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アイドル編
061 アイドル編37 エキシビション2
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シューティングドリーム艦隊最後の1艦となったSFOランカー・リーリア女史の巡洋戦艦が戦闘宙域に向けて突っ込んで来る。
リーリア女史の戦闘スタイルは長距離から接近戦まで何でも熟すオールラウンダーだ。
もしも先行していた5艦と共同で突っ込んで来られていたらと思うとゾッとする。
おそらくカベプロ側も生配信でSFOランカーを前面に出すのは流石に拙いと思っていたのだろう。
今までは遠距離からの狙撃による援護、それのみをリーリア女史に強いていたものと思われる。
だが、状況が変わった。
僕たちブラッシュリップス艦隊が、あっさりとシューティングドリーム艦隊主要メンバーの5艦を葬ってしまったのだ。
このままではシューティングドリームの惨敗という結果になる。
なんとしてでも勝たなければならないカベプロ側は、SFOランカーの力を無制限に解放することにしたようだ。
現在、ステルス化した僕の専用艦はリーリア女史のレーダーに捕捉されることなく戦闘宙域を監視していた。
ステルス機能を齎している遮蔽フィールド発生装置は、重力異常を伴うため、重力場を観測できる射撃補正装置を使用すれば僅かな痕跡が捕捉されてしまう。
しかし、僕は巨大質量により重力場を発生させている小惑星を背景にして紛れ、その痕跡を消し去り隠れることに成功していた。
「第二作戦第一段階。いくよ」
僕は僚艦の未来位置へ向けてレーザー通信を送る。
このレーザー通信も実はカラクリがある。
紗綾により中継点が設置されているのだ。
紗綾艦は防宙艦なのでミサイル迎撃用のミサイルを大量に積んでいる。
そのミサイルをレーザー通信の中継点として改造し要所要所に配置している。
おかげで、真っ直ぐしか進めないレーザーを屈折させることが出来、僕から見て小惑星の裏に位置する僚艦でもレーザー通信が可能なのだ。
しかも刻々と移り変わる僚艦の未来位置を、作戦計画と経過時間により把握するという離れ業を、僕の専用艦の電脳S型がやってくれていた。
僕の合図で菜穂さんが小惑星の影から狙撃艦を出してリーリア女史の巡洋戦艦に30cmレールガンを撃ち込む。
リーリア女史の巡洋戦艦の諸元(SFO公式配信による最新情報)は以下。
『シャト・ブランシュ(リーリア艦)』
艦種 巡洋戦艦
艦体 全長1km 巡洋戦艦型 2腕
主機 熱核反応炉C型×2(10×2) 高速推進機B型
兵装 主砲 長砲身40cmレールガン単装1基1門 通常弾 80/80
40cm粒子ビーム砲連装1基2門
副砲 20cm粒子ビーム砲連装2基4門
対宙砲 10cmレーザー単装4基4門
ミサイル発射管 F型防宙2基2門 最大弾数20×2 ミサイル残弾 40
防御 耐ビームコーティング多重特殊鋼装甲板(盾C型相当)
耐実体弾耐ビーム盾C型 1
停滞フィールド(バリヤー)C型
電子兵装 電脳C型 対艦レーダーB型(射撃補正装置付き) 通信機D型
空きエネルギースロット 2
状態 良好
リーリア女史の巡洋戦艦はフランス語で白猫という名前だ。
武装は長砲身40cmレールガンと40cm粒子ビーム連装砲を主砲とし、対巡洋艦以下用に20cmビーム連装砲2基を副砲として搭載している。
戦艦としての1kmに渡る全長を持つが、装甲の防御性能を抑えることで速度を重視した艦となっている。
この防御力が低いことこそが、僕たちが勝つための付け入る隙だと言える。
とは言え、対戦艦向けの防御力は低くとも、対巡洋艦ならば必要充分と言える装甲だ。
なので僕たちは、戦艦並みの武装で攻撃を始めたのだ。
こちら側の対抗しうる武装は菜穂さんの狙撃艦が持つ長砲身30cmレールガン、僕の専用艦の40cm粒子ビーム砲と外部兵装の長砲身40cmレールガン。
数合わせのモニター艦の40cm粒子ビーム砲だったのだが、モニター艦は既に撃沈されている。
近接戦闘では綾姫の突撃艦の対艦刀になる。
美優の軽空母は艦載機が全滅し、戦闘力を失った。
紗綾の防宙艦は全力で菜穂さんの狙撃艦を守ってもらうことになっている。
綾姫はトドメ要員なので20cm粒子ビーム砲の弾幕を潜って最後に突撃してもらうことになる。
菜穂さんの狙撃艦が放った30cmレールガンの弾は、リーリア女史の巡洋戦艦に簡単に避けられてしまう。
あの鬼弾幕を避けてしまうリーリア女史の機動に対して、こちらの手数が圧倒的に足りていない。
僕も外部兵装の長砲身40cmレールガンを次元格納庫から出して浮き砲台とし、レールガンを撃ち込む。
これにはリーリア女史も驚いたようだ。
レーダーにも光学センサーにも反応の無いところからレールガンが撃ち込まれたのだ。
だが、これも避けられてしまう。
『ステルス? やっかいね』
傍受していた通信にリーリア女史の焦った声が響く。
ステルス化した僕の専用艦の存在を察知したリーリア女史は、空かさず全砲門を浮き砲台に向け発砲する。
幸い、僕の専用艦はもうそこには居ない。
「うーん。死角を狙ったつもりなんだけど、抜群の回避力だな」
僕はリーリア女史の腕前に舌を巻いた。
レールガンは弾体がレーダーに映る。
速度も光学兵器と違って光速で向かってくるわけでもない。
SFOランカーにもなると、レールガンの速度では簡単に避けられる。
いや、リーリア女史の腕ならビーム砲の発射予兆光だけでビームも避けられてしまう。
流石にやっかいな相手だ。
そうこうしているうちにリーリア女史の巡洋戦艦が長砲身40cmレールガンを菜穂さんの狙撃艦に撃ち込み始めた。
主砲の発射速度は菜穂さんの狙撃艦が上だが、回避しながら撃ち込む腕前は圧倒的にリーリア女史が上だった。
菜穂さんの狙撃艦に迫るレールガンの弾体。
30cmレールガンを撃つために一瞬止まっていた菜穂さんの狙撃艦へ40cmレールガンの弾体が迫る。
そこへ紗綾の防宙艦が4本の腕に盾を構えて割り込む。
盾に当たり滑るように斜めにコースを変える40cmレールガンの弾体。
紗綾が盾で上手く弾体を逸らしたのだ。
その4腕に持つ盾は僕が鹵獲した戦艦の装甲版だった耐ビームコーティング多重特殊鋼装甲板製だ。
40cmレールガンや40cm粒子ビーム砲に耐えることが出来る究極の装甲を盾に加工したのだ。
今回、紗綾の防宙艦は、このためだけに盾を大量に装備している。
40cmレールガンを2発くらった盾はその場で放棄し、次の盾を構える万全の体制だ。
40cmレールガンの最大弾数は80発のはず。
弾を撃ち尽くすまで粘れば、リーリア女史は中距離での戦いを余儀なくされる。
それまで紗綾が耐えてくれれば、僕たちにも勝機がある。
『くっ。しぶとい!』
盾を次から次へと交換し、40cmレールガンの直撃を回避する紗綾の防宙艦。
その防宙艦の影から出ては30cmレールガンを撃ち込む菜穂さんの狙撃艦。
通信機からはリーリア女史の苛立ちの声が聞こえ始めた。
とうとう戦闘距離は中距離へと迫る。
リーリア女史の巡洋戦艦が誇る40cm粒子ビーム砲の射程内だ。
粒子ビーム砲には弾数制限はない。エネルギーが尽きるまで撃ち続けることが出来る。
リーリア女史はレールガンでの射撃を早々に諦め、ビーム砲での攻撃に切り替えるようだ。
リーリア女史の巡洋戦艦から発射の予兆光が輝く。
この時点で回避を始めないと、光速のビームがやって来る。
菜穂さんの狙撃艦が隠れ、紗綾の防宙艦が盾を構える。
耐ビームコーティング多重特殊鋼装甲板製の盾が40cm粒子ビーム砲の直撃にも耐える。
リーリア女史の巡洋戦艦が高速機動で射点を変えビーム砲を撃ち込む。
そして僕の専用艦も40cm粒子ビーム砲を発射する。
これは30cm粒子ビーム砲と謎粒子砲を降ろした後に装備したものだ。
その発射予兆光を観測したリーリア女史が瞬間的に回避行動をとる。
恐ろしい回避能力だ。
「美優! 第二段階。いくよ!」
僕は電波通信を解禁し美優に合図を送る。
僕が発射した40cm粒子ビーム砲の光条がリーリア女史の巡洋戦艦に向かわずに右舷側背後の美優艦に向かう。
美優艦が構えるのはビーム・リフレクター。数度限りのビーム反射板だ。
この装備と艦載機増量のために美優艦は全長が250mから280mに拡張されている。
そのため速度低下の懸念から推進器も高速推進器F型から高速推進器E型に換装済みだ。
反応炉の出力に余力があってよかった。
そのビーム反射板に当たった40cm粒子ビーム砲の光条がコースを変えてリーリア女史の巡洋戦艦に向かう。
直撃!
リーリア女史はビームの発射予兆光で回避をしているので、反射して来た光速の光条には対応できない。
続けて2射目を発射しようとしたとき、それは起こった。
『4時の方向だ。撃て!』
その通信に、リーリア女史が40cmレールガンを隠れていた美優艦に向け発射した。
その通信の声はカベプロの支社長だった。
よりによってオブザーバーであるカベプロの支社長が、VPの配信映像から美優艦の位置を知り、それを通信で教えたのだ。
完全に不正行為だ。
「美優《みゆ》!」
反射位置を変えるため移動していた美優艦に40cmレールガンが当たる。
しかし、美優が艦首をレールガンの発射方向に向けたため、弾体が滑り威力を減らしていた。
だが、ビーム・リフレクターはレールガンの弾体には無力だ。
折角の秘密兵器『反射衛星砲もどき』が使えなくなった瞬間だった。
「大丈夫。撃って!」
美優から通信が入る。
このままではSFOランカーの力に負けてしまう。
僕はステルスを解き、5cmレールガンをリーリア女史の巡洋戦艦に速射砲の如く撃ち込む。
と同時に40cm粒子ビーム砲でもう一度反射攻撃を試みる。
「美優、行くよ!」
「ん。任せろ」
40cm粒子ビーム砲の光条が美優艦に向かい、反射されリーリア女史の巡洋戦艦に向かう。
同時に僕の専用艦から発射された5cmレールガンの弾体が巡洋戦艦に届く。
リーリア女史には僕がどんな威力のレールガンを撃ったかなんて判らない。
リーリア女史は5cmレールガンの弾体を避けるしかない。
そこへ美優艦から反射された40cm粒子ビーム砲の光条が届く。
直撃!
『くっ! やられた。 拙い! レールガンが!』
がくんと巡洋戦艦の回避速度が落ちた。
と同時に何発かの5cmレールガンの弾体が当たる。
無傷。
『は? くっ。 騙されたか!』
僕の専用艦が5cmレールガンを撃ったことに漸く気付いたようだ。
だが、撃ったのは通常弾だけじゃないんだよ?
その時、巡洋戦艦の左舷に巨大な穴が出現した。
Gバレット。5cmレールガンの通常弾に紛れ込ませた特殊弾の威力だった。
5cmレールガンと舐めて回避を怠った結果がこれだ。
「あんな汚い手さえ使われなければ、こいつは使わないはずだったのに……」
僕はGバレット使用を偽装するため外部兵装の浮き砲台を出して40cmレールガンを巡洋戦艦に撃ち込んだ。
「これであれは40cmレールガンだったって言い張れるよね?」
これによりエキシビションVPは僕たちブラッシュリップス艦隊の勝利で幕を閉じた。
シューティングドリーム艦隊は全滅、ブラッシュリップス艦隊は2艦が撃沈されていた。
そう、美優艦はフレンドリーファイアで撃沈という判定だった。
美優の軽空母は、僕が放った40cm粒子ビーム砲に不完全なビーム・リフレクターで対応し沈んでしまっていた。
だが、カベプロ側の不正によるレールガン被害が無ければ美優艦は沈まなかった。
エキシビションとはいえ、準公式配信で行われたVPでの不正はSFO運営に報告する義務がある。
これには神澤社長も黙っていないだろう。
リーリア女史の戦闘スタイルは長距離から接近戦まで何でも熟すオールラウンダーだ。
もしも先行していた5艦と共同で突っ込んで来られていたらと思うとゾッとする。
おそらくカベプロ側も生配信でSFOランカーを前面に出すのは流石に拙いと思っていたのだろう。
今までは遠距離からの狙撃による援護、それのみをリーリア女史に強いていたものと思われる。
だが、状況が変わった。
僕たちブラッシュリップス艦隊が、あっさりとシューティングドリーム艦隊主要メンバーの5艦を葬ってしまったのだ。
このままではシューティングドリームの惨敗という結果になる。
なんとしてでも勝たなければならないカベプロ側は、SFOランカーの力を無制限に解放することにしたようだ。
現在、ステルス化した僕の専用艦はリーリア女史のレーダーに捕捉されることなく戦闘宙域を監視していた。
ステルス機能を齎している遮蔽フィールド発生装置は、重力異常を伴うため、重力場を観測できる射撃補正装置を使用すれば僅かな痕跡が捕捉されてしまう。
しかし、僕は巨大質量により重力場を発生させている小惑星を背景にして紛れ、その痕跡を消し去り隠れることに成功していた。
「第二作戦第一段階。いくよ」
僕は僚艦の未来位置へ向けてレーザー通信を送る。
このレーザー通信も実はカラクリがある。
紗綾により中継点が設置されているのだ。
紗綾艦は防宙艦なのでミサイル迎撃用のミサイルを大量に積んでいる。
そのミサイルをレーザー通信の中継点として改造し要所要所に配置している。
おかげで、真っ直ぐしか進めないレーザーを屈折させることが出来、僕から見て小惑星の裏に位置する僚艦でもレーザー通信が可能なのだ。
しかも刻々と移り変わる僚艦の未来位置を、作戦計画と経過時間により把握するという離れ業を、僕の専用艦の電脳S型がやってくれていた。
僕の合図で菜穂さんが小惑星の影から狙撃艦を出してリーリア女史の巡洋戦艦に30cmレールガンを撃ち込む。
リーリア女史の巡洋戦艦の諸元(SFO公式配信による最新情報)は以下。
『シャト・ブランシュ(リーリア艦)』
艦種 巡洋戦艦
艦体 全長1km 巡洋戦艦型 2腕
主機 熱核反応炉C型×2(10×2) 高速推進機B型
兵装 主砲 長砲身40cmレールガン単装1基1門 通常弾 80/80
40cm粒子ビーム砲連装1基2門
副砲 20cm粒子ビーム砲連装2基4門
対宙砲 10cmレーザー単装4基4門
ミサイル発射管 F型防宙2基2門 最大弾数20×2 ミサイル残弾 40
防御 耐ビームコーティング多重特殊鋼装甲板(盾C型相当)
耐実体弾耐ビーム盾C型 1
停滞フィールド(バリヤー)C型
電子兵装 電脳C型 対艦レーダーB型(射撃補正装置付き) 通信機D型
空きエネルギースロット 2
状態 良好
リーリア女史の巡洋戦艦はフランス語で白猫という名前だ。
武装は長砲身40cmレールガンと40cm粒子ビーム連装砲を主砲とし、対巡洋艦以下用に20cmビーム連装砲2基を副砲として搭載している。
戦艦としての1kmに渡る全長を持つが、装甲の防御性能を抑えることで速度を重視した艦となっている。
この防御力が低いことこそが、僕たちが勝つための付け入る隙だと言える。
とは言え、対戦艦向けの防御力は低くとも、対巡洋艦ならば必要充分と言える装甲だ。
なので僕たちは、戦艦並みの武装で攻撃を始めたのだ。
こちら側の対抗しうる武装は菜穂さんの狙撃艦が持つ長砲身30cmレールガン、僕の専用艦の40cm粒子ビーム砲と外部兵装の長砲身40cmレールガン。
数合わせのモニター艦の40cm粒子ビーム砲だったのだが、モニター艦は既に撃沈されている。
近接戦闘では綾姫の突撃艦の対艦刀になる。
美優の軽空母は艦載機が全滅し、戦闘力を失った。
紗綾の防宙艦は全力で菜穂さんの狙撃艦を守ってもらうことになっている。
綾姫はトドメ要員なので20cm粒子ビーム砲の弾幕を潜って最後に突撃してもらうことになる。
菜穂さんの狙撃艦が放った30cmレールガンの弾は、リーリア女史の巡洋戦艦に簡単に避けられてしまう。
あの鬼弾幕を避けてしまうリーリア女史の機動に対して、こちらの手数が圧倒的に足りていない。
僕も外部兵装の長砲身40cmレールガンを次元格納庫から出して浮き砲台とし、レールガンを撃ち込む。
これにはリーリア女史も驚いたようだ。
レーダーにも光学センサーにも反応の無いところからレールガンが撃ち込まれたのだ。
だが、これも避けられてしまう。
『ステルス? やっかいね』
傍受していた通信にリーリア女史の焦った声が響く。
ステルス化した僕の専用艦の存在を察知したリーリア女史は、空かさず全砲門を浮き砲台に向け発砲する。
幸い、僕の専用艦はもうそこには居ない。
「うーん。死角を狙ったつもりなんだけど、抜群の回避力だな」
僕はリーリア女史の腕前に舌を巻いた。
レールガンは弾体がレーダーに映る。
速度も光学兵器と違って光速で向かってくるわけでもない。
SFOランカーにもなると、レールガンの速度では簡単に避けられる。
いや、リーリア女史の腕ならビーム砲の発射予兆光だけでビームも避けられてしまう。
流石にやっかいな相手だ。
そうこうしているうちにリーリア女史の巡洋戦艦が長砲身40cmレールガンを菜穂さんの狙撃艦に撃ち込み始めた。
主砲の発射速度は菜穂さんの狙撃艦が上だが、回避しながら撃ち込む腕前は圧倒的にリーリア女史が上だった。
菜穂さんの狙撃艦に迫るレールガンの弾体。
30cmレールガンを撃つために一瞬止まっていた菜穂さんの狙撃艦へ40cmレールガンの弾体が迫る。
そこへ紗綾の防宙艦が4本の腕に盾を構えて割り込む。
盾に当たり滑るように斜めにコースを変える40cmレールガンの弾体。
紗綾が盾で上手く弾体を逸らしたのだ。
その4腕に持つ盾は僕が鹵獲した戦艦の装甲版だった耐ビームコーティング多重特殊鋼装甲板製だ。
40cmレールガンや40cm粒子ビーム砲に耐えることが出来る究極の装甲を盾に加工したのだ。
今回、紗綾の防宙艦は、このためだけに盾を大量に装備している。
40cmレールガンを2発くらった盾はその場で放棄し、次の盾を構える万全の体制だ。
40cmレールガンの最大弾数は80発のはず。
弾を撃ち尽くすまで粘れば、リーリア女史は中距離での戦いを余儀なくされる。
それまで紗綾が耐えてくれれば、僕たちにも勝機がある。
『くっ。しぶとい!』
盾を次から次へと交換し、40cmレールガンの直撃を回避する紗綾の防宙艦。
その防宙艦の影から出ては30cmレールガンを撃ち込む菜穂さんの狙撃艦。
通信機からはリーリア女史の苛立ちの声が聞こえ始めた。
とうとう戦闘距離は中距離へと迫る。
リーリア女史の巡洋戦艦が誇る40cm粒子ビーム砲の射程内だ。
粒子ビーム砲には弾数制限はない。エネルギーが尽きるまで撃ち続けることが出来る。
リーリア女史はレールガンでの射撃を早々に諦め、ビーム砲での攻撃に切り替えるようだ。
リーリア女史の巡洋戦艦から発射の予兆光が輝く。
この時点で回避を始めないと、光速のビームがやって来る。
菜穂さんの狙撃艦が隠れ、紗綾の防宙艦が盾を構える。
耐ビームコーティング多重特殊鋼装甲板製の盾が40cm粒子ビーム砲の直撃にも耐える。
リーリア女史の巡洋戦艦が高速機動で射点を変えビーム砲を撃ち込む。
そして僕の専用艦も40cm粒子ビーム砲を発射する。
これは30cm粒子ビーム砲と謎粒子砲を降ろした後に装備したものだ。
その発射予兆光を観測したリーリア女史が瞬間的に回避行動をとる。
恐ろしい回避能力だ。
「美優! 第二段階。いくよ!」
僕は電波通信を解禁し美優に合図を送る。
僕が発射した40cm粒子ビーム砲の光条がリーリア女史の巡洋戦艦に向かわずに右舷側背後の美優艦に向かう。
美優艦が構えるのはビーム・リフレクター。数度限りのビーム反射板だ。
この装備と艦載機増量のために美優艦は全長が250mから280mに拡張されている。
そのため速度低下の懸念から推進器も高速推進器F型から高速推進器E型に換装済みだ。
反応炉の出力に余力があってよかった。
そのビーム反射板に当たった40cm粒子ビーム砲の光条がコースを変えてリーリア女史の巡洋戦艦に向かう。
直撃!
リーリア女史はビームの発射予兆光で回避をしているので、反射して来た光速の光条には対応できない。
続けて2射目を発射しようとしたとき、それは起こった。
『4時の方向だ。撃て!』
その通信に、リーリア女史が40cmレールガンを隠れていた美優艦に向け発射した。
その通信の声はカベプロの支社長だった。
よりによってオブザーバーであるカベプロの支社長が、VPの配信映像から美優艦の位置を知り、それを通信で教えたのだ。
完全に不正行為だ。
「美優《みゆ》!」
反射位置を変えるため移動していた美優艦に40cmレールガンが当たる。
しかし、美優が艦首をレールガンの発射方向に向けたため、弾体が滑り威力を減らしていた。
だが、ビーム・リフレクターはレールガンの弾体には無力だ。
折角の秘密兵器『反射衛星砲もどき』が使えなくなった瞬間だった。
「大丈夫。撃って!」
美優から通信が入る。
このままではSFOランカーの力に負けてしまう。
僕はステルスを解き、5cmレールガンをリーリア女史の巡洋戦艦に速射砲の如く撃ち込む。
と同時に40cm粒子ビーム砲でもう一度反射攻撃を試みる。
「美優、行くよ!」
「ん。任せろ」
40cm粒子ビーム砲の光条が美優艦に向かい、反射されリーリア女史の巡洋戦艦に向かう。
同時に僕の専用艦から発射された5cmレールガンの弾体が巡洋戦艦に届く。
リーリア女史には僕がどんな威力のレールガンを撃ったかなんて判らない。
リーリア女史は5cmレールガンの弾体を避けるしかない。
そこへ美優艦から反射された40cm粒子ビーム砲の光条が届く。
直撃!
『くっ! やられた。 拙い! レールガンが!』
がくんと巡洋戦艦の回避速度が落ちた。
と同時に何発かの5cmレールガンの弾体が当たる。
無傷。
『は? くっ。 騙されたか!』
僕の専用艦が5cmレールガンを撃ったことに漸く気付いたようだ。
だが、撃ったのは通常弾だけじゃないんだよ?
その時、巡洋戦艦の左舷に巨大な穴が出現した。
Gバレット。5cmレールガンの通常弾に紛れ込ませた特殊弾の威力だった。
5cmレールガンと舐めて回避を怠った結果がこれだ。
「あんな汚い手さえ使われなければ、こいつは使わないはずだったのに……」
僕はGバレット使用を偽装するため外部兵装の浮き砲台を出して40cmレールガンを巡洋戦艦に撃ち込んだ。
「これであれは40cmレールガンだったって言い張れるよね?」
これによりエキシビションVPは僕たちブラッシュリップス艦隊の勝利で幕を閉じた。
シューティングドリーム艦隊は全滅、ブラッシュリップス艦隊は2艦が撃沈されていた。
そう、美優艦はフレンドリーファイアで撃沈という判定だった。
美優の軽空母は、僕が放った40cm粒子ビーム砲に不完全なビーム・リフレクターで対応し沈んでしまっていた。
だが、カベプロ側の不正によるレールガン被害が無ければ美優艦は沈まなかった。
エキシビションとはいえ、準公式配信で行われたVPでの不正はSFO運営に報告する義務がある。
これには神澤社長も黙っていないだろう。
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彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
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オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
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剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
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たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
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50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
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これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
現代ダンジョンの苦情係 〜元クレーム処理担当の俺、魔物の言葉がわかるので菓子折り一つで世界を救う〜
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一癖も二癖もある仲間と共に、久我はギルド上層部の腐敗や外資系企業の傲慢な介入を次々と「不備」として処理していく。
これは、組織の鎖を断ち切った一人の事務屋が、人間と魔物の間に「新しい契約」を紡ぎ、世界を再起動させるまでの物語。
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