197 / 204
ウルティア国戦役編
197 ガンマ1、倒れる
しおりを挟む
ナンバー8が急加速して自分に向かって来たことに対し、ガンマ1は咄嗟の行動に移れなかった。
彼女には、組織から離反していることを隠し、組織の内情を探るという任務があったからだ。
だが、新たなマスターであるカナタからは、自らを守るように、自分の意志で自由に行動するようにという大原則を命じられていた。
この場合優先するべきは自らを守る事、そうガンマ1は判断し実行に移そうとした。
「くっ!」
しかし、その判断の遅れをナンバー8は見逃してくれなかった。
ナンバー8の加速力は人のそれを凌駕しており、その一瞬すら致命的だったのだ。
ガンマ1の腹にはナンバー8が手にした長剣が突き刺さっており、それに対処する暇もなく、長剣は横に振り抜かれていた。
「がっ!」
ガンマ1は腹部どころか背骨を両断されて地に伏した。
愛砢人形の防御力は人の肉体に身体強化をかけた程度のものだ。
骨格はオリハルコンでコーティングされているのだが、それすら両断する膂力をナンバー8は持っていた。
相手が愛砢人形ならばいざ知らず、ただの長剣でそれを行うことは人では成し得ないはずだった。
『ガンマ1、ラムダ3、マスターより反撃許可。
もう芝居はいらない』
その時、シータからマスターの命令が届いた。
ガンマ1は、体を行動不能にされたが、頭は未だ健在だ。
指揮専用機として、最後の指示を出すことにした。
「ラムダ3、気を付けて!
こいつは私たちの力を手にしているわ!」
ナンバー8は、砢システムを取り込んだ強化人間だった。
謎の組織は、愛砢人形の製造技術の一部を手に入れ悪用していたのだ。
その技術の集大成ともいえる存在がナンバー8だった。
ラムダ3はガンマ1の指示にどう動くべきか戸惑ってしまった。
逃げるにしてもガンマ1を置いていくわけにはいかないし、元々防御力の低い狙撃型なため、近接戦闘には向いていなかった。
「ラムダ3、逃げるのよ!」
ガンマ1の叫びに、ラムダ3は弾けるように反応した。
その反射的な行動がナンバー8の攻撃をしのぐ結果となったのは、まさに偶然のことだった。
「マスターと合流し、反撃に備えるの……」
それがガンマ1の発した最後の声だった。
「ガンマ1!」
ラムダ3は涙をぬぐって逃走に集中した。
「逃がすかよ! おい、止まれ!」
ナンバー8は強制力のある命令を発した。
しかし、ラムダ3は、その命令を無視して逃げに入った。
「おい、マジかよ!」
迫るナンバー8、その速度はどうやら高速移動用加速装置を持っているようだ。
その距離は直ぐに詰められてしまう。
しかし、そこは隠密行動を得意とするラムダ型、認識阻害をかけてナンバー8の目から姿を隠した。
「(ガンマ1,待ってて。アルファ姉さまたちと直ぐに救援に戻るからね)」
ラムダ3の姿は草原に消えて行った。
「ちっ! やっかいな」
ナンバー8は、ガンマ1とラムダ3が組織から離反していることに気が付いた。
彼女たちが自分の命令に背く行動をとったからだ。
「(なぜ、頸木から逃れられた? いったい何処のどいつの手引きだ?
まさか、あの破壊命令を出した人形の主人か!)」
ナンバー8はカナタの存在に薄々勘付いていた。
だが、その思考は強化人間とされた影響で直ぐに濁って行った。
これこそが、ナンバー8をポンコツにしていた原因だったのだ。
「ちくしょう! 制御核が2つないと、俺が怒られるだろうが!」
二兎を追う者は一兎をも得ず、ナンバー8は判断を誤った。
ナンバー8はガンマ1の回収を忘れてラムダ3を躍起になって探し始めた。
その時、轟音が空を駆け抜けると同時に、ナンバー8に向けて荷電粒子砲が撃ち込まれた。
「ぐがっ!」
咄嗟に避けたナンバー8だったが、その右腕から右脚に荷電粒子砲が掠り、自らの体重を支えられなくなってその場に頽れた。
加速装置のおかげで避けられなかったら、頭から全身を撃ち抜かれていたところだろう。
それを行ったのは飛行ユニットで飛んで来たニクだった。
ニクはナンバー8がガンマ1とラムダ3に接近しすぎていたため、真上からの狙撃を決行したのだ。
真上からならば味方に当たることはないという判断だ。
「ちくしょう! このままじゃ……。
『緊急招集だ! 俺の人形ども、ここに集まれ!』」
ナンバー8は組織の愛砢人形に通信機で招集をかけた。
呼ばれたのは即応部隊として組織されたナンバー8の直轄部隊だった。
彼らには特殊な魔導具が与えられており、ナンバー8を起点としていつでもどこへでも転移が可能だった。
彼女には、組織から離反していることを隠し、組織の内情を探るという任務があったからだ。
だが、新たなマスターであるカナタからは、自らを守るように、自分の意志で自由に行動するようにという大原則を命じられていた。
この場合優先するべきは自らを守る事、そうガンマ1は判断し実行に移そうとした。
「くっ!」
しかし、その判断の遅れをナンバー8は見逃してくれなかった。
ナンバー8の加速力は人のそれを凌駕しており、その一瞬すら致命的だったのだ。
ガンマ1の腹にはナンバー8が手にした長剣が突き刺さっており、それに対処する暇もなく、長剣は横に振り抜かれていた。
「がっ!」
ガンマ1は腹部どころか背骨を両断されて地に伏した。
愛砢人形の防御力は人の肉体に身体強化をかけた程度のものだ。
骨格はオリハルコンでコーティングされているのだが、それすら両断する膂力をナンバー8は持っていた。
相手が愛砢人形ならばいざ知らず、ただの長剣でそれを行うことは人では成し得ないはずだった。
『ガンマ1、ラムダ3、マスターより反撃許可。
もう芝居はいらない』
その時、シータからマスターの命令が届いた。
ガンマ1は、体を行動不能にされたが、頭は未だ健在だ。
指揮専用機として、最後の指示を出すことにした。
「ラムダ3、気を付けて!
こいつは私たちの力を手にしているわ!」
ナンバー8は、砢システムを取り込んだ強化人間だった。
謎の組織は、愛砢人形の製造技術の一部を手に入れ悪用していたのだ。
その技術の集大成ともいえる存在がナンバー8だった。
ラムダ3はガンマ1の指示にどう動くべきか戸惑ってしまった。
逃げるにしてもガンマ1を置いていくわけにはいかないし、元々防御力の低い狙撃型なため、近接戦闘には向いていなかった。
「ラムダ3、逃げるのよ!」
ガンマ1の叫びに、ラムダ3は弾けるように反応した。
その反射的な行動がナンバー8の攻撃をしのぐ結果となったのは、まさに偶然のことだった。
「マスターと合流し、反撃に備えるの……」
それがガンマ1の発した最後の声だった。
「ガンマ1!」
ラムダ3は涙をぬぐって逃走に集中した。
「逃がすかよ! おい、止まれ!」
ナンバー8は強制力のある命令を発した。
しかし、ラムダ3は、その命令を無視して逃げに入った。
「おい、マジかよ!」
迫るナンバー8、その速度はどうやら高速移動用加速装置を持っているようだ。
その距離は直ぐに詰められてしまう。
しかし、そこは隠密行動を得意とするラムダ型、認識阻害をかけてナンバー8の目から姿を隠した。
「(ガンマ1,待ってて。アルファ姉さまたちと直ぐに救援に戻るからね)」
ラムダ3の姿は草原に消えて行った。
「ちっ! やっかいな」
ナンバー8は、ガンマ1とラムダ3が組織から離反していることに気が付いた。
彼女たちが自分の命令に背く行動をとったからだ。
「(なぜ、頸木から逃れられた? いったい何処のどいつの手引きだ?
まさか、あの破壊命令を出した人形の主人か!)」
ナンバー8はカナタの存在に薄々勘付いていた。
だが、その思考は強化人間とされた影響で直ぐに濁って行った。
これこそが、ナンバー8をポンコツにしていた原因だったのだ。
「ちくしょう! 制御核が2つないと、俺が怒られるだろうが!」
二兎を追う者は一兎をも得ず、ナンバー8は判断を誤った。
ナンバー8はガンマ1の回収を忘れてラムダ3を躍起になって探し始めた。
その時、轟音が空を駆け抜けると同時に、ナンバー8に向けて荷電粒子砲が撃ち込まれた。
「ぐがっ!」
咄嗟に避けたナンバー8だったが、その右腕から右脚に荷電粒子砲が掠り、自らの体重を支えられなくなってその場に頽れた。
加速装置のおかげで避けられなかったら、頭から全身を撃ち抜かれていたところだろう。
それを行ったのは飛行ユニットで飛んで来たニクだった。
ニクはナンバー8がガンマ1とラムダ3に接近しすぎていたため、真上からの狙撃を決行したのだ。
真上からならば味方に当たることはないという判断だ。
「ちくしょう! このままじゃ……。
『緊急招集だ! 俺の人形ども、ここに集まれ!』」
ナンバー8は組織の愛砢人形に通信機で招集をかけた。
呼ばれたのは即応部隊として組織されたナンバー8の直轄部隊だった。
彼らには特殊な魔導具が与えられており、ナンバー8を起点としていつでもどこへでも転移が可能だった。
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる