26 / 204
家出編
026 ニク、実力を見せる
しおりを挟む
この3人の冒険者は、昨日カナタが冒険者ギルドで高価買取をしてもらっている場面に、たまたま居合わせた者たちだった。
買取で金貨が支払われたことを知っており、カナタたちが子供と美少女という無防備なパーティなこともあって、簡単に金銭を奪えるカモだと思いタイミングを見計らっていたのだ。
「金を出せ。ああ、その女も置いていけ」
「お嬢ちゃん、俺たちとイイコトしようぜ」
「ゲヒャヒャヒャヒャ」
冒険者は、嫌らしい笑い声とともに腰の剣を抜くと強盗に早変わりした。
この世界、犯罪を証明するのは難しい。
一般人の間では、主に現行犯でなければ捕まる事は早々ない。
貴族が関わる事件の場合は審議官が入って調査することで犯罪が証明されるが、一般人の事件にまでは審議官が出て来ることはほぼ無かった。
なので、冒険者でありながら強盗や野党となる事例が多々あった。
今回の連中も冒険者兼強盗の常習者だった。
「マスターの生命に関する重大な危機を確認。
殲滅してもよろしいですか?」
カナタはニクが返事や説明以外を口にしたのに驚き思わず頷いてしまった。
「マスターの承認受諾。武器使用制限解除」
何やらニクの右腕が変形し光っている。
「敵の殲滅を開始します」
ここに来て、カナタは殲滅の意味に恐怖した。
「(このままだと危ない。強盗たちが!)
待った。殲滅はなし。武装解除のうえ無力化せよ!」
ニクがカナタの方に顔を向ける。
その表情はとても残念そうだ。
しかし、ニクはコクリと頷きカナタの命令を受け入れた。
「命令を受諾。
武装解除のうえ無力化を優先します」
「何をゴチャゴチャ言ってるんだよ!
早く【財布】を出せ」
強盗が右腕の剣を振り上げ脅して来る。
その右腕に眩い光が直撃する。
ニクの右腕から放たれた光魔法だ。
「はっ?」
強盗は自分の右腕が剣ごと消えて無くなっていることに暫し気付かなかった。
そして少し時間を置いて襲って来た痛みに、地面を転げまわることになった。
「ギャー! 痛てー! お、俺の右腕が!」
「こいつ魔法を使うのか!
おい、やるぞ!」
慌てて襲い掛かる他2人の強盗。
おそらく魔法なら2人同時には攻撃できないとでも思ったのだろう。
確かにこの世界では魔法の同時発動が出来るのは高位の魔術師だけだった。
そんな高位の魔術師は宮廷魔術師になるものなので、こんな田舎町の路地裏にいるはずがなかった。
またニクの右腕に光が宿る。
そして連続して光魔法が撃ち出され強盗たちの右腕を剣ごと消し飛ばした。
「敵対勢力の無力化を確認。
荷電粒子砲待機状態に入ります」
ニクの攻撃が光魔法の【マジックミサイル】ではなく、荷電粒子砲だったことには誰も気付かなかった。
成熟した科学は魔法と区別がつかない。
それは多田野信の知識を得たカナタでさえ解っていなかった。
カナタは強盗達の傷が焼けて塞がっていて、このまま放置しても死ぬことはないと確認すると、地面をのた打ち回る強盗たちの横をすり抜けて路地を出た。
強盗への反撃は正当防衛であり、カナタに罪悪感は微塵もなかった。
むしろ殺さなかったことが、多田野信の知識に引き摺られた結果だった。
この世界では強盗など殺しても構わないというのが一般的な風潮なのだ。
命の価値が軽い世の中だった。
「これ、衛兵に通報した方がいいのかな?」
「マスター、消し炭に変えれば手間いらずです」
ニクが怖いことを言う。
こんな時だけ会話が成立するのもなんだかなぁと思うカナタだった。
買取で金貨が支払われたことを知っており、カナタたちが子供と美少女という無防備なパーティなこともあって、簡単に金銭を奪えるカモだと思いタイミングを見計らっていたのだ。
「金を出せ。ああ、その女も置いていけ」
「お嬢ちゃん、俺たちとイイコトしようぜ」
「ゲヒャヒャヒャヒャ」
冒険者は、嫌らしい笑い声とともに腰の剣を抜くと強盗に早変わりした。
この世界、犯罪を証明するのは難しい。
一般人の間では、主に現行犯でなければ捕まる事は早々ない。
貴族が関わる事件の場合は審議官が入って調査することで犯罪が証明されるが、一般人の事件にまでは審議官が出て来ることはほぼ無かった。
なので、冒険者でありながら強盗や野党となる事例が多々あった。
今回の連中も冒険者兼強盗の常習者だった。
「マスターの生命に関する重大な危機を確認。
殲滅してもよろしいですか?」
カナタはニクが返事や説明以外を口にしたのに驚き思わず頷いてしまった。
「マスターの承認受諾。武器使用制限解除」
何やらニクの右腕が変形し光っている。
「敵の殲滅を開始します」
ここに来て、カナタは殲滅の意味に恐怖した。
「(このままだと危ない。強盗たちが!)
待った。殲滅はなし。武装解除のうえ無力化せよ!」
ニクがカナタの方に顔を向ける。
その表情はとても残念そうだ。
しかし、ニクはコクリと頷きカナタの命令を受け入れた。
「命令を受諾。
武装解除のうえ無力化を優先します」
「何をゴチャゴチャ言ってるんだよ!
早く【財布】を出せ」
強盗が右腕の剣を振り上げ脅して来る。
その右腕に眩い光が直撃する。
ニクの右腕から放たれた光魔法だ。
「はっ?」
強盗は自分の右腕が剣ごと消えて無くなっていることに暫し気付かなかった。
そして少し時間を置いて襲って来た痛みに、地面を転げまわることになった。
「ギャー! 痛てー! お、俺の右腕が!」
「こいつ魔法を使うのか!
おい、やるぞ!」
慌てて襲い掛かる他2人の強盗。
おそらく魔法なら2人同時には攻撃できないとでも思ったのだろう。
確かにこの世界では魔法の同時発動が出来るのは高位の魔術師だけだった。
そんな高位の魔術師は宮廷魔術師になるものなので、こんな田舎町の路地裏にいるはずがなかった。
またニクの右腕に光が宿る。
そして連続して光魔法が撃ち出され強盗たちの右腕を剣ごと消し飛ばした。
「敵対勢力の無力化を確認。
荷電粒子砲待機状態に入ります」
ニクの攻撃が光魔法の【マジックミサイル】ではなく、荷電粒子砲だったことには誰も気付かなかった。
成熟した科学は魔法と区別がつかない。
それは多田野信の知識を得たカナタでさえ解っていなかった。
カナタは強盗達の傷が焼けて塞がっていて、このまま放置しても死ぬことはないと確認すると、地面をのた打ち回る強盗たちの横をすり抜けて路地を出た。
強盗への反撃は正当防衛であり、カナタに罪悪感は微塵もなかった。
むしろ殺さなかったことが、多田野信の知識に引き摺られた結果だった。
この世界では強盗など殺しても構わないというのが一般的な風潮なのだ。
命の価値が軽い世の中だった。
「これ、衛兵に通報した方がいいのかな?」
「マスター、消し炭に変えれば手間いらずです」
ニクが怖いことを言う。
こんな時だけ会話が成立するのもなんだかなぁと思うカナタだった。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる