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帝国内乱編
173 帝国内乱編11 反撃開始
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side:クロウニ―星系 要塞艦司令室 ロレンツォ 三人称視点
「くっ……これまでか」
ロレンツォの目の前に敵要塞艦の要塞砲の光条が迫ってきていた。
その光条が直撃すると思われた刹那、光条と要塞艦の間に割って入る蒼い光のライン。
それが高速戦艦だと認識するやいなや、敵要塞砲が高速戦艦のフィールドに当たり消滅する。
「助かったのか? それにあの高速戦艦は?」
ロレンツォは疑問に思ったものの、その正体には確信があった。
「この非常識な強さはアキラだな。変わり身の術が進化していないか?」
高速戦艦は敵要塞砲を防ぐと今度は赤い光のラインを引いて離れていった。
あまりに速い高速戦艦の機動、その機動により光のドップラー効果が起こり、接近する時は蒼、離れる時は赤に光が偏移しているのだ。
ロレンツォはその常識はずれの性能に呆れを通り越して関心すらしてしまった。
しばらく呆けた後、ロレンツォは命令を下す。
「反撃だ! どれぐらいやられた?
応急修理の後、戦線に復帰するぞ。ここでこの戦いを終わりにする!」
高速戦艦が反支配化信号を発信しているのだろう。
無人艦の制御は復帰していた。通信妨害も解除されている。
「帝国正規軍に通信を。敵に奪われた……たしかコックス子爵だったか?
彼が率いていた無人艦の制御コードを確認してもらえ。
あれを我が方の戦力にするぞ!」
ロレンツォはまだまだやる気だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
side:クロウニ―星系 新専用艦CIC アキラ視点
「これで味方の危機は脱することが出来たかな?」
僕が一安心していると電脳が緊急警告を発した。
『縮退炉が活動限界を向かえました。
このままでは暴走します』
「え? どうすればいいのさ?
というか本体は未完成だって言ってたけど、そんな危ない状態だったの?」
『はい、緊急事態で起動しましたが、まだ建造中で本艦の性能は100%発揮出来ていません。
外部ユニットを出し本体は縮退炉を停止し次元格納庫に収納します。時間がありません』
「わかった。許可する」
その言葉と同時に高速戦艦は姿を消した。
CICのパイロットシートは新型のままだが、そこから見える艦体は以前の専用艦だった。
「無敵タイム終了か。もっと効率よく敵を殲滅するべきだったよ!
この専用艦も馴染み深いといえばそうだけど、この専用艦だと大きいの1発くらったら終わりなんだよね……。
さっきまでは敵の殲滅も容易な状態だったのに、今は戦力比的には劣勢になってしまっているかも」
僕らとレオナルドの戦力比は7万:30万強になっていた。
敵ニアヒューム化要塞艦5はコアを破壊されて要塞砲使用不能、ニアヒュームにより奪われたシステムのロックも復活して役立たずになっている。
こちらはロレンツォの要塞艦4と正規軍要塞艦5が被害甚大なれど健在で、要塞砲4が使用可能。
未だ戦力差は圧倒的だが、レオナルド側はニアヒュームの支配が緩んで来ている。
レオナルドの戦力がニアヒューム抜きの実質11万だとすると要塞艦の戦力でギリギリ互角の戦いが出来る。
ここにカイルの主力30万が来れば圧勝出来るけど、次元跳躍門を物理的に破壊したので要塞艦で迎えに行かなければならない。
今、こちらの要塞艦を動かすと戦力の均衡が崩れる。
となると敵の戦力を削る手段を探さなければ……。
「支配化信号対策は効いてるよね?」
『はい。本体の一部装備は外部ユニットでも使用可能です。
反支配化信号は正常に発信中です』
「敵無人艦の支配状況は?」
『コックス子爵の討伐軍から奪われた無人艦8万艦は敵の支配を解除しました。
緊急警告! その無人艦に再支配の徴候があります。今、支配されました』
僕は慌てる。ここに来ての敵戦力増加は戦況への影響が大きすぎる。
「なんだって!」
『支配をかけたのはロレンツォ殿下です。
8万艦が我が方の戦力になりました』
僕はほっとする。
ずっとボッチで戦っていたから、味方があてになるなんて、これほど心強いことはない。
「やるなロレンツォ。僕も負けてられないな。
レオナルド配下の無人艦の方はどうなってる?」
『現在、鋭意乗っ取り中ですが、対抗措置がなされているようで一進一退の状況です。
ただし、そのうち敵無人艦2万艦の無効化には成功しています』
これで戦力比は15万:28万弱になった。
レオナルド側の戦力はレオナルドの親衛艦隊とニアヒュームのみとなった。
次にニアヒュームを削れば、こちらの勝ちは決まりだ。
「うーん。奴らはどのようにしてニアヒュームを支配下に置いたんだろう?」
おそらく奴が関わっている。
あの特殊艦こそがニアヒューム支配の要だ。
ラスティ星系で目撃した以来姿が見えないが、いったいどこに隠れているんだ?
奴を倒すか、その支配の仕組みさえ把握して対策をすればこの戦争も終わるだろうと感じていた。
それにしても、もう1艦の特殊艦は何者だ?
まだSFOランカーのクローンが残っているのだろうか?
「くっ……これまでか」
ロレンツォの目の前に敵要塞艦の要塞砲の光条が迫ってきていた。
その光条が直撃すると思われた刹那、光条と要塞艦の間に割って入る蒼い光のライン。
それが高速戦艦だと認識するやいなや、敵要塞砲が高速戦艦のフィールドに当たり消滅する。
「助かったのか? それにあの高速戦艦は?」
ロレンツォは疑問に思ったものの、その正体には確信があった。
「この非常識な強さはアキラだな。変わり身の術が進化していないか?」
高速戦艦は敵要塞砲を防ぐと今度は赤い光のラインを引いて離れていった。
あまりに速い高速戦艦の機動、その機動により光のドップラー効果が起こり、接近する時は蒼、離れる時は赤に光が偏移しているのだ。
ロレンツォはその常識はずれの性能に呆れを通り越して関心すらしてしまった。
しばらく呆けた後、ロレンツォは命令を下す。
「反撃だ! どれぐらいやられた?
応急修理の後、戦線に復帰するぞ。ここでこの戦いを終わりにする!」
高速戦艦が反支配化信号を発信しているのだろう。
無人艦の制御は復帰していた。通信妨害も解除されている。
「帝国正規軍に通信を。敵に奪われた……たしかコックス子爵だったか?
彼が率いていた無人艦の制御コードを確認してもらえ。
あれを我が方の戦力にするぞ!」
ロレンツォはまだまだやる気だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
side:クロウニ―星系 新専用艦CIC アキラ視点
「これで味方の危機は脱することが出来たかな?」
僕が一安心していると電脳が緊急警告を発した。
『縮退炉が活動限界を向かえました。
このままでは暴走します』
「え? どうすればいいのさ?
というか本体は未完成だって言ってたけど、そんな危ない状態だったの?」
『はい、緊急事態で起動しましたが、まだ建造中で本艦の性能は100%発揮出来ていません。
外部ユニットを出し本体は縮退炉を停止し次元格納庫に収納します。時間がありません』
「わかった。許可する」
その言葉と同時に高速戦艦は姿を消した。
CICのパイロットシートは新型のままだが、そこから見える艦体は以前の専用艦だった。
「無敵タイム終了か。もっと効率よく敵を殲滅するべきだったよ!
この専用艦も馴染み深いといえばそうだけど、この専用艦だと大きいの1発くらったら終わりなんだよね……。
さっきまでは敵の殲滅も容易な状態だったのに、今は戦力比的には劣勢になってしまっているかも」
僕らとレオナルドの戦力比は7万:30万強になっていた。
敵ニアヒューム化要塞艦5はコアを破壊されて要塞砲使用不能、ニアヒュームにより奪われたシステムのロックも復活して役立たずになっている。
こちらはロレンツォの要塞艦4と正規軍要塞艦5が被害甚大なれど健在で、要塞砲4が使用可能。
未だ戦力差は圧倒的だが、レオナルド側はニアヒュームの支配が緩んで来ている。
レオナルドの戦力がニアヒューム抜きの実質11万だとすると要塞艦の戦力でギリギリ互角の戦いが出来る。
ここにカイルの主力30万が来れば圧勝出来るけど、次元跳躍門を物理的に破壊したので要塞艦で迎えに行かなければならない。
今、こちらの要塞艦を動かすと戦力の均衡が崩れる。
となると敵の戦力を削る手段を探さなければ……。
「支配化信号対策は効いてるよね?」
『はい。本体の一部装備は外部ユニットでも使用可能です。
反支配化信号は正常に発信中です』
「敵無人艦の支配状況は?」
『コックス子爵の討伐軍から奪われた無人艦8万艦は敵の支配を解除しました。
緊急警告! その無人艦に再支配の徴候があります。今、支配されました』
僕は慌てる。ここに来ての敵戦力増加は戦況への影響が大きすぎる。
「なんだって!」
『支配をかけたのはロレンツォ殿下です。
8万艦が我が方の戦力になりました』
僕はほっとする。
ずっとボッチで戦っていたから、味方があてになるなんて、これほど心強いことはない。
「やるなロレンツォ。僕も負けてられないな。
レオナルド配下の無人艦の方はどうなってる?」
『現在、鋭意乗っ取り中ですが、対抗措置がなされているようで一進一退の状況です。
ただし、そのうち敵無人艦2万艦の無効化には成功しています』
これで戦力比は15万:28万弱になった。
レオナルド側の戦力はレオナルドの親衛艦隊とニアヒュームのみとなった。
次にニアヒュームを削れば、こちらの勝ちは決まりだ。
「うーん。奴らはどのようにしてニアヒュームを支配下に置いたんだろう?」
おそらく奴が関わっている。
あの特殊艦こそがニアヒューム支配の要だ。
ラスティ星系で目撃した以来姿が見えないが、いったいどこに隠れているんだ?
奴を倒すか、その支配の仕組みさえ把握して対策をすればこの戦争も終わるだろうと感じていた。
それにしても、もう1艦の特殊艦は何者だ?
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