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遠征編
153 遠征編18 帝国人の民度
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「それは証拠映像が帝国データベースに上げてあるので見れば一目瞭然でしょ?」
帝国本星系へのニアヒューム侵入を阻止した僕たちは、なぜか帝都で拘束されて尋問を受けていた。
僕は同じことを何度も何度も質問されて辟易していた。
皇帝が重症を負うという大事件なのはわかるけど、証拠が目の前にあるのにそれを無視して噂話で追求を受けるのは納得出来なかった。
僕とカイルは事情説明という名目で隔離され尋問されていた。
まるで皇帝暗殺未遂の容疑者扱いだ。
それは宰相の一言から始まった。
「第6皇子アキラがニアヒュームのスパイだという証言があります。
彼が皇帝陛下暗殺を企てたのかもしれません」
もうアホかと。
誰かさんが自分の艦隊がニアヒュームに寄生されるという大失態を隠すために根も葉もない噂をたてたとしか思えない。
そんなアホな噂を宰相という立場の人間が公に語ったため、僕を英雄扱いしていた世論が突然バッシングに変化した。
僕はあまりの民度の低さに衝撃を覚えた。
「だから皇帝陛下を暗殺したいならニアヒュームと全面的に戦わせて戦死させればいいでしょ。
僕は合計100万近いニアヒュームを倒したんだよ?
敵侵攻勢力の半分以上なんだからね?
どうしてその僕が敵のスパイなのさ」
呆れてものが言えないとはこのことだろう。
帝国は恒星間航行技術を実現する科学技術を持っていながら、帝国人の文化レベルや民度は地球の中世に近い。
いや、中世レベルの人々が恒星間航行技術を手にしてしまったと言った方がいいのかもしれない。
宰相ともあろう人が、噂話だけを耳にして知った気になって批判するとは、自分の影響力をどう考えているのだろうか?
好き嫌いで物事を判断したり、派閥の論理を持ち出したり、やり方の程度が低すぎるんじゃないか?
民衆も民衆で、宰相が批判したら手のひらを返すのか?
思考誘導というか国民扇動というかあまりにも短絡的すぎやしないか?
映像を見た素直な気持ちはどこへ行った?
宰相が言うならと流されて批判に回るって、それまでの自分の気持ちは嘘だったのか?
僕は帝国の実態がやっとわかった。
現帝国は旧帝国から地位と文明を簒奪して成立した国家だ。
つまり帝国が持つ文明の数々は旧帝国の遺産であり、現帝国が作り上げた文明ではない。
そのため現帝国民は使っている科学文明とは程遠い文化度や民度しか持ちあわせていないのだ。
野蛮人が文明人を滅ぼし、その文明を掠め盗った。
そしてそのまま野蛮人の文化で恒星間国家を運営しているんだ。
だから僕が戦術兵器統合制御システムを使ってあのように情報提供したことに皇帝ですら驚いたんだ。
そんな使い方があることも思いつかず、創意工夫するという気も全くない。
科学文明はブラックボックスであって、知っている使い方しか出来ないし工夫も発展もさせようとしない。
生まれ持ったDNAにレアな遺産――新装備やレア装備――が含まれていたら大当たりという感覚なんだ。
そういや遺伝子実験をしていたゲールも旧帝国の末裔だった。
現帝国人達はその助手は出来ても、独創からの実験を主導することは出来ないんだろう。
「いいかげん怒るよ? これ以上は証拠を持って来ない限り協力しない。
証拠も無しに侮辱するなら宰相に決闘を申し込む!」
「そんなことを言っていいのですかな?
例え皇子殿下でも喋りたくなる方法を使ってもよいのですよ?」
宰相の威を借りた尋問官が脅してくる。
喋りたくなる方法とは拷問だろう。
もういい加減付き合うのがバカバカしくなった。
「それは僕に対する挑戦ととっていいんだな?
宰相共々もう後戻りは出来ないぞ?」
「ふん。どうせここからは出られませんよ。
その生身で決闘なんて出来るのですか?」
「わかった」
もう付き合ってられない。
こっちこそ態度を改めたくなる方法を取ってやる。
「この会話は全て記録したな?」
『はい』
腕輪で通信を送ると専用艦の電脳が答える。
「よし転送だ。転送場所は専用艦CIC。戦闘態勢を取れ」
僕は転送によって専用艦CICに移動した。
僕の専用艦には跳躍弾という次元跳躍弾がある。
その機能を応用することで個別転送が可能だと気付き実現させていたのだ。
既にジェーンと美優も新鋭護衛艦でスタンバイしている。
『ジェーン、美優、帰ろう。
次元跳躍の間、しばらく次元格納庫に入ってもらうよ』
『わかった』『ん』
新鋭艦が次元格納庫の有効範囲に入ると姿を消す。
次元格納庫入りしたのだ。
『カイル、無事かい?』
『僕は大丈夫だ。こいちらの事情説明は普通に終わった。
君のような酷い尋問は受けていない』
カイルには尋問の映像を送っていた。
それを見て自分との対応の違いに驚いたようだ。
『アキラ様、私も連れて行ってください』
カイルとの通信にステフが割り込んで来た。
専用艦に乗って発進して来たようだ。
『そうだ。妹を頼む。
君の嫁だからと人質にされ、君に自白を強要する道具にされるかもしれないからな』
『わかった。預かろう。
これ以上言いがかりをつけるなら宰相は倒すことになる。
カイルにも迷惑をかけることになるな』
『かまわん。なんなら加勢する。
妹を守るためという言い訳もあるしね』
カイルはそれを見込んでステフを預けて来たのか。
『ステフには今後苦労をかけることになるが、僕と一緒に来ていいんだな?』
『はい。それが嫁の務めです』
ステフもそれがわかっていて来てくれる。
有難いことだ。
しかし、宰相の一派は腐ってるな。
文化や民度が中世なら中世らしい解決方法でやってやる。
これ以上誹謗中傷をするならイーサンもろとも宰相、覚悟しておけよ。
お知らせ
150話においてルーカスとイーサンを混同した記述がありました。
オースティン伯爵はイーサンの家臣でルーカスの家臣ではありません。
それをルーカスの家臣として記述してしまいました。
迷惑をかけたルーカスの配下は2番目に自爆したカストロ伯爵に変更しました。
帝国本星系へのニアヒューム侵入を阻止した僕たちは、なぜか帝都で拘束されて尋問を受けていた。
僕は同じことを何度も何度も質問されて辟易していた。
皇帝が重症を負うという大事件なのはわかるけど、証拠が目の前にあるのにそれを無視して噂話で追求を受けるのは納得出来なかった。
僕とカイルは事情説明という名目で隔離され尋問されていた。
まるで皇帝暗殺未遂の容疑者扱いだ。
それは宰相の一言から始まった。
「第6皇子アキラがニアヒュームのスパイだという証言があります。
彼が皇帝陛下暗殺を企てたのかもしれません」
もうアホかと。
誰かさんが自分の艦隊がニアヒュームに寄生されるという大失態を隠すために根も葉もない噂をたてたとしか思えない。
そんなアホな噂を宰相という立場の人間が公に語ったため、僕を英雄扱いしていた世論が突然バッシングに変化した。
僕はあまりの民度の低さに衝撃を覚えた。
「だから皇帝陛下を暗殺したいならニアヒュームと全面的に戦わせて戦死させればいいでしょ。
僕は合計100万近いニアヒュームを倒したんだよ?
敵侵攻勢力の半分以上なんだからね?
どうしてその僕が敵のスパイなのさ」
呆れてものが言えないとはこのことだろう。
帝国は恒星間航行技術を実現する科学技術を持っていながら、帝国人の文化レベルや民度は地球の中世に近い。
いや、中世レベルの人々が恒星間航行技術を手にしてしまったと言った方がいいのかもしれない。
宰相ともあろう人が、噂話だけを耳にして知った気になって批判するとは、自分の影響力をどう考えているのだろうか?
好き嫌いで物事を判断したり、派閥の論理を持ち出したり、やり方の程度が低すぎるんじゃないか?
民衆も民衆で、宰相が批判したら手のひらを返すのか?
思考誘導というか国民扇動というかあまりにも短絡的すぎやしないか?
映像を見た素直な気持ちはどこへ行った?
宰相が言うならと流されて批判に回るって、それまでの自分の気持ちは嘘だったのか?
僕は帝国の実態がやっとわかった。
現帝国は旧帝国から地位と文明を簒奪して成立した国家だ。
つまり帝国が持つ文明の数々は旧帝国の遺産であり、現帝国が作り上げた文明ではない。
そのため現帝国民は使っている科学文明とは程遠い文化度や民度しか持ちあわせていないのだ。
野蛮人が文明人を滅ぼし、その文明を掠め盗った。
そしてそのまま野蛮人の文化で恒星間国家を運営しているんだ。
だから僕が戦術兵器統合制御システムを使ってあのように情報提供したことに皇帝ですら驚いたんだ。
そんな使い方があることも思いつかず、創意工夫するという気も全くない。
科学文明はブラックボックスであって、知っている使い方しか出来ないし工夫も発展もさせようとしない。
生まれ持ったDNAにレアな遺産――新装備やレア装備――が含まれていたら大当たりという感覚なんだ。
そういや遺伝子実験をしていたゲールも旧帝国の末裔だった。
現帝国人達はその助手は出来ても、独創からの実験を主導することは出来ないんだろう。
「いいかげん怒るよ? これ以上は証拠を持って来ない限り協力しない。
証拠も無しに侮辱するなら宰相に決闘を申し込む!」
「そんなことを言っていいのですかな?
例え皇子殿下でも喋りたくなる方法を使ってもよいのですよ?」
宰相の威を借りた尋問官が脅してくる。
喋りたくなる方法とは拷問だろう。
もういい加減付き合うのがバカバカしくなった。
「それは僕に対する挑戦ととっていいんだな?
宰相共々もう後戻りは出来ないぞ?」
「ふん。どうせここからは出られませんよ。
その生身で決闘なんて出来るのですか?」
「わかった」
もう付き合ってられない。
こっちこそ態度を改めたくなる方法を取ってやる。
「この会話は全て記録したな?」
『はい』
腕輪で通信を送ると専用艦の電脳が答える。
「よし転送だ。転送場所は専用艦CIC。戦闘態勢を取れ」
僕は転送によって専用艦CICに移動した。
僕の専用艦には跳躍弾という次元跳躍弾がある。
その機能を応用することで個別転送が可能だと気付き実現させていたのだ。
既にジェーンと美優も新鋭護衛艦でスタンバイしている。
『ジェーン、美優、帰ろう。
次元跳躍の間、しばらく次元格納庫に入ってもらうよ』
『わかった』『ん』
新鋭艦が次元格納庫の有効範囲に入ると姿を消す。
次元格納庫入りしたのだ。
『カイル、無事かい?』
『僕は大丈夫だ。こいちらの事情説明は普通に終わった。
君のような酷い尋問は受けていない』
カイルには尋問の映像を送っていた。
それを見て自分との対応の違いに驚いたようだ。
『アキラ様、私も連れて行ってください』
カイルとの通信にステフが割り込んで来た。
専用艦に乗って発進して来たようだ。
『そうだ。妹を頼む。
君の嫁だからと人質にされ、君に自白を強要する道具にされるかもしれないからな』
『わかった。預かろう。
これ以上言いがかりをつけるなら宰相は倒すことになる。
カイルにも迷惑をかけることになるな』
『かまわん。なんなら加勢する。
妹を守るためという言い訳もあるしね』
カイルはそれを見込んでステフを預けて来たのか。
『ステフには今後苦労をかけることになるが、僕と一緒に来ていいんだな?』
『はい。それが嫁の務めです』
ステフもそれがわかっていて来てくれる。
有難いことだ。
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文化や民度が中世なら中世らしい解決方法でやってやる。
これ以上誹謗中傷をするならイーサンもろとも宰相、覚悟しておけよ。
お知らせ
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