118 / 204
南部辺境遠征編
118 カナタ、新たな区画を作る
しおりを挟む
カナタたち4人は城塞に与えられた宿舎に戻ると、厩舎に預けていた鳥型騎獣のクヮァと獣車を引き取ってガーディアの街の北門から壁の外へと出て来ていた。
街へと来た時は急ぎだったために気にしていなかったが、北門の外には工房と思われる建物が建っていて賑わっているようだった。
「門に近い所と街道沿いが一等地という感じか」
カナタはその様子を伺って空いている土地を見繕いはじめた。
「材料の搬入と音声通信機の持ち出しは、僕の【ロッカー】で出来る。
だから一等地でなくても工房は設置可能だ。
問題は安全対策。工房の従業員を守るにはどうしたら良い?」
カナタは悩んだ末、ふと見上げた城壁を見て思いついた。
「あ、壁で囲えばいいんだ。
工期を考えたら、今ある城壁を利用すれば四方の一方は作らないで済む」
カナタは城壁を利用してサクッと真田丸のような区画を作った。
ちなみに真田丸とは簡単に言うと大阪城の外に作られた出島的な陣地のことだ。
ここで役に立ったのは枡形を作ったおかげでレベルの上がった土魔法のスキルだった。
「出入口は北側と、許可をもらったら城壁側にも開けてしまおう」
カナタ、思い立ったら遠慮がなかった。
ある意味新しい城壁と壁内区画を造成したに等しかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「というわけで許可をもらいたいんだけど?」
カナタはこの都市の最高権力者にお願いをすることにした。
そのお願いにライジン辺境伯は開いた口が塞がらなかった。
「おまえ……。まあ許可は出そう。
だが、その区画はもっと広げろ。
それが条件だ」
「えーー」
カナタは自分一人でやらされると思って断ろうとした。
城壁に出入口を作れなくても多少不便になるだけだったからだ。
「第1軍、第2軍本隊は領都へと出発したが、工兵部隊はまだここに居る。
自由に使って良いから大きさを今の25倍に拡大しろ」
しかし、辺境伯は手伝いを用意してくれた。
ガーディアの城塞に工房区画が拡張されることが決定した瞬間だった。
「手伝ってくれるならやるよ。
各辺を5倍に拡大するってことで良いんだよね?」
この後2週間かけて新しい工房区画が完成した。
そこには区画割りのされた通路も上下水道も完備されていた。
旧城壁には新たな門が作られ、城壁内から直接通行が可能だった。
また、ここには東西南北以外の第5の門が設置され、外部からの鉱石や木材などの搬入が容易になるように配慮されていた。
こんな短期間で完成したのは偏にカナタの土魔法の賜物だった。
土魔法自体のレベルはそこまで高くはないのだが、カナタが持つ魔力量は尋常ではなかった。
そのおかげで城壁が有り得ない短期間で完成したのだった。
カナタがまた目立ってしまったが、土魔法は陣地構築でもバレている能力なので今更のことだった。
そして、ライジン辺境伯の領軍工兵たちは、その主人と同様誠実な者たちであり、カナタの秘密を漏らそうとは思わなかった。
そこにはカナタがライジン辺境伯の隠し子だという間違った認識が影響していたのだが……。
街へと来た時は急ぎだったために気にしていなかったが、北門の外には工房と思われる建物が建っていて賑わっているようだった。
「門に近い所と街道沿いが一等地という感じか」
カナタはその様子を伺って空いている土地を見繕いはじめた。
「材料の搬入と音声通信機の持ち出しは、僕の【ロッカー】で出来る。
だから一等地でなくても工房は設置可能だ。
問題は安全対策。工房の従業員を守るにはどうしたら良い?」
カナタは悩んだ末、ふと見上げた城壁を見て思いついた。
「あ、壁で囲えばいいんだ。
工期を考えたら、今ある城壁を利用すれば四方の一方は作らないで済む」
カナタは城壁を利用してサクッと真田丸のような区画を作った。
ちなみに真田丸とは簡単に言うと大阪城の外に作られた出島的な陣地のことだ。
ここで役に立ったのは枡形を作ったおかげでレベルの上がった土魔法のスキルだった。
「出入口は北側と、許可をもらったら城壁側にも開けてしまおう」
カナタ、思い立ったら遠慮がなかった。
ある意味新しい城壁と壁内区画を造成したに等しかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「というわけで許可をもらいたいんだけど?」
カナタはこの都市の最高権力者にお願いをすることにした。
そのお願いにライジン辺境伯は開いた口が塞がらなかった。
「おまえ……。まあ許可は出そう。
だが、その区画はもっと広げろ。
それが条件だ」
「えーー」
カナタは自分一人でやらされると思って断ろうとした。
城壁に出入口を作れなくても多少不便になるだけだったからだ。
「第1軍、第2軍本隊は領都へと出発したが、工兵部隊はまだここに居る。
自由に使って良いから大きさを今の25倍に拡大しろ」
しかし、辺境伯は手伝いを用意してくれた。
ガーディアの城塞に工房区画が拡張されることが決定した瞬間だった。
「手伝ってくれるならやるよ。
各辺を5倍に拡大するってことで良いんだよね?」
この後2週間かけて新しい工房区画が完成した。
そこには区画割りのされた通路も上下水道も完備されていた。
旧城壁には新たな門が作られ、城壁内から直接通行が可能だった。
また、ここには東西南北以外の第5の門が設置され、外部からの鉱石や木材などの搬入が容易になるように配慮されていた。
こんな短期間で完成したのは偏にカナタの土魔法の賜物だった。
土魔法自体のレベルはそこまで高くはないのだが、カナタが持つ魔力量は尋常ではなかった。
そのおかげで城壁が有り得ない短期間で完成したのだった。
カナタがまた目立ってしまったが、土魔法は陣地構築でもバレている能力なので今更のことだった。
そして、ライジン辺境伯の領軍工兵たちは、その主人と同様誠実な者たちであり、カナタの秘密を漏らそうとは思わなかった。
そこにはカナタがライジン辺境伯の隠し子だという間違った認識が影響していたのだが……。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
俺とエルフとお猫様 ~現代と異世界を行き来できる俺は、現代道具で異世界をもふもふネコと無双する!~
八神 凪
ファンタジー
義理の両親が亡くなり、財産を受け継いだ永村 住考(えいむら すみたか)
平凡な会社員だった彼は、財産を譲り受けた際にアパート経営を継ぐため会社を辞めた。
明日から自由な時間をどう過ごすか考え、犬を飼おうと考えていた矢先に、命を終えた猫と子ネコを発見する。
その日の夜、飛び起きるほどの大地震が起こるも町は平和そのものであった。
しかし、彼の家の裏庭がとんでもないことになる――
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる