87 / 204
南部辺境遠征編
087 カナタ、ルルをオレンジタウンに忘れる
しおりを挟む
翌朝、カナタとニクは一度拠点であるグラスヒルの屋敷に【転移】で帰って来ていた。
ガチャオーブを1UPで開けられるのはカナタしかいないため、ガチャ屋のアイテム補給はカナタの専属業務だったからだ。
サキは獣車とともにカンザスの宿屋で待機していた。
これは宿からカナタが消えていることに気付かれないためだった。
「これ、お土産~」
カナタは【ロッカー】の中に収納していた冷蔵庫を取り出して屋敷のキッチンに置いた。
「冷蔵庫を作ったんだ。この中にスイーツを沢山入れといたからね」
冷蔵庫のおかげでスイーツが日持ちするようになったので、オレンジタウンに毎日買い出しに行く必要がなくなった。
ただでさえカナタのウルティア国行きの旅程は遅延ぎみなので、スイーツが美味しいからと毎日仕入れに寄っていたのでは、いつになってもウルティア国に辿り着けなくなってしまう。
それが冷蔵庫が出来たおかげで、傷みやすいスイーツをまとめ買い出来るようになったのは有難かった。
尤も、シフォン印のマジックバッグに入れれば時間停止機能付きなので、それだけで良かったのだが、これは個人認証がついていて、持っているメンバーしか開けられなかった。
全員にシフォン印のマジックバッグを渡していなかったため、特定の人物がスイーツを管理することになる。
スイーツを欲する度に、その人物にお願いして取り出してもらうというのも遠慮が出るため、誰でも開けて食べられる冷蔵庫の存在はまさに救世主といえた。
カナタはいつか全員分のマジックバッグが時間停止機能付きになるまで、冷蔵庫で我慢してもらおうと考えていた。
「そうだ、ルルには一度オレンジタウンに行って街から出てもらう必要がある」
うっかりしていたのだが、カナタはルルがオレンジタウンに入ったという記録を残したまま、グラスヒルの屋敷に転移で戻してしまっていた。
これはしっかりと街を出たという記録を残さなければならなかった。
この矛盾に誰かが気付いた時、カナタが転移出来るのではという疑いに繋がる。
身を守るため、カナタが転移出来るという事実は隠蔽しなければならなかったのだ。
「ならば、私がルルと一緒に行く必要があるわね」
ルル1人では危ないということで、ヨーコが護衛として付いていくと言う。
しかし、街に入っていないヨーコが突然街に現れ、出ていくというのも逆に問題があった。
カナタも既にオレンジタウンから出立している身なので面倒な事になっていた。
尤も、ヨーコがオレンジタウンに行きたいというのは、自分がシフォン印のマジックバッグを持っているからであり、スイーツの買い出しをしたいがためだったのだが……。
「こまったな。街に残っていることになってしまっているのはルルだけだから、ルル単独で街の外に出るのがいいんだけど……。
さすがにあまり治安の良くない所をルル1人で行動させるのは拙いね」
カナタは悩んだ末、自分が何度も転移すればいいかと思い、解決策を決めた。
「僕は【転移】で2人までしか連れて行くことが出来ない。
まずオレンジタウンの外にヨーコ、レナを連れて行く。
ヨーコ一人では危ないからレナも護衛として付ける。
そこから僕が屋敷に戻って、ルルとニクを連れてオレンジタウンの中に転移する。
ヨーコとレナは冒険者としてオレンジタウンに門から入り、街の中にいるルルと合流する。
これで3人が街にいるという記録が出来る」
「街に入って直ぐに出て行くのは問題ね。
私達は買い物でもして時間を潰すわ。
そうすればオレンジタウンに来た理由が出来るわ」
ヨーコが目ざとく問題点に気付き指摘する。
実はヨーコ自身が買い物をしたいがために理由を考えた結果だったのだが、それが的を得ていた。
「そうだね。僕はニクと一緒にカンザスに転移してサキと合流、旅を進めるつもりだ。
そして、次の街へと到着して、夕方宿をとったら、僕とニクがオレンジタウンに転移で戻る。
ルル、ヨーコ、レナの3人はオレンジタウンの外で僕を待っていて欲しい。
転移でルルを屋敷に戻したら、ヨーコとレナも転移で戻して辻褄合わせ完了だ」
ヨーコとレナならば、オレンジタウンの外で待機していても魔物や盗賊ぐらいなら撃退することが出来るはず。
面倒だが、完璧な作戦になる。はずだった……。
ガチャオーブを1UPで開けられるのはカナタしかいないため、ガチャ屋のアイテム補給はカナタの専属業務だったからだ。
サキは獣車とともにカンザスの宿屋で待機していた。
これは宿からカナタが消えていることに気付かれないためだった。
「これ、お土産~」
カナタは【ロッカー】の中に収納していた冷蔵庫を取り出して屋敷のキッチンに置いた。
「冷蔵庫を作ったんだ。この中にスイーツを沢山入れといたからね」
冷蔵庫のおかげでスイーツが日持ちするようになったので、オレンジタウンに毎日買い出しに行く必要がなくなった。
ただでさえカナタのウルティア国行きの旅程は遅延ぎみなので、スイーツが美味しいからと毎日仕入れに寄っていたのでは、いつになってもウルティア国に辿り着けなくなってしまう。
それが冷蔵庫が出来たおかげで、傷みやすいスイーツをまとめ買い出来るようになったのは有難かった。
尤も、シフォン印のマジックバッグに入れれば時間停止機能付きなので、それだけで良かったのだが、これは個人認証がついていて、持っているメンバーしか開けられなかった。
全員にシフォン印のマジックバッグを渡していなかったため、特定の人物がスイーツを管理することになる。
スイーツを欲する度に、その人物にお願いして取り出してもらうというのも遠慮が出るため、誰でも開けて食べられる冷蔵庫の存在はまさに救世主といえた。
カナタはいつか全員分のマジックバッグが時間停止機能付きになるまで、冷蔵庫で我慢してもらおうと考えていた。
「そうだ、ルルには一度オレンジタウンに行って街から出てもらう必要がある」
うっかりしていたのだが、カナタはルルがオレンジタウンに入ったという記録を残したまま、グラスヒルの屋敷に転移で戻してしまっていた。
これはしっかりと街を出たという記録を残さなければならなかった。
この矛盾に誰かが気付いた時、カナタが転移出来るのではという疑いに繋がる。
身を守るため、カナタが転移出来るという事実は隠蔽しなければならなかったのだ。
「ならば、私がルルと一緒に行く必要があるわね」
ルル1人では危ないということで、ヨーコが護衛として付いていくと言う。
しかし、街に入っていないヨーコが突然街に現れ、出ていくというのも逆に問題があった。
カナタも既にオレンジタウンから出立している身なので面倒な事になっていた。
尤も、ヨーコがオレンジタウンに行きたいというのは、自分がシフォン印のマジックバッグを持っているからであり、スイーツの買い出しをしたいがためだったのだが……。
「こまったな。街に残っていることになってしまっているのはルルだけだから、ルル単独で街の外に出るのがいいんだけど……。
さすがにあまり治安の良くない所をルル1人で行動させるのは拙いね」
カナタは悩んだ末、自分が何度も転移すればいいかと思い、解決策を決めた。
「僕は【転移】で2人までしか連れて行くことが出来ない。
まずオレンジタウンの外にヨーコ、レナを連れて行く。
ヨーコ一人では危ないからレナも護衛として付ける。
そこから僕が屋敷に戻って、ルルとニクを連れてオレンジタウンの中に転移する。
ヨーコとレナは冒険者としてオレンジタウンに門から入り、街の中にいるルルと合流する。
これで3人が街にいるという記録が出来る」
「街に入って直ぐに出て行くのは問題ね。
私達は買い物でもして時間を潰すわ。
そうすればオレンジタウンに来た理由が出来るわ」
ヨーコが目ざとく問題点に気付き指摘する。
実はヨーコ自身が買い物をしたいがために理由を考えた結果だったのだが、それが的を得ていた。
「そうだね。僕はニクと一緒にカンザスに転移してサキと合流、旅を進めるつもりだ。
そして、次の街へと到着して、夕方宿をとったら、僕とニクがオレンジタウンに転移で戻る。
ルル、ヨーコ、レナの3人はオレンジタウンの外で僕を待っていて欲しい。
転移でルルを屋敷に戻したら、ヨーコとレナも転移で戻して辻褄合わせ完了だ」
ヨーコとレナならば、オレンジタウンの外で待機していても魔物や盗賊ぐらいなら撃退することが出来るはず。
面倒だが、完璧な作戦になる。はずだった……。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる