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南部辺境遠征編
113 カナタ、魔導電話を作る
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「過分な褒賞かと思いますが、有難くお受けします」
カナタは本気でそう言った。
1万連ガチャの恩恵を加えれば明らかに過分だったからだ。
しかし、この褒賞にはニクやサキが命をかけて戦った功績の分が入っている。
二人はカナタの従者扱いなので、カナタが褒賞を決めることになったが、ここでカナタが遠慮してしまっては、二人に対しての褒賞を勝手に減らすことになってしまうのだ。
それは避けたいとカナタは思たのだ。
「まだNガチャオーブは回収中だ。
しばらく時間をくれ」
回収隊も最低ランクのNオーブを拾うのは後回しとなっていた。
数も多く金にもならないとなれば、作業にも力が入らないというものだった。
しかし、今回に限ってはライジン辺境伯より全回収の命令が出ることとなった。
カナタのために本当に全てのハズレオーブを辺境伯は用意するつもりだったのだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
カナタはウルティア国を目指していたが、その隣国の情勢が現在良く判っていなかった。
魔物の氾濫の報告を受けた後、連絡が途絶えてしまったのだ。
カナタは褒賞の件や叙爵の手続きもありガーディアに留まる必要があった。
そのため、足止めは特に気にしていなかった。
もちろん毎日のように【転移】でグラスヒルの屋敷には帰っていた。
ガチャオーブの回収及びお店の商品補充の仕事があったからだ。
そこで何度となく言われたのは護衛の増員要請だった。
冒険者ギルドに頼むと、女性ばかりだということで舐められ、冒険者から強盗に豹変する奴がいて全くあてに出来ないのだそうだ。
「ここなら、ウルティア国から来た珍しい人材がいるかもしれないな」
カナタは頭の隅に人材登用可及のメモを残した。
本来ならウルティア国まで行って珍しい人材をみつけようと思っていた。
それが現在足止め状態なので、国境の街であるここガーディアでも、暇を見て奴隷商を見てみても良いかとカナタは思っていた。
その暇を埋めるためでもないのだが、カナタは魔導通信機から通話機能のみを抽出した魔導具の製作を行っていた。
「基本は時空魔法による魔力波の送受信と、魔力波に音声を乗せてそれを音声に復元する仕組みか。
これに届け先の固有識別がついて通信先を特定している……。
錬金術と陣魔法と付与魔法でいけるな」
このような技術を簡単に分析できてしまうカナタだったが、これには多田野信の地球での知識が大きく影響している。
携帯電話いや固定電話の漠然とした知識があったからこそ、この魔導具の仕組みを理解出来たのだ。
「魔力波の時空を隔てたやりとりと、相手を特定する装置で1つ。
音声を信号に変換して魔力波に乗せる装置で1つ。
魔力波から信号を拾って音声に戻す装置で1つ魔導具がいるな」
それは魔導通信機の基本構成と同じだった。
時空魔法を付与魔法で魔宝石に付与して、陣魔法で魔力波を時空を隔てた固有識別した相手に送ってやりとりする魔法陣を描く。
これが音声通信機本体となる。
音声を魔力波に乗せる仕組みは、魔導通信機の撮影装置にあった音声変換部分を丸々コピー。
その魔力波から音声に戻す仕組みは、魔導通信機の表示装置にあった音声復元部分を丸々コピーした。
これら3つの魔宝石とそれに魔力を供給する燃料石をせっとにしたものだ音声通信機となる。
カナタはそれを1組2台作った。
「出来た。さてどこで実験しようか?
やっぱり距離があった方が良いから屋敷だな」
大きさは小さめのチェストぐらいだろうか?
その上面には音声変換装置のスタンドが、側面には音声復元装置が付いていた。
筐体の前面には扉があり、そこを開けると燃料石が整然と詰め込まれていた。
この燃料石の量は音声だけの送受信ではあるが時空魔法を使うために魔力をそれなりに食うのためだった。
カナタは音声通信機の1台を【ロッカー】に入れるとグラスヒルの屋敷に【転移】で戻った。
「帰ったよー。
誰か魔導具の実験に付き合ってくれない?」
間だったこともあり、屋敷の中には昼誰も居なかった。
「お店の方かな?」
カナタはお店にまわった。
「帰ったよー」
「「「「お帰りー」」」」
店頭で忙しくしている者以外はカナタにお帰りの挨拶をしてくれた。
カナタはその中でも暇そうにしていたキキョウに声をかけた。
「ちょっと魔導具の実験に付き合って欲しいんだけど?」
「私で良いのですか?」
キキョウが小首を傾げて訊いてくる。
内緒だが、店の切り盛りで忙しいララとルルとヨーコ、護衛のレナとユキノ、家事全般とアダルトコーナー担当のカリナを除いたらキキョウしか居なかっただけである。
シフォンも暇そうだが、音声通信機の実験が彼に出来るわけがなかった。
いや、シフォンはお店のマスコットという立派な仕事を頑張っているので出来ない。ということにしておこう。
「うん。こっち側で魔導具を操作して欲しいんだ」
「わかりました」
カナタはキキョウに一通りの使用方法を教えると【転移】でガーディアへと戻った。
カナタは音声通信機の前に座ると筐体に4つあるダイヤルを回して数字を合わせた。
これは音声通信機固有の番号で、通信相手を特定するためのものだった。
屋敷の音声通信機の番号は2番。0002に合わせてカナタはその横の緑の通話ボタンを押した。
『はいは~い♪。こちらはグラスヒルの屋敷で~す♪』
打ち合わせ通り、キキョウが音声通信機に出て返事をした。
『こちらカナタだ。
キキョウ、今音声通信機がどうなったか教えてくれないか?』
『は~い。え~とですね~♪
リンリンリンと大きな音がして、赤いランプがつきました~♪
なので緑のボタンを押して返事をしたところです~♪』
完璧だった。
カナタが思った通りに稼働している。
『ありがとう。一旦切るね。
切るのは赤いボタンだからね。
切れたら少し置いて、次はそっちからかけてくれるかな?
番号を0001に合わせて緑のボタンね。
よろしくー』
カナタは赤いボタンを押して音声通信を切った。
少し待つと筐体からリンリンリンと音がして赤いランプが点灯した。
設計通りの動きだった。
カナタはニヤリとすると緑の通話ボタンを押した。
『カナタだ。繋がってる?』
『はいは~い。キキョウです~♪
ばっちり繋がりました~♪』
この世界に固定電話が再発明(古代文明は持っていたはずなので)された瞬間だった。
『これでいろいろ連絡が簡単になるな』
『はい~♪
ご主人さまと話し放題です~♪』
今日のキキョウは何かテンションが普通じゃなかった。
自分だけが頼られたことが余程嬉しかったのだろうか?
『ありがとう。これで実験は一旦終了だ。
後でもう一台作った時に実験に協力してもらうからね』
『わかりました~♪』
カナタは意気揚々と3台目、4台目を製作し、材料が尽きてこの日の開発を終了した。
あとでライジン辺境伯の所へ持って行って3台目からの実験に協力してもらおうと思っていた。
リンリンリン リンリンリン
音声通信機が鳴った。
現在、この通信機が繋がるのはグラスヒルの屋敷しかない。
カナタは緊急事態なのかと焦って通話ボタンを押した。
『どうした!』
『本当につながったー。
ずるーい。私も話すー』
この後、音声通信機のことを知った屋敷組の面々と長電話をさせられたカナタだった。
話が終わったのは燃料石が切れて音声通信機が動かなくなったためだった。
「うん、これで燃料石の限界時間の実験が出来た……ということにしよう」
カナタは疲れ果ててベッドに沈んだ。
翌日、早朝にもかかわらずカナタが燃料石の魔力充填に屋敷へと転移したのは言うまでもない。
なぜなら、この後も3台目4台目の実験をしなけらばならなかったからだ。
カナタは本気でそう言った。
1万連ガチャの恩恵を加えれば明らかに過分だったからだ。
しかし、この褒賞にはニクやサキが命をかけて戦った功績の分が入っている。
二人はカナタの従者扱いなので、カナタが褒賞を決めることになったが、ここでカナタが遠慮してしまっては、二人に対しての褒賞を勝手に減らすことになってしまうのだ。
それは避けたいとカナタは思たのだ。
「まだNガチャオーブは回収中だ。
しばらく時間をくれ」
回収隊も最低ランクのNオーブを拾うのは後回しとなっていた。
数も多く金にもならないとなれば、作業にも力が入らないというものだった。
しかし、今回に限ってはライジン辺境伯より全回収の命令が出ることとなった。
カナタのために本当に全てのハズレオーブを辺境伯は用意するつもりだったのだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
カナタはウルティア国を目指していたが、その隣国の情勢が現在良く判っていなかった。
魔物の氾濫の報告を受けた後、連絡が途絶えてしまったのだ。
カナタは褒賞の件や叙爵の手続きもありガーディアに留まる必要があった。
そのため、足止めは特に気にしていなかった。
もちろん毎日のように【転移】でグラスヒルの屋敷には帰っていた。
ガチャオーブの回収及びお店の商品補充の仕事があったからだ。
そこで何度となく言われたのは護衛の増員要請だった。
冒険者ギルドに頼むと、女性ばかりだということで舐められ、冒険者から強盗に豹変する奴がいて全くあてに出来ないのだそうだ。
「ここなら、ウルティア国から来た珍しい人材がいるかもしれないな」
カナタは頭の隅に人材登用可及のメモを残した。
本来ならウルティア国まで行って珍しい人材をみつけようと思っていた。
それが現在足止め状態なので、国境の街であるここガーディアでも、暇を見て奴隷商を見てみても良いかとカナタは思っていた。
その暇を埋めるためでもないのだが、カナタは魔導通信機から通話機能のみを抽出した魔導具の製作を行っていた。
「基本は時空魔法による魔力波の送受信と、魔力波に音声を乗せてそれを音声に復元する仕組みか。
これに届け先の固有識別がついて通信先を特定している……。
錬金術と陣魔法と付与魔法でいけるな」
このような技術を簡単に分析できてしまうカナタだったが、これには多田野信の地球での知識が大きく影響している。
携帯電話いや固定電話の漠然とした知識があったからこそ、この魔導具の仕組みを理解出来たのだ。
「魔力波の時空を隔てたやりとりと、相手を特定する装置で1つ。
音声を信号に変換して魔力波に乗せる装置で1つ。
魔力波から信号を拾って音声に戻す装置で1つ魔導具がいるな」
それは魔導通信機の基本構成と同じだった。
時空魔法を付与魔法で魔宝石に付与して、陣魔法で魔力波を時空を隔てた固有識別した相手に送ってやりとりする魔法陣を描く。
これが音声通信機本体となる。
音声を魔力波に乗せる仕組みは、魔導通信機の撮影装置にあった音声変換部分を丸々コピー。
その魔力波から音声に戻す仕組みは、魔導通信機の表示装置にあった音声復元部分を丸々コピーした。
これら3つの魔宝石とそれに魔力を供給する燃料石をせっとにしたものだ音声通信機となる。
カナタはそれを1組2台作った。
「出来た。さてどこで実験しようか?
やっぱり距離があった方が良いから屋敷だな」
大きさは小さめのチェストぐらいだろうか?
その上面には音声変換装置のスタンドが、側面には音声復元装置が付いていた。
筐体の前面には扉があり、そこを開けると燃料石が整然と詰め込まれていた。
この燃料石の量は音声だけの送受信ではあるが時空魔法を使うために魔力をそれなりに食うのためだった。
カナタは音声通信機の1台を【ロッカー】に入れるとグラスヒルの屋敷に【転移】で戻った。
「帰ったよー。
誰か魔導具の実験に付き合ってくれない?」
間だったこともあり、屋敷の中には昼誰も居なかった。
「お店の方かな?」
カナタはお店にまわった。
「帰ったよー」
「「「「お帰りー」」」」
店頭で忙しくしている者以外はカナタにお帰りの挨拶をしてくれた。
カナタはその中でも暇そうにしていたキキョウに声をかけた。
「ちょっと魔導具の実験に付き合って欲しいんだけど?」
「私で良いのですか?」
キキョウが小首を傾げて訊いてくる。
内緒だが、店の切り盛りで忙しいララとルルとヨーコ、護衛のレナとユキノ、家事全般とアダルトコーナー担当のカリナを除いたらキキョウしか居なかっただけである。
シフォンも暇そうだが、音声通信機の実験が彼に出来るわけがなかった。
いや、シフォンはお店のマスコットという立派な仕事を頑張っているので出来ない。ということにしておこう。
「うん。こっち側で魔導具を操作して欲しいんだ」
「わかりました」
カナタはキキョウに一通りの使用方法を教えると【転移】でガーディアへと戻った。
カナタは音声通信機の前に座ると筐体に4つあるダイヤルを回して数字を合わせた。
これは音声通信機固有の番号で、通信相手を特定するためのものだった。
屋敷の音声通信機の番号は2番。0002に合わせてカナタはその横の緑の通話ボタンを押した。
『はいは~い♪。こちらはグラスヒルの屋敷で~す♪』
打ち合わせ通り、キキョウが音声通信機に出て返事をした。
『こちらカナタだ。
キキョウ、今音声通信機がどうなったか教えてくれないか?』
『は~い。え~とですね~♪
リンリンリンと大きな音がして、赤いランプがつきました~♪
なので緑のボタンを押して返事をしたところです~♪』
完璧だった。
カナタが思った通りに稼働している。
『ありがとう。一旦切るね。
切るのは赤いボタンだからね。
切れたら少し置いて、次はそっちからかけてくれるかな?
番号を0001に合わせて緑のボタンね。
よろしくー』
カナタは赤いボタンを押して音声通信を切った。
少し待つと筐体からリンリンリンと音がして赤いランプが点灯した。
設計通りの動きだった。
カナタはニヤリとすると緑の通話ボタンを押した。
『カナタだ。繋がってる?』
『はいは~い。キキョウです~♪
ばっちり繋がりました~♪』
この世界に固定電話が再発明(古代文明は持っていたはずなので)された瞬間だった。
『これでいろいろ連絡が簡単になるな』
『はい~♪
ご主人さまと話し放題です~♪』
今日のキキョウは何かテンションが普通じゃなかった。
自分だけが頼られたことが余程嬉しかったのだろうか?
『ありがとう。これで実験は一旦終了だ。
後でもう一台作った時に実験に協力してもらうからね』
『わかりました~♪』
カナタは意気揚々と3台目、4台目を製作し、材料が尽きてこの日の開発を終了した。
あとでライジン辺境伯の所へ持って行って3台目からの実験に協力してもらおうと思っていた。
リンリンリン リンリンリン
音声通信機が鳴った。
現在、この通信機が繋がるのはグラスヒルの屋敷しかない。
カナタは緊急事態なのかと焦って通話ボタンを押した。
『どうした!』
『本当につながったー。
ずるーい。私も話すー』
この後、音声通信機のことを知った屋敷組の面々と長電話をさせられたカナタだった。
話が終わったのは燃料石が切れて音声通信機が動かなくなったためだった。
「うん、これで燃料石の限界時間の実験が出来た……ということにしよう」
カナタは疲れ果ててベッドに沈んだ。
翌日、早朝にもかかわらずカナタが燃料石の魔力充填に屋敷へと転移したのは言うまでもない。
なぜなら、この後も3台目4台目の実験をしなけらばならなかったからだ。
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