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南部辺境遠征編
117 カナタ、不動産を借りれない
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カナタはララを連れてガーディアの城塞に与えられた部屋へと転移で戻って来た。
これから奴隷商へと行くとカナタが言ったので交渉担当として同行を強請られたのだ。
この後、ララと奴隷商に行ったあと、またララを屋敷へと送ってからルルを連れて戻らなければならなかった。
幸いララとルルは双子なので、入れ替わったことは早々気付かれないと思われた。
「確認するわよ?
戦闘スキルを持つ奴隷を最低でも2人、木工職人が5人、錬金術師が3人ね?」
特殊職がそんなに集まるとは思えなかったが、それだけの人材が必要なことは事実だった。
音声通信機の量産にはもっと人が欲しいところだったが、大規模な工場のような働く場所があるわけでもなく、急に大量に増やしても住む場所すら用意できないのだ。
「戦闘スキル持ちは店と工房で合計4人は必要かな?」
カナタは工房を作るつもりだった。
屋敷の広さならば、そこで作業することも可能といえば可能なのだが、職人となると男性になる可能性が高く、そこが問題だった。
女性所帯の屋敷に男の職人を住まわせるのは、カナタには躊躇いがあったのだ。
なので屋敷と工房で分けようとカナタは考えたのだ。
「工房を用意するのですか?」
「領地をもらう予定だからね。
ゆくゆくは音声通信機や冷蔵庫の生産をそこの産業の一つにしたい。
工房はそのひな形になるかな?」
カナタは男爵位を叙爵し領地を授かった先のことを考えていた。
それに加えて意外にも女性たちに対しての独占欲が強かったようだ。
奴隷の彼女たちと職人を一緒にしたくなかったのだ。
「工房はどの街に?
また新しい不動産を入手しなければならないわよ?」
「今のところ納入先がライジン辺境伯だから、ここかライジニアかな?」
カナタは漠然としたビジョンしか持っていなかった。
一人でこつこつ音声通信機を量産していたので、今作業が楽になりさえすれば良かったのだ。
「とりあえずは、辺境伯から早急に100台作れって急かされているんだ。
それだけの数を作るためにここに仮工房を用意する。
いま僕が居ないのにライジニアで作業出来るとなると、余計な所で移動手段の秘密がバレかねないからね」
ライジン辺境伯も、魔物の氾濫の事後処理で暫くガーディアに滞在する予定だった。
その間に音声通信機を100台納入するならば、ガーディアで生産する方が都合が良かったのだ。
「その後は腰を据えた常設の工房を用意したい」
「ならばガーディアでは賃貸物件を探しましょう。
その後、ライジニアに工房を購入します。
まだ領地が何処になるかわからないのです。
しかし、南部辺境伯領からの割譲ならば、どこになろうとも領都ならば交通の便も良いはずです」
領都ライジニアならば、カナタが常設転移門を設置した場所でもあった。
物資の移動などの利便性も向こうの方が高いはずだった。
「ならば商業ギルドに不動産を借りに行って、決まってから奴隷を雇う方向かな?」
「1日じゃ終わりそうにありませんね」
ララはカナタの行き当たりばったりな考えに溜め息をついた。
尤も、11歳にそこまでの計画性を要求するのがそもそも間違いなのだ。
そこは誰かがサポート出来れば問題ない、それが自分の役割でもあるとララは思っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「いらっしゃいませ。商業ギルドにようこそ」
比較的空いていた受付にカナタが向かうと受付嬢がにこやかに対応してくれた。
カナタは受付嬢に冒険者ギルドカードを提示した。
実は冒険者ギルドカードには商業ギルドの登録番号も記載されているのだ。
これによりギルドは共通の魔導具で人を管理出来ていた。
カナタのギルドカードにはB級商人という記載があった。
それを確認した受付嬢は、いかにも子供であるカナタに対する認識を改めた。
彼は小さな子供であっても立派な商人なのだと。
「どのような御用件でしょうか?」
ここは商品の買い取りや仕入れのための窓口ではなかった。
商人としてギルドに相談する窓口、大きな商談に発展する可能性があった。
「家具及び錬金術の工房を借りたいんだけど?
これ、紹介状ね」
カナタが示したのはライジン辺境伯の紹介状だった。
不動産を借りるとなると信用が試されることとなる。
手っ取り早く交渉するためには、信用が高い人に紹介してもらうのが一番だった。
受付嬢はライジン辺境伯の蝋封の付いた紹介状を見て慌てて上司を呼びに行った。
「お待たせいたしました。
不動産担当主任のネイサンと申します。
以後お見知りおきを」
いきなり上司と代わってしまったことにカナタは戸惑ったが、これがライジン辺境伯の威光なのかと納得することにした。
「錬金家具の工房を借りたいんだ。
錬金術師と家具職人が10人ほどで働ける広さが欲しい」
カナタがそう言うと、ネイサンは渋い顔になった。
それは工房となると紹介できる物件がなかったからだった。
「ここ城塞都市は、ご存知の通り国境を護る砦であるため、周囲を強固な城壁に囲まれております。
そのため壁内はあまり土地が豊富とは言えず、ご紹介出来る不動産も元々少のうございます。
更に工房となりますとある程度の広さを要求されますし、騒音などのご近所トラブルも多ございます故、物件も限られてしまいます。。
そのため、工房地区には空きが無く、新規に工房へと転用出来る建物もございません」
ネイサンが言う事は事実だった。
さすがにライジン辺境伯直々の紹介状があるのに、嫌がらせで貸し渋るなどということは有り得ないのだ。
「最近は工房を壁の外に設置することが多ございます。
申し訳ありませんが、そこならばご紹介可能なのですがよろしいでしょうか?」
カナタは悩んだ。
壁の外ということは、魔物に襲われる可能性もあるということだ。
雇い入れる奴隷には戦闘力は無いだろう。
となると防衛力としてかなりの戦力を別途備えなければならなくなる。
「壁の外ならタダ同然になります。
土地を借りているという手続き料が必要なだけなのです」
つまり安全を保障しない代わりに自由に区画を区切って使って良いということだった。
「壁外の土地使用には許可が必要なのですが、閣下の紹介状があれば何の問題もありません。
他の方が使用している土地で無ければ許可は直ぐに下りるでしょう」
壁外で使用する土地には囲いが必要だった。
その囲いの範囲外で通行を妨害しなければ何処を使っても良いとのことだった。
「わかりました。場所が決まったら申請に伺えば良いのですね?」
「そうしていただけると幸いです」
カナタたちは、工房を借りることが出来なかった。
代わりに壁外に工房の土地を確保できることを知る事となった。
これから奴隷商へと行くとカナタが言ったので交渉担当として同行を強請られたのだ。
この後、ララと奴隷商に行ったあと、またララを屋敷へと送ってからルルを連れて戻らなければならなかった。
幸いララとルルは双子なので、入れ替わったことは早々気付かれないと思われた。
「確認するわよ?
戦闘スキルを持つ奴隷を最低でも2人、木工職人が5人、錬金術師が3人ね?」
特殊職がそんなに集まるとは思えなかったが、それだけの人材が必要なことは事実だった。
音声通信機の量産にはもっと人が欲しいところだったが、大規模な工場のような働く場所があるわけでもなく、急に大量に増やしても住む場所すら用意できないのだ。
「戦闘スキル持ちは店と工房で合計4人は必要かな?」
カナタは工房を作るつもりだった。
屋敷の広さならば、そこで作業することも可能といえば可能なのだが、職人となると男性になる可能性が高く、そこが問題だった。
女性所帯の屋敷に男の職人を住まわせるのは、カナタには躊躇いがあったのだ。
なので屋敷と工房で分けようとカナタは考えたのだ。
「工房を用意するのですか?」
「領地をもらう予定だからね。
ゆくゆくは音声通信機や冷蔵庫の生産をそこの産業の一つにしたい。
工房はそのひな形になるかな?」
カナタは男爵位を叙爵し領地を授かった先のことを考えていた。
それに加えて意外にも女性たちに対しての独占欲が強かったようだ。
奴隷の彼女たちと職人を一緒にしたくなかったのだ。
「工房はどの街に?
また新しい不動産を入手しなければならないわよ?」
「今のところ納入先がライジン辺境伯だから、ここかライジニアかな?」
カナタは漠然としたビジョンしか持っていなかった。
一人でこつこつ音声通信機を量産していたので、今作業が楽になりさえすれば良かったのだ。
「とりあえずは、辺境伯から早急に100台作れって急かされているんだ。
それだけの数を作るためにここに仮工房を用意する。
いま僕が居ないのにライジニアで作業出来るとなると、余計な所で移動手段の秘密がバレかねないからね」
ライジン辺境伯も、魔物の氾濫の事後処理で暫くガーディアに滞在する予定だった。
その間に音声通信機を100台納入するならば、ガーディアで生産する方が都合が良かったのだ。
「その後は腰を据えた常設の工房を用意したい」
「ならばガーディアでは賃貸物件を探しましょう。
その後、ライジニアに工房を購入します。
まだ領地が何処になるかわからないのです。
しかし、南部辺境伯領からの割譲ならば、どこになろうとも領都ならば交通の便も良いはずです」
領都ライジニアならば、カナタが常設転移門を設置した場所でもあった。
物資の移動などの利便性も向こうの方が高いはずだった。
「ならば商業ギルドに不動産を借りに行って、決まってから奴隷を雇う方向かな?」
「1日じゃ終わりそうにありませんね」
ララはカナタの行き当たりばったりな考えに溜め息をついた。
尤も、11歳にそこまでの計画性を要求するのがそもそも間違いなのだ。
そこは誰かがサポート出来れば問題ない、それが自分の役割でもあるとララは思っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「いらっしゃいませ。商業ギルドにようこそ」
比較的空いていた受付にカナタが向かうと受付嬢がにこやかに対応してくれた。
カナタは受付嬢に冒険者ギルドカードを提示した。
実は冒険者ギルドカードには商業ギルドの登録番号も記載されているのだ。
これによりギルドは共通の魔導具で人を管理出来ていた。
カナタのギルドカードにはB級商人という記載があった。
それを確認した受付嬢は、いかにも子供であるカナタに対する認識を改めた。
彼は小さな子供であっても立派な商人なのだと。
「どのような御用件でしょうか?」
ここは商品の買い取りや仕入れのための窓口ではなかった。
商人としてギルドに相談する窓口、大きな商談に発展する可能性があった。
「家具及び錬金術の工房を借りたいんだけど?
これ、紹介状ね」
カナタが示したのはライジン辺境伯の紹介状だった。
不動産を借りるとなると信用が試されることとなる。
手っ取り早く交渉するためには、信用が高い人に紹介してもらうのが一番だった。
受付嬢はライジン辺境伯の蝋封の付いた紹介状を見て慌てて上司を呼びに行った。
「お待たせいたしました。
不動産担当主任のネイサンと申します。
以後お見知りおきを」
いきなり上司と代わってしまったことにカナタは戸惑ったが、これがライジン辺境伯の威光なのかと納得することにした。
「錬金家具の工房を借りたいんだ。
錬金術師と家具職人が10人ほどで働ける広さが欲しい」
カナタがそう言うと、ネイサンは渋い顔になった。
それは工房となると紹介できる物件がなかったからだった。
「ここ城塞都市は、ご存知の通り国境を護る砦であるため、周囲を強固な城壁に囲まれております。
そのため壁内はあまり土地が豊富とは言えず、ご紹介出来る不動産も元々少のうございます。
更に工房となりますとある程度の広さを要求されますし、騒音などのご近所トラブルも多ございます故、物件も限られてしまいます。。
そのため、工房地区には空きが無く、新規に工房へと転用出来る建物もございません」
ネイサンが言う事は事実だった。
さすがにライジン辺境伯直々の紹介状があるのに、嫌がらせで貸し渋るなどということは有り得ないのだ。
「最近は工房を壁の外に設置することが多ございます。
申し訳ありませんが、そこならばご紹介可能なのですがよろしいでしょうか?」
カナタは悩んだ。
壁の外ということは、魔物に襲われる可能性もあるということだ。
雇い入れる奴隷には戦闘力は無いだろう。
となると防衛力としてかなりの戦力を別途備えなければならなくなる。
「壁の外ならタダ同然になります。
土地を借りているという手続き料が必要なだけなのです」
つまり安全を保障しない代わりに自由に区画を区切って使って良いということだった。
「壁外の土地使用には許可が必要なのですが、閣下の紹介状があれば何の問題もありません。
他の方が使用している土地で無ければ許可は直ぐに下りるでしょう」
壁外で使用する土地には囲いが必要だった。
その囲いの範囲外で通行を妨害しなければ何処を使っても良いとのことだった。
「わかりました。場所が決まったら申請に伺えば良いのですね?」
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