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一章 聖女さん、追放されたので冒険者を始めます。
52 聖女さん達、核心へと一歩近付く
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そして各国の王様に呆れるように深いため息を付いた後言う。
「……悪かったな。お前の履歴書に虚偽だろとか言って」
「あ、いや、正直ボクも立場逆なら嘘だって思うし、そもそもそんな得体のしれない奴を雇ってくれてた訳っすから……」
……確かに履歴書にそんな事書いて来る子をよく雇ったよね。
普通はふざけてると思うだろうし。
「ま、詳細は分からなくても、何か事情有りそうな感じなのは分かったからな。突っぱねる訳にはいかねえだろ。実際突っぱねなくて良かったとは思ってる。今回みたいなやらかしはあったものの真面目だしなお前」
「あ、ど、どうもっす……」
「だからまあ、やれるだけの事はやってみる……今日このお三方が無事帰ってきたおかげで上と話する材料を得た訳だしな。色々ルール無視したのは大問題だが、それでもお前の見立ては本物だった。それで最悪な結果にならねえように頑張ってみる」
「あ、あざっす!」
そう言ってシズクは頭を下げる。
……やっぱり相当シズクの立場は危ういらしい。
幸いなのはクライドさんが一応シズクの味方になってくれているって所だろうか。
というか私達が帰ってきたおかげでどうにかなるかもみたいな事を言ってるけど、そもそも私達が依頼に出たからこうなってるんだよね。
「えーっと、なんか本当にごめんね」
「い、色々と迷惑かける形になってしまってすみません。」
「いや、こういう依頼を受けようって話になったそもそもの原因は俺なんだよ。だから此処で謝らねえといけねえのは俺だ。ほんと悪い!」
流石にそう私達は謝ったけど、シズクはどこか涼しい顔をして言う。
「ああいや、ボクが100パーセント悪いっすよ。ボクが通したい我を通した結果がこれなんで……後悔はしてないっす」
その言葉はとても真っすぐで、嘘を吐いている様には思えない。
……だから凄い罪悪感が沸いて来るんだよね。
本当にごめん。
「まあとにかく部長、すみませんが頼むっすよ。私の命運部長に掛かってるんすから……えーっと、結果的に三人共大活躍みたいだったんで、ワンチャンお咎めなしって感じにならないっすかね」
「ワンチャン謹慎処分って所だな。冗談抜きで。俺の仕事はクビを阻止した上で少しでも謹慎期間が短くなるよう必死に頭下げる事になる。お咎めなしは流石に高望みし過ぎだ」
「そ、そうっすよね……」
無茶苦茶ショックを受けてる……あの、やっぱり後悔してるんじゃないかな?
……まあそれをシズクが望むかは分からないけど、最悪な場合パーティーに誘ってみよう。
シズクなら全然ウェルカムだし……まあそうならないに越した事は無いんだけど。
……というかそもそも、何でシズクは冒険者ギルドの受付嬢をやってたのかな?
シンプルに冒険者をやった方がうまく稼げる気もするし……と思ったけど、同じ疑問をステラにも抱いて納得しているから、もうそこまで違和感は感じなかった。
分からないけど、多分とても真っ当な理由なんだと思うよ。
「……しかしあなた方が聖女となると、一つ気になる事が有りますね」
今度は明確に私達に言葉を向けている為か、また敬語に戻るクライドさん。
なんかこう……口調コロコロ変えられるとやりにくいよ。
喋りにくい!
「あの、気になる事云々の前に、ちょっと口調統一して貰っていい? 正直別にタメ口でも良いから」
「いや、でもお客様の相手をしているんですよ?」
「そのお客様の頼みって事で此処はどうか……」
「あ、ああ分かった。じゃあこっちに合わせる。正直俺もさっきから喋り方ぐちゃぐちゃで嫌になってたんだよ。不快だったら敬語使うからその時は言ってくれよな」
そう言って風貌的にも違和感が無くなったクライドさんに聞く。
「それで……気になる事って?」
「ああ。単純にドラゴンボコれる聖女を相手にしていた黒装束の連中は一体何者なんだって話だよ」
そうして一拍空けてからクライドさんは言う。
「まさか相手も聖女……なんて事は無いよな」
「……」
さっきの話でクライドさんには、黒装束の二人組と戦って逃げられたという話しかしていなくて、具体的な戦闘内容にまで触れてはいない。
色々と不確定な情報が多かったのと、説明の進行の都合上話に組み込めなかったから。
だから女の子の方が私達と同じような強さの力を持っているという事も、男の方が聖女の加護という奴で強くなっている事を知らない。
だからそのまさかが冗談じゃない可能性が高い事をグライドさんは知らない。
「多分そのまさか。言動からもそうかもしれないって思えたし、女の子の方からは私達と同じ感じがした」
「……つまりソイツも聖女だとしたら同時期に五人。二人三人四人どころか一人でも異常な事を五人……か」
そう呟いて少し考えるように間を空けてからグライドさんは言う。
「別に……此処に居る四人を疑っている訳じゃねえ。実際そういうアホみたいな理由にしか見えなかったんだろうよ……だけど、本質はそこだったのか?」
「本質? えーっと、どういう事?」
私が聞くとクライドさんは始める。
「そんなアホでちんけな色恋沙汰とかじゃなくて……もっと大きな問題が起きてるんじゃねえかって話だ……それこそ各国のトップにまで影響を及ぼす世界的な何かがな」
私達が聖女追放ブームとか言って立ち止まっていた、その先の話を。
「……悪かったな。お前の履歴書に虚偽だろとか言って」
「あ、いや、正直ボクも立場逆なら嘘だって思うし、そもそもそんな得体のしれない奴を雇ってくれてた訳っすから……」
……確かに履歴書にそんな事書いて来る子をよく雇ったよね。
普通はふざけてると思うだろうし。
「ま、詳細は分からなくても、何か事情有りそうな感じなのは分かったからな。突っぱねる訳にはいかねえだろ。実際突っぱねなくて良かったとは思ってる。今回みたいなやらかしはあったものの真面目だしなお前」
「あ、ど、どうもっす……」
「だからまあ、やれるだけの事はやってみる……今日このお三方が無事帰ってきたおかげで上と話する材料を得た訳だしな。色々ルール無視したのは大問題だが、それでもお前の見立ては本物だった。それで最悪な結果にならねえように頑張ってみる」
「あ、あざっす!」
そう言ってシズクは頭を下げる。
……やっぱり相当シズクの立場は危ういらしい。
幸いなのはクライドさんが一応シズクの味方になってくれているって所だろうか。
というか私達が帰ってきたおかげでどうにかなるかもみたいな事を言ってるけど、そもそも私達が依頼に出たからこうなってるんだよね。
「えーっと、なんか本当にごめんね」
「い、色々と迷惑かける形になってしまってすみません。」
「いや、こういう依頼を受けようって話になったそもそもの原因は俺なんだよ。だから此処で謝らねえといけねえのは俺だ。ほんと悪い!」
流石にそう私達は謝ったけど、シズクはどこか涼しい顔をして言う。
「ああいや、ボクが100パーセント悪いっすよ。ボクが通したい我を通した結果がこれなんで……後悔はしてないっす」
その言葉はとても真っすぐで、嘘を吐いている様には思えない。
……だから凄い罪悪感が沸いて来るんだよね。
本当にごめん。
「まあとにかく部長、すみませんが頼むっすよ。私の命運部長に掛かってるんすから……えーっと、結果的に三人共大活躍みたいだったんで、ワンチャンお咎めなしって感じにならないっすかね」
「ワンチャン謹慎処分って所だな。冗談抜きで。俺の仕事はクビを阻止した上で少しでも謹慎期間が短くなるよう必死に頭下げる事になる。お咎めなしは流石に高望みし過ぎだ」
「そ、そうっすよね……」
無茶苦茶ショックを受けてる……あの、やっぱり後悔してるんじゃないかな?
……まあそれをシズクが望むかは分からないけど、最悪な場合パーティーに誘ってみよう。
シズクなら全然ウェルカムだし……まあそうならないに越した事は無いんだけど。
……というかそもそも、何でシズクは冒険者ギルドの受付嬢をやってたのかな?
シンプルに冒険者をやった方がうまく稼げる気もするし……と思ったけど、同じ疑問をステラにも抱いて納得しているから、もうそこまで違和感は感じなかった。
分からないけど、多分とても真っ当な理由なんだと思うよ。
「……しかしあなた方が聖女となると、一つ気になる事が有りますね」
今度は明確に私達に言葉を向けている為か、また敬語に戻るクライドさん。
なんかこう……口調コロコロ変えられるとやりにくいよ。
喋りにくい!
「あの、気になる事云々の前に、ちょっと口調統一して貰っていい? 正直別にタメ口でも良いから」
「いや、でもお客様の相手をしているんですよ?」
「そのお客様の頼みって事で此処はどうか……」
「あ、ああ分かった。じゃあこっちに合わせる。正直俺もさっきから喋り方ぐちゃぐちゃで嫌になってたんだよ。不快だったら敬語使うからその時は言ってくれよな」
そう言って風貌的にも違和感が無くなったクライドさんに聞く。
「それで……気になる事って?」
「ああ。単純にドラゴンボコれる聖女を相手にしていた黒装束の連中は一体何者なんだって話だよ」
そうして一拍空けてからクライドさんは言う。
「まさか相手も聖女……なんて事は無いよな」
「……」
さっきの話でクライドさんには、黒装束の二人組と戦って逃げられたという話しかしていなくて、具体的な戦闘内容にまで触れてはいない。
色々と不確定な情報が多かったのと、説明の進行の都合上話に組み込めなかったから。
だから女の子の方が私達と同じような強さの力を持っているという事も、男の方が聖女の加護という奴で強くなっている事を知らない。
だからそのまさかが冗談じゃない可能性が高い事をグライドさんは知らない。
「多分そのまさか。言動からもそうかもしれないって思えたし、女の子の方からは私達と同じ感じがした」
「……つまりソイツも聖女だとしたら同時期に五人。二人三人四人どころか一人でも異常な事を五人……か」
そう呟いて少し考えるように間を空けてからグライドさんは言う。
「別に……此処に居る四人を疑っている訳じゃねえ。実際そういうアホみたいな理由にしか見えなかったんだろうよ……だけど、本質はそこだったのか?」
「本質? えーっと、どういう事?」
私が聞くとクライドさんは始める。
「そんなアホでちんけな色恋沙汰とかじゃなくて……もっと大きな問題が起きてるんじゃねえかって話だ……それこそ各国のトップにまで影響を及ぼす世界的な何かがな」
私達が聖女追放ブームとか言って立ち止まっていた、その先の話を。
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