父親が呪われているので家出してガチャ屋をすることにしました

北京犬(英)

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南部辺境遠征編

086 カナタ、肉を食う

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 鳥型騎獣が引く小型馬車に揺られて、カナタたちはカンザス領の領都であるカンザスの街に来ていた。
鳥型騎獣の引く獣車は速度こそ速かったのだが、一般の馬車に比べて乗り心地が悪すぎだった。

「これなら馬車の方が良かったかもしれない……」

 お尻をさすりながら、馬車を1台手放したのは早まったかもしれないとカナタは思っていた。
知らないはずの知識がサスペンションという単語を脳裏に浮かばせているが、それがバネというものであることぐらいしかカナタにはわからなかった。
錬金術による知識でもバネというものを製造する技術はこの世界には存在していなかった。
カナタの知識の元である多田野信もサスペンションそのものを見たことがあっても、それを製造する技術に関しては完全に無知だった。

「そういえば、ベッドのマットの弾力は何で実現しているんだろう?」

 それを獣車の床面に敷けば、多少は乗り心地が良くなるかもしれない。
屋敷に設置したベッドのマットはグラスヒルの家具店で購入していた。
マットを獣車の床のサイズで発注すれば作ってもらえるだろうと思い、カナタは心にメモをした。

「とりあえずは、クッションを増量して繋ぎとしよう」

 クッションであれば、ガチャオーブから出て来ることがある。
獣系ならばワイルドシープであったり、植物系ならキラーグラスのドロップオーブから出て来ていたはずだった。
カナタが手に入れているガチャオーブの中で使えそうなのは、グラスヒルで手に入れたキラーグラスのドロップオーブだった。

 カンザスの北門から街に入ると、カナタは獣車を止められる厩舎のある宿屋に宿をとった。

「キラーグラスのガチャオーブなら、たぶんクッションが出るはず」

 ハズレオーブとして手に入れたオーブの中で、ドロップした魔物が判明しているものから、キラーグラスのオーブをカナタは携帯ガチャ機に装填した。
その数8個。薬草系が持て囃されるグラスヒルでは、人気が無いのか数は少なかった。


 ガチャガチャ カカカカキンカカキン

 オーブが自動開放されカナタの目の前に詳細がAR表示される。

HNアイテム 綿の下着A(男性用)×10
       草系の魔物の繊維で作られた下着(トランクス)
       庶民に人気がある
       キラーグラスが良くドロップする

HNアイテム 綿の高級下着B(女性用 上下)
       草系の魔物の繊維で作られたエッチな下着(ブラとショーツのセット)
       種類が豊富で庶民に人気がある
       キラーグラス上位種が良くドロップする

HNアイテム 綿の高級下着A(女性用 上下)
       草系の魔物の繊維で作られたエッチな下着(ブラとショーツのセット)
       種類が豊富で庶民に人気がある
       キラーグラス上位種が良くドロップする

HNアイテム 高級バスローブ
       草系の魔物の繊維で作られたバスローブ
       庶民に人気がある
       キラーグラスが良くドロップする

Rアイテム  天使のクッション×2
       草系の魔物の繊維で作られたクッション
       貴族が馬車で使っているという噂
       キラーグラス上位種が良くドロップする

HNアイテム 高級バスタオル×2
       草系の魔物の繊維で作られたバスタオル
       庶民に人気がある
       キラーグラスが良くドロップする

HNアイテム 高級クッション×2
       草系の魔物の繊維で作られたクッション
       庶民に人気がある
       キラーグラスが良くドロップする

Rアイテム  レースの高級下着C(女性用 上下)
       草系の魔物の繊維で作られたエッチな下着(ブラとショーツのセット)
       貴族の奥様に人気がある
       キラーグラス上位種が良くドロップする

「ああ、しまった。これってエッチな下着が出る奴か!」

 カナタは半分が下着になってしまった結果に焦った。
しかし、その中に高級クッションと天使のクッションを見つけて、一先ず胸を撫で下した。
数も2つずつだったので、4人乗りの獣車に4つのクッションなのでなんとか助かりそうだった。
特に天使のクッションは、貴族がこぞって馬車で使用するもので、そのクッション性は折り紙付きだった。

 カナタは男性用下着を自分用に、他の女性用下着とタオル、バスローブはサキに渡してニクと分けるようにと言って処分を丸投げした。

「これで獣車移動は何とかなりそうだね。
じゃあ、次は冒険者ギルドに行こうか」

 カナタたちは冒険者ギルドでハズレオーブの購入依頼を出して、夕食は街のレストランでとることにした。

「カンザス名物、カンザスミノタウロスのステーキだ!」

 レストランでお勧めの料理を注文したら、カンザスミノタウロスのステーキが出て来た。
さすが畜産、食肉の街だ。
だが、この肉は純粋なミノタウロスの肉ではなかった。

「ここではミノタウロスと交配した牛を食肉にしているんだ。美味いぞ」

 店主の言う通り、塩胡椒だけのカンザスミノ肉は絶品だった。
この肉がこの街でしか食べられないというのはもったいない話だった。

 この世界では、魔物を倒すと魔素となり消えてしまい、ドロップ品のみが残る。
しかし、家畜の牛はそのまま全身くまなく肉に出来る。
ミノタウロスを倒しても、そのドロップが肉になるとは限らないのだ。
しかも、その肉量はミノタウロスの大きさに比してごくわずかなものだった。
その肉量は雲泥の差だった。

 そこで、美味さで有名なミノタウロスの肉を生産出来ないものかと考えた結果が、家畜である牛とミノタウロスとの魔法的な交配だった。
その結果、ミノタウロスの肉質を持った牛、カンザスミノタウロスが生産できるようになったのだ。
だが、これに成功したのは、ここカンザス領だけだった。
そして、家畜であったがために、ガチャオーブの状態で肉を運ぶということが出来なかった。
鮮度を保って肉を運ぶためには、時間停止機能の付いたマジックバッグかアイテムボックスのスキル持ちを使うしかなかったのだ。
それは美味い肉を流通させたいという志に反する皮肉な結果だった。
カナタの冷蔵庫はここでも威力を発揮しそうだったのだが、まだここカンザスにはその情報は流れて来ていなかった。
それはカナタが転移でこの街まで来てしまったためであり、情報の伝達速度を超えていたのだ。
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