【改訂版】異世界転移で宇宙戦争~僕の専用艦は艦隊旗艦とは名ばかりの単艦行動(ぼっち)だった~

北京犬(英)

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領主編

114 領主編8 領地経営3 星系探査1

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 新たな領地を開発するため早急な近隣星系の探査を指示したわけだが、愛さんの指摘によりここに思いもよらなかった問題が発生した。

「え? 隣の星系でも惑星の有無を観測するのに年単位の時間がいるの?」

「はい。隣の星系でも最低10光年離れています。光速を出せる無人探査艦を送ったとしても到着まで10年です。
しかし獣人族彼らには光速を出せる艦はありません。亜光速を出しても100年の仕事になります」

 ああ、そうか。
帝国は次元跳躍門ゲートで恒星間移動していたんだった。
個々の艦は惑星間航行がせいぜいだったな。
つまり、彼らが新たな星系を手に入れるというのは、とんでもない年数がかかっている?

「いや、出向かずにこの場からの観測では無理なの?」

「光学観測では惑星の有無程度の直接観測しか出来ません。
それも長期観測で恒星の前を惑星が横切ったと認識出来る程度です」

「つまり?」

「公転周期の短い内惑星が観測出来ても、恒星の前を通るのに年数のかかる公転周期の長い外惑星は、よっぽどの幸運が無い限り100年経っても観測出来ないということです」

 ああ、そりゃ無理だ。

「うん。わかってきたよ。
早急に近隣星系の惑星の有無や種類を調べろってのは、獣人族にとって無謀な命令だってことね」

「はい。」

 帝国で星系開発がするには、工場惑星やステーション型要塞艦のような次元跳躍ワープ機関をもった超大型艦が探査する必要があるわけだ。
しかも有用な惑星がありそうだという見込みだけで動く博打の要素が強いのか。
次元跳躍ワープ機関は、たしか工場惑星で製造可能だけど、それを搭載運用しているのが超大型艦だとなると星系探査は厳しいか。

次元跳躍ワープ出来る工場惑星もアノイ星系開発で動けないし、防衛の要のアノイ要塞を探査に使うわくにもいかないな……」

 僕は愛さんの指摘に頭を抱えた。
みんな僕の命令には「はい」しか言えないのか……。
確かに出来ないことは「出来ない」と言うだろうけど、出来るなら100年かけても命令を実行しようとするわけね。
僕の命令はそこまで重いのか……。今後気を付けよう。

「となると、僕が星系探査を急がせたら……」

「工場惑星に次元跳躍ワープ機関搭載の要塞艦引き渡しの申請が来ます」

「それって既に?」

「はい。来ています」

 工場惑星は次元跳躍ワープ機関を作れる。
現に工場惑星はあの次元跳躍ワープして、僕たちをタタラ星系まで運んだことは記憶に新しい。
次元跳躍ワープ機関を複数持ってるので、それを修理維持しているということは、当然製造能力があるということだ。

「さすがに要塞艦引き渡しはないな」

「はい。なので次元跳躍ワープ機関を搭載できる戦艦の引き渡しか、次元跳躍ワープ機関そのものの引き渡しが検討されています」

 おお、戦艦の大きさなら次元跳躍ワープ機関が使えるのか。

「問題は次元跳躍ワープ機関搭載の戦艦を獣人族彼らに渡して良いのかと、戦艦を渡さないにしても次元跳躍ワープ機関を渡して搭載運用できるのかってことね。
さすがに次元跳躍ワープ機関搭載戦艦なんて渡せないし、せいぜい次元跳躍ワープ機関そのものを渡すぐらいだな。
獣人族に搭載可能な艦はあるのか?」

次元跳躍ワープ機関を搭載出来るのは対消滅反応炉を搭載しかつ1km以上の全長を持つことが最低条件です」

 対消滅反応炉必須か……。
それに大きさも条件に含まれるなら、僕の専用艦どころか神澤社長の専用艦でも無理ってことか。
案外ハードルが高いな。

獣人達彼らにその条件を満たす艦はあるのか?」

「ありません。彼らのDNAは身体強化を目的に弄られているため、艦の強化に関するDNAがそれほど揃っていないのです」

「DNAが艦を育てるというあれか……。地球人には戦艦持ちが多いけど、地球人は特別なのか?」

「はい。異常ともいえるほどレアなDNAを所持しています」

 その回答に僕の脳裏に嫌な予感が浮かんだ。
まさかと思うが、これが地球人誘拐の原因じゃないのか?
地球人のこのレアなDNAが欲しくなったら帝国はどうするだろう?
獣人たちのようにDNAだけ盗んで行くか、それとも……。ここにパズルのピースががっちり嵌まった。

「それでプリンスが地球人を誘拐していたわけだ」

「それは禁則事項になっており、お答え出来ません」

 おお、久しぶりのその台詞。

ケイン皇子プリンス制限は解けたんだから、それはもっと上位の皇帝制限かな?」

「それは禁則事項になっており、お答え出来ません」

 この時、僕はその可能性に気付いてしまった。
帝国が地球と接触して200年の歳月が経っている。
その年月の間に地球では神隠し的に行方不明になるなどの未解決失踪事件が発生している。
宇宙人に誘拐アブダクションされたと主張する地球人。
宇宙船の中で妊娠させられ子供を取り出されたと主張する女性。
そんな事件が半分際物扱いで取り上げられていた。
だが、それが全て真実だったら?

「遺伝子工学による強化よりも混血により新たな血を導入することでDNA強化をしようとしても不思議じゃない。
たしか帝国が地球にやって来てから200年。地球人の血が入った帝国貴族なんてのが既にいるんだろうな……」

「それは禁則事項になっており、お答え出来ません」

「いや、皇子に地球人とのハーフがいても不思議じゃないな」

「帝室機密に関わる内容のため、お答え出来ません」

 それ言っちゃうと「YES」と同じなんだよな……。
まあそこはいいや。

「話が逸れたね。現在次元跳躍ワープ機関を搭載出来る艦は何艦ある?」

「元ギルバート伯爵艦、アノイ要塞防衛艦隊の4艦、ステーション防衛艦隊の5艦、SFO所属の専用艦が20艦の合計30艦です」

「そのうち次元跳躍ワープ機関搭載済みの艦はあるのか?」

「ありません」

 防衛艦隊は帝国からの出向みたいなものだし防衛が任務だから、武装を外してまで次元跳躍ワープ機関を搭載させるわけにはいかない。
使えるのは元ギルバート伯爵艦とSFO所属の専用艦だけか。

「傭兵さんで戦艦を持ってる人はいる?」

「アノイ要塞組にはいませんが、ビギニ星系からRP参戦希望で近日中に移動してくる方の中にはいます」

 アノイ要塞組の傭兵さんはタカヲ氏他みんな気心が知れてるけど、新規参入の傭兵さんはどうかわからないな。
戦艦持ちでも佐藤みたいな奴はいたし、そんな奴に次元跳躍ワープ機関を持たせるのは危なすぎる。
テロリストに大量破壊兵器を渡すようなものだ。

「そうなると元ギルバート伯爵艦に次元跳躍ワープ機関を搭載して探査艦に改造することになるかな。
戦術兵器統合制御システムと次元通信で遠隔操作出来るよね?」

「はい。可能ですが次元跳躍ワープ中は遠隔操作出来ません。
その間になんらかの事故があった場合に対処不能です」

「やはり有人の方がいいのか。
誰か適任者を乗せてとなると、またその人の敵性問題が出て来るのか……」

「はい。強い力が人を狂わせるというのは世の常です」

 意外と信用できる人物って少ないんだよな。
僕がぼっちの人見知りというのも原因なんだけど。
身近な人物で考えると、紗綾さーやの専用艦なら大きさは満たしているけど対消滅反応炉を搭載していない。
あ、菜穂なほさんの専用艦は対消滅反応炉だな。
だが、次元跳躍ワープ機関を搭載するだけのエネルギースロットが空いていない。
武装を降ろすとなると、せっかく強化したのに本末転倒だ。
補機で熱核反応炉を搭載するとなると日数がかかってしまうし、社長の奥さん――名義上だけともいえないのが困りものだ――を危ないミッションに従事させるのも問題だ。

「うーん。僕の専用艦に次元跳躍ワープ機関を搭載出来ればいいのに……」

「載っていますよ?」

「はいぃ?」

「載っていますよ、次元跳躍ワープ機関」

「い、いつの間に?」

「この前晶羅あきら様の専用艦がレベルアップした時です。
元々次元格納庫を装備していたでしょう?
次元格納庫は次元装備の中でもレア中のレアです。
そこから次元跳躍ワープ機関に発展するなんて条件を満たせば直ぐです」

 あの時か!
それに条件?
そうだ、僕の専用艦は大きさの条件を満たしていない。

「ちょっと待って、確か搭載制限に全長1km以上ってあったよね?」

晶羅あきら様の専用艦は次元空間内に1km以上の艦体をお持ちです」

 次元空間内に艦体?
いろいろ放り込んだ物資のおかげで艦が成長してた?
それにこの前、ダグラス戦役で鹵獲した工場惑星分配分の1000艦の大艦隊を入れたっけ……。
すっかり忘れていたけど、材料には事欠かないな。

「ええっ! そんなことになってたの?
もしかして次元格納庫に入れた大艦隊ごと次元跳躍ワープ可能?」

「当然です」

 その瞬間一気に問題が解決した。

「つまり僕が星系探査に向かえばいいんだね?」

「そうなります」

「どうしてこうなった!」

「……」

「いや、待て。
かえでが戦艦持ちだ。あいつに手伝わせよう」

 灯台下暗し。身近なところに適任者がいた。
人は必死になると何らかの打開策を見つけるものだ。
僕は早速次元通信を送る。

かえでか? お兄ちゃんだけど、ちょっと遊びに来ないか?
お兄ちゃん海洋リゾート惑星を手に入れたんだ』

『直ぐ行く!』

 これで探査任務を分散出来る。
ああ、獣人族の探査命令は撤回しないと。
彼らには次元跳躍門ゲートを設置した後に仕事をしてもらおう。
次元跳躍門ゲートの運搬?
次元格納庫に入るだろ。
万能だからな。それぐらいではもう驚かないよ。
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