【改訂版】異世界転移で宇宙戦争~僕の専用艦は艦隊旗艦とは名ばかりの単艦行動(ぼっち)だった~

北京犬(英)

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放浪編

092.5 閑話・過去 姉 花蓮

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 両親が亡くなってから、私達姉弟きょうだいは世間のバッシングを受けた。
両親の研究室が燃えたとき、マスコミはその施設が遺伝子研究の最先端施設であったことを大々的に報じ、その危険性を有る事無い事騒ぎ立てた。
バイオハザードだなんだと、いかにも細菌兵器でも作っていたかのような妄想が繰り広げられ、亡くなった両親はマッドサイエンティストだったかのように扱われた。

 私達姉弟の存在はまあ特殊だった。
凍結受精卵を分割して生まれた双子なのに、誕生日が9年違って性別も違う。
私が生まれた8年後に、片割れの受精卵の性別を操作して子宮に戻されて、弟が生まれたというだけ。
だが、それを異常と受け取る人達がいるのだ。
どこから漏れたのだろう? 端からはただの姉弟にしか見えないはずなんだけど?

 別に声高に宣伝したわけでもないのに、マスコミが9歳差の双子・・・・・・を大騒ぎしたのだ。
世間は私達姉弟を珍獣扱いして好機の目で見た。まるで人扱いされていないような気分だった。
よっぽど9歳差の双子というのが物珍しいかったのだろう。
遺伝子実験の化け物。非人道的な科学実験の産物。
どこも噂で持ちきりで、私達姉弟の人権などというものは守られはしなかった。

 だが人の噂も七十五日と言うように、月日の流れにより世間はあっさり私達に興味を失った。
どこぞのアイドルが結婚した。誰々が不倫をした。そんな話題の方が大事らしい。
ありがたいことだ。
だが、世間が興味を失うまで、私達姉弟は引っ越しに継ぐ引っ越しで逃げまわらざるを得なかった。
近所の住人にバレると、まあ色々と嫌がらせをされた。
ホテルを転々として泊まるということも多く、両親が残してくれた遺産も保険金もほとんどそれで消費してしまった。

 今の仕事はそこそこの給料だけど、何か他でも稼がないと弟に贅沢をさせることも出来ない。
そこで目を付けたのが最近流行りだしたお金が稼げるゲーム、所謂eスポーツと呼ばれるものだった。
その中で最大のプレイヤー数を誇り、プロとして十分にお金の稼げるeスポーツ、SFOのプロゲーマーになることを私は決意した。
幸い、こういったゲームは昔から得意だったんだ。


◇  ◇  ◇  ◇  ◆


 私はSFOのプロゲーマーになった。
まさか、こんなことになっていたなんて……。
ビギニ星系のステーションに来て、私はSFOの真実を知った。
eスポーツなんて嘘だった。
宇宙人が自らの戦いに地球人を参加させるための偽装、それがSFOだった。
まさか3年契約で地球に帰れないなんて思いもしなかった。
断るなら記憶を消されて地球に戻れるということだったけど、悩んでいるうちに地球への帰還の機会は失われてしまった。
地球との間には次元跳躍門ゲートと呼ばれる転移装置があり、地球とビギニ星系はそれで繋がっているのだそうだ。
ただし、地球と繋がるのは週に1回だけ、準備してある物資や契約あけの帰還希望者が戻るので、早く決断しないと間に合わないのだと言われた。
騙すように連れてきて、帰るための決断まで急かされる。
なんて不親切なところなんだろう。

 でも私はお金を稼がなければならない。
私のミスで晶羅おとうとの入学金が未納になっていた。
一次入学金を払って終わりだと思っていた。
まさか二次入学金なんてものがあったなんて……。
このままでは晶羅おとうとは二学期を迎えられない。
幸いSFOは稼いだお金を地球に送金してくれるという。
ここで働けば晶羅おとうとの生活は守ることが出来る。
ああ、会社には連絡も出来ないから、当然解雇になるんだろうな。
やっと入った会社だけど、あそこでも私の生い立ちを知られてからは白い目で見られていたんだよな。
どこまで行っても差別がついてくる。
私達が何をしたって言うんだ。


◇  ◇  ◇  ◆  ◇


 一攫千金を目指すならRPに出るのが一番だというのはわかっていた。
一応、戦闘も自身があった。
だが、あのような事故に遭うなんて思ってもいなかった。
味方による誤射、そんなもので私の専用艦は損傷してしまった。
当然、相手から賠償してもらえる案件だが、相手にも払うだけのお金が無かった。
ここには損害保険なんてものはない。
被害賠償の請求権はあるが請求先に金が無かった。
無いもの払えないし払わない。待つだけ無駄だった。
つまり私の専用艦は修理も出来なくなってしまった。
このままじゃ晶羅おとうとに送金するお金も稼げない。

 彼が専用艦の修理代を肩代わりしてくれた。
入学金も貸してくれて、ステーションからの振込手続きもしてくれた。
これで晶羅あきらは安心して高校に通えるだろう。
でも、その代わりとしてSFO行政府の要請に応じて戦場に出て戦わなければならない。
幸い、私の専用艦は性能が良い。味方に足を引っ張られなければ勝てる。


◇  ◇  ◇  ◆  ◆


 ステーションが大規模な攻撃を受けた。
損害が酷いらしく、次元跳躍門ゲートで撤退するという。
晶羅おとうとが心配だ。ビギニ星系が敵勢力に占領されれば、地球への送金が止まる。
幸い、彼が親身になってくれている。
必ずビギニ星系を奪還し地球へと帰還させてくれるはずだ。

 ありがとうプリンス。私の愛しいひと
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