【改訂版】異世界転移で宇宙戦争~僕の専用艦は艦隊旗艦とは名ばかりの単艦行動(ぼっち)だった~

北京犬(英)

文字の大きさ
131 / 199
領主編

127 領主編21 研究所2

しおりを挟む
SIDE:ラーテル陸戦隊

 俺達ラーテル陸戦隊は強襲揚陸艦で小惑星に作られた研究所に向かった。
港湾施設は若様の専用艦が施設の電脳を制圧しているので解放されていたが、奥の扉はマニュアルで物理的にロックされていた。

「突破する!」

 強襲揚陸艦の艦首衝角ラムを港湾施設奥の隔壁に突っ込み、空いた穴の隙間を瞬間的に固まる充填剤で塞いだ。
艦首にある注入口から空気を注入、内部の空気圧を上げる。
どこかの密閉が破れていれば空気圧が下がるので判るはずだ。
空気圧を確認。

「気密確認。突入!」

 艦首ハッチを開きフル武装のラーテル陸戦隊が突入する。
全員パイロットスーツの上にボディアーマーを着けヘルメットを装着した宇宙突撃服姿だ。
これは再度気密と毒物等の有害物質の有無を確認するための気密服だ。

「クリア!」

 ラーテルの兵達はヘルメットを脱ぎランドセル上部の格納場所にしまう。
手にはサブマシンガン。
通路の安全を確認すると、突入口前にバリケードを設置して橋頭堡を次々と確保する。
今のところ武力による抵抗は無いが、抵抗があるものとして行動している。
油断が死を招く。武器を持っていなくても体術で人は殺せるのだ。
俺達は施設の制圧を開始する。


「動くな!」

 目の前に研究員が飛び出してくる。武装はしていない。
その顔がこちらを向くと恐怖に引きつる。
彼は部隊マークを見ている。

「ラ、ラーテル!」

 研究員は気を失った。
俺達の勇猛さは帝国にも轟いている。特に格闘術の強さは恐怖の的らしい。
研究員が飛び出してきた部屋の中を見ると、その声を聞いた他の研究員が一斉に手を上げている。
みんなガタガタ震えている。
そんなにラーテルが怖いのか?
まあ、制圧が容易たやすいから気にするのはやめよう。

「所長のゲールは何処だ?」

「しょ、所長室」

 研究員が指をさす。
俺は部下に研究員の捕縛を任せ所長室に向かう。

 所長室の扉は若様による研究所の電脳制圧でロックされていた。
所長が逃げないようにという配慮だろう。
そのロックが自動的に解除される。
おそらく若様が制圧したカメラで我々の行動を把握されて、先回りで解除してくださったのだろう。
所長室の扉を10cmほど開ける。
俺は内部偵察用のドローンをその隙間から進入させる。
腕輪から仮想スクリーンを投影し内部映像を見る。

「いたぞ。武装はしていない。カウントゼロで扉を開け突入する。5・4・3・2・1・突入!」

 突入と同時に所長と思われる人物の頭上に向けサブマシンガンを連射する。
向こうの動きを止めさせる脅しだ。
所長は銃撃に怯え頭を抱えてうずくまった。
その隙に距離を詰め所長を確保する。
立派な防衛機構があったようだが、若様に電脳を制圧されて機能していなかった。

「所長確保!」

 その後全ての部屋を確認し研究所の制圧は完了した。
捕虜となった研究員はゲール所長を含め25人。
地球人拉致被害者本人は確認されず。
クローンは20名を確認。キース8名、エマ7名、ショウマ5名。
ショウマはSFO4代目チャンピオンのショウマ・スズキのクローンだ。
エマ5名、ショウマ5名は培養槽の中だった。
キースは全員おっさんまで成長済み。エマも2名は本人と同じ外観年令になっている。
だが人格コピーが不十分なようで中身がやっぱり4歳児だった。
まあ、それでクローンだと確認出来たわけだが……。


◇  ◇  ◇  ◇  ◆

SIDE:晶羅あきら

 あきらはラーテル陸戦隊に制圧された小惑星の研究所に降り立った。
まず聞かなければならないことがある。
ボディチェック済みの研究員を大部屋に集め僕は質問した。

「地球人のSFOチャンピオン本人はどこだ?」

 研究員が顔を見合わせる。1人の女性に視線が集中する。
するとその女性がヤレヤレという肩を窄めるジェスチャーをすると話し出した。

「本人には会った事がないわ。DNAサンプルが回ってきただけ。
我々はそれを材料に研究していただけで、本人は一度足りともここに来たことがないはずよ」

 どうやら所長を抜かすと彼女が一番の事情通らしい。

「では、培養槽のクローンの成長を止められるか?」

「それは簡単に出来るわ。どうしてそんなことを?」

 女性が不思議そうな顔をして尋ねる。

「子供は無理やり成長させるもんじゃないからね」

「へぇ。わかったわ。今直ぐ作業にかかってよろしくて?」

 僕が頷くと、彼女は面白がるような目で僕を見ると研究員の何人かに指示を出した。
研究員が立ち上がるとラーテルの兵士が研究員の後に付いて行った。

「培養槽から出てしまっているクローンは子供に戻せるか?」

 彼女は少し考え込むと僕の目をじっと見て話し出した。

「出来ないことはないけど、この研究所でも準備と実作業で時間がかかるわよ」

「出来るのなら、我々が確保しているキース2名、エマ2名も子供に戻してくれ」

「エマは3名じゃなくて?」

「1人は亡くなったよ」

 彼女の顔が悲しみに歪む。
そして怒りの表情を見せる。

「だからまだ早いって言ったのに……」

 彼女は自分が止められなかったことを悔やんでいるようだ。
これは此方の力になってくれるかも。

「あなたの名前は?」

「アリソン=スコル=ヒーリー」

「アリソン、君はこのようなことがしたくて研究者になったのか?」

「いいえ。言う機会が無かったから今伝えるけど、我々のほとんども誘拐されてここにいるのよ」

「なんだって?」

 僕は後ろを向くと腕輪と専用艦経由で次元通信を使い小声で愛さんに問い合わせる。

『愛さん、アリソン=スコル=ヒーリーに関する情報を検索してくれ』

『了解しました。アリソン=スコル=ヒーリー、ヒーリー伯爵家令嬢。遺伝学者。5年前に行方不明』

『行方不明なんだな?』

『はい。誘拐が疑われましたが、身代金請求もなく迷宮入りとなっています』

 なんてことだ。非合法組織の研究員も非合法に集められていたのか。

「アリソン、君が行方不明となっていることを確認した。他の研究員も誘拐被害者なんだね?」

「ほとんどそうね。違うのはゲール所長とその取り巻き」

「そいつらは隔離する、教えてくれ」

 アリソンの指示の下、僕は非合法組織の構成員共犯を分離した。
さて、彼らの扱いに困ったぞ。

「アリソン、この研究所で行われていた事は非合法な活動だ。
強制されたとはいえ君らには裁きが待っている。
だが、今後子供たちのために協力するなら恩赦を与えるように取り計らおう」

「ええ、協力させてもらうわ。他のみんなも異存はないはず。彼らのやり口には皆我慢できなかったから」

 研究員のみんなが協力を誓う。皆恩赦の言葉に喜び、継続される研究は人助けなので、建設的なやりがいのある仕事に燃えているようだ。
一部、歓迎していない研究員もいるようだが……。

「クローン達に微妙な差異を加えられるか? 別人格の違う人間として育ててやりたい」

「遺伝子導入で出来ると思うわ。やってみる」

「頼む」

 僕が頭を下げると、アリソンは驚いた顔をする。
僕の立場は教えていないけど、ラーテル達が若様と呼んでいるので偉いことは理解しているのだろう。
そのお偉いさんが頭を下げたのが珍しいということだろうか?
そして彼女は何かを決意した顔に表情を改めると、僕に訴えて来た。

「それと、実家にはまだ連絡しないで」

「どうして?」

「実家の力で連れ戻されたら子供達に償いが出来ないわ」

 アリソンは良い笑顔で言う。

「わかった。ヒーリー伯爵とは面識がないが、怒られ役は僕が引き受けよう」

「ありがと」

「ラーテル隊の君、研究員のリストを作成し愛さんに連絡し素性を確認しろ。
僕は所長の尋問に向かう。隊長、同行してくれ」

「了解しました」

 さて次は所長のゲールだ。
黒幕に繋がる情報を吐かせてやる。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

異世界きたのに、冒険者試験で詰みました。

アセチルサリチルさん
ファンタジー
【追放もざまぁも無双もない。あるのは借金と酒と笑いのみ!】 お父さん。お母さん。 あなたたちの可愛い息子は―― 異世界で、冒険者になれませんでした。 冒険者ギルドでのステータス鑑定。 結果は「普通」でも、 固有スキルは字面最強の《時間停止》 ……なのに。 筆記試験ではギルド創設以来の最低点。 そのまま養成所送りで学費は借金三十万。 異世界初日で、多重債務者です。 ……なめてんのか、異世界。 ここで俺たちパーティのイカれたメンバーを紹介するぜ! ケモミミ用スキルが初日で無駄になったバカ、タクヤ。 魔力制御が全くできない厄病神のバカ、リーシャ。 実は厨二病で呪い装備しか愛せないバカ、オルファ。 そして――スキルで時間を止めても動けないお茶目な俺、ユウヤ。 うーん! 前途多難! これは―― 最強でも無双でもない。 理不尽な世界で、借金と酒と事故にまみれながら、 なんだかんだで生き延びていく話。 追放? ざまぁ? 成り上がり? そんなものはございません。 あるのは、 愛すべバカどもが織りなすハートフルな冒険譚のみ。 そんな異世界ギャグファンタジーがここに開幕!

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

処理中です...