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遠征編
154 遠征編19 プロパガンダ映像
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『カイル、君は皇帝陛下を警護して。
宰相が陛下の娘にまで手を出しかねない奴なら陛下が危ない。
僕は僕の主星系で戦の準備をする。
イーサンがどのようなつもりか判らないけど戦いになると想定して動くつもりだ』
『わかったよアキラ。
宰相が謝罪しないなら皇帝陛下に仇なす人物として僕も参戦する。
ヘンリーにも話をつけよう』
『まず情報戦で叩くから楽しみにしといて』
『楽しみにしているよ。
君の配下には情報戦のスペシャリストがいるようだからね』
ははは、神澤社長も有名になったな。
『じゃあ、ステフ、こっちにおいで』
『はい』
ステフの専用艦が近付いて来ると次元格納庫に入り消える。
『目標エリュシオン。次元跳躍開始!』
目の前の映像が一瞬で変わり、僕は主星系エリュシオンに到着した。
エリュシオンの開発は進み、3つの惑星に人が住み、資源を有効に使える状態になっていた。
元ライオット領のダロン星系にある工業惑星ダロン4もフル稼働するようになり、新造の要塞艦や工業衛星が次々に竣工し、開発中の支配下星系へ配備され防衛や開発資材の製造に活躍していた。
『着いたよ』
『えっ、もう?』
『ん』
『あらあら、もう着いたのですか?』
次元格納庫からジェーンと美優の新鋭護衛艦、そしてステフの専用艦を出す。
そういやジェーンと美優の専用艦はアノイ要塞に置きっぱなしか。
事務所も家もあそこなんだけど、どうしようか。
『おお、晶羅、帰ったのか』
『社長! いや神澤男爵。エリュシオン星系の開発、凄いじゃないですか』
『だろ。ここにも要塞艦を配備したから、アノイ要塞から事務所と家を引っ越しておいたからな』
『マジか! 先手先手で動く。さすがは有能経営者!』
『ジェーンと美優の専用艦も持ってきてあるぞ。
キャリーとマリーがジェーンの専用艦を、紗綾と綾姫が美優の専用艦を曳航してくれたから、後でお礼を言っておけよ』
ジェーンと美優が青くなっている。
4人には抜け駆けしたことで怒られるのは確定だというのに、お礼を言いに行かなければならない。
しかも抜け駆けした間、ほとんど僕と一緒にいられなくて美味しい思いは出来なかった。
うん。僕も一緒に謝りに行こう。
だが、僕には先にやらなければならないことがある。
『神澤男爵、戦闘態勢だ。帝国宰相とやりあうことになった。
まずは男爵お得意の情報宣伝戦で民衆を扇動する。宰相を朝敵にしてやるぞ。
あと彼女はステファニー。皇帝の姫で新しい嫁だ』
うん。僕自身が嫁ーずに土下座しないとならない案件だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
SIDE:帝都宰相執務室 宰相、補佐官他 三人称視点
慌てて補佐官が執務室に飛び込んで来た。
「なんだこれは!」
宰相が声を上げる。
補佐官が手に持っている端末に映っていたのは、アキラが帝国ネットワークに流したプロパガンダ映像だった。
そこには今回の顛末が全て証拠付きで映像化――映像は一部加工されています――されていた。
その映像が帝国人全てが閲覧可能な帝国ネットワークに流れているのだ。
ニアヒュームのコアを戦利品として手に入れる貴族。(CG)
『この貴族は第3皇子配下です』というテロップが入る。(実際は未確認です。第4皇子配下が濃厚です)
汚染され乗っ取られ部品にされてしまう貴族の禍々しい姿の実際の映像が映し出される。(別の艦のもの)
そこから感染が広がり、オースティン伯爵の艦が乗っ取られる。(CG)
ケーブルを振り回し他の艦に感染しようとしている実際の映像が映し出される。(別の時のもの)
またも入る『オースティン伯爵は第3皇子配下です』というテロップ。(事実です)
機械人形にされてしまうオースティン伯爵。(CG)
機械人形の実際の映像――顔にはモザイク――が映し出される。(別人だからモザイク入り)
そして皇帝陛下の総旗艦に自爆テロを起こすオースティン伯爵の専用艦。(実映像+CG)
『陛下は重症だ。自爆テロの傷は軽くない』と言う第1皇子カイルの映像と音声が流れる。(実映像)
撤退していく帝国正規軍。
そこから敵ニアヒュームを炙り出し排除するアキラとカイルの勇姿が映る。(実映像)
『汚染された艦を1艦でも逃したら帝国がいや人類が滅びてしまう!』と力説するアキラ。(後で撮った別撮り)
次元跳躍で逃げていくイーサンの専用艦。(CG)
『汚染チェックも受けずに行ってしまうとは何て無責任なんだ』というアキラ。(後で撮った別撮り)
帝国本星系に戻るカイルとアキラ。(実映像)
水際でニアヒュームの帝国本星系侵入を阻止している。(実映像)
ようやく臨検が終わり帝都衛星に戻るカイルとアキラ。(実映像)
宰相に事情説明を求められ任意同行を求められるカイルとアキラ。(実映像)
事情聴取されるアキラとその理不尽な内容が流れる。(隠し撮り実映像)
『宰相は第3皇子の母方の祖父です』というテロップが入る。(事実です)
無茶苦茶な論理で攻め立てる尋問官の映像と台詞が流れる。(隠し撮り実映像)
尋問官の脅迫により決闘を持ち出すアキラと、立場も弁えずにバカにする尋問官の映像が流れる。(隠し撮り実映像)
最後通告後に席を立つアキラ。(隠し撮り実映像)
最後にアキラが出てきてカメラを見つめ話しだす。
『第6皇子アキラです。
どうやら自分の責任を僕に押し付けたい人がいるようです。
このような責任転嫁及び理不尽な誹謗中傷は我慢なりません。
敵の侵攻中という帝国の危機にいったい何をしているのか!
僕は宰相に謝罪と訂正を求めます。
まともな対応が出来ないなら決闘を申し込みます。
この未曾有の危機にやっている場合ではありませんが、僕は戦争も辞しません!』
条件付きだがアキラの宣戦布告が行われた。
この映像を見て顔を真赤にする宰相。慌てて連絡してくる第3皇子。
『お祖父様、どうしよう。
アキラ側にはカイル、ヘンリー、ルーカスも付いたらしい』
『ぐぬぬ。これでは我々の方が悪者みたいじゃないか!』
いやあんたが悪いんです。
◇ ◇ ◇ ◆ ◇
「さすが神澤社長。いいPVを作ってくれたね」
「社長は久しぶりに乗り乗りだったんですよ」
「言うな菜穂。まあ面白かったがな」
「嘘映像も混ざってるけど、中身は概ね真実だからね。
相手の嘘の方が100%嘘で質が悪い」
「これで謝罪して来なかったら戦争か」
「うん。男爵、配下の貴族にも根回ししといて。
僕は工場惑星に新鋭護衛艦を量産してもらって無人艦隊を増やす」
ニアヒュームの脅威を思うと内戦をしている場合じゃないんだけど、敵対してきたからには潰す。
まあイーサンの艦隊はニアヒュームの汚染で今頃……。
宰相が陛下の娘にまで手を出しかねない奴なら陛下が危ない。
僕は僕の主星系で戦の準備をする。
イーサンがどのようなつもりか判らないけど戦いになると想定して動くつもりだ』
『わかったよアキラ。
宰相が謝罪しないなら皇帝陛下に仇なす人物として僕も参戦する。
ヘンリーにも話をつけよう』
『まず情報戦で叩くから楽しみにしといて』
『楽しみにしているよ。
君の配下には情報戦のスペシャリストがいるようだからね』
ははは、神澤社長も有名になったな。
『じゃあ、ステフ、こっちにおいで』
『はい』
ステフの専用艦が近付いて来ると次元格納庫に入り消える。
『目標エリュシオン。次元跳躍開始!』
目の前の映像が一瞬で変わり、僕は主星系エリュシオンに到着した。
エリュシオンの開発は進み、3つの惑星に人が住み、資源を有効に使える状態になっていた。
元ライオット領のダロン星系にある工業惑星ダロン4もフル稼働するようになり、新造の要塞艦や工業衛星が次々に竣工し、開発中の支配下星系へ配備され防衛や開発資材の製造に活躍していた。
『着いたよ』
『えっ、もう?』
『ん』
『あらあら、もう着いたのですか?』
次元格納庫からジェーンと美優の新鋭護衛艦、そしてステフの専用艦を出す。
そういやジェーンと美優の専用艦はアノイ要塞に置きっぱなしか。
事務所も家もあそこなんだけど、どうしようか。
『おお、晶羅、帰ったのか』
『社長! いや神澤男爵。エリュシオン星系の開発、凄いじゃないですか』
『だろ。ここにも要塞艦を配備したから、アノイ要塞から事務所と家を引っ越しておいたからな』
『マジか! 先手先手で動く。さすがは有能経営者!』
『ジェーンと美優の専用艦も持ってきてあるぞ。
キャリーとマリーがジェーンの専用艦を、紗綾と綾姫が美優の専用艦を曳航してくれたから、後でお礼を言っておけよ』
ジェーンと美優が青くなっている。
4人には抜け駆けしたことで怒られるのは確定だというのに、お礼を言いに行かなければならない。
しかも抜け駆けした間、ほとんど僕と一緒にいられなくて美味しい思いは出来なかった。
うん。僕も一緒に謝りに行こう。
だが、僕には先にやらなければならないことがある。
『神澤男爵、戦闘態勢だ。帝国宰相とやりあうことになった。
まずは男爵お得意の情報宣伝戦で民衆を扇動する。宰相を朝敵にしてやるぞ。
あと彼女はステファニー。皇帝の姫で新しい嫁だ』
うん。僕自身が嫁ーずに土下座しないとならない案件だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
SIDE:帝都宰相執務室 宰相、補佐官他 三人称視点
慌てて補佐官が執務室に飛び込んで来た。
「なんだこれは!」
宰相が声を上げる。
補佐官が手に持っている端末に映っていたのは、アキラが帝国ネットワークに流したプロパガンダ映像だった。
そこには今回の顛末が全て証拠付きで映像化――映像は一部加工されています――されていた。
その映像が帝国人全てが閲覧可能な帝国ネットワークに流れているのだ。
ニアヒュームのコアを戦利品として手に入れる貴族。(CG)
『この貴族は第3皇子配下です』というテロップが入る。(実際は未確認です。第4皇子配下が濃厚です)
汚染され乗っ取られ部品にされてしまう貴族の禍々しい姿の実際の映像が映し出される。(別の艦のもの)
そこから感染が広がり、オースティン伯爵の艦が乗っ取られる。(CG)
ケーブルを振り回し他の艦に感染しようとしている実際の映像が映し出される。(別の時のもの)
またも入る『オースティン伯爵は第3皇子配下です』というテロップ。(事実です)
機械人形にされてしまうオースティン伯爵。(CG)
機械人形の実際の映像――顔にはモザイク――が映し出される。(別人だからモザイク入り)
そして皇帝陛下の総旗艦に自爆テロを起こすオースティン伯爵の専用艦。(実映像+CG)
『陛下は重症だ。自爆テロの傷は軽くない』と言う第1皇子カイルの映像と音声が流れる。(実映像)
撤退していく帝国正規軍。
そこから敵ニアヒュームを炙り出し排除するアキラとカイルの勇姿が映る。(実映像)
『汚染された艦を1艦でも逃したら帝国がいや人類が滅びてしまう!』と力説するアキラ。(後で撮った別撮り)
次元跳躍で逃げていくイーサンの専用艦。(CG)
『汚染チェックも受けずに行ってしまうとは何て無責任なんだ』というアキラ。(後で撮った別撮り)
帝国本星系に戻るカイルとアキラ。(実映像)
水際でニアヒュームの帝国本星系侵入を阻止している。(実映像)
ようやく臨検が終わり帝都衛星に戻るカイルとアキラ。(実映像)
宰相に事情説明を求められ任意同行を求められるカイルとアキラ。(実映像)
事情聴取されるアキラとその理不尽な内容が流れる。(隠し撮り実映像)
『宰相は第3皇子の母方の祖父です』というテロップが入る。(事実です)
無茶苦茶な論理で攻め立てる尋問官の映像と台詞が流れる。(隠し撮り実映像)
尋問官の脅迫により決闘を持ち出すアキラと、立場も弁えずにバカにする尋問官の映像が流れる。(隠し撮り実映像)
最後通告後に席を立つアキラ。(隠し撮り実映像)
最後にアキラが出てきてカメラを見つめ話しだす。
『第6皇子アキラです。
どうやら自分の責任を僕に押し付けたい人がいるようです。
このような責任転嫁及び理不尽な誹謗中傷は我慢なりません。
敵の侵攻中という帝国の危機にいったい何をしているのか!
僕は宰相に謝罪と訂正を求めます。
まともな対応が出来ないなら決闘を申し込みます。
この未曾有の危機にやっている場合ではありませんが、僕は戦争も辞しません!』
条件付きだがアキラの宣戦布告が行われた。
この映像を見て顔を真赤にする宰相。慌てて連絡してくる第3皇子。
『お祖父様、どうしよう。
アキラ側にはカイル、ヘンリー、ルーカスも付いたらしい』
『ぐぬぬ。これでは我々の方が悪者みたいじゃないか!』
いやあんたが悪いんです。
◇ ◇ ◇ ◆ ◇
「さすが神澤社長。いいPVを作ってくれたね」
「社長は久しぶりに乗り乗りだったんですよ」
「言うな菜穂。まあ面白かったがな」
「嘘映像も混ざってるけど、中身は概ね真実だからね。
相手の嘘の方が100%嘘で質が悪い」
「これで謝罪して来なかったら戦争か」
「うん。男爵、配下の貴族にも根回ししといて。
僕は工場惑星に新鋭護衛艦を量産してもらって無人艦隊を増やす」
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