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二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。
13 黒装束の男、吐露
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「まあそういう事だ。だからこちらの事は気にするな。それでもどうしても話せん事はあるがな」
「……まあそっちがそれで良いなら良いけど」
「話が逸れた。心当たりについて続きを話そうか」
「そうだね」
そうして各々軽く一呼吸置いて仕切り直し。
「えーっと、そっちの国を乗っ取った連中の仕業って言ってたよね?」
「ああ。確定ではないがその可能性が高いと思う。ウチの国でも聖女の入れ替えが起きるかもしれなかった事態があったからな」
「……というと?」
「聖属性の魔術を使える旅人の女性がいつの間にかあの馬鹿……いや、ウチの王と面識を持っていた。持てる位には国の中核に潜り込んでいたんだ。ああ、お前らの国に来た新しい聖女の特徴と同じく、ビックリする位エロかったな。凄かった。まあ深く掘り下げれば語る事は山程あると思うが、端的に纏めればそういう事が有ったんだ。つまりお前らの国と同じ状況になる一歩手前にまで来ていた訳だな」
「なるほど……確かにそのまま行けば同じ状況になりそうだね」
コイツ途中真剣な表情で何言ってんだと思ったけど、突っ込むのは我慢した。
また話脱線するし……だ、駄目だ笑っちゃだめだよ。
真剣な表情でビックリする位エロかった。凄かったって。
何か変な面白さが込み上げてくる。
と、とにかく笑わない為にも話を進めよう。
「……でも同じ状況にはならなかった」
無事笑わず話を進める。
「ああ。アイツは女好きで口を開けば馬鹿な事ばかり言ってる奴だったが、それでもやる時はやる男だ。向うが仕掛けて来たらしい洗脳作用のある魔術を要いたハニートラップに引っ掛からなかった。そして逃げられはしたものの、その女の狙いまで掴んできた」
「狙い?」
「聖女の追放だ。執拗に自分を新しい聖女にするように頼み込んできたらしい……お前らの国で起きている状況がまさにそれだ」
「成程……で、そうした先の狙いは?」
「詳細までは分からん。だが聖女の張る結界が邪魔だったんだろうとは推測できる。現に俺があの人……いや、もう身分を偽る様な微妙なカモフラージュはいらないか。とにかく、あの方を連れて国外へ逃亡した時には結界を侵食するように全く別の何かへと徐々に変えられ始めていた。あの馬鹿がハニートラップに掛かり洗脳されていれば同じ状況に陥っていたと考えれば、お前らの国も同じ状況になっていく筈だ」
「……別の何か。なんだろ」
「詳細は分からんがあの方曰くとても良くない感じがする何かだそうだ」
「その詳細までは分からない感じ?」
「悪いな。正直その辺りの話は上辺をなぞるような情報しか持ち合わせていない。その何かは必死に逃亡してる際の話だからな。調べようがない」
「そっか」
まあ必死に逃げてたんなら術式の解析なんてできる訳が無いか。
……というかちょっと待って。
「しっかし良くない物ね……実はまだ私その国の自分の家に住んでるんだけど、全然そんな感じしないんだけどね」
「ならこれからという事かもしれん……ってちょっと待て。さらっととんでもない事を言っている気がするんだが?」
「ああ、自宅人里離れた森の中にあったから。結界でカモフラしといて、今は転移魔術で行き来してる」
「そ、そうか……無茶苦茶するな」
「だってあの馬鹿のアホみたいな追放命令で自宅手放したくなかったし」
「あの馬鹿……流れを考えるとお前の所の王か。気持ちは分かるがおそらく洗脳されての追放発現なんだ。そんな無礼な事を言うもんじゃないぞ。出る所に出れば普通に不敬罪だ」
「いやそもそもアイツはずっとああいうノリな奴だし……というかアンタもさっきからあの馬鹿とか言ってたし無茶苦茶ブーメランじゃん」
「俺はアイツの親友だからな。良いんだよ俺は。勿論公の場ではあまりそういう事は言わんが」
「たまには言うんだ……」
「結構皆言うぞ。実際馬鹿な事も一杯やってるし、そんな扱いをされるのは身から出たなんとやらという奴だ。ただまあ敬うべき時は全力で敬うが」
「……なんかアットホームな感じだね」
「そういう人柄なんだよウチの王様ってのは。国民からも王様というよりは近所の気の良い兄ちゃんみたいな風に見られている節がある」
「えぇ……それはどうなの?」
「まあ常識的に考えればあまり良くないのかもしれないが、それでもそれでうまく行ってたんだウチの国は」
だからこそ。
「あの時起きたクーデターは明らかに異質だった」
「……多分だけど、別に悪政を敷いてた感じでもないんだよね」
「その筈だ。まあどこの国にも色々な思想の人間が居る。故に支持率も100%とは言えなかっただろう。だから小規模な反乱やクーデターというものは他国と同じく起きるリスクは否定できない」
だが、と男は言う。
「城の兵士や内部の人間以外の国民全員が敵になるような事態は普通じゃない」
「全……員?」
「ああ。まるで何者かに国民全員が洗脳でもされたんじゃないかという有様だった」
「洗脳……って事は」
「王を傀儡とする作戦が失敗に終わった結果、強硬手段に出たんだろう」
男は苦笑いを浮かべてそう言った。
「……まあそっちがそれで良いなら良いけど」
「話が逸れた。心当たりについて続きを話そうか」
「そうだね」
そうして各々軽く一呼吸置いて仕切り直し。
「えーっと、そっちの国を乗っ取った連中の仕業って言ってたよね?」
「ああ。確定ではないがその可能性が高いと思う。ウチの国でも聖女の入れ替えが起きるかもしれなかった事態があったからな」
「……というと?」
「聖属性の魔術を使える旅人の女性がいつの間にかあの馬鹿……いや、ウチの王と面識を持っていた。持てる位には国の中核に潜り込んでいたんだ。ああ、お前らの国に来た新しい聖女の特徴と同じく、ビックリする位エロかったな。凄かった。まあ深く掘り下げれば語る事は山程あると思うが、端的に纏めればそういう事が有ったんだ。つまりお前らの国と同じ状況になる一歩手前にまで来ていた訳だな」
「なるほど……確かにそのまま行けば同じ状況になりそうだね」
コイツ途中真剣な表情で何言ってんだと思ったけど、突っ込むのは我慢した。
また話脱線するし……だ、駄目だ笑っちゃだめだよ。
真剣な表情でビックリする位エロかった。凄かったって。
何か変な面白さが込み上げてくる。
と、とにかく笑わない為にも話を進めよう。
「……でも同じ状況にはならなかった」
無事笑わず話を進める。
「ああ。アイツは女好きで口を開けば馬鹿な事ばかり言ってる奴だったが、それでもやる時はやる男だ。向うが仕掛けて来たらしい洗脳作用のある魔術を要いたハニートラップに引っ掛からなかった。そして逃げられはしたものの、その女の狙いまで掴んできた」
「狙い?」
「聖女の追放だ。執拗に自分を新しい聖女にするように頼み込んできたらしい……お前らの国で起きている状況がまさにそれだ」
「成程……で、そうした先の狙いは?」
「詳細までは分からん。だが聖女の張る結界が邪魔だったんだろうとは推測できる。現に俺があの人……いや、もう身分を偽る様な微妙なカモフラージュはいらないか。とにかく、あの方を連れて国外へ逃亡した時には結界を侵食するように全く別の何かへと徐々に変えられ始めていた。あの馬鹿がハニートラップに掛かり洗脳されていれば同じ状況に陥っていたと考えれば、お前らの国も同じ状況になっていく筈だ」
「……別の何か。なんだろ」
「詳細は分からんがあの方曰くとても良くない感じがする何かだそうだ」
「その詳細までは分からない感じ?」
「悪いな。正直その辺りの話は上辺をなぞるような情報しか持ち合わせていない。その何かは必死に逃亡してる際の話だからな。調べようがない」
「そっか」
まあ必死に逃げてたんなら術式の解析なんてできる訳が無いか。
……というかちょっと待って。
「しっかし良くない物ね……実はまだ私その国の自分の家に住んでるんだけど、全然そんな感じしないんだけどね」
「ならこれからという事かもしれん……ってちょっと待て。さらっととんでもない事を言っている気がするんだが?」
「ああ、自宅人里離れた森の中にあったから。結界でカモフラしといて、今は転移魔術で行き来してる」
「そ、そうか……無茶苦茶するな」
「だってあの馬鹿のアホみたいな追放命令で自宅手放したくなかったし」
「あの馬鹿……流れを考えるとお前の所の王か。気持ちは分かるがおそらく洗脳されての追放発現なんだ。そんな無礼な事を言うもんじゃないぞ。出る所に出れば普通に不敬罪だ」
「いやそもそもアイツはずっとああいうノリな奴だし……というかアンタもさっきからあの馬鹿とか言ってたし無茶苦茶ブーメランじゃん」
「俺はアイツの親友だからな。良いんだよ俺は。勿論公の場ではあまりそういう事は言わんが」
「たまには言うんだ……」
「結構皆言うぞ。実際馬鹿な事も一杯やってるし、そんな扱いをされるのは身から出たなんとやらという奴だ。ただまあ敬うべき時は全力で敬うが」
「……なんかアットホームな感じだね」
「そういう人柄なんだよウチの王様ってのは。国民からも王様というよりは近所の気の良い兄ちゃんみたいな風に見られている節がある」
「えぇ……それはどうなの?」
「まあ常識的に考えればあまり良くないのかもしれないが、それでもそれでうまく行ってたんだウチの国は」
だからこそ。
「あの時起きたクーデターは明らかに異質だった」
「……多分だけど、別に悪政を敷いてた感じでもないんだよね」
「その筈だ。まあどこの国にも色々な思想の人間が居る。故に支持率も100%とは言えなかっただろう。だから小規模な反乱やクーデターというものは他国と同じく起きるリスクは否定できない」
だが、と男は言う。
「城の兵士や内部の人間以外の国民全員が敵になるような事態は普通じゃない」
「全……員?」
「ああ。まるで何者かに国民全員が洗脳でもされたんじゃないかという有様だった」
「洗脳……って事は」
「王を傀儡とする作戦が失敗に終わった結果、強硬手段に出たんだろう」
男は苦笑いを浮かべてそう言った。
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