父親が呪われているので家出してガチャ屋をすることにしました

北京犬(英)

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南部辺境遠征編

118 カナタ、新たな区画を作る

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 カナタたち4人は城塞に与えられた宿舎に戻ると、厩舎に預けていた鳥型騎獣のクヮァと獣車を引き取ってガーディアの街の北門から壁の外へと出て来ていた。
街へと来た時は急ぎだったために気にしていなかったが、北門の外には工房と思われる建物が建っていて賑わっているようだった。

「門に近い所と街道沿いが一等地という感じか」

 カナタはその様子を伺って空いている土地を見繕いはじめた。

「材料の搬入と音声通信機の持ち出しは、僕の【ロッカー】で出来る。
だから一等地でなくても工房は設置可能だ。
問題は安全対策。工房の従業員を守るにはどうしたら良い?」

 カナタは悩んだ末、ふと見上げた城壁を見て思いついた。

「あ、壁で囲えばいいんだ。
工期を考えたら、今ある城壁を利用すれば四方の一方は作らないで済む」

 カナタは城壁を利用してサクッと真田丸のような区画を作った。
ちなみに真田丸とは簡単に言うと大阪城の外に作られた出島的な陣地のことだ。
ここで役に立ったのは枡形を作ったおかげでレベルの上がった土魔法のスキルだった。

「出入口は北側と、許可をもらったら城壁側にも開けてしまおう」

 カナタ、思い立ったら遠慮がなかった。
ある意味新しい城壁と壁内区画を造成したに等しかった。


◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


「というわけで許可をもらいたいんだけど?」

 カナタはこの都市の最高権力者にお願いをすることにした。
そのお願いにライジン辺境伯は開いた口が塞がらなかった。

「おまえ……。まあ許可は出そう。
だが、その区画はもっと広げろ。
それが条件だ」

「えーー」

 カナタは自分一人でやらされると思って断ろうとした。
城壁に出入口を作れなくても多少不便になるだけだったからだ。

「第1軍、第2軍本隊は領都へと出発したが、工兵部隊はまだここに居る。
自由に使って良いから大きさを今の25倍に拡大しろ」

 しかし、辺境伯は手伝いを用意してくれた。
ガーディアの城塞に工房区画が拡張されることが決定した瞬間だった。

「手伝ってくれるならやるよ。
各辺を5倍に拡大するってことで良いんだよね?」


 この後2週間かけて新しい工房区画が完成した。
そこには区画割りのされた通路も上下水道も完備されていた。
旧城壁には新たな門が作られ、城壁内から直接通行が可能だった。
また、ここには東西南北以外の第5の門が設置され、外部からの鉱石や木材などの搬入が容易になるように配慮されていた。

 こんな短期間で完成したのはひとえにカナタの土魔法の賜物だった。
土魔法自体のレベルはそこまで高くはないのだが、カナタが持つ魔力量は尋常ではなかった。
そのおかげで城壁が有り得ない短期間で完成したのだった。
カナタがまた目立ってしまったが、土魔法は陣地構築でもバレている能力なので今更のことだった。
そして、ライジン辺境伯の領軍工兵たちは、その主人と同様誠実な者たちであり、カナタの秘密を漏らそうとは思わなかった。
そこにはカナタがライジン辺境伯の隠し子だという間違った認識が影響していたのだが……。
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