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アイドル編
066 アイドル編42 回収戦艦
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「この戦艦どうするの~?」
紗綾が言いたいのは売るのか引き取るのかという話だろう。
紗綾は言葉が足りないので僕達メンバーが行間を読む必要があるのだ。
僕も最近はそこそこ紗綾の言いたいことが推測できるようになった。
「この戦艦には撃墜権が設定されているわ。売ると5割が権利者に行って、売却税をギルドに1割払うから4割がこっちの取り分になるのよ。
売らずに手に入れようと思ったら、見積額の5割を撃墜権の権利者に、加えてギルドに1割の税金をこちらが払う必要があるわ。
残念だけど、うちの事務所は戦艦の6割の金額なんて払えないわよ」
「え~。せっかく融合して戦力アップだと思ってたのに~」
違った。誰が融合するのかという話だったらしい。
さすが菜穂さんは紗綾との付き合いが長いだけある。
実はその戦艦の撃墜権者は僕だから半分づつ所有ということに出来るんだけど、菜穂さんはまだ知らないんだよね。
「撃墜権の支払いは権利者と話し合えば物納が出来るはずですよ。上手く交渉すれば半分だけ手に入れる事が可能かもしれません」
綾姫、ナイスフォロー!
僕が権利者とわからないように交渉すれば、艦体と反応炉と推進機ぐらいの譲渡は出来る。
「そうね。SFO事務局に話を通してみるわ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
「権利者と回収した戦艦の分配交渉をお望みということですね?
そちらの撃墜権者はGN:アキラさんですね。連絡をとってみましょう」
菜穂さんがSFO事務局に問い合わせたところ、いきなり担当者が個人情報をバラした。
「はい?」
菜穂さんが僕のことをジト目で見る。
一応晶羅と晶羅は建前上は別人となっているんだけど、SFO事務局ではそれが芸名であることは知っているし許可も出ていた。
しかし、担当者レベルでその情報を知らされていたかとなると、おそらくある程度のレベルで情報が遮断されているようだ。
個人情報に関する扱いが担当者レベルでは軽かったことから、むしろ担当者に知らせていなくて正解だったと思った方が良いのかもしれない。
「いや、アキラなら知っているので直接話をします」
「では、ギルド税の1割だけ納入願いますね。
ギルドが見積後に請求書を送ると思いますので後で納入してください。
納入確認後、実物の引き渡しとなります」
僕らは手続きをすると事務所に戻った。
・
・
・
「さて、晶羅ちゃん、どういうことかしら?」
菜穂さんが怖い。
「合法的に戦艦を引き渡す方法がこれしかなかったんだよ。
晶羅で撃墜した戦艦を晶羅が持っていたらおかしいんだからね?」
僕は必死に言い訳を考えた。
我ながら完璧な論理だ。
「なら回収前に話を通すことも出来たんじゃなくて?」
「うっ」
さすが菜穂さん、鋭い。
「そこは受け取ってもらえないかと思ったから……」
僕の言葉に菜穂さんがため息一つつくと笑顔を浮かべて言う。
「バカね。私達を実戦の危険から守ろうと思ったんでしょ?
戦艦を手に入れて融合すれば、私達がRPを続けようなんて言い出さないと思った?
まったく、詰めが甘いんだから」
「ごめん」
「それで、分配はどうしようと思っていたの? 綾姫もグルなんでしょ?」
菜穂さんが綾姫をジロリと見る。
綾姫を責めるつもりではなく、しょうがない子ねという感じだ。
「ブラッシュリップス艦隊に必要なのは戦艦の防御力と攻撃力だ。
戦艦の艦体を動かすには高性能反応炉と推進機が必須だから、それも含めて誰かの艦と融合させる」
「つまり艦体、反応炉、推進器をこちらの取り分にしていいってこと?
それだと分配報告書が金額的に問題になりそうね」
「うん。面倒だけど正規な取引とは言えなくなるから、差額は金銭で取引したことにする」
「そうね。でも事務所にはお金がないから……」
「晶羅が立て替えて晶羅に払ったことにする」
「茶番ね」
「社長が後で分割払いしてくれるはずだよ?」
僕はお道化た態度でそう言う。
それには菜穂さんも笑う。
傍観していた社長はいきなり被弾して顔を引きつらせる。
僕は社長に借金をさせたわけだ。
「晶羅に株式を分配して事務所の取締役にするってことでどうだ?」
「社長、アイドルを取締役にするのは悪徳アイドル事務所の常套手段だぞ?」
一応突っ込んでおく。
「社長の冗談は置いておいて、誰に融合をさせるべきかしら?」
「はい! はい! わたし! わたし!」
紗綾が名乗りを上げる。
選択肢としては盾戦力の紗綾か打撃戦力の菜穂さんが融合するべきだろう。
それは戦艦を防御戦力寄りで使うか攻撃戦力寄りで使うかということだ。だが……。
「今必要なのはブラッシュリップス艦隊の攻撃力アップなんだよね。
確かに菜穂さんの艦を戦艦化すれば攻撃力は上がる。
けど、元々菜穂さんの狙撃艦は戦艦並みのレールガンを持つポケット戦艦だから、戦艦化するメリットが若干低い。
紗綾の防宙艦を戦艦化すれば、防御と攻撃両面で使えるようになる。
今の前衛3の状態が前衛4に出来る。これはメリットが大きい」
「問題は速度ね。
紗綾の防宙艦は反応速度によって敵の攻撃を盾でいなして来たわ。
それが戦艦の巨体を持ってしまったら反応が鈍ることになる。
今までのような防御は出来なくなるわ」
「でも~、VPならばその巨体で防御出来るし~。ダメージも実際に受けるわけじゃないし~」
確かに。僕たちが戦力増強をはかる理由はCランクVPトーナメントで勝つためだ。
RPでやっては命に係わる戦術もVPなら無傷ですむという最大のメリットがある。
紗綾の防宙艦は最終的には体をはって防御するスタイルだ。
それはVPでしか出来ない戦術だった。
「なるほど、一理あるね」
「そうね。なら融合は紗綾ということで良いわね?」
「うん」「はい」「ん」
「やったー」
こうして紗綾の艦の戦艦化が決まった。
後はギルドの見積もりが終わりギルド税を払えば戦艦を引き取れる。
その戦艦を解体して部品とし、紗綾艦と融合させる。
どんな艦に仕上がるかは、紗綾の思いとDNAが決めることになるだろう。
そういや、僕の専用艦は勝手に融合したりして僕の思いを汲んでくれないな……。
いや、あれが僕の深層心理なんだろうか?
紗綾が言いたいのは売るのか引き取るのかという話だろう。
紗綾は言葉が足りないので僕達メンバーが行間を読む必要があるのだ。
僕も最近はそこそこ紗綾の言いたいことが推測できるようになった。
「この戦艦には撃墜権が設定されているわ。売ると5割が権利者に行って、売却税をギルドに1割払うから4割がこっちの取り分になるのよ。
売らずに手に入れようと思ったら、見積額の5割を撃墜権の権利者に、加えてギルドに1割の税金をこちらが払う必要があるわ。
残念だけど、うちの事務所は戦艦の6割の金額なんて払えないわよ」
「え~。せっかく融合して戦力アップだと思ってたのに~」
違った。誰が融合するのかという話だったらしい。
さすが菜穂さんは紗綾との付き合いが長いだけある。
実はその戦艦の撃墜権者は僕だから半分づつ所有ということに出来るんだけど、菜穂さんはまだ知らないんだよね。
「撃墜権の支払いは権利者と話し合えば物納が出来るはずですよ。上手く交渉すれば半分だけ手に入れる事が可能かもしれません」
綾姫、ナイスフォロー!
僕が権利者とわからないように交渉すれば、艦体と反応炉と推進機ぐらいの譲渡は出来る。
「そうね。SFO事務局に話を通してみるわ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
「権利者と回収した戦艦の分配交渉をお望みということですね?
そちらの撃墜権者はGN:アキラさんですね。連絡をとってみましょう」
菜穂さんがSFO事務局に問い合わせたところ、いきなり担当者が個人情報をバラした。
「はい?」
菜穂さんが僕のことをジト目で見る。
一応晶羅と晶羅は建前上は別人となっているんだけど、SFO事務局ではそれが芸名であることは知っているし許可も出ていた。
しかし、担当者レベルでその情報を知らされていたかとなると、おそらくある程度のレベルで情報が遮断されているようだ。
個人情報に関する扱いが担当者レベルでは軽かったことから、むしろ担当者に知らせていなくて正解だったと思った方が良いのかもしれない。
「いや、アキラなら知っているので直接話をします」
「では、ギルド税の1割だけ納入願いますね。
ギルドが見積後に請求書を送ると思いますので後で納入してください。
納入確認後、実物の引き渡しとなります」
僕らは手続きをすると事務所に戻った。
・
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「さて、晶羅ちゃん、どういうことかしら?」
菜穂さんが怖い。
「合法的に戦艦を引き渡す方法がこれしかなかったんだよ。
晶羅で撃墜した戦艦を晶羅が持っていたらおかしいんだからね?」
僕は必死に言い訳を考えた。
我ながら完璧な論理だ。
「なら回収前に話を通すことも出来たんじゃなくて?」
「うっ」
さすが菜穂さん、鋭い。
「そこは受け取ってもらえないかと思ったから……」
僕の言葉に菜穂さんがため息一つつくと笑顔を浮かべて言う。
「バカね。私達を実戦の危険から守ろうと思ったんでしょ?
戦艦を手に入れて融合すれば、私達がRPを続けようなんて言い出さないと思った?
まったく、詰めが甘いんだから」
「ごめん」
「それで、分配はどうしようと思っていたの? 綾姫もグルなんでしょ?」
菜穂さんが綾姫をジロリと見る。
綾姫を責めるつもりではなく、しょうがない子ねという感じだ。
「ブラッシュリップス艦隊に必要なのは戦艦の防御力と攻撃力だ。
戦艦の艦体を動かすには高性能反応炉と推進機が必須だから、それも含めて誰かの艦と融合させる」
「つまり艦体、反応炉、推進器をこちらの取り分にしていいってこと?
それだと分配報告書が金額的に問題になりそうね」
「うん。面倒だけど正規な取引とは言えなくなるから、差額は金銭で取引したことにする」
「そうね。でも事務所にはお金がないから……」
「晶羅が立て替えて晶羅に払ったことにする」
「茶番ね」
「社長が後で分割払いしてくれるはずだよ?」
僕はお道化た態度でそう言う。
それには菜穂さんも笑う。
傍観していた社長はいきなり被弾して顔を引きつらせる。
僕は社長に借金をさせたわけだ。
「晶羅に株式を分配して事務所の取締役にするってことでどうだ?」
「社長、アイドルを取締役にするのは悪徳アイドル事務所の常套手段だぞ?」
一応突っ込んでおく。
「社長の冗談は置いておいて、誰に融合をさせるべきかしら?」
「はい! はい! わたし! わたし!」
紗綾が名乗りを上げる。
選択肢としては盾戦力の紗綾か打撃戦力の菜穂さんが融合するべきだろう。
それは戦艦を防御戦力寄りで使うか攻撃戦力寄りで使うかということだ。だが……。
「今必要なのはブラッシュリップス艦隊の攻撃力アップなんだよね。
確かに菜穂さんの艦を戦艦化すれば攻撃力は上がる。
けど、元々菜穂さんの狙撃艦は戦艦並みのレールガンを持つポケット戦艦だから、戦艦化するメリットが若干低い。
紗綾の防宙艦を戦艦化すれば、防御と攻撃両面で使えるようになる。
今の前衛3の状態が前衛4に出来る。これはメリットが大きい」
「問題は速度ね。
紗綾の防宙艦は反応速度によって敵の攻撃を盾でいなして来たわ。
それが戦艦の巨体を持ってしまったら反応が鈍ることになる。
今までのような防御は出来なくなるわ」
「でも~、VPならばその巨体で防御出来るし~。ダメージも実際に受けるわけじゃないし~」
確かに。僕たちが戦力増強をはかる理由はCランクVPトーナメントで勝つためだ。
RPでやっては命に係わる戦術もVPなら無傷ですむという最大のメリットがある。
紗綾の防宙艦は最終的には体をはって防御するスタイルだ。
それはVPでしか出来ない戦術だった。
「なるほど、一理あるね」
「そうね。なら融合は紗綾ということで良いわね?」
「うん」「はい」「ん」
「やったー」
こうして紗綾の艦の戦艦化が決まった。
後はギルドの見積もりが終わりギルド税を払えば戦艦を引き取れる。
その戦艦を解体して部品とし、紗綾艦と融合させる。
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