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帝国内乱編
171 帝国内乱編9 奇襲
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side:クロウニ―星系 専用艦CIC アキラ視点
僕はロレンツォ領の支配下星系を巡り次元跳躍門を物理的に破壊した。
レオナルドがラスティ星系のハブ次元跳躍門を使って他の星系にまで手を出す前に、援軍を呼び討伐する時間を稼ぐ必要があったからだ。
僕は連続次元跳躍で星系を廻って次元跳躍門破壊の仕事を終えると、ロレンツォの要塞艦が集うクロウニ―星系で一息ついていた。
「さて、緊急性のある仕事をもう1つこなさないとね」
僕はカイルに通信を送り、緊急報告会議の開催を要求した。
カイルは、コックス子爵敗退の報告を受けた時点で亜空間に待機していたが、ニアヒュームをレオナルドにぶつける作戦で共倒れになったと僕らが騙された時点で進軍を再開していた。
レオナルドが次元跳躍門のロックを外すのにはまだ時間がかかるはずだ。
カイルは今、レオナルド討伐のために主力艦隊20万を率いてラスティ星系へ向け亜空間を進んでいる最中だ。
だが、レオナルドの欺瞞工作とニアヒュームの取り込みで僕たちが敗走し、ラスティ星系がレオナルドの手に落ちたことで新たな対策をとらなければならなくなった。
『ロレンツォ、いいかな? 今から極秘会議室へ向かうよ』
『待っていたよ。アキラ』
『じゃあ、要塞艦の仮想空間にアバターで待機していてくれるかな?』
『了解した』
僕は専用艦のコクピットからアバターで仮想空間に入り要塞艦の仮想空間に潜るとロレンツォのアバターをピックアップしてネット上の極秘会議室に向かった。
そこには既にカイルのアバターが到着していた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
side:仮想空間内極秘会議室 三人称視点
「カイル、緊急報告だ!
レオナルドはニアヒュームを支配下に置き共闘し、総数73万越えの艦隊を以てラスティ星系で待ち伏せしていた。
あの共倒れと見えた次元レーダーの情報は巧妙に偽造された欺瞞工作だったんだ。
レオナルドにニアヒュームをぶつける作戦は失敗どころか敵に援軍を送ってしまうことになった。
既にラスティ星系はレオナルドの支配下にあり要塞衛星も奪われていた。
僕の反物質粒子砲も対策をうたれて無効化されてしまった。
要塞衛星の要塞砲は破壊したが、僕らは劣勢で撤退するしかなかった。
作戦は失敗した」
「ニアヒュームを支配下にだと? それは本当か!? アキラ」
「それは私も目にした事実だ。レオナルドとは戦力差が大き過ぎて戦えなかった」
ロレンツォが追認するとカイルは顎に手を当てて考え込んでしまった。
「それで僕は緊急事態と考え撤退先の次元跳躍門を物理的に破壊することにした。
わかってる。戦後すぐに新造の次元跳躍門《ゲート》を設置する」
次元跳躍門《ゲート》を破壊したという話にカイルが渋い顔をしたので先回りして説明し無駄な議論を回避する。
「レオナルドを星系に閉じ込めるため、既にハブ次元跳躍門の下にある次元跳躍門は全て破壊した。
今、レオナルドの移動手段はニアヒュームの小母艦級しかない。ニアヒュームの次元跳躍は1日1光年だ。
ラスティ星系から最短距離の星系でも15光年離れている。つまり15日の猶予を手に入れたってことだ」
「そこでカイル司令には援軍の派遣を要請したいのだ。
レオナルドの艦隊は我々との戦闘で38万までは減っていると推定される。
こちらは宇宙艦24万と要塞艦9しか戦力がないのです。
優位に戦うためには、最低30万艦の派遣をお願いしたい」
アキラの状況説明にロレンツォが続ける。
「うーん。だが無人艦はレオナルドに乗っ取られる可能性が高い。
今僕が率いている主力艦隊は20万艦の戦力を備えているが大半が無人艦だ。
それですら全て有人艦を揃えるのは不可能だ」
ロレンツォの要請にカイルは難色を示した。
無人艦がレオナルドに乗っ取られるのなら増援した無人艦がそのままレオナルドの戦力になってしまうと懸念したからだ。
「そこは対策がある。
僕の制御下にあった無人艦も乗っ取られたけど、敵の通信を阻害することで取り戻すことが出来た。
おそらく戦術兵器統合制御システムの制御信号を偽装して無人艦を乗っ取っているんだ。
その通信手段が次元通信システムを利用していたようで、ブラックボックスに信号を送ってロックしたら通信妨害も止まったよ。
だから次元通信システムを使ってもっと強い制御信号を送れば乗っ取りは無効化可能なはずだ。
たぶんこれで無人艦の乗っ取りは防げると思う」
しかし、アキラは先の戦いで無人艦乗っ取りの仕組みをほぼ推定出来ていた。
その対策も考えてあるという。
「その手段の有効性の確認が欲しいが、援軍の移動にも時間がかかるな……。
よし、援軍として10万艦を追加しよう。
僕の率いる主力艦隊と合わせて30万艦だ。
だが、その代わり乗っ取り防止策の成功が確認されるまでは参戦させない。
それと次元跳躍門が物理的に破壊されたとなると、次元跳躍能力のある要塞艦の派遣が必要だ
そちらの正規軍所属の要塞艦でピストン輸送してもらわねばならない」
カイルは無人艦乗っ取り対策の有効性に疑問を持ちつつも、先のことを考えて増援を決定した。
戦力が必要なその時になってから増援を呼んだのでは間に合わないからだ。
カイルは常に最低でも最善、通常、最悪の場合の3パターンの対策を考えていた。
3パターンの間を埋めた5パターンを用意することもある。
その最悪の想定の斜め上を行くレオナルドの行動に翻弄されていたが……。
「それでいいと思 ブチッ!」
突然通信が切れアキラのアバターが消えた。
「おい、どうしたアキラ!」
見るとロレンツォのアバターも固まっている。
「ロレンツォ! 応答しろ!」
カイルの叫びだけが極秘会議室に響いていた。
◇ ◇ ◇ ◆ ◇
side:クロウニ―星系 要塞艦内司令室 レオナルド 三人称視点
クロウニ―星系にレオナルドの要塞艦5艦が次元跳躍アウトして来た。
と同時に要塞砲にエネルギーをチャージ、4条のエネルギーの柱がロレンツォの要塞艦4艦に突き刺さる。
そして最後の1条が向かう先には晶羅の専用艦があった。
高エネルギーの光の渦に巻き込まれた晶羅の専用艦は粒子レベルへと変換されその姿を消して行った。
「殺った! 今度こそアキラを殺した!」
レオナルドは要塞艦の司令室で狂喜した。
「俺を舐めやがったのが運の尽きだ!
どうせここに到着するのは15日後だと油断してやがったろ」
レオナルドは自分の思い付きが上手くいき有頂天になっていた。
その思い付きとは、こうだ。
マスターキーをロックされ次元跳躍も武装も使えなくなった要塞艦なんて部品以外の役には立たない。
ならその部品をニアヒュームに渡してやれば有効活用するだろう。
つまり、レオナルドの要塞艦はニアヒュームに侵食され制御を奪われニアヒュームの要塞艦となっていたのだ。
要塞艦にはニアヒュームの小母艦級が2艦ずつ張り付いていた。
その小母艦級の反応炉がブースターとなり、次元跳躍と要塞砲の同時使用を実現していた。
その小母艦級と要塞艦の格納庫からニアヒューム艦がわらわらと飛び出していく。
ニアヒュームなら黒騎士の力で服従させられるのだ。
黒騎士の特殊艦をニアヒューム化要塞艦に搭載し同行すればレオナルドの命令でさえ聞くということだ。
「次元レーダーもニアヒュームが取り込んで復活した。
同じ手で正規軍の要塞艦もいただくとしよう」
残り5艦の要塞艦にもニアヒュームが取り付き侵食していく。
クロウニ―星系はレオナルドの支配下となって行った。
◇ ◇ ◇ ◆ ◆
side:クロウニ―星系 要塞艦司令室 ロレンツォ 三人称視点
アキラのアバターが停止すると同時にロレンツォの意識は要塞艦の司令室に引き戻されていた。
「何があった!」
要塞艦司令室内は緊急警報が鳴り響き騒然としていた。
「我軍の要塞艦に要塞砲が直撃しました」
「なんだと! 次元レーダーは!」
「敵影を捉えていませんでした」
「くっ。また妨害か。この手口、レオナルドか!
だが要塞艦のシステムはロックされたはずなのに、どうやって?」
ロレンツォは混乱していた。
レオナルドの要塞艦は使えないはずだった。
それがなぜ?
部下が答えを持っていないことは重々承知していたが、疑問を口にするのを止められなかった。
「わかりません」
ロレンツォの要塞艦司令室内はレオナルドの奇襲に慌てふためいていた。
「アキラの専用艦は?」
「要塞砲の光に飲まれ消えました……」
まさか……という思がロレンツォの頭を過った。
「また変わり身の術であってくれよ、アキラ」
ロレンツォは気を取り直すとダメージコントロールを命じた。
残った戦力でレオナルドだけは討たなければならないと心に決めて。
僕はロレンツォ領の支配下星系を巡り次元跳躍門を物理的に破壊した。
レオナルドがラスティ星系のハブ次元跳躍門を使って他の星系にまで手を出す前に、援軍を呼び討伐する時間を稼ぐ必要があったからだ。
僕は連続次元跳躍で星系を廻って次元跳躍門破壊の仕事を終えると、ロレンツォの要塞艦が集うクロウニ―星系で一息ついていた。
「さて、緊急性のある仕事をもう1つこなさないとね」
僕はカイルに通信を送り、緊急報告会議の開催を要求した。
カイルは、コックス子爵敗退の報告を受けた時点で亜空間に待機していたが、ニアヒュームをレオナルドにぶつける作戦で共倒れになったと僕らが騙された時点で進軍を再開していた。
レオナルドが次元跳躍門のロックを外すのにはまだ時間がかかるはずだ。
カイルは今、レオナルド討伐のために主力艦隊20万を率いてラスティ星系へ向け亜空間を進んでいる最中だ。
だが、レオナルドの欺瞞工作とニアヒュームの取り込みで僕たちが敗走し、ラスティ星系がレオナルドの手に落ちたことで新たな対策をとらなければならなくなった。
『ロレンツォ、いいかな? 今から極秘会議室へ向かうよ』
『待っていたよ。アキラ』
『じゃあ、要塞艦の仮想空間にアバターで待機していてくれるかな?』
『了解した』
僕は専用艦のコクピットからアバターで仮想空間に入り要塞艦の仮想空間に潜るとロレンツォのアバターをピックアップしてネット上の極秘会議室に向かった。
そこには既にカイルのアバターが到着していた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
side:仮想空間内極秘会議室 三人称視点
「カイル、緊急報告だ!
レオナルドはニアヒュームを支配下に置き共闘し、総数73万越えの艦隊を以てラスティ星系で待ち伏せしていた。
あの共倒れと見えた次元レーダーの情報は巧妙に偽造された欺瞞工作だったんだ。
レオナルドにニアヒュームをぶつける作戦は失敗どころか敵に援軍を送ってしまうことになった。
既にラスティ星系はレオナルドの支配下にあり要塞衛星も奪われていた。
僕の反物質粒子砲も対策をうたれて無効化されてしまった。
要塞衛星の要塞砲は破壊したが、僕らは劣勢で撤退するしかなかった。
作戦は失敗した」
「ニアヒュームを支配下にだと? それは本当か!? アキラ」
「それは私も目にした事実だ。レオナルドとは戦力差が大き過ぎて戦えなかった」
ロレンツォが追認するとカイルは顎に手を当てて考え込んでしまった。
「それで僕は緊急事態と考え撤退先の次元跳躍門を物理的に破壊することにした。
わかってる。戦後すぐに新造の次元跳躍門《ゲート》を設置する」
次元跳躍門《ゲート》を破壊したという話にカイルが渋い顔をしたので先回りして説明し無駄な議論を回避する。
「レオナルドを星系に閉じ込めるため、既にハブ次元跳躍門の下にある次元跳躍門は全て破壊した。
今、レオナルドの移動手段はニアヒュームの小母艦級しかない。ニアヒュームの次元跳躍は1日1光年だ。
ラスティ星系から最短距離の星系でも15光年離れている。つまり15日の猶予を手に入れたってことだ」
「そこでカイル司令には援軍の派遣を要請したいのだ。
レオナルドの艦隊は我々との戦闘で38万までは減っていると推定される。
こちらは宇宙艦24万と要塞艦9しか戦力がないのです。
優位に戦うためには、最低30万艦の派遣をお願いしたい」
アキラの状況説明にロレンツォが続ける。
「うーん。だが無人艦はレオナルドに乗っ取られる可能性が高い。
今僕が率いている主力艦隊は20万艦の戦力を備えているが大半が無人艦だ。
それですら全て有人艦を揃えるのは不可能だ」
ロレンツォの要請にカイルは難色を示した。
無人艦がレオナルドに乗っ取られるのなら増援した無人艦がそのままレオナルドの戦力になってしまうと懸念したからだ。
「そこは対策がある。
僕の制御下にあった無人艦も乗っ取られたけど、敵の通信を阻害することで取り戻すことが出来た。
おそらく戦術兵器統合制御システムの制御信号を偽装して無人艦を乗っ取っているんだ。
その通信手段が次元通信システムを利用していたようで、ブラックボックスに信号を送ってロックしたら通信妨害も止まったよ。
だから次元通信システムを使ってもっと強い制御信号を送れば乗っ取りは無効化可能なはずだ。
たぶんこれで無人艦の乗っ取りは防げると思う」
しかし、アキラは先の戦いで無人艦乗っ取りの仕組みをほぼ推定出来ていた。
その対策も考えてあるという。
「その手段の有効性の確認が欲しいが、援軍の移動にも時間がかかるな……。
よし、援軍として10万艦を追加しよう。
僕の率いる主力艦隊と合わせて30万艦だ。
だが、その代わり乗っ取り防止策の成功が確認されるまでは参戦させない。
それと次元跳躍門が物理的に破壊されたとなると、次元跳躍能力のある要塞艦の派遣が必要だ
そちらの正規軍所属の要塞艦でピストン輸送してもらわねばならない」
カイルは無人艦乗っ取り対策の有効性に疑問を持ちつつも、先のことを考えて増援を決定した。
戦力が必要なその時になってから増援を呼んだのでは間に合わないからだ。
カイルは常に最低でも最善、通常、最悪の場合の3パターンの対策を考えていた。
3パターンの間を埋めた5パターンを用意することもある。
その最悪の想定の斜め上を行くレオナルドの行動に翻弄されていたが……。
「それでいいと思 ブチッ!」
突然通信が切れアキラのアバターが消えた。
「おい、どうしたアキラ!」
見るとロレンツォのアバターも固まっている。
「ロレンツォ! 応答しろ!」
カイルの叫びだけが極秘会議室に響いていた。
◇ ◇ ◇ ◆ ◇
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と同時に要塞砲にエネルギーをチャージ、4条のエネルギーの柱がロレンツォの要塞艦4艦に突き刺さる。
そして最後の1条が向かう先には晶羅の専用艦があった。
高エネルギーの光の渦に巻き込まれた晶羅の専用艦は粒子レベルへと変換されその姿を消して行った。
「殺った! 今度こそアキラを殺した!」
レオナルドは要塞艦の司令室で狂喜した。
「俺を舐めやがったのが運の尽きだ!
どうせここに到着するのは15日後だと油断してやがったろ」
レオナルドは自分の思い付きが上手くいき有頂天になっていた。
その思い付きとは、こうだ。
マスターキーをロックされ次元跳躍も武装も使えなくなった要塞艦なんて部品以外の役には立たない。
ならその部品をニアヒュームに渡してやれば有効活用するだろう。
つまり、レオナルドの要塞艦はニアヒュームに侵食され制御を奪われニアヒュームの要塞艦となっていたのだ。
要塞艦にはニアヒュームの小母艦級が2艦ずつ張り付いていた。
その小母艦級の反応炉がブースターとなり、次元跳躍と要塞砲の同時使用を実現していた。
その小母艦級と要塞艦の格納庫からニアヒューム艦がわらわらと飛び出していく。
ニアヒュームなら黒騎士の力で服従させられるのだ。
黒騎士の特殊艦をニアヒューム化要塞艦に搭載し同行すればレオナルドの命令でさえ聞くということだ。
「次元レーダーもニアヒュームが取り込んで復活した。
同じ手で正規軍の要塞艦もいただくとしよう」
残り5艦の要塞艦にもニアヒュームが取り付き侵食していく。
クロウニ―星系はレオナルドの支配下となって行った。
◇ ◇ ◇ ◆ ◆
side:クロウニ―星系 要塞艦司令室 ロレンツォ 三人称視点
アキラのアバターが停止すると同時にロレンツォの意識は要塞艦の司令室に引き戻されていた。
「何があった!」
要塞艦司令室内は緊急警報が鳴り響き騒然としていた。
「我軍の要塞艦に要塞砲が直撃しました」
「なんだと! 次元レーダーは!」
「敵影を捉えていませんでした」
「くっ。また妨害か。この手口、レオナルドか!
だが要塞艦のシステムはロックされたはずなのに、どうやって?」
ロレンツォは混乱していた。
レオナルドの要塞艦は使えないはずだった。
それがなぜ?
部下が答えを持っていないことは重々承知していたが、疑問を口にするのを止められなかった。
「わかりません」
ロレンツォの要塞艦司令室内はレオナルドの奇襲に慌てふためいていた。
「アキラの専用艦は?」
「要塞砲の光に飲まれ消えました……」
まさか……という思がロレンツォの頭を過った。
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