前職で数万件のクレームを捌き倒した伝説のカスタマーセンター職員・久我良平(くが りょうへい)。 彼にとって、新宿に降臨した災害級ドラゴンは「騒音を撒き散らす困ったお客様」であり、聖女の奇跡は「同意なきサービスの押し付け(強売)」に過ぎない。 「力」でねじ伏せる英雄たちが敗北する中、久我は「正論」と「どら焼き」と「完璧な事務手続き」を武器に、魔物たちの切実な悲鳴(クレーム)をハックしていく。 一癖も二癖もある仲間と共に、久我はギルド上層部の腐敗や外資系企業の傲慢な介入を次々と「不備」として処理していく。 これは、組織の鎖を断ち切った一人の事務屋が、人間と魔物の間に「新しい契約」を紡ぎ、世界を再起動させるまでの物語。 「――さて。予約外の終焉(ラグナロク)ですか? 承知しました。まずは、スケジュールの調整から始めましょう」

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

処理中です...