【改訂版】異世界転移で宇宙戦争~僕の専用艦は艦隊旗艦とは名ばかりの単艦行動(ぼっち)だった~

北京犬(英)

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領主編

117 領主編11 移民政策

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 僕はアノイ星系のアノイ要塞に帰って来ていた。
いま僕がいるのはご存知神澤プロモーションのアノイ支社だ。
AKR13(仮)星系を正式に命名しなければならないと僕は頭をひねった。
居住可能惑星が3つもあることから、3つの島がある楽園ティル・ナ・ノーグにしようと思ったんだけど、権利関係が面倒くさそうなので却下した。
次に思いついたトライスターもあの有名機体で商標登録されてそう。
まあ地球の法律を適用してどうするんだという話だけど、面倒事にはわざわざ寄り付かない方が良い。
その結果、ブラッシュリップスが、せっかく決まっていた新曲の発売休止とか、アイドル活動自粛なんてなったら目も当てられない。
神話系の名前なら大丈夫だろうと思っても、そこに宗教がからんだり、ゲームの名前として商標登録されてたり面倒事は多い。
その点、ギリシャ神話あたりは著作権の切れた物語扱いで寛容かもしれない。
ギリシャ神話に出てくる楽園といえばエリュシオンかな。
エリュシオンならあらゆる作品で使われてるし、特定の商品名の商標登録でなければ著作権フリー状態だろう。
響きも格好良くて好きな名前なんだよね。

「決めた。AKR13(仮)星系はエリュシオン星系と名付ける!」

 ここに第6皇子主星系エリュシオンが誕生した。
姉貴の行方も探さないとならないし、誘拐された地球人も奪還しないといけない。
だけど、それをするには今以上の力が必要だ。
焦って負けるより、じっくり力を蓄えて勝つ方を選ぼう。
新しい星系を得たことは、愛さんを通じて帝国に申請を上げる。
そこで第6皇子領と登録されてお終い。
一応、AKR01からAKR12も申請をしておく。
まだ開発しないにしても、所有権は確保しておいた方がいいだろう。
AKR01みたいな隣の星系が敵対勢力のものになってしまったら、戦略上も困ることになる。

「さて居住可能惑星はあっても、人が居ない状況をなんとかしないと……。
自然のままに生産されている資源も、誰かが回収しなければ分配も出来ない」

 まず最初に住民となってくれそうなのは真・帝国の人達だと思っていたのだが……。
帝国――簒奪帝国ね――の目につくのを避けたいらしく、断られてしまった。
移民するなら僕が皇帝の座を奪還してからということらしい。
官僚だけでも送って欲しいとお願いしたら、それは手配してくれるそうだ。
代官は決定だな。

 次の候補は獣人族の小領地の皆さん。
彼らは喜んで移住してくれることになったが、全員での移住でも人数は各部族せいぜい万単位でしかない。
億の人が移住してもまだ土地があり余る惑星が3つもあるとなると、せっかくの資源も手付かずで終わってしまう。
特に農業漁業畜産業は収穫もされず、資源が無駄になっている状況だ。
食料輸出をしようにも収穫する人がいないんじゃ外貨も稼げない。

「人は石垣人は城と武田さんが言っていたけど、まさに人がいないとどうにもならない」

 次に考えたのは帝国領からの移民募集。
これは拙いらしい。人は資源であり領民流出は領地の経済力を下げることと同じ。
つまり宣戦布告に等しい行為らしい。
確かにそうだ。上位皇子は直接戦闘よりも経済戦争をして優劣を競っているそうだし、彼らに敵対行為と取られたら若輩者の僕にはやば過ぎる。
もう少し皇子達と仲良くなってお伺いを立てなければ無理な案件だ。
それにそんな状況でわざわざ移民を許可してくれるような皇子や貴族は、絶対に何かを企んでいる。
スパイを送り込んで来るのは間違いない。
内部から食い破られると出来たばかりの我が領はひとたまりもない。

「人口爆発で食料の奪い合いになりつつある地球からの移民が一番理想的なんだけど……。
ケイン元皇子プリンスみたいに誘拐となるのは避けたい。
これはちょっと問題があるなぁ」

 地球からの移民に腰が引けるのは、移民たちに騙されたと思われると、僕とケイン元皇子プリンスが同じ穴の狢となってしまうからだ。
自己中なテロリストや利益のみを追求する歪んだ資本主義の人達が入るのも困る。
儲けるのは結構だけど、人権を踏みにじったり、人から奪ったりのブラックな利益追求は違うと思うのだ。
社会貢献。人を幸せにするために仕事をし、それが利益になるというのが僕の理想だ。
甘いかもしれないけど、どうせ僕はそんな理想しか追求出来ない人間なんだ。
よし此方が悪条件でも来たいという人がいれば連れてくることにしよう。
生まれた時には国を選べない。逃げ出したい人はいるはずだ。
そしてこんな求人が地球各所でなされることとなった。

【移民募集:職種 農業・漁業・畜産業。超遠隔地の田舎。娯楽施設なし。
農業は豊かな農地・農具支給。漁業は豊かな漁場の漁業権と船・漁具支給。畜産業は家畜と畜舎・道具支給。
収穫に応じて分配金が支給されます。
仮住まいの簡易住居は用意しますが、土地を支給しますので自ら好みの家を建てることをお薦めします。
現地までは当方で送迎します。住宅補助有り。初年度食料補助制度有り】

 こんな変な募集で来るような奇特な人なら異世界転移だろうが受け入れてくれるだろう。
これはSFOスタッフが片手間でも簡単に出来る仕事だろうと、僕は思っていた。

「どうしてこうなった?」

 宗教戦争のとばっちりで住む場所を無くした難民。
独裁者に虐げられ声も上げられなかった庶民。
生来の身分制度で虐げられ、その立場から脱したいと望む人達。
自国の閉塞感から逃げ出そうとする都会人。
出稼ぎでお金を送れるなら何処でもいいという逞しい人達。
持たざる者でも応募さえすれば何らかの物を手に入れられる。
それだけでとんでもない人数が応募して来た。
ドイツが手厚い保護で難民が殺到したように、うちの条件もかなり良かったらしい。
しかも命がけの脱出を必要としない送迎付き。至れりつくせり?

 だが、このままだと騙して連れてくるようなもの。
他星系への移民だと教えて、それでも移民したいなら連れて行って、難色を示すなら記憶を消して帰ってもらおう。
そこらへんSFOでもやっていることなので、ステーションではお手の物だからね。

「ところで誰の仕事だよ? 募集地域の選択がおかしい。
戦闘地域や独裁国家でどうやって募集した?
それとどうやって現地で選別するんだよ。
え、そこらへんはもう保護した?
ああ、待ってる間に死んじゃうからね……」

 閑話休題それはさておき、選別の方法は工場惑星より嘘発見器が提供されたのでそれを使用した。
地球で言う発汗や緊張を計測するポリグラフのやつではなく、謎の技術による精神波測定で嘘を見抜くのだとか。
現地で選別作業をしていくと、さすがにいろいろ変な人が混じっている。
貰うものだけ貰って売って逃げてしまえばいいと思っている連中がいた。
行先は宇宙の彼方だよ? 行ったら逃げる場所は無いよ?
帰りの運賃は貰った物を売った金額で返してもらうからね?
それより、彼らが名前含めて嘘ばっかり言っているという反応なんだが、機械壊れてる?

「この集団は危険だ。不採用」

 他にもそんな豊かな土地があるなら奪ってやろうという軍事国家のスパイも混ざっている。
スパイ活動をしても本国と連絡つかないよ?
しかも宇宙の彼方にどうやって侵略軍を送るつもりだ?
こっちは地球の法律で裁かないからね?
あ、軍事国家の法律の方が怖いですか。
というか法律無視して指導者の一存で逮捕処刑だもんね。
知らないって怖い。でもそうまでする人間の欲がもっと怖い。

「難民であれば採用だけど、スパイは排除しないと」

 そして出しゃばる自称自治会のお友達。そこにもいたんかい!
変な人達には記憶消去してお帰り願おう。
他は来るものは拒まず、変なことを仕出かしたら、これも記憶消去して強制送還でいいかな?
あくまでも彼らは国民ではなく出稼ぎなんだと認識するべきだろう。

「嫌なら奉公あけで帰国。SFOプレイヤーと同じ扱いだ。
もしそのまま移民として定着してくれればありがたい」

 移民を入れても治安維持や行政手続き等々、他にも人手が必要になっていく。
ステーションでも結構行政サービスが充実してたからね。
あのレベルをゼロから作るって大変だわ。
誰か経験者に丸投げしたいところだ。

「僕は15歳なんだよ? そんなの無理だって……」

 ふと横を見ると愛さんがいた。

「愛さん助けてよ。 あっ!」

 そこで僕にとんでもないアイデアが舞い降りた。

「これだ! 行政の役人をAIの人型端末にすればいいんだ」

 早速工場惑星に手配だ。役人型ロボット(外観地球人)と警備ロボット(外観地球人)を製造する。
言語は地球全般と帝国公用語。役人型は行政知識付与。警備型は格闘技制圧術ナビゲーション機能付与。
サポート用の電脳を用意して常にデータリンクするように。
緊急事態には人で対処せざるを得ないから集中制御室で対応させる。

 ステーションやアノイ要塞の施設は国家の縮図だった。
あれを参考にすれば必要な施設が見えてくる。
金銭の遣り取りは電子マネーでいけるな。住人にはあの腕輪を支給しよう。
作物を出荷すると腕輪に電子マネーが入り、その電子マネーで商店の品物が買える。
これなら食料配給もチケット制に出来るし横流しも不可能になる。
あの自称自治会の不始末を二度と起こさせるもんか。
さらに同じ地域に全く違う国の人間が住むことになり、言語の違いも腕輪さえあれば通訳可能だ。
宗教的民族的文化的に対立している人達は別々にしないとならないな。

「とりあえず職種分けと行政商業施設、簡易住宅を早急に建てないとならない。工場惑星の生産力をそっちに回して欲しい。
あーもう。輸送もどうにかしないと。旅の間の食料も確保しないと。あーー。誰か丸投げ出来る人はいないもんか?」

 その時、僕の脳裏にある人物が浮かんだ。

「社長、いや准男爵、ちょっと頼みがあるんだけど」

 最近、人を騙しまくってるなと反省。
社長には見返りをたんまり用意しよう。
ああ、かえでも海洋リゾート惑星に連れて行かなければならないな。 
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