【改訂版】異世界転移で宇宙戦争~僕の専用艦は艦隊旗艦とは名ばかりの単艦行動(ぼっち)だった~

北京犬(英)

文字の大きさ
62 / 199
アイドル編

060 アイドル編36 エキシビション1

しおりを挟む
 エキシビションの模擬戦VP空間は小惑星帯だった。勝利条件は敵の殲滅、或は行動不能か降参だ。
タイムアップで戦闘中止。その時は損害評価により勝敗を決める。
小惑星に隠れてタイムアップを狙えば、SFOランカーの艦を破壊出来なくても勝てる可能性がある。
その代わり、シューティングドリームの他メンバーは全員撃沈する必要がある。
それぐらいしないと、勝ったと胸を張ることが出来ないからね。

 こちらブラッシュリップスの艦隊は全5艦で、シューティングドリームは全6艦だ。
こちらには数合わせの艦を1艦、艦数補充として増やす権利があった。
それでも戦力的には巡洋戦艦を擁するシューティングドリームが圧倒的に有利なのだが……。
だが、そこはエキシビション。そこまで厳密に戦力を均等化しなくてもという空気があった。
まあ、どうせ向こうが有利なんだし、そりゃシューティングドリーム側は気にしないわ。
そこは主催者権限で押し通されて何も言うことが出来なかった。


◇  ◇  ◇  ◇  ◆


 全員が配置に付き、いよいよエキシビション開始の時刻が迫った。
艦の配置に時間をかけたことで、僕は小惑星の全配置を対艦レーダーS型の機能に含まれる観測装置で掌握した。
これはレーダーの電波を出さずに光学観測や重力センサー等により小惑星を把握するというS型のみの高度機能を使用している。
なので、試合前から敵をレーダーで捉えるというズルをしているわけではない。
この情報をブラッシュリップス艦隊全員で共有し、後の作戦につなげる。


 いよいよ試合開始時刻になり試合開始が告げられた。
僕らは作戦に則って配置に付く。
シューティングドリーム艦隊はレーダーを起動、僕らの艦を探し始めた。
僕はそのレーダー波をパッシブ探知してシューティングドリーム艦隊の配置を探る。

「艦数6を確認した。大型の艦が後方待機して、5艦が捜索行動に入った」

 僕は艦隊内通信で皆に敵艦隊の情報を伝える。
これもまた電波を発していない。
緻密な作戦指示により各艦の未来位置に対してレーザー通信をピンポイントで送っているのだ。
あくまでもこちらは隠密行動だ。

「おそらくSFOランカーの巡洋戦艦が後方に待機し、5艦が僕たちを誘い出して狙撃するというスタイルだろう。
皆は作戦通りに移動してくれ」

 さて、僕らも釣りをしようか。
僕は次元格納庫から艦数合わせの巡洋艦を出してコントロールする。
巡洋戦艦を作戦宙域までおびき出さないとならないからね。


 僕がコントロールしている巡洋艦が敵艦隊のレーダーに捕捉された。
暗号通信が飛び交う。
だが、これも僕の広域通信機S型が通信内容を解読してしまう。

『ブラッシュリップスのNPC艦が出て来たよ』

『それは囮だから、連れていかれた先の狙撃位置に菜穂なほさんがいるはず』

 どうやら、こちらの武装や得意分野も把握済みらしい。

『各個撃破するのに丁度良いわ。菜穂なほさんを狙うよ』

 シューティングドリーム艦隊の行動は筒抜けだった。
通常のVPならば、ここまではしないのだが、これはSFOアイドルの座をかけた決戦だ。
僕の専用艦の全機能を使ってでもこのエキシビションVPに勝ってやる。

菜穂なほさん、そっちに行くよ。第一作戦開始だ」

 僕は菜穂なほさんにレーザー通信を送り第一作戦を発動した。
なめてかかっているシューティングドリームはSFOランカーを狙撃のみで使おうとしている。
そこに付け入る隙がある。SFOでのブラッシュリップスの実力を見せてやろう。

『あそこ。みつけた』

『全員で突っ込むよ!』

 僕がコントロールする巡洋艦を無視してシューティングドリーム艦隊が菜穂なほさんが隠れる小惑星に殺到する。
シューティングドリーム艦隊の艦種はほぼ全てが突撃艦から成長派生した強襲巡洋艦だ。
装備はレールガンとビーム砲。防御より突撃して撃破する戦闘スタイルだ。
これはおそらくコーチであるSFOランカー、リーリア女史の戦闘スタイルを全員が踏襲しているためだろう。
光学観測によると20cmビーム砲を多数装備した砲艦寄りが3艦に、20cmレールガンと20cmビーム砲を装備した狙撃艦寄りが2艦だ。

 菜穂なほさんが長砲身30cmレールガンの狙撃を開始する。
菜穂なほ艦は巡洋艦の艦体に戦艦並みの主砲を持つという所謂モニター艦と呼ばれる艦だ。
主砲の破壊力は戦艦に準じる。
その主砲でシューティングドリーム艦隊の射程外からなるべく数を減らそうとするていだ。
居場所の見つかった狙撃艦など、射程内まで詰めれば数の論理で圧倒できる。
そう彼女たちは思った事だろう。

「今だ!」

 僕はここぞのタイミングでレーザー通信で合図を発する。
実は囮は巡洋艦ではない。本当の囮は菜穂なほさんなのだ。
僕がコントロールしている巡洋艦はNPC艦ではない。
僕が鹵獲して改造したモニター艦だ。
主砲は鹵獲した戦艦の装備だった40cm粒子ビーム砲1門だ。
このビーム砲がシューティングドリーム艦隊の後方から撃ち込まれる。

『なにあれ?』

『ちょっと! NPC艦じゃなかったの?』

『退避! 退避!』

『やられた! バイバイ!』

『カオリーーーーーーーーーーー!』

 シューティングドリーム艦隊が慌てて回避するも、戦艦の主砲に後方から狙い撃ちされた艦にビームが直撃し散る。
そのビームが2艦目に当たった瞬間、後方から巡洋戦艦の40cmレールガンが巡洋艦を貫いた。
爆沈する巡洋艦。お役目ご苦労さん。合掌。

『ちょっと、リサもやられちゃったよ!』

『まさか菜穂なほさんが囮? 拙いわ。逃げ(ドーン)』

 その時、リーダーであるナギサの艦に近距離からミサイルが直撃した。
美優みゆの軽空母から発進した艦載機4機によるミサイル攻撃だった。
その艦載機にリーリア女史の巡洋戦艦からレールガンが撃ち込まれる。
全機撃墜。
その間に菜穂なほさんは岩塊の後ろに隠れてやりすごした。

 シューティングドリーム艦隊3艦撃破。まずまずの戦果だ。
こちらは巡洋艦と艦載機4機を失ったが、まだフルメンバーが残っている。
だが、SFOランカーの巡洋戦艦が突っ込んで来ている。
どうやらカベプロの支社長からゴーサインが出たようだ。
形振り構わずSFOランカーで僕たちをボコるつもりだ。

「よし、ランカーの巡洋戦艦をおびき出した。第二作戦実行だ」

 その前に……。
僕は40cmレールガンでシューティングドリームの残り2艦を狙撃する。
実は僕の専用艦は遮蔽フィールドでステルス化し、戦場の様子を完全に掌握していたのだ。
これでSFOランカー以外を撃沈するという初期の目標は達成した。
後はSFOランカーを葬る第二作戦の実行のみだ。





作者の言い訳
 一人称の書式でシューティングドリーム側の会話を出そうと思ったら、通信を傍受するというちょっとズルい行動を取らざるをえませんでした。
主人公が汚いことをすることに違和感を覚えた方、すみません。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

現代ダンジョンの苦情係 〜元クレーム処理担当の俺、魔物の言葉がわかるので菓子折り一つで世界を救う〜

ぱすた屋さん
ファンタジー
「その咆哮は、騒音公害に当たります」 現代日本に出現した『ダンジョン』と、そこから溢れ出す魔物たち。 人々が英雄(Sランク探索者)の活躍に熱狂する一方で、組織の闇に葬られた部署があった。 ――ダンジョン管理ギルド・苦情係。 そこへ左遷されてきたのは、前職で数万件のクレームを捌き倒した伝説のカスタマーセンター職員・久我良平(くが りょうへい)。 彼にとって、新宿に降臨した災害級ドラゴンは「騒音を撒き散らす困ったお客様」であり、聖女の奇跡は「同意なきサービスの押し付け(強売)」に過ぎない。 「力」でねじ伏せる英雄たちが敗北する中、久我は「正論」と「どら焼き」と「完璧な事務手続き」を武器に、魔物たちの切実な悲鳴(クレーム)をハックしていく。 一癖も二癖もある仲間と共に、久我はギルド上層部の腐敗や外資系企業の傲慢な介入を次々と「不備」として処理していく。 これは、組織の鎖を断ち切った一人の事務屋が、人間と魔物の間に「新しい契約」を紡ぎ、世界を再起動させるまでの物語。 「――さて。予約外の終焉(ラグナロク)ですか? 承知しました。まずは、スケジュールの調整から始めましょう」

処理中です...