【改訂版】異世界転移で宇宙戦争~僕の専用艦は艦隊旗艦とは名ばかりの単艦行動(ぼっち)だった~

北京犬(英)

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放浪編

085 放浪編4 PK

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 神澤社長のポケット戦艦が撃たれた。
撃ったのは自称自治会NPO代表の佐藤の戦艦、これは俗にいうPKだ。
佐藤は不祥事により自宅軟禁状態になっていたが、アノイ行政府の監視の目を盗んで逃げ、自らの専用艦で戦場に出て来たのだ。
佐藤の乗艦は僕と模擬戦VPをしたことのある、あの雷鳴艦隊の戦艦だった。
異常な活動家に戦艦キ〇ガイに刃物。最悪の組み合わせだった。

 僕は次元格納庫から外部兵装の長砲身40cmレールガンを取り出し、艦の右腕に装備する。
社長との約束を破ることになるけど、この期に及んでは構っていられない。
なんたって、社長が撃たれたんだ。
ここで手抜きで対抗しようなんて有り得ないだろう。

 長砲身40cmレールガンは全長100mほどの巨大兵器だ。
本来なら戦艦に装備される兵器のため、僕の全長250mの専用艦では持て余す。
そのため宇宙空間に浮遊させて、ほんの一部を専用艦の操作腕で掴む形で装備する。
エネルギーは腕の手首から伝導チューブが出ていてレールガン本体に接続する。
発射の反動はレールガン本体の重力アンカーで吸収されるので、ひ弱な細い腕でも保持出来るのだ。

 射撃補正装置の長距離射撃モードを起動し佐藤艦を狙う。
向こうがエネルギーをチャージする間に、僕の専用艦がエネルギーを急速チャージする。
急速チャージ出来るのは外部反応炉の有り余る出力のおかげだ。
撃たれる前に撃たなければならない。

 だが僕は人殺しの忌避感で撃つことを躊躇してしまった。
普通の日本人には躊躇なく人を撃つだけの覚悟なんて持って無いんだ。
敵艦にも人が乗っているのかもしれないが、今まではシューティングゲームの的としての意識しか僕にはなかった。
だが、目の前の戦艦には佐藤が乗っているとわかっている。
嫌な奴だが顔を知っているというのは、引き金を引くのを躊躇してしまうには十分なんだな。

 そうこうしているうちに佐藤艦が先にレールガンを発射してしまう。
躊躇した一瞬が貴重な先制攻撃の機会を放棄することになってしまった。
佐藤艦が撃ったこの弾が、また誰かを傷つけることになってしまうかもしれない。
僕は気持ちを切り替えてレールガンを発射する。

 対艦レーダーS型が弾体のコースをトレースし、佐藤艦のレールガンの弾に向け僕のレールガンの弾を誘導する。
佐藤艦と僕の専用艦の間でレールガンの弾体がはじける。
どうやら口径は僕の専用艦の方が上のようだ。
エネルギーを再チャージする。外部反応炉による急速チャージで僕の方の発射準備が先に整う。
今度は躊躇しない。精密射撃モードで撃つ!

 僕のレールガンの弾が佐藤艦に吸い込まれ、発射準備中のレールガンを直撃する。
電磁誘導路のレールが破壊され、佐藤艦は大口径レールガンが発射出来なくなる。
僕はこの隙にアノイ要塞に通信を繋ぐ。

『コマンダー・サンダース! レッド認定でいいか? 撃沈許可を求む!』

 返事がない。

『グハハ! 死ね! 死ね! 死ねー!!』

 狂った叫びと共に佐藤艦から無差別にミサイルが発射される。
距離が詰まると射程距離など関係なしに大口径ビーム砲が発射される。
地球人の艦どころか小領地混成軍の艦にまで少なくない被害が出る。
幸い射程外なので威力が減衰して大きな被害にはなっていない。
ミサイルも領軍艦隊の艦数より少ないので迎撃されて消える。

『コマンダー!!』

『待たせたな。反逆罪、味方に対する攻撃、有罪だ。
撃沈を許可する。やれるのか?』

『やるさ。社長の仇だからね』

 コマンダー・サンダースから撃沈許可が出る。
佐藤艦は急速に近づいて来る。
そのうちビーム砲の射程内に入る僚艦が出てくるだろう。
早いうちに叩かなければならない。
今有効打を与えられる長距離砲を持っているのは僕ぐらいのものだ。
僕は長砲身40cmレールガンの照準を合わせる。
人殺しか……。まあ敵艦にも人が乗っていたかもしれないから今更か……。
僕は祈りながらレールガンを撃つ。

「あ、あきら、駄目だ……」

 転送酔いでフラフラの社長から通信が入る。

「社長! 無事だったんだ!」

 長砲身40cmレールガンが発射される。
その巨大な弾体は佐藤艦に向かって行き、武装の集中している上部構造物をごっそり抉り破壊した。
社長が人殺しを止めてくれた。

「社長が無事なら殺すまでもないか。ああ、僕はメンタル弱いな……。
すてるす! エネルギー分配器をざっくりやって来い!」

 すてるすに装備した対艦刀を有意義に使うことにした。
僕には殺人なんてする覚悟も出来ていなかった。
その迷いを社長の一言が救ってくれた。感謝してもしきれない。

 だが、甘いのは僕たちだけだった。
アノイ要塞からの追っ手が放った無数のレールガンが佐藤艦に突き刺さる。
佐藤艦はすてるすの攻撃により動けなくなっていたが、その場で処分され爆散した。
佐藤は地球人の戦死者第一号になった。
転送回収システムは切られていたそうだ。

 一方神澤社長は……。
専用艦が破壊され、緊急収容でCICから転送回収艦に転送されたため怪我もなく無事だった。

「社長、無事で良かった」

「無事じゃねーよ! 俺の専用艦が大破してるじゃないか!
それに晶羅あきら、外部兵装は秘匿すると言ってたのに、もう使ったのか!」

「いや、社長が死んだと思ってつい……」

 僕の言葉に社長の頬が緩む。

「しかたない。俺が間に入ってやるよ」

 社長が照れ隠しで言う。

「ありがとう。社長」

 神澤艦はドック入りとなった。
当分戦うことは出来ないし、修理費が大変なことになりそうだった。

 防衛戦はカプリース領軍とグラウル領軍が競うように敵艦隊を迎撃し、小領地混成軍の所にはほとんど敵艦が来なかった。
カプリース領軍とグラウル領軍はかなり勇猛なようだ。
佐藤のPKのせいで艦を損傷した傭兵さんが大暴れ――空回りのやつ――したぐらいが地球軍の戦果だった。
何がなんでも修理費を稼ぐのだと言ってたそうだ。
傭兵さんは個人での参戦なので、アシスト程度しか戦果はなかったようだ。
これだけでは修理費が出るほど稼げたかどうかは微妙だ。


◇  ◇  ◇  ◇  ◆


 アノイ要塞初の迎撃任務も終わり、僕達は事務所に戻っていた。

「社長、大赤字だね」

 佐藤に専用艦を撃たれた社長が落ち込んでいたので一言声をかける。

「あの似非活動家め! 絶対損害賠償を請求してやる!」

 神澤社長が怒りまくっている。
逆ギレで攻撃されて死ぬところだったんだから怒って当然なんだけどね。

「いや、佐藤は死んだってよ。アノイ要塞側で転送しなかったから艦と運命を共にして終了だよ」

 僕は社長にとっては不幸な最新情報を教えてあげる。

「そうなのか……。おのれ最後まで迷惑かけやがって!」

 怒り続ける社長を避けて、僕はサポートAIの有機端末である愛さんに質問をする。

「社長の艦の修理費って、どのぐらいかかると思う?」

「800m級のポケット戦艦が大破なので、安くとも30億Gぐらいだと思われます」

 どうやら愛さんは最新情報を把握しているらしい。
社長の専用艦の破損具合から、その専用艦の諸元まで知り尽くしているようだ。

「うわ。地球の戦闘機よりは安いが、個人で払える額じゃないだろ。
アノイ行政府が逃がしたせいなんだから補填はないのか?」

 その見積もりを聞いた神澤社長が焦り、アノイ行政府に責任転嫁しだす。

「社長、落ち着いて。愛さん、何か安くする方法は?」

「ドックよりも時間がかかりますが、破損した部品を集めて融合すれば、艦の修復力ではずです」

 良かった。なんとか出来る方法があるじゃないか。

「僕の所に部品はある。艦をドックに置いておくだけでも凄いお金がかかるよ。早く格納庫に引き上げよう」

「そうだな。融合の修復力で。稼ぎに出れないのは困るが……」

 社長が安くつくと聞いて安心して落ち着いて来たようだ。

「それなら次元格納庫の巡洋艦を貸そうか? 安くしとくよ」

「おまえシビアだな……」

 社長が呆れて言う。

「部品代を言わないだけ優しいでしょ?」

「何そのコント……」

 綾姫あやめも僕たちのコントに呆れている。
僕が社長に大盤振る舞いしているのは、社長に洗脳ブレインハック対策を担ってもらっているからだ。
この重要課題にバックアップ体制がないのは厳しい。
帝国にしていた借金も完済しているので余裕もあるしね。
僕は地球では姉貴以外に親しい人間がいない。
だから親しく接してくれる他人とは極端に仲良くしたいという欲求が激しい。
まあ両親死亡後にあったバッシングの後遺症みたいなもんだ。
地球から離れたこの地で一生帰れないとしたら、僕と縁のある人間は社長とメンバーとマネージャーだけだ。
まあシューティングドリームは社長預かりだから、僕の中では他人に毛が生えた程度だけどね。
僕にとっていま大切な人は、この人達なのだ。ぼっちはもう嫌なんだな。

 僕はまた愛さんと知的遊びを始める。

「ところで愛さん、敵って何なんだ?」

「帝国の領土を侵す敵性勢力です」

「人なの?」

「それは禁則事項になっており、お答え出来ません」

 え? これも禁足事項?

「じゃあ、敵艦の仕様が帝国と互換性があるのはなぜ?」

「それは禁則事項になっており、お答え出来ません」

 まあそうなるか。

「じゃあ融合って何なの?」

「艦がDNAを取得し成長する現象です」

 え? 何それ? DNA?

「その取得するDNAって?」

「艦は搭乗者のDNAにより様々な装備を得ることが出来ます。
外部から持ち込んだ装備のDNAを取得することでも同様の成長が見られます。それが融合です」

「つまり敵艦には搭乗者のDNAがあるってことだね」

「はい。そのとおりです」

「ふーん」

 おいおい、遠回しにDNAを持っている何かが乗っていることを認めたぞ。
こうやって回りくどく質問すると答えに辿りつけてしまうんだな。

 やっぱり僕は知らないうちに知的生命体を殺しているのかもしれない。
そういえば次元格納庫に入れた損傷艦からは生物は分離されなかったな。
もしかすると帝国と同等の乗組員救助装置があるのかもしれない。
不明なのは鹵獲後直ぐにステーションに持って行かれた艦のみか。
これは愛さんに聞いても絶対に答えてもらえないな。
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