父親が呪われているので家出してガチャ屋をすることにしました

北京犬(英)

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家出編

020 カナタ、街に辿り着く

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 ニクには新たに靴下、下着(下 女性用)、下着(上)、ワンピースを渡して着替えてもらっている。
バスタオルとエッチな下着(下)は【ロッカー】に回収した。

「マスター、私が履いた下着をどうするつもりですか?」

 ニクはカナタをあらためて変態さんと認識した。

「いや、いつまでも下着を持ってるのは邪魔だと思って……」

 カナタは善意のつもりだが、端から見たら女性に履かせた下着を脱がせてコレクションしたように見えなくもない。
しかもそれがエッチな下着となると言い訳の信憑性がすこぶる怪しくなる。
カナタは、ニクのプライベートな荷物を入れる鞄が必要だと痛感した。


 カナタたちは、【魔力探知】と【MAP】によって、事前に魔物や危険な動物を避けることができた。
そのおかげでカナタとニクは、森を抜けると街道を発見し、転移した日の3日後に名を知らぬ街に辿り着いた。
街道を右に行くか左に行くか悩んだが、立ち止まって【魔力探知】の魔力を伸ばすことで多数の人を関知、右に行くのが正解だと把握していたのだ。
なので街に辿り着いたのは必然だった。

 街は強固な外壁に囲まれ、なかなかに大きな街だった。
カナタが知っている街はファーランド領の領都であるファーランドだが、その領都より少し劣るぐらいの大きな街だった。

(もしかすると、他の貴族領の領都かもしれない)

 カナタとニクは、街の入り口に続く長い列の後ろに並んだ。
列の先を観察すると、どうやら1人銀貨1枚を支払って街に入っているようだ。

(入街税ってやつか。1人銀貨1枚ならギリギリ足りるな……)

 そうカナタが思っていると、街の入り口の門へと向かう列が進みカナタたちの番になった。

「こんにちは。おふたりですね?
街に入る目的は何ですか?」

 門を護る衛兵は、丁寧な態度でカナタに質問して来た。
カナタは特に目的というものを決めていなかったので少し焦ったが、嘘をついても仕方ないので正直に伝える。

「はい。ふたりです。
旅の途中で寄らせてもらいました」

 そう言うと衛兵は少し怪訝な表情をしたが、納得したように頷いた。

「わかりました。それでは入街税がおひとり1000DGですので2000DGお支払いください」

 カナタは【お財布】からなけなしの2000DGを支払った。
残り800DG。宿もとれないほど厳しい懐事情だった。
カナタは街に入れてホッとすると同時に、資金不足が不安になるのだった。

 ちなみになぜ衛兵が怪訝に思ったかというと、カナタが着ている服が良い所の貴族のお坊ちゃんのものだったからだ。
貴族ならば、貴族専用の入り口に向かえば並ぶ必要がなかった。
それなのに、カナタは律義に一般列で並んでいた。
ここでもカナタの常識の無さが出ていたのだ。
衛兵は、カナタが没落貴族の子供で、美少女のニクをメイドなんだろうかと思っただけなのだ。
ニクがまともな格好で良かった。
もし下半身にバスタオルを巻いただけだったら、確実に取り調べを受けていただろう。


「所持金800DG。拙いな」

 街に入ったカナタは、金策をすることにした。
このままでは宿屋にも泊まれない。
幸い、手放しても問題のない無駄なアイテム類が【ロッカー】の中にある。
カナタは周囲を見廻すと、道端に露天商がちらほら出ているのをみつけた。

「こういった露天は確か商業ギルドの許可制で有料だったよな?」

 カナタは長い闘病生活の中で本だけはよく読んでいた。
その中に領地での商売に関する取り決めの本があった。
そこには露天の場所や料金に関する取り決めがあり、それを商業ギルドが管轄していることが書いてあった。
たぶん領主教育のための常識本だったのだろうが、カナタはそれを読んで覚えていたのだ。

「勝手にやったら捕まるな。
ならば、アイテムを冒険者ギルドに持ち込むか」

 この世界にも冒険者ギルドという組織が存在していた。
その仕組みはテンプレ通り。
少し違いがあるとすれば、冒険者登録をしていなくても魔物素材やアイテムを買ってくれるということだろうか。
つまり、冒険者でもないカナタでも持ち込みが出来る。
冒険者との違いは討伐依頼があった魔物の素材だったとしても依頼達成料は出ないということか。
カナタが持っている素材はヴァルチャードッグ関連の牙や毛皮とガチャから出た肉類。
しかし、あれから3日経っているので、肉類は【ロッカー】内で腐り始めたかもしれない。
そうカナタは思っていた。

「肉はもうだめかな?」

 道中何度か焼いて食べた肉だが、悪くなっているようには思えなかった。
この時カナタは、【ロッカー】がレベルアップして時間停止機能がついていることに、まだ気付いていなかった。
徐に肉類として一番古いオーク肉を出してみたが、見た目は新鮮そのものだった。
ヴァルチャードッグを呼ぶことになった時の腐ったオーク肉とは状態が違い過ぎる。

「あれは確か、【ロッカー】に閉じ込められて4日後のオーク肉だったな。
このオーク肉は3日経過か……」

 この時カナタはやっと【ロッカー】の機能がレベルアップしている可能性に気付いた。
【ロッカー】の大きさが1辺3mになったことだけは把握していた。
これで【ロッカー】のレベルの3乗立方mがその容量となっていたのだ。
だが、これに時間停止がついていたのだが、スキルの詳細を目にしていなかったせいで気付かなかったのだ。

「もしや……。
ステータス! 【ロッカー】機能状態!」

 スタータスの表示方法にはいくつか種類がある。
これは個々のスキルの状態を把握するためのコマンドだった。
常時発動中のスキルが現在どう発動しているか表示し、そのON/OFFがここで出来る。

【ロッカー】Lv.3 時空倉庫3×3×3 時間停止機能ON 常時発動中

「【ロッカー】に時間停止機能が付いていた!」

 これはカナタにとって嬉しい誤算だった。
レベルアップしたのは転移初日のことだ。
つまりこの3日間、各種お肉は時間停止機能で新鮮なままということだ。

「肉屋に売るか冒険者ギルドに売るか……。
いや肉屋には伝手もないし、相手が信用できるかもわからない。
国家を跨ぐ組織の冒険者ギルドなら多少安くなるかもしれないけど信用は出来る。
やはり冒険者ギルドに行こう」

 カナタは冒険者ギルドに向かうことにした。
ニクはそういった知識がないのだろう。
黙ってカナタに付いていくのだった。

 折角街に辿り着いたのに、カナタが父アラタに連絡しようという頭が働かなかったのは、カナタが今を生きるのにいっぱいいっぱいだったからだ。
遠方に連絡するにはそれなりのお金がかかるので、実際そんな依頼をする余裕もない。
カナタはまだ11歳だ。領主に助けを求めるということすら考えが及ばないほどの精神状態だったのだ。
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