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鍵垢
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私は鍵垢を持っている。珍しい話ではない。SNSを嗜む大半の人類が鍵垢を持っているのではないか。それで鍵垢に何を書き込むのかというと、自分が生活する上で抱くネガティブなことすべて。やれクラスメイトの誰々は見た目と外面だけは良い性格ブスだとか、やれあの芸能人はどう考えても整形だとか、やれ無神経な親なんて早く死んでしまえばいいのにとか。そういう表に出せないことを吐き出す掃き溜め。それが鍵垢。何も変なことではない。誰でもそうだろう。誰でもそうだろうと思うから、私はたまに怖くなる。
鍵垢にぐちぐちと負の感情を吐露しているとき、それをしているのが自分だけではないのだろうと頭の片隅で考えたとき、私は何か入り込んではいけないほの暗いところに、頭からつっこんでしまっているような気分になる。この世界にはたくさんの鍵垢があって、世界中の人間たちがそこに自分と同じくマイナスの何かを吐き出し続けている。何百、何千、何万、何億、いや何兆というおどろおどろしい人間の暗黒が、鍵垢という閉鎖的なものに仕切られて、それでもなおネットという宇宙空間のようなだだっ広い概念の中に放り出されている。そう思うたび、私は得体の知れない恐怖で身が縮こまるような感覚になるのだ。
それでも私は鍵垢を消さない。鍵垢に今日も誰かの悪口や自虐めいた愚痴を書きなぐり続ける。どこまで続くのかわからないそれに恐怖しながら、どうしようもなくどこまでも続けてしまう。どこまでも、いつまでも、私はパソコンに向かってキーボードをただ叩く。
鍵垢にぐちぐちと負の感情を吐露しているとき、それをしているのが自分だけではないのだろうと頭の片隅で考えたとき、私は何か入り込んではいけないほの暗いところに、頭からつっこんでしまっているような気分になる。この世界にはたくさんの鍵垢があって、世界中の人間たちがそこに自分と同じくマイナスの何かを吐き出し続けている。何百、何千、何万、何億、いや何兆というおどろおどろしい人間の暗黒が、鍵垢という閉鎖的なものに仕切られて、それでもなおネットという宇宙空間のようなだだっ広い概念の中に放り出されている。そう思うたび、私は得体の知れない恐怖で身が縮こまるような感覚になるのだ。
それでも私は鍵垢を消さない。鍵垢に今日も誰かの悪口や自虐めいた愚痴を書きなぐり続ける。どこまで続くのかわからないそれに恐怖しながら、どうしようもなくどこまでも続けてしまう。どこまでも、いつまでも、私はパソコンに向かってキーボードをただ叩く。
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