父親が呪われているので家出してガチャ屋をすることにしました

北京犬(英)

文字の大きさ
153 / 204
ウルティア国戦役編

153 ガンマ1、困る

しおりを挟む
「というわけで、ターゲットの破壊もしくは鹵獲を行ってもらう。
相手は1体、こちらは本作戦に2体も投入するんだ。
成功は決まったようなものだろう?」

 彼女たちの共同所有者である黒ローブの男は、作戦とも言えないただの行動予定を押し付けて去ってい行った。
彼女たち愛砢人形ラブラドールは所有権をもつ者の命令に従わなければならない。
完全に丸投げされた状態なので、彼女たちは自ら考えて行動せざるを得ない。

λラムダ3は、相手の攻撃を受けたのでしたね?
どのような状況だったか報告していただけるかしら?」

 γガンマ1と呼ばれる機体が小柄な機体λラムダ3に訊ねる。

「はい。私は監視役としてムンゾに居ました。
例の装置により服従させていた、アフオ男爵という者が、最近制御を離れ暴走気味だったためです」

 例の装置と聞き、γガンマ1は顔を顰めた。
愛砢人形ラブラドールシステムを模倣し、人を操るために造られた禁断の装置。
その装置を造るために、何体の愛砢人形ラブラドールが犠牲になったか。
あんな悍ましい物を使う者たちに使役されていることに、γガンマ1は嫌悪の感情が湧いて仕方なかった。
彼女達は物ではない。新たな生命体としてマスターは造られたのだ。
その崇高な精神を踏みにじり、彼女たちを戦闘機械として量産し使役した人類をγガンマ1は嫌悪していた。
しかし、そんな連中の命令に従わなければならない自分がいるのだ。

「その監視対象が正体を見破られて捕縛されそうになったことで、同行していた黒13に私は目撃者とアフオ男爵を例の装置ごと始末するように命じられました」

 黒13というのは、彼女たちを使役する組織のメンバーのコードネームだった。
彼らは名前ではなくコードネームでお互いを呼び合っていた。
それは、自らが所属する国や団体に、組織の人間であると露呈しないための措置だった。
そのため、彼らはお互いが何者なのかも知らずに活動していた。
これによって、もし組織の誰かが捕まったとしても、他のメンバーの正体が露呈することはなかった。

「そこで対象を捕縛していた者をまず荷電粒子砲で攻撃しました。
しかし、それをあろうことか次元空間壁で防がれてしまったのです」

「それが破壊対象として命じられた機体か。
次元空間壁を使ったということはオプション装備が可能なβベータ、或いは防御型のζゼータということではないか!」

 γガンマ1は次元空間壁と聞いて驚いた。
数の少ない上位機だという証拠だったからだ。

「はい、私もそう思いまして、最低限の任務を実行するために、例の装置の破壊を優先し荷電粒子砲を撃ち込みました。
例の装置の破壊に成功した私は、そのまま撤退に入ったのです。
すると私が今まで居た場所、そして撤退した場合の未来予測地点に荷電粒子砲が撃ち込まれました」

「なんだと、その能力、まさかαアルファだというのか!」

 γガンマ1はその可能性に恐怖した。
αアルファは全ての愛砢人形ラブラドールの原型であり、究極の試作機だった。
荷電粒子砲と次元空間壁を同時使用できるのはαアルファをおいて存在しなかった。
いや、αアルファの簡易量産型ともいえるμミューは、スペックダウンしたものを装備していたが、長距離狙撃型のλラムダ3の荷電粒子砲を防ぐことなど出来なかった。

 指揮型のγガンマ1は、その全ての能力を併せ持つαアルファが相手と知り、頭を抱えるしかなかった。

「万が一、オプションが揃っていたならば、2体で挑んでも、勝てる相手ではない!」

 残念なことに、今はカナタの所持する愛砢人形ラブラドールは4体だった。
γガンマ1は勝てない戦いを挑もうとしていた。

「アフオの作戦が成功していれば、ライジンの軍の戦力の大半は倒れ、愛砢人形ラブラドールのオーブも手に入っていたはず。
どこで歯車が狂ったと言うのか……」

 戦いが不利に運んだのも、Nオーブの全てが流通しなかったのも、全てカナタの関与によるものだった。

「とりあえず、ミネルバで敵情視察するしかないわね」

 γガンマ1はλラムダ3を伴ってミネルバへと向かった。
その際、例の転移の魔道具が使用された。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。

三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。 ……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」 その言葉は、もう何度聞いたか分からない。 霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。 周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。 同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。 ――俺だけが、何もできない。 反論したい気持ちはある。 でも、できない事実は変わらない。 そんな俺が、 世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて―― この時は、まだ知る由もなかった。 これは―― 妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

処理中です...