最強聖女は追放されたので冒険者になります。なおパーティーメンバーは全員同じような境遇の各国の元最強聖女となった模様。

山外大河

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一章 聖女さん、追放されたので冒険者を始めます。

23 聖女さん達、圧倒。

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 基本的に魔術師は、自身の属性にあった魔術しか使用できない。
 そして私に適性のある属性は風属性と聖属性。その二つ。
 ……まあ魔術研究の成果で、その気になれば全属性の魔術も普通に使えるんだけど……それでも、あえてそういう技術を使わなければならない状況ではないのなら。

 ……得意な力を全力でぶつけに行く。

 次の瞬間、私の掌に風を圧縮させた球体が出現する。
 風属性魔法。
 膨大な風を魔術を使って作り出し、それを極一点に圧縮させる。
 その結果。

 これを……魔物の群に射出する!

 そして、魔物の群に届くまで掛かった時間はほんの一瞬。
 その一瞬の後、群れの中心で突如暴発した球体が周囲に爆風をまき散らし、魔物の群を四方八方へと弾き飛ばしていく。
 ……と、認識した瞬間。

「うわ……ッ!」

 そこから少し離れた所で太く大きな火柱が上がる。

「よっしゃ決まった!」

 隣でステラが撃ち込んだのは何やら炎属性の魔術だったらしい……ってちょっと待って。

「な、なんか凄い事になったね」

「な、なったなー」

 私の巻き起こした爆風とステラの火柱がうまい事重なって炎を纏った爆風というか、超強力な火災旋風というか……そういうのが予想以上に魔物の群を蹂躙している。
 その片棒担ってるの私だけど、すっごいえげつない光景。
 ……三つ合わせてこの世の終わりみたいだ。

 ……と、思ったら次の瞬間、追い打ちをかけるように魔物の群に数本の巨大な落雷が降り注ぐ。
 当然自然に起きた事じゃない。

「き、決まりました!」

 ……シルヴィだ。
 いや、うん……それも凄い威力。
 私達のと相まって、本当に地獄絵図だ……。

 ……これは私達、私達以外の誰かが居る時気軽に魔術ぶっ放せないや。
 ……まあ今此処には私達しかいない訳で、気にする必要はないけど……後でそういう話もしておいた方がいいかも。
 まあ、本当に後での話で、今考える事じゃない。

「お、数体抜けてきたな」

「逆にあれだけ居て数体しか残んないんだ……何となく分かっていたけど、かなり楽々に事が進んでいくね」

「それでどうします? 残りも魔術でぶっ飛ばしますか?」

「いや、それは止めといた方が良いかな。このまま三人好き放題打ち込むと、よく分からない反応起こして私達に被害が及ぶかも」

「確かに……そうだな」

「あの地獄絵図を見てるとその方がよさそうですね……」

 普通の魔術ならともかく私と同等の力を持った二人の魔術だし、巻き込まれたら普通に危ない気がする。
 ……で、そうなればやる事は一つ。

「じゃあぶん殴る感じでいいか!」

「うん、それでいこう。それに魔術が馬鹿強いのはもう見たけど、近接の動きとかは見てないから。今後の連携の為にもそうした方がよさそう」

「じゃあそういう感じで行きましょう」

 そう言いながらシルヴィは魔術を発動させる。
 直感で理解できる……聖属性の魔術。

 そうして産み出されたのは……棒状の結界。

「準備完了です!」

 あ、シルヴィのぶん殴るって、鈍器でぶん殴るって事だったんだ。
 うん、あんまり拳でぶん殴るイメージ沸かないからねシルヴィからは。
 いや、鈍器も大概だけども。

 そしてステラは。

「よし! 何処からでも掛かってこい!」

 その場で拳を握りしめて軽くジャブを打っていた。
 うん、拳で殴る感じだね。
 使ってる魔術が炎属性なのも含めて、すんごくイメージ通りだよ……ジャブのキレすっご。
 ……うん、純粋な殴り合いになったら絶対勝てないわ。しないけど。

 ……で、私のスタイルもステラと同じだ。
 近づいて拳で殴る。
 あとついでに蹴りも叩き込む。
 うん、ステラ程のキレはないかもしれないけど……まあ、魔物相手には十分でしょ。

 ……さて。

「じゃあ残り、一気に片付けよう!」

「おう!」

「はい!」

 そして私達は魔物を相手に真正面から、拳と鈍器で迎え撃つ事にした。
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