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南部辺境遠征編
123 カナタ、肉ゴーレムを欲する
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追加で雇った10人の奴隷たちに私物を買い与えるため、カナタは服飾店に寄り雑貨屋へと来ていた。
身の回りの品や洋服、下着など取り合えず今直ぐに必要なものを手に入れるためだ。
特に予定以上に増えてしまったために必要となったのが追加の寝具だった。
奴隷購入を決め、宿舎での受け入れ準備した時に買いに行った雑貨屋では、寝具の在庫が切れてしまっていた。
連日20人分の寝具を手に入れようというのだ。
一軒の雑貨屋ではそこまでの量の在庫は持っていなかったのだ。
このような大量購入の場合、本来なら予め注文し後日取りに来るというのがこの世界では普通だった。
お城などの大量の人員を必要とする場所には、大店の商家が入り一手に納入を引き受けていたが、カナタはそんなところとの伝手は持っていなかった。
「ご主人さま、寝具でしたら私の知っているお店にあると思います」
新たに雇用した炊事担当の女性が、寝具の心当たりがあると言うので、カナタは案内をしてもらうことにした。
そこは大通りからは外れていて目立たないが、賑わいのある繁盛しているように見える雑貨屋だった。
雑貨屋だというと語弊があるかもしれない。
そこは雑多な品物を扱っているというだけで、地球では百貨店に相当するお店なのだ。
カナタは目的の寝具を手に入れ【ロッカー】に仕舞うと、お店を後にしようとした。
しかし、そこである物をみつけてしまった。
「え? これって!」
それは肉ゴーレムのアイテムオーブだった。
なぜこれが肉ゴーレムのオーブであるとして売られているのかというと、オーブの出所がゴーレムマスターのドロップだったからだ。
何の系統の魔物からドロップしたのかはオーブの刻印である程度わかった。
それによりこのオーブからはほぼ間違いなくゴーレムが出るとの推測が可能だった。
肉ゴーレムになるという判断はレアリティを示す色による推測だった。
これが冒険者ギルドならば【鑑定】持ちが詳細に鑑定して系統を判断出来るのだが、街の雑貨屋で売る程度となると、そういった経験から推測することが多かった。
「買った!」
カナタは意気揚々と、その肉ゴーレムのオーブを2つ手に入れた。
そのまま工房へと戻ったカナタは、工房の作業スペースに陣取ると早速オーブを開けることにした。
「ここで携帯ガチャ機は使えないぞ。
1UPしてしまったら、違うゴーレムが出てしまうからな」
そう、1UPの恩恵を受けてしまったら、せっかくの肉ゴーレムが鉄ゴーレムになりかねなかったのだ。
ここでもカナタはハズレを期待するという変な行動になっていた。
それはニクと同じ愛砢人形狙いの肉ゴーレムなのだから、鉄ゴーレムになどなってしまっては本末転倒だったのだ。
カナタはいそいそと肉ゴーレム(仮)のオーブを開けた。
ガチャガチャ ポン!
Nアイテム 石ゴーレム
石で出来たゴーレム
手に入れた者が他人に譲渡しない限りその者に従属する
主に力仕事や魔物から逃亡する際の囮として使われる
「は?」
カナタはその結果に驚きを隠せなかった。
黄色いNオーブから出て来たのは石ゴーレムだったのだ。
「なんで?」
それもそのはずだった。
カナタの幸運値はレベルアップにより現在120となっていた。
魔物の氾濫で土魔法や掘削スキルを使いまくり、高ランクの魔物も倒しまくった。
最後はドラゴンに傷をつける――カナタが障壁を張ってそれにドラゴンが自爆した――という結果も残している。
レベルが上がらないわけがなかった。
現在カナタのレベルは20にもなっている。
それによって幸運値も大幅に上がっていたのだ。
「拙い。僕の幸運値が高すぎて中身が良くなってしまっている!」
カナタは焦った。そして暫く考えてサキを呼びつけた。
彼女の幸運値は10より低いはずだったからだ。
サキに開けさせれば、ハズレを引いて肉ゴーレムが出るはずだとカナタは思ったのだ。
「え~? これを開けるんですか~?
悪いものが出ても知りませんよ~」
サキには自分の運が悪いという自覚があった。
しかし、今回はその悪い方向で能力を発揮して欲しいのだ。
ガチャガチャ ポン!
Nアイテム 肉ゴーレム
肉で出来たゴーレム
手に入れた者が他人に譲渡しない限りその者に従属する
主に魔物から逃亡する際の囮として使われる
「さすがサキ。安定の不運持ちだ」
変な感じでカナタが褒める。
サキも引きつった顔で笑うしかなかった。
「これで良いんですか~?」
そう言うとサキは首を傾げながら去って行った。
出て来た肉ゴーレムは仮面を被り目鼻口は確認出来ない。
肉体はのっぺりとして性別の存在しない身体をしていた。
これで肉感的な身体をしていたら、別の用途で使おうという者が現れてしまうので、まあこれはこれで正解だといえる。
肉で出来ているので力も平凡で防御力は皆無だ。
そのため囮にしかならないと言われているのだ。
「よし、ここから胸のあたりのコアに魔力を流すんだったよな?」
カナタはニクの時と同じように砢システムに魔力を流して起動させようと試みた。
「あれ?」
カナタの【魔力探知】が砢システムの反応を見つけられなかった。
つまり、この肉ゴーレムは愛砢人形には成り得なかったのだ。
「つまり愛砢人形になるのは特殊個体ということ?」
そう簡単に超古代兵器は手に入らなかったのだ。
カナタはこの件でむしろ安心し胸を撫で下した。
ニクの戦闘力は高い。しかし、そのニクが二体揃っても持て余す気がしていたのだ。
高すぎる戦闘力は扱いに困ると漠然とだが思っていたからだ。
つい好奇心から肉ゴーレムが愛砢人形になるのかを試してしまったが、実現しなくて良かったとカナタは思い直した。
新しい愛砢人形を手に入れて戦力化するためには**人形シリーズのオプションアイテムが必須となる。
もし新しい**人形シリーズのアイテムを手に入れたなら、分散させるよりもニクを強化した方が良いと思われた。
必要もないのに愛砢人形を手に入れても、アイテムにダブりのない限り、ただの美人肉ゴーレムにしかならないのだ。
そんな肉ゴーレムをカナタは必要としていなかったし、売って好事家の慰み者にする気もなかった。
「好奇心で突っ走るのはやめよう。
それにしても、この石ゴーレムと肉ゴーレムはどうしようか。
使い道が無いぞ」
『サブスキル、【ガチャオーブ化】がアクティベートされました』
カナタの脳裏にシステムメッセージが響いた。
それは一度開いたガチャオーブの中身をガチャオーブに仕舞うことの出来るというGRスキル【携帯ガチャ機】のサブスキルだった。
それが時空魔法のレベルアップも相まってカナタの悩みに反応して活性化したのだ。
「つまり、石ゴーレムと肉ゴーレムをオーブに戻せるということか!」
カナタはまたまた便利スキルを覚えてしまった。
しかし、このオーブは中身固定でいくら開けても同じ物しか出ないものだった。
そこには1UPの恩恵も幸運値も影響することはなかった。
つまりそれは運搬用としてガチャオーブにアイテムを仕舞えることを意味していた。
それがスイーツでも生肉でも音声通信機でも良かったのだ。
まあ、カナタには【ロッカー】があるので運搬という点では必要ないものなのだが、ガチャオーブに仕舞った状態で売ることが出来るなら、その利便性は圧倒的に高くなるはずだった。
また、まだ実験もしていないが、もし自分の要らないスキルをガチャオーブに仕舞えたら……。
それは他人にスキルを譲渡出来るということを意味していた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「はあ? 売れた?
取り置きしてくれと言ったはずだろう?」
カナタが肉ゴーレムのオーブを買った雑貨屋に大声が響いた。
「私どもの店では取り置きはしないとお断りしたではありませんか」
「ちっ! 使えねー店だな!」
その黒いローブを纏った男は悪態をつきながら雑貨屋を後にした。
彼、いや彼らはなぜか肉ゴーレムのオーブを買い漁っていた。
いま肉ゴーレムのオーブは買い占めにより品薄状態にあった。
その買い占めを行っているのが、この黒いローブの男の属する組織だった。
「この街は魔物の氾濫でNオーブが大量に入荷したはずなのに何処に行ったんだ?」
まさか自分たちの組織がその魔物の氾濫に関わっていたとは知る由もなかった。
この男、組織の中では最底辺にある下っ端の存在だった。
下っ端なために予算執行の権限がなく、いちいち上司に申請をしないと購入予算を手に出来なかった。
まあ、金を前渡していたら横領されかねないと思われるほど信用がないということなのだが……。
本来なら肉ゴーレムのオーブなど早々売れるものではないことも、男に金を渡さなくても問題ないと思われていた理由だった。
だが、こんな男でも実働部隊としては便利扱いされていた。
そして大量のNオーブの行方はカナタの所だったことは知る由もなかった。
その中には一見同じだが、Nを示す黄色とは違う山吹色のオーブが含まれていたのだった。
身の回りの品や洋服、下着など取り合えず今直ぐに必要なものを手に入れるためだ。
特に予定以上に増えてしまったために必要となったのが追加の寝具だった。
奴隷購入を決め、宿舎での受け入れ準備した時に買いに行った雑貨屋では、寝具の在庫が切れてしまっていた。
連日20人分の寝具を手に入れようというのだ。
一軒の雑貨屋ではそこまでの量の在庫は持っていなかったのだ。
このような大量購入の場合、本来なら予め注文し後日取りに来るというのがこの世界では普通だった。
お城などの大量の人員を必要とする場所には、大店の商家が入り一手に納入を引き受けていたが、カナタはそんなところとの伝手は持っていなかった。
「ご主人さま、寝具でしたら私の知っているお店にあると思います」
新たに雇用した炊事担当の女性が、寝具の心当たりがあると言うので、カナタは案内をしてもらうことにした。
そこは大通りからは外れていて目立たないが、賑わいのある繁盛しているように見える雑貨屋だった。
雑貨屋だというと語弊があるかもしれない。
そこは雑多な品物を扱っているというだけで、地球では百貨店に相当するお店なのだ。
カナタは目的の寝具を手に入れ【ロッカー】に仕舞うと、お店を後にしようとした。
しかし、そこである物をみつけてしまった。
「え? これって!」
それは肉ゴーレムのアイテムオーブだった。
なぜこれが肉ゴーレムのオーブであるとして売られているのかというと、オーブの出所がゴーレムマスターのドロップだったからだ。
何の系統の魔物からドロップしたのかはオーブの刻印である程度わかった。
それによりこのオーブからはほぼ間違いなくゴーレムが出るとの推測が可能だった。
肉ゴーレムになるという判断はレアリティを示す色による推測だった。
これが冒険者ギルドならば【鑑定】持ちが詳細に鑑定して系統を判断出来るのだが、街の雑貨屋で売る程度となると、そういった経験から推測することが多かった。
「買った!」
カナタは意気揚々と、その肉ゴーレムのオーブを2つ手に入れた。
そのまま工房へと戻ったカナタは、工房の作業スペースに陣取ると早速オーブを開けることにした。
「ここで携帯ガチャ機は使えないぞ。
1UPしてしまったら、違うゴーレムが出てしまうからな」
そう、1UPの恩恵を受けてしまったら、せっかくの肉ゴーレムが鉄ゴーレムになりかねなかったのだ。
ここでもカナタはハズレを期待するという変な行動になっていた。
それはニクと同じ愛砢人形狙いの肉ゴーレムなのだから、鉄ゴーレムになどなってしまっては本末転倒だったのだ。
カナタはいそいそと肉ゴーレム(仮)のオーブを開けた。
ガチャガチャ ポン!
Nアイテム 石ゴーレム
石で出来たゴーレム
手に入れた者が他人に譲渡しない限りその者に従属する
主に力仕事や魔物から逃亡する際の囮として使われる
「は?」
カナタはその結果に驚きを隠せなかった。
黄色いNオーブから出て来たのは石ゴーレムだったのだ。
「なんで?」
それもそのはずだった。
カナタの幸運値はレベルアップにより現在120となっていた。
魔物の氾濫で土魔法や掘削スキルを使いまくり、高ランクの魔物も倒しまくった。
最後はドラゴンに傷をつける――カナタが障壁を張ってそれにドラゴンが自爆した――という結果も残している。
レベルが上がらないわけがなかった。
現在カナタのレベルは20にもなっている。
それによって幸運値も大幅に上がっていたのだ。
「拙い。僕の幸運値が高すぎて中身が良くなってしまっている!」
カナタは焦った。そして暫く考えてサキを呼びつけた。
彼女の幸運値は10より低いはずだったからだ。
サキに開けさせれば、ハズレを引いて肉ゴーレムが出るはずだとカナタは思ったのだ。
「え~? これを開けるんですか~?
悪いものが出ても知りませんよ~」
サキには自分の運が悪いという自覚があった。
しかし、今回はその悪い方向で能力を発揮して欲しいのだ。
ガチャガチャ ポン!
Nアイテム 肉ゴーレム
肉で出来たゴーレム
手に入れた者が他人に譲渡しない限りその者に従属する
主に魔物から逃亡する際の囮として使われる
「さすがサキ。安定の不運持ちだ」
変な感じでカナタが褒める。
サキも引きつった顔で笑うしかなかった。
「これで良いんですか~?」
そう言うとサキは首を傾げながら去って行った。
出て来た肉ゴーレムは仮面を被り目鼻口は確認出来ない。
肉体はのっぺりとして性別の存在しない身体をしていた。
これで肉感的な身体をしていたら、別の用途で使おうという者が現れてしまうので、まあこれはこれで正解だといえる。
肉で出来ているので力も平凡で防御力は皆無だ。
そのため囮にしかならないと言われているのだ。
「よし、ここから胸のあたりのコアに魔力を流すんだったよな?」
カナタはニクの時と同じように砢システムに魔力を流して起動させようと試みた。
「あれ?」
カナタの【魔力探知】が砢システムの反応を見つけられなかった。
つまり、この肉ゴーレムは愛砢人形には成り得なかったのだ。
「つまり愛砢人形になるのは特殊個体ということ?」
そう簡単に超古代兵器は手に入らなかったのだ。
カナタはこの件でむしろ安心し胸を撫で下した。
ニクの戦闘力は高い。しかし、そのニクが二体揃っても持て余す気がしていたのだ。
高すぎる戦闘力は扱いに困ると漠然とだが思っていたからだ。
つい好奇心から肉ゴーレムが愛砢人形になるのかを試してしまったが、実現しなくて良かったとカナタは思い直した。
新しい愛砢人形を手に入れて戦力化するためには**人形シリーズのオプションアイテムが必須となる。
もし新しい**人形シリーズのアイテムを手に入れたなら、分散させるよりもニクを強化した方が良いと思われた。
必要もないのに愛砢人形を手に入れても、アイテムにダブりのない限り、ただの美人肉ゴーレムにしかならないのだ。
そんな肉ゴーレムをカナタは必要としていなかったし、売って好事家の慰み者にする気もなかった。
「好奇心で突っ走るのはやめよう。
それにしても、この石ゴーレムと肉ゴーレムはどうしようか。
使い道が無いぞ」
『サブスキル、【ガチャオーブ化】がアクティベートされました』
カナタの脳裏にシステムメッセージが響いた。
それは一度開いたガチャオーブの中身をガチャオーブに仕舞うことの出来るというGRスキル【携帯ガチャ機】のサブスキルだった。
それが時空魔法のレベルアップも相まってカナタの悩みに反応して活性化したのだ。
「つまり、石ゴーレムと肉ゴーレムをオーブに戻せるということか!」
カナタはまたまた便利スキルを覚えてしまった。
しかし、このオーブは中身固定でいくら開けても同じ物しか出ないものだった。
そこには1UPの恩恵も幸運値も影響することはなかった。
つまりそれは運搬用としてガチャオーブにアイテムを仕舞えることを意味していた。
それがスイーツでも生肉でも音声通信機でも良かったのだ。
まあ、カナタには【ロッカー】があるので運搬という点では必要ないものなのだが、ガチャオーブに仕舞った状態で売ることが出来るなら、その利便性は圧倒的に高くなるはずだった。
また、まだ実験もしていないが、もし自分の要らないスキルをガチャオーブに仕舞えたら……。
それは他人にスキルを譲渡出来るということを意味していた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「はあ? 売れた?
取り置きしてくれと言ったはずだろう?」
カナタが肉ゴーレムのオーブを買った雑貨屋に大声が響いた。
「私どもの店では取り置きはしないとお断りしたではありませんか」
「ちっ! 使えねー店だな!」
その黒いローブを纏った男は悪態をつきながら雑貨屋を後にした。
彼、いや彼らはなぜか肉ゴーレムのオーブを買い漁っていた。
いま肉ゴーレムのオーブは買い占めにより品薄状態にあった。
その買い占めを行っているのが、この黒いローブの男の属する組織だった。
「この街は魔物の氾濫でNオーブが大量に入荷したはずなのに何処に行ったんだ?」
まさか自分たちの組織がその魔物の氾濫に関わっていたとは知る由もなかった。
この男、組織の中では最底辺にある下っ端の存在だった。
下っ端なために予算執行の権限がなく、いちいち上司に申請をしないと購入予算を手に出来なかった。
まあ、金を前渡していたら横領されかねないと思われるほど信用がないということなのだが……。
本来なら肉ゴーレムのオーブなど早々売れるものではないことも、男に金を渡さなくても問題ないと思われていた理由だった。
だが、こんな男でも実働部隊としては便利扱いされていた。
そして大量のNオーブの行方はカナタの所だったことは知る由もなかった。
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