父親が呪われているので家出してガチャ屋をすることにしました

北京犬(英)

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ウルティア国戦役編

177 カナタ、また鉱山ダンジョンに向かう

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 カナタは鉱山ダンジョンに入るためにグリーンバレーの拠点へと【常設転移門】を潜ってやって来た。
グリーンバレーの拠点の【常設転移門】は地下にあり、ミネルバとグラスヒルに繋がる二つの門が設置されている。
【常設転移門】から出たカナタ一行は、階段を登ると上階の一軒家のリビングへと続く扉をあけて部屋の中へと出た。

「ようこそ、グリーンバレーへ」

 いかにも冒険者という出で立ちの女性が地下室への扉を守るように立ち、登って来たカナタ一行を歓迎した。
ここグリーンバレーの【常設転移門】は、小さな一軒家に設置されているため、戦闘職の女性が常駐して守っているのだ。
ここには小さな一軒家と馬車の格納庫と厩しかなかった。
そこに王国機密指定の【常設転移門】があるため、外からの襲撃に備えて守る必要があったのだ。
まあ襲撃といっても、コソ泥か強盗程度が相手なので、腕の立つ戦闘職ならば一軒家の中までで事を済ませられるはずだった。

 女性の名前はヒルダといい、元冒険者だったが魔物により右脚を奪われてしまい、クエスト失敗の違約金支払いとハイポーションを手に入れる資金のために奴隷落ちしていた。
そこをヨーコによって雇われ、カナタが【フルリカバー】を使って治した経緯があった。

 カナタはスキルオーブにより未経験者であっても戦闘スキルを与えることが出来る。
そこにヨーコがパワーレベリングをかけると、そんじょそこらの魔物ぐらいは瞬殺できるレベルまで育てることが出来た。
しかし、対人戦闘や組織的な襲撃などから拠点を守るとなると、やはり元冒険者の積み重ねられた経験には一日の長が存在した。
そのため専属の衛兵としてヒルダを雇うことになったのだ。
一応所属はミネルバ領の騎士長であるラキスの下ということになる。

「また増えた……」

 ヒルダはカナタの後ろから次々に現れるニクに似た姉妹たちの数に驚きを隠せなかった。
ガンマ1、イプシロン、シータ、ラムダ3、ラムダ4、ミュー、ミュー2、ミュー3と9姉妹になっていたのだ。
しかも双子と三つ子がいるのだ。

「気にしなことだ」

 その呟きを聞いたラキスがヒルダの肩を叩いて慰めた。
それはラキスが通って来た道だった。
ラキスは増え続ける姉妹たちに、気にしたら負けと達観するようになっていたのだ。
しかも、カナタから愛砢人形ラブラドールの秘密を打ち明けられ、その理由に納得出来たのだが、それをヒルダに伝えられないのだからこう言うしかなかったのだ。

「馬車はある?」

 カナタが各拠点に設置した【常設転移門】は王国に売った馬車も通れる本格的な門とは違い、人が一人通れるほどの所謂どこで〇ドアタイプだった。
移動の馬車は拠点に常駐しているものを使うか、カナタが【転移】でクヮァごと獣車を持って来るしかなかった。

「ございます。
ちょうど1番隊と4番隊が使った馬車が戻って来たところです」

 ここの拠点には馬車が二台常駐していた。
それが鉱山ダンジョンとの間を行き来することで現在5番隊までが鉱山ダンジョンに潜っていた。
これにヨーコのパワーレベリング組が加わるので実際は6隊動いていることになる。
ここの拠点にはそれだけの人数を寝泊まりさせることが出来ないため、グラスヒルの拠点とガーディアの工房に宿舎が増築されていて、そこからかよって来ていた。
この拠点にはヒルダと御者2人が宿泊常駐するぐらいの余裕しかなく、他は休憩所程度の機能しか持っていなかった。
御者は馬の世話や馬車本体の整備員も兼ねているので、ここに泊る必要があった。
有事の際には御者が【常設転移門】を使って知らせれば、即戦力が他の拠点から応援に来る予定だった。

「馬車は御者を除いて6人乗りだよね?」

「はい」

 拠点はグリーンバレーの街にあるが、鉱山ダンジョンはそこから北へ移動した先にあるため、移動には馬車や獣車を使う必要があった。
カナタ一行は護衛のリュゼット、ラキスを含めて12人。

「丁度乗れる人数か。
いや、イプシロンの強化外装がもう一人分だった!」

 強化外装は鉄ゴーレムに変形できるため、馬車を引くことが出来る。
だが、ここの馬車は鉄ゴーレムが引けるようにはなっていなかった。

「そうだ。僕とラムダ3とラムダ4で1人分浮くはず」

 カナタは11歳だが、呪いによる成長阻害によって7歳児並みの体格しかない。
ラムダ型も狙撃の隠密性を優先するために12歳程度の子供の体格だった。
こうしてカナタ、ニク、リュゼット、イプシロン+強化外装、ラムダ3、ラムダ4で1台。
ラキス、ガンマ1、シータ、ミュー、ミュー2、ミュー3で1台に分乗することになった。
実はカナタの【転移】で鉱山ダンジョン前まで行けるのだが、今の時間は人が多く、目撃されると面倒なため馬車を使うことにしたのだ。

「それじゃあ、行ってくる」

「ちょっと待った!」

 カナタ一行が出発しようとした時、拠点のドアが勢い良く開くとヨーコが飛び出して来た。
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