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南部辺境遠征編
090 カナタ、板挟みになる
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「待て待て、危ない所だった。あやうく騙されるところだったぞ。
そんな魔導具があるわけがない。
この領にも冷蔵の魔導具があるが、高価で性能もあまり良くないものだ。
しかも、お前が開発したなど、嘘をつくにしても大概にしろ!」
カンザス男爵は、一度はカナタの話に乗りかけたのだが、その話が非現実的すぎて、口車に乗せられたのだろうと疑っていた。
カナタは嘘をついたわけではないのだが、それが嘘ではないと証明する現物がここにはなくて困ってしまっていた。
「魔道具の方の冷蔵庫しか今は持ってないんだ。
これを見れば魔導具の冷蔵庫の能力も解るかと思う」
カナタが【ロッカー】から属性石の冷蔵庫を出す。
「これがそうか、この領にもある冷蔵の魔導具と同じような大きさだな」
オレンジ男爵は冷蔵庫のドアを開け閉めしたり、冷気の強さを内容物――スイーツだった――をマジマジと観察し性能を確認した。
それは今までの冷蔵の魔導具よりも遥かに高性能なものだった。
この魔道具の技術を魔導具に流用すれば、もっと高性能なものとなるとカンザス男爵も確信した。
「この魔道具の属性石を魔宝石と燃料石にした魔導具があるんだな?」
「その実物はオレンジ男爵のところにあるんだけど「待て」」
「今、なんと言った?」
カナタは単純に事実の説明をしていただけなのに、急にカンザス男爵の顔が厳しいものに変わった。
「実物はオレンジ「あいつに先に売ったのか!」」
カナタの説明にカンザス男爵は食い気味に叫んだ。
カナタは何がカンザス男爵の怒りに触れたのか理解出来ずに首を傾げた。
その様子を見たカンザス男爵がしまったという顔をして怒りを抑えて言う。
「すまない。あいつと俺は隣の領だというのに所謂犬猿の仲というやつでな」
カンザス男爵が自嘲気味に笑うが、カナタは笑えなかった。
「(そんな個人的な感情を僕に向けられても困るし)
僕は冒険者兼商人なので、欲しいというところには分け隔てなく売ります」
「そうだな。すまなかった。君には関係のないことだった。
奴が畜産業に手を出したことがどうしても許せなくてな」
カンザス男爵は、オレンジ男爵がカンザス領の特産である畜産業に手を出していることが気にくわないのだと言う。
しかし、オレンジ男爵としてはスイーツの重要な材料である新鮮な牛乳を手に入れるためには仕方のないことだったのだ。
これは、鮮度を保ったまま領を超えて牛乳を輸送する手立てがないからであり、致し方のないことだった。
「オレンジ男爵のところも、スイーツに使う新鮮な牛乳が欲しかっただけだと思いますけど?
どこの領でも鮮度問題で困っているんですよ。
例えば、現状のままでカンザス領は新鮮な牛乳をオレンジ領に輸出出来ますか?
オレンジ男爵も、カンザス領の邪魔をしたくて畜産に手を出したんじゃないはずだよ」
カナタの指摘にカンザス男爵は状況を一瞬で理解してしまった。
カンザス領の特産品であるカンザスミノタウロス肉だって、鮮度を保って輸出出来ていないというのに、牛乳を腐らせずにオレンジ領まで運ぶなど出来はしなかったのだ。
確かに高額な冷蔵の魔導具やマジックバッグを使えば出来ないことはない。
しかし、その莫大なコストが乗ったスイーツなど領地の特産品には成り得ないだろう。
「そうか。オレンジ野郎も俺と同じ苦労をしていたのか……」
カンザス男爵は、自己中心的に考えていたことに気付かされ反省した。
そこへカナタが畳み掛ける。
「でも、僕の冷蔵庫なら、その鮮度を保っての輸送が出来るはずだよ?」
カナタは冷蔵庫を使って牛乳を輸出しろと暗に示す。
カナタの冷蔵庫は価格が安く高性能で大容量、しかも冷凍機能があった。
まさに冷蔵庫はカンザス領もオレンジ領も豊かに出来る商品と成り得たのだ。
「つまり、冷蔵庫を使って牛乳を輸送出来れば、お互いの得になるということだな?」
カンザス男爵もカナタの思いを正確に理解した。
「問題は、魔宝石の在庫が無くて、製造出来ないということなんだ」
カナタはこの先の旅で、魔宝石を手に入れ次第、魔導具を作るつもりだった。
魔宝石が出るガチャオーブが手に入る街に辿り着いたら、携帯ガチャ機の能力で上位の魔宝石が手に入ると思っていたのだ。
ただし、いま手元に魔宝石があるなら話は別だった。
「この領には、古いタイプの冷蔵の魔導具がある。
その魔宝石で冷蔵庫は造れるか?」
それなら問題はなかった。
「できるよ。それで冷蔵庫の性能を証明してみせるよ」
カナタは二つ返事で冷蔵庫の製造を請け負った。
そんな魔導具があるわけがない。
この領にも冷蔵の魔導具があるが、高価で性能もあまり良くないものだ。
しかも、お前が開発したなど、嘘をつくにしても大概にしろ!」
カンザス男爵は、一度はカナタの話に乗りかけたのだが、その話が非現実的すぎて、口車に乗せられたのだろうと疑っていた。
カナタは嘘をついたわけではないのだが、それが嘘ではないと証明する現物がここにはなくて困ってしまっていた。
「魔道具の方の冷蔵庫しか今は持ってないんだ。
これを見れば魔導具の冷蔵庫の能力も解るかと思う」
カナタが【ロッカー】から属性石の冷蔵庫を出す。
「これがそうか、この領にもある冷蔵の魔導具と同じような大きさだな」
オレンジ男爵は冷蔵庫のドアを開け閉めしたり、冷気の強さを内容物――スイーツだった――をマジマジと観察し性能を確認した。
それは今までの冷蔵の魔導具よりも遥かに高性能なものだった。
この魔道具の技術を魔導具に流用すれば、もっと高性能なものとなるとカンザス男爵も確信した。
「この魔道具の属性石を魔宝石と燃料石にした魔導具があるんだな?」
「その実物はオレンジ男爵のところにあるんだけど「待て」」
「今、なんと言った?」
カナタは単純に事実の説明をしていただけなのに、急にカンザス男爵の顔が厳しいものに変わった。
「実物はオレンジ「あいつに先に売ったのか!」」
カナタの説明にカンザス男爵は食い気味に叫んだ。
カナタは何がカンザス男爵の怒りに触れたのか理解出来ずに首を傾げた。
その様子を見たカンザス男爵がしまったという顔をして怒りを抑えて言う。
「すまない。あいつと俺は隣の領だというのに所謂犬猿の仲というやつでな」
カンザス男爵が自嘲気味に笑うが、カナタは笑えなかった。
「(そんな個人的な感情を僕に向けられても困るし)
僕は冒険者兼商人なので、欲しいというところには分け隔てなく売ります」
「そうだな。すまなかった。君には関係のないことだった。
奴が畜産業に手を出したことがどうしても許せなくてな」
カンザス男爵は、オレンジ男爵がカンザス領の特産である畜産業に手を出していることが気にくわないのだと言う。
しかし、オレンジ男爵としてはスイーツの重要な材料である新鮮な牛乳を手に入れるためには仕方のないことだったのだ。
これは、鮮度を保ったまま領を超えて牛乳を輸送する手立てがないからであり、致し方のないことだった。
「オレンジ男爵のところも、スイーツに使う新鮮な牛乳が欲しかっただけだと思いますけど?
どこの領でも鮮度問題で困っているんですよ。
例えば、現状のままでカンザス領は新鮮な牛乳をオレンジ領に輸出出来ますか?
オレンジ男爵も、カンザス領の邪魔をしたくて畜産に手を出したんじゃないはずだよ」
カナタの指摘にカンザス男爵は状況を一瞬で理解してしまった。
カンザス領の特産品であるカンザスミノタウロス肉だって、鮮度を保って輸出出来ていないというのに、牛乳を腐らせずにオレンジ領まで運ぶなど出来はしなかったのだ。
確かに高額な冷蔵の魔導具やマジックバッグを使えば出来ないことはない。
しかし、その莫大なコストが乗ったスイーツなど領地の特産品には成り得ないだろう。
「そうか。オレンジ野郎も俺と同じ苦労をしていたのか……」
カンザス男爵は、自己中心的に考えていたことに気付かされ反省した。
そこへカナタが畳み掛ける。
「でも、僕の冷蔵庫なら、その鮮度を保っての輸送が出来るはずだよ?」
カナタは冷蔵庫を使って牛乳を輸出しろと暗に示す。
カナタの冷蔵庫は価格が安く高性能で大容量、しかも冷凍機能があった。
まさに冷蔵庫はカンザス領もオレンジ領も豊かに出来る商品と成り得たのだ。
「つまり、冷蔵庫を使って牛乳を輸送出来れば、お互いの得になるということだな?」
カンザス男爵もカナタの思いを正確に理解した。
「問題は、魔宝石の在庫が無くて、製造出来ないということなんだ」
カナタはこの先の旅で、魔宝石を手に入れ次第、魔導具を作るつもりだった。
魔宝石が出るガチャオーブが手に入る街に辿り着いたら、携帯ガチャ機の能力で上位の魔宝石が手に入ると思っていたのだ。
ただし、いま手元に魔宝石があるなら話は別だった。
「この領には、古いタイプの冷蔵の魔導具がある。
その魔宝石で冷蔵庫は造れるか?」
それなら問題はなかった。
「できるよ。それで冷蔵庫の性能を証明してみせるよ」
カナタは二つ返事で冷蔵庫の製造を請け負った。
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