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帝国内乱編
179 帝国内乱編17 後始末2
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side:クロウニ―星系 専用艦CIC アキラ視点
工場惑星から菜穂艦の電子戦装備をコピーした電子戦特化艦が竣工して来た。
諸元は以下。
『AK-E001』
艦種 電子戦特化艦
艦体 全長450m 重巡洋艦型 2腕
主機 対消滅反応炉G型(15) 高速推進機E型
兵装 主砲 20cm粒子ビーム方連装1基2門
副砲 なし
対宙砲 10cmレーザー単装4基4門
ミサイル発射管 なし
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
耐実体弾耐ビーム盾E型 1
停滞フィールド(バリヤー)E型
電子兵装 電脳A型 次元レーダーC型 次元通信機C型 電子(量子・次元)戦装備A型 電子戦用サブ電脳A型
空きエネルギースロット 0
状態 良好
性能的には傭兵さんたちにレンタルした重巡洋艦の戦闘力をダウンさせて電子戦装備をがっつり搭載した感じだ。
電子戦絡みで2スロット消費するA型装備や次元装備を搭載したため反応炉が対消滅反応炉にグレードアップされている。
無人運用の量産艦だがCICが装備され有人運用も想定されている。
これは輸出仕様にして外貨獲得を目指すためだ。
【対ニアヒューム戦には1艦隊に1艦、電子戦特化艦を】というPRで売りまくるつもりだ。
今回の反乱で要塞艦の電脳のロックや自爆装置が簡単に無効化されてしまった反省で、もしもの時は基幹部品が壊れて使用不能になるブラックボックスを搭載することにした。
再利用出来るように無効化しようとした僕の貧乏症が仇となってしまった。
今度は徹底的に使えなくしてしまう。
こんな心配をするのは、僕の中に帝国と事を構えるかもしれないという漠然とした不安があるからなんだろう。
この艦を菜穂艦の代わりにクロウニー星系に配備するつもりだ。
後はニアヒューム隔離装置を装備した母艦が竣工するまで待機だ。
母艦のベースはニアヒュームの小母艦級を流用した。
コアさえ物理的に排除すれば、小母艦級の外殻は野良宇宙艦と大差がない。
実はそのコアから僕は重大な秘密を知ることになった。
『アキラ、ロレンツォ、極秘会議室に集合だ!』
突然、カイルから招集がかかった。何があったんだろう?
丁度良い。皆にもこの秘密を共有しよう。
さすがにこれは大っぴらには出来ない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
side:電脳空間極秘会議室 アキラ視点
電脳空間を飛んで防壁を抜け極秘会議室に到着する。
今回はロレンツォも単独でやって来る。
以前の参加を期に正式に招集メンバーとして登録されたのだ。
登録メンバーは防壁を抜けられるが、その他の者は防壁に弾かれて会議室の中を見ることも盗聴することも出来ない。
それが皇帝であってもだ。例外は登録メンバーに連れられた招待メンバーだけだ。
「アキラ、ロレンツォ、すまないな」
「いや、カイル、僕は待ち時間だったから問題ないよ」
「こちらも問題ありません。司令」
ロレンツォは艦隊再編や応急修理で絶対に問題があったはずだが、それをおくびにも出さない。
「ロレンツォ、忙しい所すまないが、君に関わる重大事だったので急いで来てもらった」
カイルもそこはわかっていたので心底すまなそうに謝罪する。
「何があったんだ?」
僕の問いかけにカイルは顔を顰めながら話す。
「単刀直入に言うと、陛下に作戦が却下された」
「え? レオナルド討伐作戦が?」
「ああ」
カイルが一呼吸置いてロレンツォに向かうと話し出した。
「ロレンツォ、陛下はレオナルド討伐に君を指名した」
「え?」
驚くロレンツォ。
そりゃそうだ。今のロレンツォ艦隊は手負いで戦力が足りない。
戦闘力が極限まで低下した満身創痍状態だ。
「陛下仰られるには、レオナルドを反乱扱いにすれば巻き込まれた家臣まで討たねばならなくなる。
彼らはバカな独裁者レオナルドの被害者だから救いたいというのが陛下の御心だ。
つまり今回の戦いはロレンツォ対レオナルドの私闘ということにしたいのだそうだ」
なるほど、バカに巻き込まれた家臣は災難だったろうからね。
皇帝は信長型の直情的な人物だと思っていたけど、皇帝もなかなか思慮深い人物のようだ。
「しかし、戦力が足りません。さすがに一騎打ちというわけにはいかないでしょう」
ロレンツォの尤もな意見も納得できる。
皇帝はどうしろと言うのだろう?
ロレンツォの戦力が回復するまで時間を置けばレオナルドに逃げられてしまうかもしれない。
「そこでだ。現在レオナルド星系に向かっている僕の討伐艦隊から帝国正規軍と要塞艦をロレンツォに与える。
それをもってレオナルド討伐に当たれ」
「しかし、我が星系は次元跳躍門が壊れていて機能していません。
我が専用艦だけでは合流出来かねます」
僕はうっかりしていたことに気付いた。
「そうだった。次元跳躍門を直さないといけなかったんだ。
ロレンツォすまない。
工場惑星がクロウニー星系に来ているけど、次元跳躍門建造は月単位で時間がかかると言われている」
「アキラ、それでは間に合わないではないか!」
拙い。作戦上必要だったとはいえ壊しすぎた。
その作戦も完全に裏をかかれて次元跳躍門破壊は無駄な行為になっている。
なんとかしなければ……。そうだ!
「次元跳躍門から切り取った制御ブロックは次元格納庫の中にある。
それを出せば修復は容易だと思う。まずクロウニー門を早急に直そう」
「いや、要塞艦をクロウニー星系に次元跳躍させる。それにロレンツォの艦隊を搭載すればいい。
僕の艦隊から正規軍10万をロレンツォの指揮下につける。
名目上さすがに僕が関わるわけにはいかないので、僕の息のかかった戦力はつけられない。
言い訳が必要なだけの割の合わない戦いだが、ロレンツォが決着をつけてくれ」
焦る僕を尻目にカイルが単純な回答を提案する。
その手があったか。さすがカイル。
「いえ、ご配慮ありがとうございます。レオナルドは将兵の仇でもあります。
この機会に弔い合戦とさせていただきます」
「レオナルドには、もう戦力は残っていないはずだ。
頑張れよ。僕は領軍を連れて帝都に戻るよ」
なんだか、そのままお開きとなりそうな雰囲気になったので、僕は2人を呼び止めた。
「ちょっと待って。ニアヒュームが支配されていた原因がわかったんだ。
それを報告したい」
「「なんだって!」」
カイルとロレンツォの2人がそろって驚愕の声をあげた。
「これを見てくれ」
僕は隔離用母艦を製造するために小母艦級から切り取ったコアの映像を仮想スクリーンに映す。
そこにはコアに寄生するコアが映っていた。
「なんだこれは?」
「どうやらニアヒュームと同様の機械生命らしい。
これがニアヒュームの群れの王に寄生することで、群れ全体を操っていたみたいだ」
「ニアヒュームは蟻や蜂に例えられるような群による統一行動をすると言われていたな」
「いわば群れの頭脳である女王蜂を乗っ取ることで群れ全てを乗っ取ったようだ」
「まさか、それって……」
カイルがあることを思い出して気付いたようだ。
僕はあのブレインハック事件の詳細をカイルに報告していた。
人の脳にナノマシンを寄生させ意のままに操る。
あれと同じことをニアヒュームに対してやった奴がいるんだ。
「ブレインハック事件、謎の黒い特殊艦、それに似た特殊艦がこの戦場でも目撃された。
全てに共通して関わっている人物、主犯はケイン元皇子だったよ。
僕の姉貴も一緒だった……。訳の分からないことを言っていたのでおそらく姉貴も操られている。
残念なことにケイン元皇子には、あと一歩で逃げられてしまった。
だが、奴が何らかの手段で他人やニアヒュームを操れることがわかった。
これは危険な能力だ。もし帝国の中枢が乗っ取られたら大変なことになる」
カイルは黙り込んでしまった。
おそらくその危険性と対策で頭がいっぱいなのだろう。
レオナルドは、自分の星系を危機に陥れた原因がケイン元皇子の暗躍だと知って怒りを覚えているようだ。
「宰相は、陛下が信頼を置くに足る人物だった。
孫のためとはいえ、あんな醜態をさらした原因がいまでも僕は理解出来なかった。
それが操られていた結果だとしたら……。
既に帝国の中枢まで汚染されているのかもしれない」
「イーサンに寄生していたニアヒュームが、過去にニアヒュームが騙されて利用されたと言っていたよね?
あれって今回と同じようにニアヒュームの王が乗っ取られて意のままに操られたことを意味しているんじゃないかな」
「これは由々しき事態だ。ニアヒューム汚染より質が悪い。
あのケインが行方を眩ませられるのも操られている協力者が居てのことだろう。
レオナルドの異常行動も操られていたのかもしれない。
僕は早急に対策を講じるように陛下に陳情しよう」
「頼む。どこにケイン元皇子の協力者がいるかわからない。気を付けて」
「わかった」
「私もおかしな行動をする者に注意することにするよ。
カイル司令、それでは戦力をお預かりしてレオナルド討伐に向かいます」
新たな難問を抱えて極秘会議は解散となった。
◇ ◇ ◇ ◆ ◇
side:クロウニ―星系 専用艦CIC アキラ視点
僕は慌てていた。
ロレンツォの支配星系にある次元跳躍門を全て物理的に破壊してしまった。
工場惑星の生産力なら次元跳躍門など直ぐに用意出来ると思っていたら、月単位の時間がかかるという。
次元跳躍門が使えないと、他星系との行き来や貿易に重大な支障が出る。
事実、カイルの主力艦隊が立ち往生することになり、ロレンツォの艦隊もレオナルド討伐に向かえなくなっていた。
とりあえず、クロウニー星系の次元跳躍門をなんとか修復しなければならない。
幸い次元格納庫には切り取った制御ブロックがそのまま収納されている。
僕は次元跳躍門に近づくと切り取った制御ブロックを取り出してはめてみた。
細かい作業になるが、久しぶりの艦載腕の出番となった。
回収艦時代にデブリの捕獲クエストで培った腕の見せ所だ。
制御ブロックは次元格納庫の収納で切り取ったため切り口がぴったりと合った。
ちなみに次元格納庫への収納は収納フィールドに触れている物体全ての収納と、収納フィルード内にある物体だけの収納を選ぶことが出来る。
収納フィールド内にある物体だけの収納を選ぶとその堺で綺麗に切り取られることになる。
よくよく考えたら次元跳躍門をそのまま収納すれば良かったと気付いた。
それだけの収納能力が次元格納庫にあったことをすっかり失念していた。
そうすればこんな苦労をしなかったのに……。
制御ブロックをはめると、ここに外部から融合フィールドを形成させる。
元々次元跳躍門が持っている自己修復機能を活性化させるのだ。
「ふう。これでなんとかなるはずだ」
新造品の次元跳躍門に切り替えるつもりだったんだけど、建造期間が月単位でかかって、さらに組み立て期間がかかると考えると次元跳躍門を破壊したのは失策だった。
まあ、やってしまったことは仕方がない。
なるべく短期で修復出来るように汗を流そう。
とりあえず新造のAK-E001をクロウニ―星系に配備して、ニアヒュームの無力化を菜穂さんから引き継いでおこう。
小母艦級改の隔離専用母艦が竣工したら、ニアヒューム全艦を隔離して終わりだ。
「さて、次だ」
僕は次元跳躍を駆使してロレンツォ支配星系の次元跳躍門を修理していった。
そして最後にハブ次元跳躍門を持つラスティ星系に向かう。
「はい。ラスト」
そして最後に次元跳躍アウトしたラスティ星系には、ニアヒュームの小母艦級が待ち構えていた。
「そうだった。ここにはまだニアヒュームの残りがいたんだった」
レオナルド軍は要塞艦をニアヒューム化させ、ニアヒューム艦を要塞艦に格納して次元跳躍でクロウニー星系を強襲した。
そのため、元々ニアヒューム艦を搭載していた小母艦級と、積み残された一部のニアヒューム艦がラスティ星系に取り残されていたのだ。
ここの小母艦級も王のコアを支配されていたのだろうが、支配していたケイン元皇子艦が離れたため、ニアヒュームとしての活動を復活させていた。
僕は次元格納庫から電子戦特化艦2番艦を出すとニアヒュームをサクッと無力化した。
「頼んだよAK-E002」
もう少し対処が遅かったら、ラスティ3の住人がニアヒュームに汚染されているところだった。
この小母艦級も隔離専用母艦に流用しよう。
僕は工場惑星に相談するべくクロウニー星系に戻った。
数日後、ロレンツォによってレオナルドが討伐されたという報告があった。
ここにレオナルドによる反乱はロレンツォ領侵攻事変という名に変わって終結した。
レオナルド領はロレンツォ領に併合。
第5皇子レオナルドは死亡廃嫡となった。
工場惑星から菜穂艦の電子戦装備をコピーした電子戦特化艦が竣工して来た。
諸元は以下。
『AK-E001』
艦種 電子戦特化艦
艦体 全長450m 重巡洋艦型 2腕
主機 対消滅反応炉G型(15) 高速推進機E型
兵装 主砲 20cm粒子ビーム方連装1基2門
副砲 なし
対宙砲 10cmレーザー単装4基4門
ミサイル発射管 なし
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
耐実体弾耐ビーム盾E型 1
停滞フィールド(バリヤー)E型
電子兵装 電脳A型 次元レーダーC型 次元通信機C型 電子(量子・次元)戦装備A型 電子戦用サブ電脳A型
空きエネルギースロット 0
状態 良好
性能的には傭兵さんたちにレンタルした重巡洋艦の戦闘力をダウンさせて電子戦装備をがっつり搭載した感じだ。
電子戦絡みで2スロット消費するA型装備や次元装備を搭載したため反応炉が対消滅反応炉にグレードアップされている。
無人運用の量産艦だがCICが装備され有人運用も想定されている。
これは輸出仕様にして外貨獲得を目指すためだ。
【対ニアヒューム戦には1艦隊に1艦、電子戦特化艦を】というPRで売りまくるつもりだ。
今回の反乱で要塞艦の電脳のロックや自爆装置が簡単に無効化されてしまった反省で、もしもの時は基幹部品が壊れて使用不能になるブラックボックスを搭載することにした。
再利用出来るように無効化しようとした僕の貧乏症が仇となってしまった。
今度は徹底的に使えなくしてしまう。
こんな心配をするのは、僕の中に帝国と事を構えるかもしれないという漠然とした不安があるからなんだろう。
この艦を菜穂艦の代わりにクロウニー星系に配備するつもりだ。
後はニアヒューム隔離装置を装備した母艦が竣工するまで待機だ。
母艦のベースはニアヒュームの小母艦級を流用した。
コアさえ物理的に排除すれば、小母艦級の外殻は野良宇宙艦と大差がない。
実はそのコアから僕は重大な秘密を知ることになった。
『アキラ、ロレンツォ、極秘会議室に集合だ!』
突然、カイルから招集がかかった。何があったんだろう?
丁度良い。皆にもこの秘密を共有しよう。
さすがにこれは大っぴらには出来ない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◆
side:電脳空間極秘会議室 アキラ視点
電脳空間を飛んで防壁を抜け極秘会議室に到着する。
今回はロレンツォも単独でやって来る。
以前の参加を期に正式に招集メンバーとして登録されたのだ。
登録メンバーは防壁を抜けられるが、その他の者は防壁に弾かれて会議室の中を見ることも盗聴することも出来ない。
それが皇帝であってもだ。例外は登録メンバーに連れられた招待メンバーだけだ。
「アキラ、ロレンツォ、すまないな」
「いや、カイル、僕は待ち時間だったから問題ないよ」
「こちらも問題ありません。司令」
ロレンツォは艦隊再編や応急修理で絶対に問題があったはずだが、それをおくびにも出さない。
「ロレンツォ、忙しい所すまないが、君に関わる重大事だったので急いで来てもらった」
カイルもそこはわかっていたので心底すまなそうに謝罪する。
「何があったんだ?」
僕の問いかけにカイルは顔を顰めながら話す。
「単刀直入に言うと、陛下に作戦が却下された」
「え? レオナルド討伐作戦が?」
「ああ」
カイルが一呼吸置いてロレンツォに向かうと話し出した。
「ロレンツォ、陛下はレオナルド討伐に君を指名した」
「え?」
驚くロレンツォ。
そりゃそうだ。今のロレンツォ艦隊は手負いで戦力が足りない。
戦闘力が極限まで低下した満身創痍状態だ。
「陛下仰られるには、レオナルドを反乱扱いにすれば巻き込まれた家臣まで討たねばならなくなる。
彼らはバカな独裁者レオナルドの被害者だから救いたいというのが陛下の御心だ。
つまり今回の戦いはロレンツォ対レオナルドの私闘ということにしたいのだそうだ」
なるほど、バカに巻き込まれた家臣は災難だったろうからね。
皇帝は信長型の直情的な人物だと思っていたけど、皇帝もなかなか思慮深い人物のようだ。
「しかし、戦力が足りません。さすがに一騎打ちというわけにはいかないでしょう」
ロレンツォの尤もな意見も納得できる。
皇帝はどうしろと言うのだろう?
ロレンツォの戦力が回復するまで時間を置けばレオナルドに逃げられてしまうかもしれない。
「そこでだ。現在レオナルド星系に向かっている僕の討伐艦隊から帝国正規軍と要塞艦をロレンツォに与える。
それをもってレオナルド討伐に当たれ」
「しかし、我が星系は次元跳躍門が壊れていて機能していません。
我が専用艦だけでは合流出来かねます」
僕はうっかりしていたことに気付いた。
「そうだった。次元跳躍門を直さないといけなかったんだ。
ロレンツォすまない。
工場惑星がクロウニー星系に来ているけど、次元跳躍門建造は月単位で時間がかかると言われている」
「アキラ、それでは間に合わないではないか!」
拙い。作戦上必要だったとはいえ壊しすぎた。
その作戦も完全に裏をかかれて次元跳躍門破壊は無駄な行為になっている。
なんとかしなければ……。そうだ!
「次元跳躍門から切り取った制御ブロックは次元格納庫の中にある。
それを出せば修復は容易だと思う。まずクロウニー門を早急に直そう」
「いや、要塞艦をクロウニー星系に次元跳躍させる。それにロレンツォの艦隊を搭載すればいい。
僕の艦隊から正規軍10万をロレンツォの指揮下につける。
名目上さすがに僕が関わるわけにはいかないので、僕の息のかかった戦力はつけられない。
言い訳が必要なだけの割の合わない戦いだが、ロレンツォが決着をつけてくれ」
焦る僕を尻目にカイルが単純な回答を提案する。
その手があったか。さすがカイル。
「いえ、ご配慮ありがとうございます。レオナルドは将兵の仇でもあります。
この機会に弔い合戦とさせていただきます」
「レオナルドには、もう戦力は残っていないはずだ。
頑張れよ。僕は領軍を連れて帝都に戻るよ」
なんだか、そのままお開きとなりそうな雰囲気になったので、僕は2人を呼び止めた。
「ちょっと待って。ニアヒュームが支配されていた原因がわかったんだ。
それを報告したい」
「「なんだって!」」
カイルとロレンツォの2人がそろって驚愕の声をあげた。
「これを見てくれ」
僕は隔離用母艦を製造するために小母艦級から切り取ったコアの映像を仮想スクリーンに映す。
そこにはコアに寄生するコアが映っていた。
「なんだこれは?」
「どうやらニアヒュームと同様の機械生命らしい。
これがニアヒュームの群れの王に寄生することで、群れ全体を操っていたみたいだ」
「ニアヒュームは蟻や蜂に例えられるような群による統一行動をすると言われていたな」
「いわば群れの頭脳である女王蜂を乗っ取ることで群れ全てを乗っ取ったようだ」
「まさか、それって……」
カイルがあることを思い出して気付いたようだ。
僕はあのブレインハック事件の詳細をカイルに報告していた。
人の脳にナノマシンを寄生させ意のままに操る。
あれと同じことをニアヒュームに対してやった奴がいるんだ。
「ブレインハック事件、謎の黒い特殊艦、それに似た特殊艦がこの戦場でも目撃された。
全てに共通して関わっている人物、主犯はケイン元皇子だったよ。
僕の姉貴も一緒だった……。訳の分からないことを言っていたのでおそらく姉貴も操られている。
残念なことにケイン元皇子には、あと一歩で逃げられてしまった。
だが、奴が何らかの手段で他人やニアヒュームを操れることがわかった。
これは危険な能力だ。もし帝国の中枢が乗っ取られたら大変なことになる」
カイルは黙り込んでしまった。
おそらくその危険性と対策で頭がいっぱいなのだろう。
レオナルドは、自分の星系を危機に陥れた原因がケイン元皇子の暗躍だと知って怒りを覚えているようだ。
「宰相は、陛下が信頼を置くに足る人物だった。
孫のためとはいえ、あんな醜態をさらした原因がいまでも僕は理解出来なかった。
それが操られていた結果だとしたら……。
既に帝国の中枢まで汚染されているのかもしれない」
「イーサンに寄生していたニアヒュームが、過去にニアヒュームが騙されて利用されたと言っていたよね?
あれって今回と同じようにニアヒュームの王が乗っ取られて意のままに操られたことを意味しているんじゃないかな」
「これは由々しき事態だ。ニアヒューム汚染より質が悪い。
あのケインが行方を眩ませられるのも操られている協力者が居てのことだろう。
レオナルドの異常行動も操られていたのかもしれない。
僕は早急に対策を講じるように陛下に陳情しよう」
「頼む。どこにケイン元皇子の協力者がいるかわからない。気を付けて」
「わかった」
「私もおかしな行動をする者に注意することにするよ。
カイル司令、それでは戦力をお預かりしてレオナルド討伐に向かいます」
新たな難問を抱えて極秘会議は解散となった。
◇ ◇ ◇ ◆ ◇
side:クロウニ―星系 専用艦CIC アキラ視点
僕は慌てていた。
ロレンツォの支配星系にある次元跳躍門を全て物理的に破壊してしまった。
工場惑星の生産力なら次元跳躍門など直ぐに用意出来ると思っていたら、月単位の時間がかかるという。
次元跳躍門が使えないと、他星系との行き来や貿易に重大な支障が出る。
事実、カイルの主力艦隊が立ち往生することになり、ロレンツォの艦隊もレオナルド討伐に向かえなくなっていた。
とりあえず、クロウニー星系の次元跳躍門をなんとか修復しなければならない。
幸い次元格納庫には切り取った制御ブロックがそのまま収納されている。
僕は次元跳躍門に近づくと切り取った制御ブロックを取り出してはめてみた。
細かい作業になるが、久しぶりの艦載腕の出番となった。
回収艦時代にデブリの捕獲クエストで培った腕の見せ所だ。
制御ブロックは次元格納庫の収納で切り取ったため切り口がぴったりと合った。
ちなみに次元格納庫への収納は収納フィールドに触れている物体全ての収納と、収納フィルード内にある物体だけの収納を選ぶことが出来る。
収納フィールド内にある物体だけの収納を選ぶとその堺で綺麗に切り取られることになる。
よくよく考えたら次元跳躍門をそのまま収納すれば良かったと気付いた。
それだけの収納能力が次元格納庫にあったことをすっかり失念していた。
そうすればこんな苦労をしなかったのに……。
制御ブロックをはめると、ここに外部から融合フィールドを形成させる。
元々次元跳躍門が持っている自己修復機能を活性化させるのだ。
「ふう。これでなんとかなるはずだ」
新造品の次元跳躍門に切り替えるつもりだったんだけど、建造期間が月単位でかかって、さらに組み立て期間がかかると考えると次元跳躍門を破壊したのは失策だった。
まあ、やってしまったことは仕方がない。
なるべく短期で修復出来るように汗を流そう。
とりあえず新造のAK-E001をクロウニ―星系に配備して、ニアヒュームの無力化を菜穂さんから引き継いでおこう。
小母艦級改の隔離専用母艦が竣工したら、ニアヒューム全艦を隔離して終わりだ。
「さて、次だ」
僕は次元跳躍を駆使してロレンツォ支配星系の次元跳躍門を修理していった。
そして最後にハブ次元跳躍門を持つラスティ星系に向かう。
「はい。ラスト」
そして最後に次元跳躍アウトしたラスティ星系には、ニアヒュームの小母艦級が待ち構えていた。
「そうだった。ここにはまだニアヒュームの残りがいたんだった」
レオナルド軍は要塞艦をニアヒューム化させ、ニアヒューム艦を要塞艦に格納して次元跳躍でクロウニー星系を強襲した。
そのため、元々ニアヒューム艦を搭載していた小母艦級と、積み残された一部のニアヒューム艦がラスティ星系に取り残されていたのだ。
ここの小母艦級も王のコアを支配されていたのだろうが、支配していたケイン元皇子艦が離れたため、ニアヒュームとしての活動を復活させていた。
僕は次元格納庫から電子戦特化艦2番艦を出すとニアヒュームをサクッと無力化した。
「頼んだよAK-E002」
もう少し対処が遅かったら、ラスティ3の住人がニアヒュームに汚染されているところだった。
この小母艦級も隔離専用母艦に流用しよう。
僕は工場惑星に相談するべくクロウニー星系に戻った。
数日後、ロレンツォによってレオナルドが討伐されたという報告があった。
ここにレオナルドによる反乱はロレンツォ領侵攻事変という名に変わって終結した。
レオナルド領はロレンツォ領に併合。
第5皇子レオナルドは死亡廃嫡となった。
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(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
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剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
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初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
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これは、組織の鎖を断ち切った一人の事務屋が、人間と魔物の間に「新しい契約」を紡ぎ、世界を再起動させるまでの物語。
「――さて。予約外の終焉(ラグナロク)ですか? 承知しました。まずは、スケジュールの調整から始めましょう」
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