92 / 280
二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。
12 聖女さん、情報の擦り合わせ
しおりを挟む
「まず私達は四人共、元居た国で理不尽な理由で聖女をクビになっている。理由は全員同じで身に覚えのないミスを指摘されまくった。それが原因で国外追放って感じ。ちなみにどこの国ももれなく新しい聖女としてエロいお姉さんが用意されてた」
こっちは別に身バレとか別にどうでも良い感じだからそう話すと、男は少し考えるように口元に手を運んでから言う。
「理不尽な理由で四人共……それも新しい聖女の用意もされている、か。それが全員被ったのだとすれば流石に偶然とは思えんな……ってちょっと待て。四人? お前らは三人組ではないのか!?」
「あれから一人増えた」
「……マジか」
「マジで」
「……思った以上に深刻な事態だなこれは」
男は軽くため息を付いた後言う。
「もう既に感づいているとは思うが、これにはまず間違いなく裏で手を引いている誰かがいる」
「そうだね。私達も四人目が出てきた時点でそういう話をしてた」
「いや、二人目か三人目でそういう話をしなかったのか?」
「……」
「……しなかったんだな、少なくとも俺達と戦っている段階では。お前らもしや少し天然か? 普通三人どころか二人も居た時点で……」
「あーもう! いいでしょそんな事! で、アンタはその裏で手を引いている誰かに心当たりはあるの? もし知ってるなら教えて欲しいんだけど」
あの山で何が行われていたのかが分からなくても、それが分かれば大収穫。
寧ろ私達の今後の事を考えれば、まず第一に知るべきなのはその事な訳で。
寧ろそれを知る為にあそこで何が行われていたのかを知りたかった部分もあって。
……さあどうだろう。心当たりはあるのかな?
「ある」
「あるの!?」
本当にあったよ!
「まああくまで心当たりで、不確定で曖昧な情報ではあるがな」
それでもいい!
流石に少しテンションが上がる。
私達が追放された理由というか、その裏側で起きてる事。
その答えを知る事ができるかもしれないと思うと、そりゃそんな声も出るよ。
だけどテンションが上がっているのは私だけで。
その誰かについて触れ始めてから、男の表情は暗く重い。
そしてそんな表情を浮かべたまま言う。
「恐らく……俺達の国を乗っ取った連中の仕業だ」
「国を……乗っ取る?」
なんだか突然スケールの大きな話をしてきて思わずそう復唱すると、男は小さく頷いて言う。
「ああ。俺達の国は何者かによって乗っ取られた。到底理解できない経緯で発生したクーデター。それを誘発させた奴らが居る」
「ちょっと待って。ストップストップ」
男の言葉を制止させて言う。
「なんか色々言いたい事はあるけど、まずさっき身元が割れるから何処の国かは言えないみたいな話してたよね? それ言っちゃったら身元特定できちゃうんじゃないの?」
最近クーレターが起きた国の聖女……いや、クーデターが起きて此処にコイツらが居るんなら、まず間違いなく元聖女って所かな。
とにかくその情報を出せば最低限どこの国の聖女だったのか。
あの子の身元が露呈してしまうんじゃないかな。
今は分からないけど、調べれば世界情勢位簡単に情報入ってくるだろうし。
だけど男は言う。
「正直避けたいが特定されるだろうな。ここ最近でクーデターが発生した国などウチの国しかない……筈だ。つまり俺はこれまで隠し通してきた機密情報をお前に話している事になる。正直今後の事を考えるとそれは避けたかった」
「ならなんでそんな事……」
「自分達の国で起きている問題だと思っていた事が、それを通り越してこの世界で起きている問題だったからだ」
そして一拍あけてから、真剣な声音で男は言う。
「これまで自分の属する国を救う為に動いてきた。だが同じ問題で危機に瀕しているのが自国だけでなく他国も。それも一国二国の話ではなくより大きな世界規模の問題なのだとすれば……果たして自国以外を切り捨てるのが正解だろうか? 俺はそうは思わない。あの人も、あの馬鹿も。誰も誰も。きっとそうは思わない」
「……」
「だから伝える必要がある……俺の国で起きている、お前達の居た国でも起きるかもしれない事を」
こっちは別に身バレとか別にどうでも良い感じだからそう話すと、男は少し考えるように口元に手を運んでから言う。
「理不尽な理由で四人共……それも新しい聖女の用意もされている、か。それが全員被ったのだとすれば流石に偶然とは思えんな……ってちょっと待て。四人? お前らは三人組ではないのか!?」
「あれから一人増えた」
「……マジか」
「マジで」
「……思った以上に深刻な事態だなこれは」
男は軽くため息を付いた後言う。
「もう既に感づいているとは思うが、これにはまず間違いなく裏で手を引いている誰かがいる」
「そうだね。私達も四人目が出てきた時点でそういう話をしてた」
「いや、二人目か三人目でそういう話をしなかったのか?」
「……」
「……しなかったんだな、少なくとも俺達と戦っている段階では。お前らもしや少し天然か? 普通三人どころか二人も居た時点で……」
「あーもう! いいでしょそんな事! で、アンタはその裏で手を引いている誰かに心当たりはあるの? もし知ってるなら教えて欲しいんだけど」
あの山で何が行われていたのかが分からなくても、それが分かれば大収穫。
寧ろ私達の今後の事を考えれば、まず第一に知るべきなのはその事な訳で。
寧ろそれを知る為にあそこで何が行われていたのかを知りたかった部分もあって。
……さあどうだろう。心当たりはあるのかな?
「ある」
「あるの!?」
本当にあったよ!
「まああくまで心当たりで、不確定で曖昧な情報ではあるがな」
それでもいい!
流石に少しテンションが上がる。
私達が追放された理由というか、その裏側で起きてる事。
その答えを知る事ができるかもしれないと思うと、そりゃそんな声も出るよ。
だけどテンションが上がっているのは私だけで。
その誰かについて触れ始めてから、男の表情は暗く重い。
そしてそんな表情を浮かべたまま言う。
「恐らく……俺達の国を乗っ取った連中の仕業だ」
「国を……乗っ取る?」
なんだか突然スケールの大きな話をしてきて思わずそう復唱すると、男は小さく頷いて言う。
「ああ。俺達の国は何者かによって乗っ取られた。到底理解できない経緯で発生したクーデター。それを誘発させた奴らが居る」
「ちょっと待って。ストップストップ」
男の言葉を制止させて言う。
「なんか色々言いたい事はあるけど、まずさっき身元が割れるから何処の国かは言えないみたいな話してたよね? それ言っちゃったら身元特定できちゃうんじゃないの?」
最近クーレターが起きた国の聖女……いや、クーデターが起きて此処にコイツらが居るんなら、まず間違いなく元聖女って所かな。
とにかくその情報を出せば最低限どこの国の聖女だったのか。
あの子の身元が露呈してしまうんじゃないかな。
今は分からないけど、調べれば世界情勢位簡単に情報入ってくるだろうし。
だけど男は言う。
「正直避けたいが特定されるだろうな。ここ最近でクーデターが発生した国などウチの国しかない……筈だ。つまり俺はこれまで隠し通してきた機密情報をお前に話している事になる。正直今後の事を考えるとそれは避けたかった」
「ならなんでそんな事……」
「自分達の国で起きている問題だと思っていた事が、それを通り越してこの世界で起きている問題だったからだ」
そして一拍あけてから、真剣な声音で男は言う。
「これまで自分の属する国を救う為に動いてきた。だが同じ問題で危機に瀕しているのが自国だけでなく他国も。それも一国二国の話ではなくより大きな世界規模の問題なのだとすれば……果たして自国以外を切り捨てるのが正解だろうか? 俺はそうは思わない。あの人も、あの馬鹿も。誰も誰も。きっとそうは思わない」
「……」
「だから伝える必要がある……俺の国で起きている、お前達の居た国でも起きるかもしれない事を」
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
金貨増殖バグが止まらないので、そのまま快適なスローライフを送ります
桜井正宗
ファンタジー
無能の落ちこぼれと認定された『ギルド職員』兼『ぷちドラゴン』使いの『ぷちテイマー』のヘンリーは、職員をクビとなり、国さえも追放されてしまう。
突然、空から女の子が降ってくると、キャッチしきれず女の子を地面へ激突させてしまう。それが聖女との出会いだった。
銀髪の自称聖女から『ギフト』を貰い、ヘンリーは、両手に持てない程の金貨を大量に手に入れた。これで一生遊んで暮らせると思いきや、金貨はどんどん増えていく。増殖が止まらない金貨。どんどん増えていってしまった。
聖女によれば“金貨増殖バグ”だという。幸い、元ギルド職員の権限でアイテムボックス量は無駄に多く持っていたので、そこへ保管しまくった。
大金持ちになったヘンリーは、とりあえず念願だった屋敷を買い……スローライフを始めていく!?
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる