父親が呪われているので家出してガチャ屋をすることにしました

北京犬(英)

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南部辺境遠征編

087 カナタ、ルルをオレンジタウンに忘れる

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 翌朝、カナタとニクは一度拠点であるグラスヒルの屋敷に【転移】で帰って来ていた。
ガチャオーブを1UPで開けられるのはカナタしかいないため、ガチャ屋のアイテム補給はカナタの専属業務だったからだ。
サキは獣車とともにカンザスの宿屋で待機していた。
これは宿からカナタが消えていることに気付かれないためだった。

「これ、お土産~」

 カナタは【ロッカー】の中に収納していた冷蔵庫を取り出して屋敷のキッチンに置いた。

「冷蔵庫を作ったんだ。この中にスイーツを沢山入れといたからね」

 冷蔵庫のおかげでスイーツが日持ちするようになったので、オレンジタウンに毎日買い出しに行く必要がなくなった。
ただでさえカナタのウルティア国行きの旅程は遅延ぎみなので、スイーツが美味しいからと毎日仕入れに寄っていたのでは、いつになってもウルティア国に辿り着けなくなってしまう。
それが冷蔵庫が出来たおかげで、傷みやすいスイーツをまとめ買い出来るようになったのは有難かった。
尤も、シフォン印のマジックバッグに入れれば時間停止機能付きなので、それだけで良かったのだが、これは個人認証がついていて、持っているメンバーしか開けられなかった。
全員にシフォン印のマジックバッグを渡していなかったため、特定の人物がスイーツを管理することになる。
スイーツを欲する度に、その人物にお願いして取り出してもらうというのも遠慮が出るため、誰でも開けて食べられる冷蔵庫の存在はまさに救世主といえた。
カナタはいつか全員分のマジックバッグが時間停止機能付きになるまで、冷蔵庫で我慢してもらおうと考えていた。


「そうだ、ルルには一度オレンジタウンに行って街から出てもらう必要がある」

 うっかりしていたのだが、カナタはルルがオレンジタウンに入ったという記録を残したまま、グラスヒルの屋敷に転移で戻してしまっていた。
これはしっかりと街を出たという記録を残さなければならなかった。
この矛盾に誰かが気付いた時、カナタが転移出来るのではという疑いに繋がる。
身を守るため、カナタが転移出来るという事実は隠蔽しなければならなかったのだ。

「ならば、私がルルと一緒に行く必要があるわね」

 ルル1人では危ないということで、ヨーコが護衛として付いていくと言う。
しかし、街に入っていないヨーコが突然街に現れ、出ていくというのも逆に問題があった。
カナタも既にオレンジタウンから出立している身なので面倒な事になっていた。
尤も、ヨーコがオレンジタウンに行きたいというのは、自分がシフォン印のマジックバッグを持っているからであり、スイーツの買い出しをしたいがためだったのだが……。

「こまったな。街に残っていることになってしまっているのはルルだけだから、ルル単独で街の外に出るのがいいんだけど……。
さすがにあまり治安の良くない所をルル1人で行動させるのは拙いね」

 カナタは悩んだ末、自分が何度も転移すればいいかと思い、解決策を決めた。

「僕は【転移】で2人までしか連れて行くことが出来ない。
まずオレンジタウンの外にヨーコ、レナを連れて行く。
ヨーコ一人では危ないからレナも護衛として付ける。
そこから僕が屋敷に戻って、ルルとニクを連れてオレンジタウンの中に転移する。
ヨーコとレナは冒険者としてオレンジタウンに門から入り、街の中にいるルルと合流する。
これで3人が街にいるという記録が出来る」

「街に入って直ぐに出て行くのは問題ね。
私達は買い物でもして時間を潰すわ。
そうすればオレンジタウンに来た理由が出来るわ」

 ヨーコが目ざとく問題点に気付き指摘する。
実はヨーコ自身が買い物をしたいがために理由を考えた結果だったのだが、それが的を得ていた。
 
「そうだね。僕はニクと一緒にカンザスに転移してサキと合流、旅を進めるつもりだ。
そして、次の街へと到着して、夕方宿をとったら、僕とニクがオレンジタウンに転移で戻る。
ルル、ヨーコ、レナの3人はオレンジタウンの外で僕を待っていて欲しい。
転移でルルを屋敷に戻したら、ヨーコとレナも転移で戻して辻褄合わせ完了だ」

 ヨーコとレナならば、オレンジタウンの外で待機していても魔物や盗賊ぐらいなら撃退することが出来るはず。
面倒だが、完璧な作戦になる。はずだった……。
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