父親が呪われているので家出してガチャ屋をすることにしました

北京犬(英)

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ガチャ屋開業編

066 カナタ、ゴーレムを知る

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「とりあえず、今夜の宿泊場所を決めようか。
この前と同じところでいいよね?」

 その”この前と同じところ”を知っているのはニクだけだったのだが、ヨーコもそこは気にせずに頷いた。
泊まったことがあって何も問題がなかったのなら、別の宿にする意味がなかったからだ。
カナタ一行はグリーンバレーで4泊したことのあるその宿に向かう。

「こんにちは。今夜は宿泊出来ますか?」

 カナタが宿屋に入り問うと宿の女将さんが奥から現れた。

「あら坊ちゃん。また来てくれたのね。
今回は3人さんね。3人相部屋なら空いてるよ」

 どうやら女将さんはカナタたちを覚えていてくれたらしい。
カナタは女将さんに顔を覚えていてもらえたことが嬉しかった。
まあ、貴族の子息風の7歳児ぐらいの少年とその護衛の美少女、そこにメイドと騎獣が加わった程度の違いだけなら、覚えていても不思議ではない。

「騎獣なんだけど、まだ子供だから部屋に入れてもいい?」

 通常の宿屋なら騎獣は外の厩舎に入れられるものなのだ。
だが、シフォンはまだ子供なため部屋に入れていいかカナタは訊いた。

「ああ、子供は盗まれるかもしれないから、部屋に入れていいよ。
朝晩の食事つきでいいんだよね?
その子の食事込みなら銀貨2枚追加になるよ」

「この子の食事付きでお願いします。
とりあえず1泊で、延長の場合はその都度伝えます」

 カナタはシフォンをモフりながら、勝手知ったる料金1人銀貨10枚とシフォンの食事代銀貨2枚の合計銀貨32枚を支払った。
その様子を頬を赤らめて見つめるヨーコ。
部屋が無かったとはいえ、女性と相部屋になるという気遣いは丸っと抜けているカナタだった。



 翌日、朝食を宿で済ますと、カナタ一行は冒険者ギルドにやって来た。
あの問題を起こしたキャサリン嬢は今日は居ないようだ。
昨日の件――貴族屋敷大炎上――もあって、冒険者たちはカナタ一行を遠巻きに見ている。
この時間は受付が混んでいる時間なのだが、なぜかカナタたちの前には誰もいない窓口が1か所出来ていた。
カナタは依頼者窓口なのかなと思い、遠慮なく進むと受付嬢に訊ねた。

「すみません。依頼したノーマルオーブを引き取り来たんですが、昨日は何個集まりましたか?」

「カナタ様ご依頼のオーブの引き取りですね?
お待ちください」

 受付嬢は後ろに下がり、ノーマルオーブの入った箱を、男性のギルド職員にいくつも運ばせて来た。

「お待たせしました。合計2637個になります」

「え? そんなに?」

「はい。以前カナタ様が買い取ったことを覚えてらした方達が溜め込んでいたみたいですよ。
ギルドの買取は100DGなので、皆さんカナタ様の依頼に納入した形です。
このままだとギルドも値上げしないと石材が入手困難になりそうなんですよ?」

 受付嬢さんが可愛く頬を膨らませて言う。
どうやら石材の納入に影響が出るほどカナタの方にオーブが集まっているらしい。
しかも、カナタがオーブを開けると中身がHNハイノーマルになってしまう。
HNハイノーマルだと出て来るのは鉄のアイテムが主になる。
石材が品薄になるのは時間の問題だろう。

「そうなんですか。
そんなつもりは無かったのですが……。
それでは、1日の最大買取個数を200個までに抑えてください。
それ以上はギルド価格でギルドが引き取るということで」

「助かります~!」

 カナタはハズレオーブは1日100個集まる程度だと思っていた。
なので、不在の間も引き取ってもらうために、1万個の依頼を出したのだ。
それが1万個が4日で集まってしまうというペースでは、逆に頻繁に引き取りに来なければならないので問題だった。
そしてカナタには、オーブ買取を1日200個に減らしても構わないある計画があった。

「ところで、グリーンバレーには鉱山かダンジョンがあるんですか?
ゴーレム産のオーブは、そこで算出されてるのかなと思って」

「はい。昔は鉱山だったのですが、その先がダンジョンに繋がっていて、今はダンジョン鉱山といった感じですかね?
ダンジョン鉱山からの算出物は、ほとんどゴーレム由来になる感じです。
特にHNオーブがドロップすると、そこから鉄のゴーレムや鉄のインゴットが出ることがあって、それが高値で取引されてますね。
もちろん高レアリティのオーブなら希少金属が出ます」

 カナタの計画はダンジョンでの修行とオーブ回収という一石二鳥計画だった。
自ら回収すれば、1個330DGの経費もかからないし市場を混乱させなくて済む。
そして、カナタは受付嬢さんの一言に注目する。

「やはりゴーレムが出るオーブがあるんですね?」

「はい、肉、石、鉄、銅、銀、金、そしてミスリルからアダマンタイトまで希少金属のゴーレムも稀に出ます」

 カナタは喜んだ。
知りたかったゴーレムの事を話の流れで事細かく教えてもらえているのだ。
こんな幸運は滅多に……あ、幸運値65のせいか。

「そのゴーレムが出るオーブは中身がゴーレムとわかるんですよね?」

「はい。ゴーレムが出るオーブは、オーブの状態の方が持ち運びに便利なので、オーブの刻印の調査が特に進んでいるんです。
そのゴーレムは開けた人、あるいは所有権を譲渡された人の命令を訊くので、労働力として重宝するんですよ」

 そのためハズレオーブにはゴーレムが出るオーブが混ざっていなかったのだ。
レアリティが低くても高価買取になると識別できるなら300DGで売るわけがない。
カナタもそのことに気付いた。

「ゴーレムが出るオーブは売り買いもしている?」

「肉ゴーレムは囮にしか使い道がないので、ゴーレムの中では比較的安価で売り買いされる方ですね。
金属ゴーレムが出るオーブはその金属のインゴットより希少なので、売りには出ないかもです」

「(やはり、肉ゴーレムなら売り買いされているんだ)
ちなみに、肉ゴーレムならギルドで売ってる?」

「えーと、売店の方にあるかもです」

 売店で破壊兵器の素が安価で売られているとしたらシュールな話である。
誰も価値に気付いていないせいだが、恐ろしいものがある。

「長々と質問してごめんね。
最後に、鉱山ダンジョンには誰でも入っていいの?」

 カナタは自分の列の後ろが混んで来たことに気付き、そろそろ切り上げなければと思い最後の質問をした。

「冒険者ランクがD以上限定になりますが、カナタ様は……Dランクですので問題ありません。
ちなみに同行者がE以下でもDランクが引率すれば入れます」

「ありがとう。ちょっと覗いてみる」

 カナタは売店と鉱山ダンジョン行きを決意するのだった。
ちなみにヨーコの冒険者登録はグラスヒルのギルドで登録済みだ。
住居の目と鼻の先に冒険者ギルドがあるのだから、出張に同行すると決まった時点でサクッと登録していたのだ。
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