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ウルティア国戦役編
159 ガンマ1、襲撃2
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カナタはリュゼット、ラキスとミュー三姉妹を連れて領主屋敷を出ると、メイン通りを南下して服飾店へとやって来ていた。
カナタたちがいつも行く服飾店はグラスヒルにあり、【常設転移門】を潜れば直ぐの場所なのだが、今日はミューの気まぐれでミネルバの服飾店へと来ていた。
「グラスヒルもいいんだけど、同じ店ばかりだと服が偏るし、他のメンバーと被りがちなのよね」
しかし、ミネルバは南部辺境伯領の中でも田舎にあたる領地だった場所だ。
そこを割譲されたのだから、品揃えとしてはライジニアより劣るものと思われた。
辺境の中の辺境の店に、ミューのお眼鏡に適う服があるとも思えなかった。
もしかするとミューはミュー2とミュー3に差を付けたかったのかもしれない。
「何ここ、凄い」
そこは個人でデザインから縫製までやってのける個人服飾店だった。
そのデザインセンスは秀逸で、素晴らしいものばかりだった。
もしここにララがいたならば、服の量産と流通を一手に引き受ける契約を結ぼうとしただろう。
ミューの目論見は違う意味で裏切られた。
「どれも一点ものかしら?」
「むしろ3人とも被らなくて良かった」
「ああ、これもカワイイ」
三姉妹は思う存分買い物を楽しんだ。
その様子を見つめていたカナタもほっこりするのだった。
そんな中、リュゼットは自分たちを追跡する影を発見していた。
「面白い。またこの魔力反応か」
リュゼットはカナタの周囲に不思議な魔力反応の人物がいることに気付いていた。
騎士爵でもあるカナタの専属護衛のニクと、その姉妹と紹介された少女たち、それが3人増えたと思ったら、今日も2人増えていた。
そして、カナタが奴隷を雇った時の恒例である買い物に今来ている。
彼女たちの存在にはリュゼットも疑問を持っていた。
ニクの姉妹を出身地から呼んだにしては旅装もなく、まるで奴隷同然の所持品しか持ち合わせていなかった。
まるでその日突然に瞬間移動して来たかのように思えたのだ。
リュゼットが雇用主として選んだカナタは三英雄の一人ファーランド中央伯の息子であり、秘密の多い人物だった。
リュゼットは傭兵として雇われる手段として奴隷商に潜入するという方法を使っていた。
カナタを奴隷商で紹介された時、リュゼットはカナタを大層気に入った。
選ぶのはカナタの方なのだが、もしお眼鏡に適わない人物であれば、リュゼットは契約を拒否する権利を持っており、例え雇われた後でも隷属魔法を自ら破棄する能力があった。
彼女は実は竜人でありヒューマンに偽装していたため、そのような魔法は簡単に破れたのだ。
レベルも偽装しており、本来の強さは種族特性も合わさって尋常なものではなかった。
カナタは魔力反応が巨大だということもあるが、そこに呪いの影響を受けていた。
カナタを観察するため、雇われる事にしたリュゼットは、なるべくカナタに同行することを選んだ。
そのため、カナタと別行動となる採掘任務を拒否していたのだ。
だが、カナタは【転移】を使うことが出来、いつのまにか勝手に鉱山ダンジョンに行くなどリュゼットであっても振り回されてしまっていた。
カナタと行動を共にする中、ムンゾにて不思議な体験をした。
ニクと酷似した変わった魔力反応を持つ人物に襲撃されたのだ。
それは遠隔攻撃だったのだが、魔法ではなかった。
その威力は強力無比で、ニクが防御していなければ、カナタを失っていたかもしれなかった。
リュゼットは傭兵として主君を守れないところだったことに驚愕した。
そして、そのニクの防御も魔法ではないと気付いた。
ニクは襲撃者に対して全く同じ遠隔攻撃をして退けていた。
つまり、ニクと襲撃者は近しい人物であろうという推測が成り立った。
なぜ争っているのかは不明だが、次は遅れを取らないとリュゼットは誓っていた。
なので、同じ魔力反応を持つ新たな姉妹たちの存在にリュゼットは混乱していた。
同じような年齢層に多数の姉妹が存在する。
一族ということなのか、多産なのか、ヒューマンではないのではないかとリュゼットは推測していた。
その同じ魔力反応が自分達を追跡していた。
つまり、敵対する側の姉妹が現れたのではないかとリュゼットは判断していた。
「遠隔攻撃ならば、ここまで接近する必要はない。
つまり、もう一人いる?」
リュゼットは傭兵としての経験に裏付けられた勘でほぼ状況を正確に把握していた。
「となると、遠隔攻撃を警戒しなければならないな。
さすがに私でもあれは防げない」
リュゼットは、そう思考を巡らせると追跡者の存在を報告することに決めた。
「主君、つけられているぞ。
おそらくムンゾで襲って来て逃げたやつとその仲間だ」
「!」
カナタはその言葉に焦った。
ミューは簡易量産型であり、特化型の持つ特化した機能と比べれば性能で劣る。
ミューは全ての機能を備えた万能なことが特性だからだ。
あの長距離狙撃型の荷電粒子砲はニクと同等だった。
それを防げたのはニクの次元空間壁だったからで、ミューのものでは防げない可能性が高かった。
「ミュー、相手は荷電粒子砲を持っているやつらだ。
屋敷に戻るぞ!」
「狙撃型のλかしら。やっかいね。
私たちの次元空間壁では守れるのは1発までが限度ね」
「ミュー、知っているのか?
ならば、後を付けてくるのは誰かわかるか?」
リュゼットが質問するのと、ミュー三姉妹がカナタを取り囲んで周囲を警戒しだしたのは同時だった。
ミューは索敵機能を起動し周辺を探査した。
「反応が鈍い。
斥候も出来るけどηのような偵察特化型でないみたいね。
となると汎用量産型のιか指揮型のγかしら?」
ミューはカナタにだけ聞こえるような声で報告した。
しかし、それはリュゼットの種族特性で彼女の耳には届いていた。
そのことにミューも気付いた。
「強いのか?」
カナタがそう訊くとミューは、リュゼットたちに聞かれても良いのかという意味でちらりとリュゼットたちを見るとカナタに目配せをした。
カナタはそれに頷いて返すと先を促した。
「γならば武装は私たちより劣るけど、上位機なので基本性能は上ね。
ιは私達の前の世代の量産機で、私たちと同等の武装を機体ごとに装備しているので、機体によって武装がまちまちね。
まあ、私たち3体でかかれば問題ないわ。
むしろ、狙撃型のλに狙われている方が問題ね」
そう言いながらミューはカナタが遮蔽物に隠れられるように誘導を始めた。
「もしもう1体が指揮型のγならば、γの指示によって死角でも撃たれる可能性があるわ」
ミューはこの時、カナタを守ることを最優先にしており、自らへの危険は度外視していた。
もしもの時は体を張ってまでカナタを守るつもりだった。
しかしこの時、ターゲットとされているのはミューそのものだった。
γ1とλ3は、中途半端な命令により、カナタへ危害を加えることが出来なかったのだ。
これは愛砢人形の設計理念である、命令が無ければ、或いはマスターに危機が訪れていなければ、人に危害を加えてはならないという枷によるものだった。
組織の人間は、不明愛砢人形1体の破壊は命じたものの、その所有者や関係者の殺害に関して何も言及しなかった。
これにより、γ1とλ3は、人を害することが出来なかったのだ。
カナタたちがいつも行く服飾店はグラスヒルにあり、【常設転移門】を潜れば直ぐの場所なのだが、今日はミューの気まぐれでミネルバの服飾店へと来ていた。
「グラスヒルもいいんだけど、同じ店ばかりだと服が偏るし、他のメンバーと被りがちなのよね」
しかし、ミネルバは南部辺境伯領の中でも田舎にあたる領地だった場所だ。
そこを割譲されたのだから、品揃えとしてはライジニアより劣るものと思われた。
辺境の中の辺境の店に、ミューのお眼鏡に適う服があるとも思えなかった。
もしかするとミューはミュー2とミュー3に差を付けたかったのかもしれない。
「何ここ、凄い」
そこは個人でデザインから縫製までやってのける個人服飾店だった。
そのデザインセンスは秀逸で、素晴らしいものばかりだった。
もしここにララがいたならば、服の量産と流通を一手に引き受ける契約を結ぼうとしただろう。
ミューの目論見は違う意味で裏切られた。
「どれも一点ものかしら?」
「むしろ3人とも被らなくて良かった」
「ああ、これもカワイイ」
三姉妹は思う存分買い物を楽しんだ。
その様子を見つめていたカナタもほっこりするのだった。
そんな中、リュゼットは自分たちを追跡する影を発見していた。
「面白い。またこの魔力反応か」
リュゼットはカナタの周囲に不思議な魔力反応の人物がいることに気付いていた。
騎士爵でもあるカナタの専属護衛のニクと、その姉妹と紹介された少女たち、それが3人増えたと思ったら、今日も2人増えていた。
そして、カナタが奴隷を雇った時の恒例である買い物に今来ている。
彼女たちの存在にはリュゼットも疑問を持っていた。
ニクの姉妹を出身地から呼んだにしては旅装もなく、まるで奴隷同然の所持品しか持ち合わせていなかった。
まるでその日突然に瞬間移動して来たかのように思えたのだ。
リュゼットが雇用主として選んだカナタは三英雄の一人ファーランド中央伯の息子であり、秘密の多い人物だった。
リュゼットは傭兵として雇われる手段として奴隷商に潜入するという方法を使っていた。
カナタを奴隷商で紹介された時、リュゼットはカナタを大層気に入った。
選ぶのはカナタの方なのだが、もしお眼鏡に適わない人物であれば、リュゼットは契約を拒否する権利を持っており、例え雇われた後でも隷属魔法を自ら破棄する能力があった。
彼女は実は竜人でありヒューマンに偽装していたため、そのような魔法は簡単に破れたのだ。
レベルも偽装しており、本来の強さは種族特性も合わさって尋常なものではなかった。
カナタは魔力反応が巨大だということもあるが、そこに呪いの影響を受けていた。
カナタを観察するため、雇われる事にしたリュゼットは、なるべくカナタに同行することを選んだ。
そのため、カナタと別行動となる採掘任務を拒否していたのだ。
だが、カナタは【転移】を使うことが出来、いつのまにか勝手に鉱山ダンジョンに行くなどリュゼットであっても振り回されてしまっていた。
カナタと行動を共にする中、ムンゾにて不思議な体験をした。
ニクと酷似した変わった魔力反応を持つ人物に襲撃されたのだ。
それは遠隔攻撃だったのだが、魔法ではなかった。
その威力は強力無比で、ニクが防御していなければ、カナタを失っていたかもしれなかった。
リュゼットは傭兵として主君を守れないところだったことに驚愕した。
そして、そのニクの防御も魔法ではないと気付いた。
ニクは襲撃者に対して全く同じ遠隔攻撃をして退けていた。
つまり、ニクと襲撃者は近しい人物であろうという推測が成り立った。
なぜ争っているのかは不明だが、次は遅れを取らないとリュゼットは誓っていた。
なので、同じ魔力反応を持つ新たな姉妹たちの存在にリュゼットは混乱していた。
同じような年齢層に多数の姉妹が存在する。
一族ということなのか、多産なのか、ヒューマンではないのではないかとリュゼットは推測していた。
その同じ魔力反応が自分達を追跡していた。
つまり、敵対する側の姉妹が現れたのではないかとリュゼットは判断していた。
「遠隔攻撃ならば、ここまで接近する必要はない。
つまり、もう一人いる?」
リュゼットは傭兵としての経験に裏付けられた勘でほぼ状況を正確に把握していた。
「となると、遠隔攻撃を警戒しなければならないな。
さすがに私でもあれは防げない」
リュゼットは、そう思考を巡らせると追跡者の存在を報告することに決めた。
「主君、つけられているぞ。
おそらくムンゾで襲って来て逃げたやつとその仲間だ」
「!」
カナタはその言葉に焦った。
ミューは簡易量産型であり、特化型の持つ特化した機能と比べれば性能で劣る。
ミューは全ての機能を備えた万能なことが特性だからだ。
あの長距離狙撃型の荷電粒子砲はニクと同等だった。
それを防げたのはニクの次元空間壁だったからで、ミューのものでは防げない可能性が高かった。
「ミュー、相手は荷電粒子砲を持っているやつらだ。
屋敷に戻るぞ!」
「狙撃型のλかしら。やっかいね。
私たちの次元空間壁では守れるのは1発までが限度ね」
「ミュー、知っているのか?
ならば、後を付けてくるのは誰かわかるか?」
リュゼットが質問するのと、ミュー三姉妹がカナタを取り囲んで周囲を警戒しだしたのは同時だった。
ミューは索敵機能を起動し周辺を探査した。
「反応が鈍い。
斥候も出来るけどηのような偵察特化型でないみたいね。
となると汎用量産型のιか指揮型のγかしら?」
ミューはカナタにだけ聞こえるような声で報告した。
しかし、それはリュゼットの種族特性で彼女の耳には届いていた。
そのことにミューも気付いた。
「強いのか?」
カナタがそう訊くとミューは、リュゼットたちに聞かれても良いのかという意味でちらりとリュゼットたちを見るとカナタに目配せをした。
カナタはそれに頷いて返すと先を促した。
「γならば武装は私たちより劣るけど、上位機なので基本性能は上ね。
ιは私達の前の世代の量産機で、私たちと同等の武装を機体ごとに装備しているので、機体によって武装がまちまちね。
まあ、私たち3体でかかれば問題ないわ。
むしろ、狙撃型のλに狙われている方が問題ね」
そう言いながらミューはカナタが遮蔽物に隠れられるように誘導を始めた。
「もしもう1体が指揮型のγならば、γの指示によって死角でも撃たれる可能性があるわ」
ミューはこの時、カナタを守ることを最優先にしており、自らへの危険は度外視していた。
もしもの時は体を張ってまでカナタを守るつもりだった。
しかしこの時、ターゲットとされているのはミューそのものだった。
γ1とλ3は、中途半端な命令により、カナタへ危害を加えることが出来なかったのだ。
これは愛砢人形の設計理念である、命令が無ければ、或いはマスターに危機が訪れていなければ、人に危害を加えてはならないという枷によるものだった。
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