【改訂版】異世界転移で宇宙戦争~僕の専用艦は艦隊旗艦とは名ばかりの単艦行動(ぼっち)だった~

北京犬(英)

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帝国内乱編

179 帝国内乱編17 後始末2

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side:クロウニ―星系 専用艦CIC アキラ視点

 工場惑星から菜穂なほ艦の電子戦装備をコピーした電子戦特化艦が竣工して来た。
諸元は以下。

『AK-E001』
艦種 電子戦特化艦
艦体 全長450m 重巡洋艦型 2腕
主機 対消滅反応炉G型(15) 高速推進機E型
兵装 主砲 20cm粒子ビーム方連装1基2門
   副砲 なし
   対宙砲 10cmレーザー単装4基4門
   ミサイル発射管 なし
防御 耐ビームコーティング特殊鋼装甲板
   耐実体弾耐ビーム盾E型 1
   停滞フィールド(バリヤー)E型
電子兵装 電脳A型 次元レーダーC型 次元通信機C型 電子(量子・次元)戦装備A型 電子戦用サブ電脳A型
空きエネルギースロット 0
状態 良好

 性能的には傭兵さんたちにレンタルした重巡洋艦の戦闘力をダウンさせて電子戦装備をがっつり搭載した感じだ。
電子戦絡みで2スロット消費するA型装備や次元装備を搭載したため反応炉が対消滅反応炉にグレードアップされている。
無人運用の量産艦だがCICが装備され有人運用も想定されている。
これは輸出仕様にして外貨獲得を目指すためだ。
【対ニアヒューム戦には1艦隊に1艦、電子戦特化艦を】というPRで売りまくるつもりだ。
今回の反乱で要塞艦の電脳のロックや自爆装置が簡単に無効化されてしまった反省で、もしもの時は基幹部品が壊れて使用不能になるブラックボックスを搭載することにした。
再利用出来るように無効化しようとした僕の貧乏症が仇となってしまった。
今度は徹底的に使えなくしてしまう。
こんな心配をするのは、僕の中に帝国と事を構えるかもしれないという漠然とした不安があるからなんだろう。

 この艦を菜穂なほ艦の代わりにクロウニー星系に配備するつもりだ。
後はニアヒューム隔離装置を装備した母艦が竣工するまで待機だ。
母艦のベースはニアヒュームの小母艦級を流用した。
コアさえ物理的に排除すれば、小母艦級の外殻は野良宇宙艦と大差がない。
実はそのコアから僕は重大な秘密を知ることになった。

『アキラ、ロレンツォ第7皇子、極秘会議室に集合だ!』

 突然、カイル第1皇子から招集がかかった。何があったんだろう?
丁度良い。皆にもこの秘密を共有しよう。
さすがにこれは大っぴらには出来ない。


◇  ◇  ◇  ◇  ◆


side:電脳空間極秘会議室 アキラ視点

 電脳空間を飛んで防壁を抜け極秘会議室に到着する。
今回はロレンツォ第7皇子も単独でやって来る。
以前の参加を期に正式に招集メンバーとして登録されたのだ。
登録メンバーは防壁を抜けられるが、その他の者は防壁に弾かれて会議室の中を見ることも盗聴することも出来ない。
それが皇帝であってもだ。例外は登録メンバーに連れられた招待メンバーだけだ。

「アキラ、ロレンツォ第7皇子、すまないな」

「いや、カイル第1皇子アキラは待ち時間だったから問題ないよ」

「こちらも問題ありません。司令」

 ロレンツォ第7皇子は艦隊再編や応急修理で絶対に問題があったはずだが、それをおくびにも出さない。

ロレンツォ第7皇子、忙しい所すまないが、君に関わる重大事だったので急いで来てもらった」

 カイル第1皇子もそこはわかっていたので心底すまなそうに謝罪する。

「何があったんだ?」

 僕の問いかけにカイル第1皇子は顔を顰めながら話す。

「単刀直入に言うと、陛下に作戦が却下された」

「え? レオナルド第5皇子討伐作戦が?」

「ああ」

 カイル第1皇子が一呼吸置いてロレンツォ第7皇子に向かうと話し出した。

ロレンツォ第7皇子、陛下はレオナルド第5皇子討伐に君を指名した」

「え?」

 驚くロレンツォ第7皇子
そりゃそうだ。今のロレンツォ第7皇子艦隊は手負いで戦力が足りない。
戦闘力が極限まで低下した満身創痍状態だ。

「陛下仰られるには、レオナルド第5皇子を反乱扱いにすれば巻き込まれた家臣まで討たねばならなくなる。
彼らはバカな独裁者レオナルド第5皇子の被害者だから救いたいというのが陛下の御心だ。
つまり今回の戦いはロレンツォ第7皇子レオナルド第5皇子の私闘ということにしたいのだそうだ」

 なるほど、バカに巻き込まれた家臣は災難だったろうからね。
皇帝は信長型の直情的な人物だと思っていたけど、皇帝もなかなか思慮深い人物のようだ。

「しかし、戦力が足りません。さすがに一騎打ちというわけにはいかないでしょう」

 ロレンツォ第7皇子の尤もな意見も納得できる。
皇帝はどうしろと言うのだろう?
ロレンツォ第7皇子の戦力が回復するまで時間を置けばレオナルド第5皇子に逃げられてしまうかもしれない。

「そこでだ。現在レオナルド星系に向かっている僕の討伐艦隊から帝国正規軍と要塞艦をロレンツォ第7皇子に与える。
それをもってレオナルド第5皇子討伐に当たれ」

「しかし、我が星系は次元跳躍門ゲートが壊れていて機能していません。
我が専用艦だけでは合流出来かねます」

 僕はうっかりしていたことに気付いた。

「そうだった。次元跳躍門ゲートを直さないといけなかったんだ。
ロレンツォ第7皇子すまない。
工場惑星がクロウニー星系に来ているけど、次元跳躍門ゲート建造は月単位で時間がかかると言われている」

「アキラ、それでは間に合わないではないか!」

 拙い。作戦上必要だったとはいえ壊しすぎた。
その作戦も完全に裏をかかれて次元跳躍門ゲート破壊は無駄な行為になっている。
なんとかしなければ……。そうだ!

次元跳躍門ゲートから切り取った制御ブロックは次元格納庫の中にある。
それを出せば修復は容易だと思う。まずクロウニー門を早急に直そう」

「いや、要塞艦をクロウニー星系に次元跳躍ワープさせる。それにロレンツォ第7皇子の艦隊を搭載すればいい。
僕の艦隊から正規軍10万をロレンツォ第7皇子の指揮下につける。
名目上さすがに僕が関わるわけにはいかないので、僕の息のかかった戦力はつけられない。
言い訳が必要なだけの割の合わない戦いだが、ロレンツォ第7皇子が決着をつけてくれ」

 焦る僕を尻目にカイル第1皇子が単純な回答を提案する。
その手があったか。さすがカイル第1皇子

「いえ、ご配慮ありがとうございます。レオナルド第5皇子は将兵の仇でもあります。
この機会に弔い合戦とさせていただきます」

レオナルド第5皇子には、もう戦力は残っていないはずだ。
頑張れよ。僕は領軍を連れて帝都に戻るよ」

 なんだか、そのままお開きとなりそうな雰囲気になったので、僕は2人を呼び止めた。

「ちょっと待って。ニアヒュームが支配されていた原因がわかったんだ。
それを報告したい」

「「なんだって!」」

 カイル第1皇子ロレンツォ第7皇子の2人がそろって驚愕の声をあげた。

「これを見てくれ」

 僕は隔離用母艦を製造するために小母艦級から切り取ったコアの映像を仮想スクリーンに映す。
そこにはコアに寄生するコアが映っていた。

「なんだこれは?」

「どうやらニアヒュームと同様の機械生命らしい。
これがニアヒュームの群れの王・・・・に寄生することで、群れ全体を操っていたみたいだ」

「ニアヒュームは蟻や蜂に例えられるような群による統一行動をすると言われていたな」

「いわば群れの頭脳である女王蜂を乗っ取ることで群れ全てを乗っ取ったようだ」

「まさか、それって……」

 カイル第1皇子があることを思い出して気付いたようだ。
僕はあのブレインハック事件の詳細をカイル第1皇子に報告していた。
人の脳にナノマシンを寄生させ意のままに操る。
あれと同じことをニアヒュームに対してやった奴がいるんだ。

「ブレインハック事件、謎の黒い特殊艦、それに似た特殊艦がこの戦場でも目撃された。
全てに共通して関わっている人物、主犯はケイン元皇子プリンスだったよ。
僕の姉貴も一緒だった……。訳の分からないことを言っていたのでおそらく姉貴も操られている。
残念なことにケイン元皇子プリンスには、あと一歩で逃げられてしまった。
だが、奴が何らかの手段で他人やニアヒュームを操れることがわかった。
これは危険な能力だ。もし帝国の中枢が乗っ取られたら大変なことになる」

 カイル第1皇子は黙り込んでしまった。
おそらくその危険性と対策で頭がいっぱいなのだろう。
レオナルド第5皇子は、自分の星系を危機に陥れた原因がケイン元皇子プリンスの暗躍だと知って怒りを覚えているようだ。

「宰相は、陛下が信頼を置くに足る人物だった。
孫のためとはいえ、あんな醜態をさらした原因がいまでも僕は理解出来なかった。
それが操られていた結果だとしたら……。
既に帝国の中枢まで汚染されているのかもしれない」

イーサン第3皇子に寄生していたニアヒュームが、過去にニアヒュームが騙されて利用されたと言っていたよね?
あれって今回と同じようにニアヒュームの王が乗っ取られて意のままに操られたことを意味しているんじゃないかな」

「これは由々しき事態だ。ニアヒューム汚染より質が悪い。
あのケインプリンスが行方を眩ませられるのも操られている協力者が居てのことだろう。
レオナルド第5皇子の異常行動も操られていたのかもしれない。
僕は早急に対策を講じるように陛下に陳情しよう」

「頼む。どこにケイン元皇子プリンスの協力者がいるかわからない。気を付けて」

「わかった」

「私もおかしな行動をする者に注意することにするよ。
カイル司令、それでは戦力をお預かりしてレオナルド第5皇子討伐に向かいます」

 新たな難問を抱えて極秘会議は解散となった。


◇  ◇  ◇  ◆  ◇

side:クロウニ―星系 専用艦CIC アキラ視点

 僕は慌てていた。
ロレンツォ第7皇子の支配星系にある次元跳躍門ゲートを全て物理的に破壊してしまった。
工場惑星の生産力なら次元跳躍門ゲートなど直ぐに用意出来ると思っていたら、月単位の時間がかかるという。
次元跳躍門ゲートが使えないと、他星系との行き来や貿易に重大な支障が出る。
事実、カイル第1皇子の主力艦隊が立ち往生することになり、ロレンツォ第7皇子の艦隊もレオナルド第5皇子討伐に向かえなくなっていた。

 とりあえず、クロウニー星系の次元跳躍門ゲートをなんとか修復しなければならない。
幸い次元格納庫には切り取った制御ブロックがそのまま収納されている。
僕は次元跳躍門ゲートに近づくと切り取った制御ブロックを取り出してはめてみた。
細かい作業になるが、久しぶりの艦載腕の出番となった。
回収艦時代にデブリの捕獲クエストで培った腕の見せ所だ。
制御ブロックは次元格納庫の収納で切り取ったため切り口がぴったりと合った。

 ちなみに次元格納庫への収納は収納フィールドに触れている物体全ての収納と、収納フィルード内にある物体だけの収納を選ぶことが出来る。
収納フィールド内にある物体だけの収納を選ぶとその堺で綺麗に切り取られることになる。
よくよく考えたら次元跳躍門ゲートをそのまま収納すれば良かったと気付いた。
それだけの収納能力が次元格納庫にあったことをすっかり失念していた。
そうすればこんな苦労をしなかったのに……。

 制御ブロックをはめると、ここに外部から融合フィールドを形成させる。
元々次元跳躍門ゲートが持っている自己修復機能を活性化させるのだ。

「ふう。これでなんとかなるはずだ」

 新造品の次元跳躍門ゲートに切り替えるつもりだったんだけど、建造期間が月単位でかかって、さらに組み立て期間がかかると考えると次元跳躍門ゲートを破壊したのは失策だった。
まあ、やってしまったことは仕方がない。
なるべく短期で修復出来るように汗を流そう。
とりあえず新造のAK-E001をクロウニ―星系に配備して、ニアヒュームの無力化を菜穂なほさんから引き継いでおこう。
小母艦級改の隔離専用母艦が竣工したら、ニアヒューム全艦を隔離して終わりだ。

「さて、次だ」

 僕は次元跳躍ワープを駆使してロレンツォ第7皇子支配星系の次元跳躍門ゲートを修理していった。
そして最後にハブ次元跳躍門ゲートを持つラスティ星系に向かう。

「はい。ラスト」

 そして最後に次元跳躍ワープアウトしたラスティ星系には、ニアヒュームの小母艦級が待ち構えていた。

「そうだった。ここにはまだニアヒュームの残りがいたんだった」

 レオナルド第5皇子軍は要塞艦をニアヒューム化させ、ニアヒューム艦を要塞艦に格納して次元跳躍ワープでクロウニー星系を強襲した。
そのため、元々ニアヒューム艦を搭載していた小母艦級と、積み残された一部のニアヒューム艦がラスティ星系に取り残されていたのだ。
ここの小母艦級も王のコアを支配されていたのだろうが、支配していたケイン元皇子プリンス艦が離れたため、ニアヒュームとしての活動を復活させていた。
僕は次元格納庫から電子戦特化艦2番艦を出すとニアヒュームをサクッと無力化した。

「頼んだよAK-E002」

 もう少し対処が遅かったら、ラスティ3の住人がニアヒュームに汚染されているところだった。
この小母艦級も隔離専用母艦に流用しよう。
僕は工場惑星に相談するべくクロウニー星系に戻った。

 数日後、ロレンツォ第7皇子によってレオナルド第5皇子が討伐されたという報告があった。
ここにレオナルド第5皇子による反乱はロレンツォ第7皇子領侵攻事変という名に変わって終結した。
レオナルド第5皇子領はロレンツォ第7皇子領に併合。
第5皇子レオナルドは死亡廃嫡となった。
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