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ガチャ屋開業編
043 カナタ、奴隷を雇う
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冒険者ギルドを出たカナタ一行は、北門の近くにある奴隷商に向かった。
カナタが雇おうとしている奴隷は所謂年季奉公のようなものだった。
一定期間雇用され給料を稼ぎ、そのお金で自分を売った金額分を返済すれば、奴隷から解放される。
簡単に言えば人権の制限された一種の人材派遣業だった。
奴隷魔法の制約の元で働き、命令を守り逃げられないところが人権が制限される部分であり、そこが人材派遣でなく奴隷と言われる所以だった。
当然この一般奴隷に性奴隷といった扱いをすることは出来ないようになっているが、本人がそれを売りにして高額な報酬を得たいというのであれば、奴隷契約の中で特別な契約を結ぶことも出来た。
このような制度のため気楽に奴隷になる者もいて、人材の在籍率はかなり流動的だった。
ルルが「奴隷にも出会いのタイミングがある」と言ったのはこのためだ。
今回、カナタが望んでいる奴隷は、屋敷の掃除洗濯料理などを担当するメイドや料理人と、グリーンバレーで仕入れを行い商品をグラスヒルに持ち帰る戦闘職兼運び人だった。
総予算は最大5600万DG。先ほどのインゴット代で1100万DG増えていた。
カナタがお馴染みのポジショニングで奴隷商の店に入ると、奴隷商のカルロスが目ざとくカナタを見つけて、笑顔で揉み手をしながら声をかけて来た。
「これはカナタ様、今回はどういったご用件でしょうか?」
カルロスはカナタたちを応接室に通すと、メイドに紅茶と茶菓子を出させてから、何も知らない体で早速用件を尋ねた。
しかし、これは予定されていたことだった。カルロスもそこそこ成功した奴隷商人だ。
カナタが大通りに店舗とお屋敷を買ったことをしっかりと把握していた。
あの大きさのお屋敷ならメイドを雇わないわけがない、そう予想して選りすぐりの奴隷を用意して待ち構えていた。
ここでカルロスが勘違いしていたのは、カナタがララやルルのような特別な契約の奴隷を求めるだろうと思っていたことだった。
その誤解に気付かないまま商談が進む。
「グラスヒルに店舗兼住宅を買ったんだけど、その屋敷が想定外に広くてね。
そこの掃除や洗濯をするメイドと料理人を雇いたいんだ。
あ、それからグリーンバレーとグラスヒル間を単独で行き来できる戦闘奴隷も欲しい」
「かしこまりました」
カルロスはカナタを応接室に残すとバックヤードに消えて行った。
「お待たせしました。まずはメイドから」
そこには若くて見目麗しい女性が5人連れて来られていた。
ここでラノベ主人公ならば【鑑定】を使って掘り出し物を手に入れるところだろうが、カナタにはそんなスキルは……。
いやカナタには【魔力探知】と【図鑑】があった。
【魔力探知】で得た情報で何でも【図鑑】に出来るのがカナタのスキルだった。
カナタはこっそり魔力を流すと【メイド図鑑】を作成した。
人物鑑定は、本人の魔力障壁の影響か、あまり精度が良くないようで、【魔物図鑑】と比べたら得られた情報は少なかった。
「まず全員、種族は人族で職業にメイドを持っております。
左から年齢が21、20、18、16、15となります。
皆健康状態は良好。
【掃除、洗濯、裁縫、料理、生活魔法、お財布】のスキルを持っております。
メイドとして最高峰の実力者を取り揃えました」
カナタの【メイド図鑑】にも同様の情報が書かれていた。
カナタが気にしている犯罪歴は全員無し。
ただし、左から3人が【房中術】なるスキルを持っていた。
そして15歳の子は【隠密】スキルを持っていて、20歳の子は【剣士】の剣士スキル持ち、18歳の子は【魔力操作】【火魔法】【風魔法】の魔術師スキル持ちだった。
問題なのは16歳の子で、称号に元王女と書いてあった。
「(元王女に剣士に魔術師に隠密がなぜここにいるの?)」
カルロスに突っ込みを入れたい、しかしそれをすると【図鑑】で情報を盗み見ていることがバレる。
カナタは頭を抱えた。屋敷のメイドは料理人含めて最低3人雇いたい。
【料理】スキルがあるなら、メイドに料理人を兼任させてもいいだろう。
さらに戦闘スキルのある剣士と魔術師も当初の予定である戦闘奴隷と兼務出来るかもしれない。
「この5人は全員メイドをする契約でいいのかな?
もし戦闘任務も加えるとなると大丈夫?
隣街との物資輸送になるんだけど、自分の身は自分で守ることになるんだ」
「それは(特別な)契約の内です」
カルロスは特別な契約なので問題ないと答えた。
だが、カナタはメイド契約内で問題ないのだととっていた。
「そうですか、それなら料理人と戦闘奴隷はなしで、この5人を雇おうかな。
あ、金額を聞いていなかった。いくらですか?」
「左から、1000万DG、1500万DG、1800万DG、2000万DG、1200万DGです」
「は? (メイド契約ってそんなに高いの?)」
カナタは驚きを隠せなかった。
カナタの実家では、メイドの給金は1か月で銀貨50枚――5万DG――あれば上等な方だった。
ファーランド家のお屋敷で雇っているメイドに聞いた話なので、普通の雇用形態での給料だ。
しかし、それが奴隷契約であっても、そんなに間違っていない額のはずだった。
奴隷契約のメイドの任期は5年程度、年季明けに給料分のお金で自分が買い戻せる額が一般的な売値となる。
つまり年60万DG、5年で300万DGでかなり良い方の相場だと言って良い。
全員その数倍の価値があるとか、カナタはぼったくりかと思った。
いや、【メイド図鑑】で見た付加価値がある。しかし、それを入れても高すぎた。
これはメイド契約ではなく特別な契約だったせいなのだが、カナタとカルロスの行き違いにより誤解が生じていた。
カナタの保有現金は現在約5600万DGだった。
安い方から4人買っても5500万DGになってしまう。
高い方からだと3人で5300万DGになる。
ここでもっと安いメイドは居ないのかと聞けない、いやそんな考えにも至らないのが、世間知らずのカナタだった。
実はララとルル自身も特別な契約を結んでいて数千万DGの売値だったため、奴隷の値段とはこんなものだと思っていてスルーしてしまった。
「左から2番目と3番目をキープで。
やっぱり料理人と戦闘奴隷も見ようかな。
料理人と戦闘奴隷はどのぐらいの値段なの?」
「料理人は料理のみの契約で200万から400万DGです。
戦闘奴隷は800万DGから1000万DGですね」
料理人は特別な契約ではないため安かった。
戦闘奴隷は危険を伴う任務のためそこそこした。
これは、カナタが戦闘奴隷を欲しがるとはカルロスが思っていなかったため、特別な契約の奴隷を用意できていなかったせいだった。
それでも戦闘の危険手当が入るため、戦闘奴隷の値段は高めだった。
「料理人はこの3人。戦闘奴隷はこの5人です」
カルロスが一遍に料理人と戦闘奴隷を連れて来た。
カナタは早速魔力を流して【奴隷図鑑】を創る。
「料理人は【料理】スキルのレベルが2以上あります。
戦闘奴隷は主に剣術系スキル持ちですね。
自分の身は自分で守れる冒険者ランクC程度の者たちです」
カナタは【奴隷図鑑】を見て眉をひそめた。
料理人は【料理】スキルのレベル2が2人とレベル3が1人だった。
レベル3は当然雇う金額が高く、しかも気難しそうなおっさんだった。
レベル2の2人は本当に【料理】スキルしか持っていない、つまり料理しか出来ない人だった。
それならば、精鋭のメイドたちの方がスキルが多い分お得感がある。
カルロスもそっちのメイド推しなのは間違いなかった。
「戦闘奴隷の5人は、借金で首が回らなくなって奴隷落ちした冒険者ですな。
戦闘技術がある冒険者なら、自前で稼いだ方が良いに決まってます。
自ら奴隷となるような物好きはいないので、借金奴隷や戦争奴隷以外はこんなところにはいません」
引き続きカナタは【奴隷図鑑】で全員を見る。
まず借金をした理由を調べた。
酒、ギャンブル、酒、ギャンブル、怪我……。酷いものだった。
「(ダメじゃん)」
酒、ギャンブルで奴隷落ちの冒険者は、お使いの金を使い込まれそうだとカナタは思った。
奴隷契約の魔法で制限することは可能だが、そこまでして雇いたくない。
怪我の人は後遺症があると額面通りのランクの能力とは言い難いかもしれず、まともに戦闘奴隷として使えるかが怪しい。
まあ、カナタも病気で苦しんだ立場なので同情はするが、だから雇おうというわけにはいかない。
まだ【隠密】スキルで魔物に襲われることなく物を運べるであろう、メイド15歳の方がマシだろう。
「メイドとしての職務は21歳が一番有能そうだ。
1000万DGだし、借金でどうしようもない戦闘奴隷に1000万DG払うより遥かに良い。
そしてグリーンバレーとグラスヒル間の物資輸送は(【隠密】スキルのある)15歳が使えそうだ。
1200万DGだからキープの2人を加えても5500万DGとなる。
(元王女だけ残すけど、お金が無いんだから仕方ないよね)」
カナタは、一番値段が高く一番スキルがしょぼい元王女だけ買わないことにした。
「申し訳ございません。
キープの2人が拒否権を発動しました」
奴隷の中には雇用条件などの折り合いがつかなければ拒否権を発動することが認められている者がいた。
どうやら、剣士と魔術師の2人は拒否権が使える立場なようだ。
「え? どうして急に?」
「左から4番目の16歳と一緒でなければ嫌なのだそうです」
カナタは剣士と魔術師を雇えないのは能力的にもったいないと思った。
ルルが言っていたように今日の出会いを逃したら、次がないのではないかと思ったのだ。
だからと言って、剣士と魔術師と元王女の3人だけでは、屋敷の管理とハズレオーブ輸送を行うには困ると感じていた。
となると5人全員雇う以外ないだろう。
「わかった。前金で5600万DG払う。
これは4人の金額5500万DGに、最後の1人16歳のキープ代が100万DGね。
残り1900万DGは1週間以内に作って持ってくるよ。
それまで待ってもらえる?」
カナタの提案にカルロスは暫し考えると頷いた。
「よろしいでしょう。
こちらも3人セットなどというゴリ押しを通す事になってしまいましたので……。
もしお金が出来なかった場合は、2人分3300万DGはキャンセルとさせていただきます。
ただし、キープ代100万DGはご負担ください」
「わかった」
こうしてカナタは新たに5人の奴隷を雇うことにした。
残りの1900万DGは、盗賊のアジトで手に入れたアイテムやガチャで出たアイテムを売れば用意できるはずだ。
最悪、聖剣ストームスレイヴを売れば億単位のお金になるはずだった。
カナタが雇おうとしている奴隷は所謂年季奉公のようなものだった。
一定期間雇用され給料を稼ぎ、そのお金で自分を売った金額分を返済すれば、奴隷から解放される。
簡単に言えば人権の制限された一種の人材派遣業だった。
奴隷魔法の制約の元で働き、命令を守り逃げられないところが人権が制限される部分であり、そこが人材派遣でなく奴隷と言われる所以だった。
当然この一般奴隷に性奴隷といった扱いをすることは出来ないようになっているが、本人がそれを売りにして高額な報酬を得たいというのであれば、奴隷契約の中で特別な契約を結ぶことも出来た。
このような制度のため気楽に奴隷になる者もいて、人材の在籍率はかなり流動的だった。
ルルが「奴隷にも出会いのタイミングがある」と言ったのはこのためだ。
今回、カナタが望んでいる奴隷は、屋敷の掃除洗濯料理などを担当するメイドや料理人と、グリーンバレーで仕入れを行い商品をグラスヒルに持ち帰る戦闘職兼運び人だった。
総予算は最大5600万DG。先ほどのインゴット代で1100万DG増えていた。
カナタがお馴染みのポジショニングで奴隷商の店に入ると、奴隷商のカルロスが目ざとくカナタを見つけて、笑顔で揉み手をしながら声をかけて来た。
「これはカナタ様、今回はどういったご用件でしょうか?」
カルロスはカナタたちを応接室に通すと、メイドに紅茶と茶菓子を出させてから、何も知らない体で早速用件を尋ねた。
しかし、これは予定されていたことだった。カルロスもそこそこ成功した奴隷商人だ。
カナタが大通りに店舗とお屋敷を買ったことをしっかりと把握していた。
あの大きさのお屋敷ならメイドを雇わないわけがない、そう予想して選りすぐりの奴隷を用意して待ち構えていた。
ここでカルロスが勘違いしていたのは、カナタがララやルルのような特別な契約の奴隷を求めるだろうと思っていたことだった。
その誤解に気付かないまま商談が進む。
「グラスヒルに店舗兼住宅を買ったんだけど、その屋敷が想定外に広くてね。
そこの掃除や洗濯をするメイドと料理人を雇いたいんだ。
あ、それからグリーンバレーとグラスヒル間を単独で行き来できる戦闘奴隷も欲しい」
「かしこまりました」
カルロスはカナタを応接室に残すとバックヤードに消えて行った。
「お待たせしました。まずはメイドから」
そこには若くて見目麗しい女性が5人連れて来られていた。
ここでラノベ主人公ならば【鑑定】を使って掘り出し物を手に入れるところだろうが、カナタにはそんなスキルは……。
いやカナタには【魔力探知】と【図鑑】があった。
【魔力探知】で得た情報で何でも【図鑑】に出来るのがカナタのスキルだった。
カナタはこっそり魔力を流すと【メイド図鑑】を作成した。
人物鑑定は、本人の魔力障壁の影響か、あまり精度が良くないようで、【魔物図鑑】と比べたら得られた情報は少なかった。
「まず全員、種族は人族で職業にメイドを持っております。
左から年齢が21、20、18、16、15となります。
皆健康状態は良好。
【掃除、洗濯、裁縫、料理、生活魔法、お財布】のスキルを持っております。
メイドとして最高峰の実力者を取り揃えました」
カナタの【メイド図鑑】にも同様の情報が書かれていた。
カナタが気にしている犯罪歴は全員無し。
ただし、左から3人が【房中術】なるスキルを持っていた。
そして15歳の子は【隠密】スキルを持っていて、20歳の子は【剣士】の剣士スキル持ち、18歳の子は【魔力操作】【火魔法】【風魔法】の魔術師スキル持ちだった。
問題なのは16歳の子で、称号に元王女と書いてあった。
「(元王女に剣士に魔術師に隠密がなぜここにいるの?)」
カルロスに突っ込みを入れたい、しかしそれをすると【図鑑】で情報を盗み見ていることがバレる。
カナタは頭を抱えた。屋敷のメイドは料理人含めて最低3人雇いたい。
【料理】スキルがあるなら、メイドに料理人を兼任させてもいいだろう。
さらに戦闘スキルのある剣士と魔術師も当初の予定である戦闘奴隷と兼務出来るかもしれない。
「この5人は全員メイドをする契約でいいのかな?
もし戦闘任務も加えるとなると大丈夫?
隣街との物資輸送になるんだけど、自分の身は自分で守ることになるんだ」
「それは(特別な)契約の内です」
カルロスは特別な契約なので問題ないと答えた。
だが、カナタはメイド契約内で問題ないのだととっていた。
「そうですか、それなら料理人と戦闘奴隷はなしで、この5人を雇おうかな。
あ、金額を聞いていなかった。いくらですか?」
「左から、1000万DG、1500万DG、1800万DG、2000万DG、1200万DGです」
「は? (メイド契約ってそんなに高いの?)」
カナタは驚きを隠せなかった。
カナタの実家では、メイドの給金は1か月で銀貨50枚――5万DG――あれば上等な方だった。
ファーランド家のお屋敷で雇っているメイドに聞いた話なので、普通の雇用形態での給料だ。
しかし、それが奴隷契約であっても、そんなに間違っていない額のはずだった。
奴隷契約のメイドの任期は5年程度、年季明けに給料分のお金で自分が買い戻せる額が一般的な売値となる。
つまり年60万DG、5年で300万DGでかなり良い方の相場だと言って良い。
全員その数倍の価値があるとか、カナタはぼったくりかと思った。
いや、【メイド図鑑】で見た付加価値がある。しかし、それを入れても高すぎた。
これはメイド契約ではなく特別な契約だったせいなのだが、カナタとカルロスの行き違いにより誤解が生じていた。
カナタの保有現金は現在約5600万DGだった。
安い方から4人買っても5500万DGになってしまう。
高い方からだと3人で5300万DGになる。
ここでもっと安いメイドは居ないのかと聞けない、いやそんな考えにも至らないのが、世間知らずのカナタだった。
実はララとルル自身も特別な契約を結んでいて数千万DGの売値だったため、奴隷の値段とはこんなものだと思っていてスルーしてしまった。
「左から2番目と3番目をキープで。
やっぱり料理人と戦闘奴隷も見ようかな。
料理人と戦闘奴隷はどのぐらいの値段なの?」
「料理人は料理のみの契約で200万から400万DGです。
戦闘奴隷は800万DGから1000万DGですね」
料理人は特別な契約ではないため安かった。
戦闘奴隷は危険を伴う任務のためそこそこした。
これは、カナタが戦闘奴隷を欲しがるとはカルロスが思っていなかったため、特別な契約の奴隷を用意できていなかったせいだった。
それでも戦闘の危険手当が入るため、戦闘奴隷の値段は高めだった。
「料理人はこの3人。戦闘奴隷はこの5人です」
カルロスが一遍に料理人と戦闘奴隷を連れて来た。
カナタは早速魔力を流して【奴隷図鑑】を創る。
「料理人は【料理】スキルのレベルが2以上あります。
戦闘奴隷は主に剣術系スキル持ちですね。
自分の身は自分で守れる冒険者ランクC程度の者たちです」
カナタは【奴隷図鑑】を見て眉をひそめた。
料理人は【料理】スキルのレベル2が2人とレベル3が1人だった。
レベル3は当然雇う金額が高く、しかも気難しそうなおっさんだった。
レベル2の2人は本当に【料理】スキルしか持っていない、つまり料理しか出来ない人だった。
それならば、精鋭のメイドたちの方がスキルが多い分お得感がある。
カルロスもそっちのメイド推しなのは間違いなかった。
「戦闘奴隷の5人は、借金で首が回らなくなって奴隷落ちした冒険者ですな。
戦闘技術がある冒険者なら、自前で稼いだ方が良いに決まってます。
自ら奴隷となるような物好きはいないので、借金奴隷や戦争奴隷以外はこんなところにはいません」
引き続きカナタは【奴隷図鑑】で全員を見る。
まず借金をした理由を調べた。
酒、ギャンブル、酒、ギャンブル、怪我……。酷いものだった。
「(ダメじゃん)」
酒、ギャンブルで奴隷落ちの冒険者は、お使いの金を使い込まれそうだとカナタは思った。
奴隷契約の魔法で制限することは可能だが、そこまでして雇いたくない。
怪我の人は後遺症があると額面通りのランクの能力とは言い難いかもしれず、まともに戦闘奴隷として使えるかが怪しい。
まあ、カナタも病気で苦しんだ立場なので同情はするが、だから雇おうというわけにはいかない。
まだ【隠密】スキルで魔物に襲われることなく物を運べるであろう、メイド15歳の方がマシだろう。
「メイドとしての職務は21歳が一番有能そうだ。
1000万DGだし、借金でどうしようもない戦闘奴隷に1000万DG払うより遥かに良い。
そしてグリーンバレーとグラスヒル間の物資輸送は(【隠密】スキルのある)15歳が使えそうだ。
1200万DGだからキープの2人を加えても5500万DGとなる。
(元王女だけ残すけど、お金が無いんだから仕方ないよね)」
カナタは、一番値段が高く一番スキルがしょぼい元王女だけ買わないことにした。
「申し訳ございません。
キープの2人が拒否権を発動しました」
奴隷の中には雇用条件などの折り合いがつかなければ拒否権を発動することが認められている者がいた。
どうやら、剣士と魔術師の2人は拒否権が使える立場なようだ。
「え? どうして急に?」
「左から4番目の16歳と一緒でなければ嫌なのだそうです」
カナタは剣士と魔術師を雇えないのは能力的にもったいないと思った。
ルルが言っていたように今日の出会いを逃したら、次がないのではないかと思ったのだ。
だからと言って、剣士と魔術師と元王女の3人だけでは、屋敷の管理とハズレオーブ輸送を行うには困ると感じていた。
となると5人全員雇う以外ないだろう。
「わかった。前金で5600万DG払う。
これは4人の金額5500万DGに、最後の1人16歳のキープ代が100万DGね。
残り1900万DGは1週間以内に作って持ってくるよ。
それまで待ってもらえる?」
カナタの提案にカルロスは暫し考えると頷いた。
「よろしいでしょう。
こちらも3人セットなどというゴリ押しを通す事になってしまいましたので……。
もしお金が出来なかった場合は、2人分3300万DGはキャンセルとさせていただきます。
ただし、キープ代100万DGはご負担ください」
「わかった」
こうしてカナタは新たに5人の奴隷を雇うことにした。
残りの1900万DGは、盗賊のアジトで手に入れたアイテムやガチャで出たアイテムを売れば用意できるはずだ。
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