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アイドル編
060 アイドル編36 エキシビション1
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エキシビションの模擬戦空間は小惑星帯だった。勝利条件は敵の殲滅、或は行動不能か降参だ。
タイムアップで戦闘中止。その時は損害評価により勝敗を決める。
小惑星に隠れてタイムアップを狙えば、SFOランカーの艦を破壊出来なくても勝てる可能性がある。
その代わり、シューティングドリームの他メンバーは全員撃沈する必要がある。
それぐらいしないと、勝ったと胸を張ることが出来ないからね。
こちらの艦隊は全5艦で、シューティングドリームは全6艦だ。
こちらには数合わせの艦を1艦、艦数補充として増やす権利があった。
それでも戦力的には巡洋戦艦を擁するシューティングドリームが圧倒的に有利なのだが……。
だが、そこはエキシビション。そこまで厳密に戦力を均等化しなくてもという空気があった。
まあ、どうせ向こうが有利なんだし、そりゃシューティングドリーム側は気にしないわ。
そこは主催者権限で押し通されて何も言うことが出来なかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
全員が配置に付き、いよいよエキシビション開始の時刻が迫った。
艦の配置に時間をかけたことで、僕は小惑星の全配置を対艦レーダーS型の機能に含まれる観測装置で掌握した。
これはレーダーの電波を出さずに光学観測や重力センサー等により小惑星を把握するというS型のみの高度機能を使用している。
なので、試合前から敵をレーダーで捉えるというズルをしているわけではない。
この情報をブラッシュリップス艦隊全員で共有し、後の作戦につなげる。
いよいよ試合開始時刻になり試合開始が告げられた。
僕らは作戦に則って配置に付く。
シューティングドリーム艦隊はレーダーを起動、僕らの艦を探し始めた。
僕はそのレーダー波を逆探知してシューティングドリーム艦隊の配置を探る。
「艦数6を確認した。大型の艦が後方待機して、5艦が捜索行動に入った」
僕は艦隊内通信で皆に敵艦隊の情報を伝える。
これもまた電波を発していない。
緻密な作戦指示により各艦の未来位置に対してレーザー通信をピンポイントで送っているのだ。
あくまでもこちらは隠密行動だ。
「おそらくSFOランカーの巡洋戦艦が後方に待機し、5艦が僕たちを誘い出して狙撃するというスタイルだろう。
皆は作戦通りに移動してくれ」
さて、僕らも釣りをしようか。
僕は次元格納庫から艦数合わせの巡洋艦を出してコントロールする。
巡洋戦艦を作戦宙域までおびき出さないとならないからね。
僕がコントロールしている巡洋艦が敵艦隊のレーダーに捕捉された。
暗号通信が飛び交う。
だが、これも僕の広域通信機S型が通信内容を解読してしまう。
『ブラッシュリップスのNPC艦が出て来たよ』
『それは囮だから、連れていかれた先の狙撃位置に菜穂さんがいるはず』
どうやら、こちらの武装や得意分野も把握済みらしい。
『各個撃破するのに丁度良いわ。菜穂さんを狙うよ』
シューティングドリーム艦隊の行動は筒抜けだった。
通常のVPならば、ここまではしないのだが、これはSFOアイドルの座をかけた決戦だ。
僕の専用艦の全機能を使ってでもこのエキシビションVPに勝ってやる。
「菜穂さん、そっちに行くよ。第一作戦開始だ」
僕は菜穂さんにレーザー通信を送り第一作戦を発動した。
なめてかかっているシューティングドリームはSFOランカーを狙撃のみで使おうとしている。
そこに付け入る隙がある。SFOでのブラッシュリップスの実力を見せてやろう。
『あそこ。みつけた』
『全員で突っ込むよ!』
僕がコントロールする巡洋艦を無視してシューティングドリーム艦隊が菜穂さんが隠れる小惑星に殺到する。
シューティングドリーム艦隊の艦種はほぼ全てが突撃艦から成長派生した強襲巡洋艦だ。
装備はレールガンとビーム砲。防御より突撃して撃破する戦闘スタイルだ。
これはおそらくコーチであるSFOランカー、リーリア女史の戦闘スタイルを全員が踏襲しているためだろう。
光学観測によると20cmビーム砲を多数装備した砲艦寄りが3艦に、20cmレールガンと20cmビーム砲を装備した狙撃艦寄りが2艦だ。
菜穂さんが長砲身30cmレールガンの狙撃を開始する。
菜穂艦は巡洋艦の艦体に戦艦並みの主砲を持つという所謂モニター艦と呼ばれる艦だ。
主砲の破壊力は戦艦に準じる。
その主砲でシューティングドリーム艦隊の射程外からなるべく数を減らそうとする体だ。
居場所の見つかった狙撃艦など、射程内まで詰めれば数の論理で圧倒できる。
そう彼女たちは思った事だろう。
「今だ!」
僕はここぞのタイミングでレーザー通信で合図を発する。
実は囮は巡洋艦ではない。本当の囮は菜穂さんなのだ。
僕がコントロールしている巡洋艦はNPC艦ではない。
僕が鹵獲して改造したモニター艦だ。
主砲は鹵獲した戦艦の装備だった40cm粒子ビーム砲1門だ。
このビーム砲がシューティングドリーム艦隊の後方から撃ち込まれる。
『なにあれ?』
『ちょっと! NPC艦じゃなかったの?』
『退避! 退避!』
『やられた! バイバイ!』
『カオリーーーーーーーーーーー!』
シューティングドリーム艦隊が慌てて回避するも、戦艦の主砲に後方から狙い撃ちされた艦にビームが直撃し散る。
そのビームが2艦目に当たった瞬間、後方から巡洋戦艦の40cmレールガンが巡洋艦を貫いた。
爆沈する巡洋艦。お役目ご苦労さん。合掌。
『ちょっと、リサもやられちゃったよ!』
『まさか菜穂さんが囮? 拙いわ。逃げ(ドーン)』
その時、リーダーであるナギサの艦に近距離からミサイルが直撃した。
美優の軽空母から発進した艦載機4機によるミサイル攻撃だった。
その艦載機にリーリア女史の巡洋戦艦からレールガンが撃ち込まれる。
全機撃墜。
その間に菜穂さんは岩塊の後ろに隠れてやりすごした。
シューティングドリーム艦隊3艦撃破。まずまずの戦果だ。
こちらは巡洋艦と艦載機4機を失ったが、まだフルメンバーが残っている。
だが、SFOランカーの巡洋戦艦が突っ込んで来ている。
どうやらカベプロの支社長からゴーサインが出たようだ。
形振り構わずSFOランカーで僕たちをボコるつもりだ。
「よし、ランカーの巡洋戦艦をおびき出した。第二作戦実行だ」
その前に……。
僕は40cmレールガンでシューティングドリームの残り2艦を狙撃する。
実は僕の専用艦は遮蔽フィールドでステルス化し、戦場の様子を完全に掌握していたのだ。
これでSFOランカー以外を撃沈するという初期の目標は達成した。
後はSFOランカーを葬る第二作戦の実行のみだ。
作者の言い訳
一人称の書式でシューティングドリーム側の会話を出そうと思ったら、通信を傍受するというちょっとズルい行動を取らざるをえませんでした。
主人公が汚いことをすることに違和感を覚えた方、すみません。
タイムアップで戦闘中止。その時は損害評価により勝敗を決める。
小惑星に隠れてタイムアップを狙えば、SFOランカーの艦を破壊出来なくても勝てる可能性がある。
その代わり、シューティングドリームの他メンバーは全員撃沈する必要がある。
それぐらいしないと、勝ったと胸を張ることが出来ないからね。
こちらの艦隊は全5艦で、シューティングドリームは全6艦だ。
こちらには数合わせの艦を1艦、艦数補充として増やす権利があった。
それでも戦力的には巡洋戦艦を擁するシューティングドリームが圧倒的に有利なのだが……。
だが、そこはエキシビション。そこまで厳密に戦力を均等化しなくてもという空気があった。
まあ、どうせ向こうが有利なんだし、そりゃシューティングドリーム側は気にしないわ。
そこは主催者権限で押し通されて何も言うことが出来なかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
全員が配置に付き、いよいよエキシビション開始の時刻が迫った。
艦の配置に時間をかけたことで、僕は小惑星の全配置を対艦レーダーS型の機能に含まれる観測装置で掌握した。
これはレーダーの電波を出さずに光学観測や重力センサー等により小惑星を把握するというS型のみの高度機能を使用している。
なので、試合前から敵をレーダーで捉えるというズルをしているわけではない。
この情報をブラッシュリップス艦隊全員で共有し、後の作戦につなげる。
いよいよ試合開始時刻になり試合開始が告げられた。
僕らは作戦に則って配置に付く。
シューティングドリーム艦隊はレーダーを起動、僕らの艦を探し始めた。
僕はそのレーダー波を逆探知してシューティングドリーム艦隊の配置を探る。
「艦数6を確認した。大型の艦が後方待機して、5艦が捜索行動に入った」
僕は艦隊内通信で皆に敵艦隊の情報を伝える。
これもまた電波を発していない。
緻密な作戦指示により各艦の未来位置に対してレーザー通信をピンポイントで送っているのだ。
あくまでもこちらは隠密行動だ。
「おそらくSFOランカーの巡洋戦艦が後方に待機し、5艦が僕たちを誘い出して狙撃するというスタイルだろう。
皆は作戦通りに移動してくれ」
さて、僕らも釣りをしようか。
僕は次元格納庫から艦数合わせの巡洋艦を出してコントロールする。
巡洋戦艦を作戦宙域までおびき出さないとならないからね。
僕がコントロールしている巡洋艦が敵艦隊のレーダーに捕捉された。
暗号通信が飛び交う。
だが、これも僕の広域通信機S型が通信内容を解読してしまう。
『ブラッシュリップスのNPC艦が出て来たよ』
『それは囮だから、連れていかれた先の狙撃位置に菜穂さんがいるはず』
どうやら、こちらの武装や得意分野も把握済みらしい。
『各個撃破するのに丁度良いわ。菜穂さんを狙うよ』
シューティングドリーム艦隊の行動は筒抜けだった。
通常のVPならば、ここまではしないのだが、これはSFOアイドルの座をかけた決戦だ。
僕の専用艦の全機能を使ってでもこのエキシビションVPに勝ってやる。
「菜穂さん、そっちに行くよ。第一作戦開始だ」
僕は菜穂さんにレーザー通信を送り第一作戦を発動した。
なめてかかっているシューティングドリームはSFOランカーを狙撃のみで使おうとしている。
そこに付け入る隙がある。SFOでのブラッシュリップスの実力を見せてやろう。
『あそこ。みつけた』
『全員で突っ込むよ!』
僕がコントロールする巡洋艦を無視してシューティングドリーム艦隊が菜穂さんが隠れる小惑星に殺到する。
シューティングドリーム艦隊の艦種はほぼ全てが突撃艦から成長派生した強襲巡洋艦だ。
装備はレールガンとビーム砲。防御より突撃して撃破する戦闘スタイルだ。
これはおそらくコーチであるSFOランカー、リーリア女史の戦闘スタイルを全員が踏襲しているためだろう。
光学観測によると20cmビーム砲を多数装備した砲艦寄りが3艦に、20cmレールガンと20cmビーム砲を装備した狙撃艦寄りが2艦だ。
菜穂さんが長砲身30cmレールガンの狙撃を開始する。
菜穂艦は巡洋艦の艦体に戦艦並みの主砲を持つという所謂モニター艦と呼ばれる艦だ。
主砲の破壊力は戦艦に準じる。
その主砲でシューティングドリーム艦隊の射程外からなるべく数を減らそうとする体だ。
居場所の見つかった狙撃艦など、射程内まで詰めれば数の論理で圧倒できる。
そう彼女たちは思った事だろう。
「今だ!」
僕はここぞのタイミングでレーザー通信で合図を発する。
実は囮は巡洋艦ではない。本当の囮は菜穂さんなのだ。
僕がコントロールしている巡洋艦はNPC艦ではない。
僕が鹵獲して改造したモニター艦だ。
主砲は鹵獲した戦艦の装備だった40cm粒子ビーム砲1門だ。
このビーム砲がシューティングドリーム艦隊の後方から撃ち込まれる。
『なにあれ?』
『ちょっと! NPC艦じゃなかったの?』
『退避! 退避!』
『やられた! バイバイ!』
『カオリーーーーーーーーーーー!』
シューティングドリーム艦隊が慌てて回避するも、戦艦の主砲に後方から狙い撃ちされた艦にビームが直撃し散る。
そのビームが2艦目に当たった瞬間、後方から巡洋戦艦の40cmレールガンが巡洋艦を貫いた。
爆沈する巡洋艦。お役目ご苦労さん。合掌。
『ちょっと、リサもやられちゃったよ!』
『まさか菜穂さんが囮? 拙いわ。逃げ(ドーン)』
その時、リーダーであるナギサの艦に近距離からミサイルが直撃した。
美優の軽空母から発進した艦載機4機によるミサイル攻撃だった。
その艦載機にリーリア女史の巡洋戦艦からレールガンが撃ち込まれる。
全機撃墜。
その間に菜穂さんは岩塊の後ろに隠れてやりすごした。
シューティングドリーム艦隊3艦撃破。まずまずの戦果だ。
こちらは巡洋艦と艦載機4機を失ったが、まだフルメンバーが残っている。
だが、SFOランカーの巡洋戦艦が突っ込んで来ている。
どうやらカベプロの支社長からゴーサインが出たようだ。
形振り構わずSFOランカーで僕たちをボコるつもりだ。
「よし、ランカーの巡洋戦艦をおびき出した。第二作戦実行だ」
その前に……。
僕は40cmレールガンでシューティングドリームの残り2艦を狙撃する。
実は僕の専用艦は遮蔽フィールドでステルス化し、戦場の様子を完全に掌握していたのだ。
これでSFOランカー以外を撃沈するという初期の目標は達成した。
後はSFOランカーを葬る第二作戦の実行のみだ。
作者の言い訳
一人称の書式でシューティングドリーム側の会話を出そうと思ったら、通信を傍受するというちょっとズルい行動を取らざるをえませんでした。
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