父親が呪われているので家出してガチャ屋をすることにしました

北京犬(英)

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ウルティア国戦役編

196 ガンマ1、襲われる

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『確かに余計なことを口にしてしまったな。
ならば、お前らから制御核を取り出せば全て丸く収まるな』

 現場は遠目でしか見えないが、その様子を盗聴して聞いていたカナタは、ナンバー8の台詞に背筋が凍った。

『俺にも立場というものがあるのだよ。
組織に俺のミスだと報告されると困るんでね。
(制御核は)丁度2つだ。なに、お前らは任務を失敗していた。
め組のアホには嘘の報告の責任をとってもらうだけだ』

 ナンバー8はそう言うと急加速してガンマ1の懐に飛び込んで来た。
その速度は人では成し得ないものだった。

『くっ!』

 ナンバー8のその行動はガンマ1の虚を突いていた。
ガンマ1は組織が愛砢人形ラブラドールを連れて来ていなかったことで油断していた。
まさかナンバー8自身がこのような戦闘力を持っているとは想像していなかったのだ。

「ニク! 援護だ!」

「駄目。混戦に持ち込まれた」

 ここで荷電粒子砲を撃ち込めば、ガンマ1たちも巻き込んでしまいかねなかった。
ニクは撃ちたくても撃てなかったのだ。

「隠密行動解除。
ガンマ1たちの救援に向かう。
シータ、ガンマ1とラムダ3に反撃許可を!」

 カナタの命令に全員が動き出した。
ニクは背中から翼を広げると飛行ユニットで飛び立った。
ゼータ5はカナタの前に出ると、援護のための次元空間壁を展開し、丘へと走った。

『ガンマ1、ラムダ3、マスターより反撃許可。
もう芝居はいらない』

 シータは通信機でガンマ1とラムダ3に呼びかけた。
彼女たちは今も組織の支配下にあるという芝居をうっているため、組織に逆らうような行動を控えている。
それが枷となって反撃出来ないのでは、不測の事態が起きかねなかった。
ナンバー8はガンマ1たちを殺しに来ている。
制御核を取り出すとはそういうことだ。

 イータはもしもの時のために直ぐにでも治療できるようにとゼータ5を追いかけた。

「シータ、僕はガーディアに戻ってミューたちを連れて来る。
圧倒的に戦力が足りない!」

 カナタはミューたちを連れて来なかったことを後悔していた。
まさか謎の組織がここまで短絡的な行動に出るとは思っていなかったのだ。
そのため、戦闘向きのイプシロンやミューたちを置いて来てしまっていたのだ。
カナタは直ぐに【転移】でガーディアの工房へと戻った。

「ミュー! どこ?」

 しかし、ガーディアの工房にはミューたちの姿はなかった。
カナタはミューたちに行動の自由を与えている。
そのため、彼女たちが好きに買い物に出かけるなど当たり前だったのだ。

「ミューさんたちなら、だいぶ前に出かけましたよ?」

 工房責任者のゴンゾの孫であるリリムが丁度通りかかり、ミューたちの不在を知らせてくれた。

「イプシロンも?」

「たぶん一緒のはずですね」

 カナタは作戦中の待機命令を出していなかった己のミスを呪った。
残存戦力が外出でゼロだったのだ。

「ナンバー8の動き、あれは普通じゃない」

 遠目で観察していただけだが、ナンバー8の動きは尋常ではなかった。
生身のリュゼットとラキスでは、おそらく対抗できないだろう。
かと言って、今からミューたちを探すのでは時間がない。

「あ!」

 カナタは山吹色のゴーレムオーブがまだ手元にあったことを思い出した。
これを開ければ新たな愛砢人形ラブラドールを得ることが出来る。
もうミューが十何人いると困るなどとは言ってられる状況ではなかった。

「とりあえず5個も開ければ圧倒出来るだろう」

 カナタは山吹色のゴーレムオーブを5個同時に開いた。
眩い黄金の光のエフェクトが発生し空中にメッセージが表示された。


Nアイテム 肉ゴーレム
      ゴーレムの中では最下層に位置するゴーレム
      戦闘力も労働力も低く囮にしかならないと言われている

HNアイテム 鉄ゴーレム
       ゴーレムの中では中位に位置するゴーレム
       戦闘力も労働力もそこそこ高く、人の代わりとして使役されることが多い

URアイテム キューブその3
       遺跡から出土すると言われている謎のキューブ
       使い道が判明していないため珍品の置物オブジェとして扱われることが多い

Nアイテム 肉ゴーレム
      ゴーレムの中では最下層に位置するゴーレム
      戦闘力も労働力も低く囮にしかならないと言われている

Nアイテム 肉ゴーレム
      ゴーレムの中では最下層に位置するゴーレム
      戦闘力も労働力も低く囮にしかならないと言われている


「ああ、しまった。
5連ガチャの恩恵と幸運値のせいで上位のアイテムが出てしまっている!」

 しかし、カナタには時間がなかった。
カナタは【フルリカバー】を肉ゴーレムと鉄ゴーレムにかけた。
するとそこには3人の愛砢人形ラブラドールと1体の強化外装鉄ゴーレムが立っていた。

「所有権登録が完了いたしました。
Δデルタは、マスターの指揮下に入ります」

「所有権登録が完了いたしました。
ιイオタは、マスターの指揮下に入ります」

「所有権登録が完了いたしました。
νニューは、マスターの指揮下に入ります」

 デルタは黒髪ポニーテールのスレンダー美女で、ニクより釣り目で勝気な感じだ。
イオタは茶髪ショートのボーイッシュな感じで、身長も160cmぐらいで少年を思わせる。
ニューは銀髪ボブの中学生のような体形で、眼鏡っ子だ。

「ごめん、急ぐので直ぐこにれを着て」

 カナタはこのような時のために用意してあった衣服と靴一式を彼女たちの体形に合わせて見繕い【ロッカー】から取り出した。
愛砢人形ラブラドールは毎度の事ながら肉ゴーレムの時から全裸なのだ。

「はい、マスター」
「「はい……」」

 デルタ、イオタ、ニューはカナタの指示に従い速やかに衣服を着用した。
相変わらず下着はエッチなやつしか持っていないため、イオタとニューにはドン引きされていた。

「着たね?
それじゃあ早速で悪いけど、現在【転移】先で戦闘状態にある。
君たちにはその増援として行ってもらう。
スタンバイしておいて欲しい」

「「「了解しました」」」

「マスター、私に、その強化外装をください」

「これ? いいよ?」

 カナタは解っていなかったが許可を出した。
それはデルタの強化外装(飛行型)だったのだ。
デルタはイプシロンと同じ強化外装を必要とする愛砢人形ラブラドールなのだ。
その特性は航空攻撃能力。
試作段階に産まれた特殊な機体だった。

「それじゃあ、皆、行くよ!」

 カナタは増援のデルタ、イオタ、ニューを連れてカルカイムの街に【転移】するのだった。
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