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二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。
15 聖女さん、やるべき事について考える
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盤面をひっくり返す。
それはつまりこれから行われるかもしれない国家転覆を……そしてその先にある何かを阻止するという事なんだと思う。
男が隠していた自分達の素性を明かしてまで教えてくれた前例のおかげで、ただこの国で冒険者をしているだけじゃ辿り着かなかったであろう、やるべき事がある程度見えてくる。
……だけど、一筋縄ではいかないと思う。
あくまで起きるかもしれない事を事前に知る事が出来ただけ。
何をどうすれば解決に至るのかなんてのは、そう簡単に浮かぶとは思えない。
そして一番一筋縄で行かないのは……他ならぬ私自身の感情の話だと思う。
「……どうした?」
浮かない顔でも浮かべてしまっていたのか、男にそんな声を掛けられる。
「いや、別に」
大したことは無いよ。
湧いてきたのはほんの僅かな自己嫌悪だけ。
元々追放された時にあれ以上食い下がらなかった時点で。
この先どうなろうと、もうどうでもいいと思った時点で今更なのかもしれないけれど。
近い将来滅ぶかもしれないなんて曖昧な事じゃなくて、大変な事が起きる事が確定的に分かっていても、あまり気が乗らない、何とかしないといけないという感情が湧いてこない。
そんな自分がちょっと嫌だ。
なんかこう、自分の中の良くない部分を見付けてしまったような、そんな感覚がする。
「……別になんて事は無いだろう。今の話を聞いて浮かべた表情だ。何か今の話と関係があるんだろう? 話してみろ」
「……」
誰かにするような話じゃないと思うんだけど……まあ、でも抱え込んでるより吐き出してしまった方が楽か。
そして皆にはこういう嫌な部分はあんまり見せたくないから……嫌われたくないし。
だとしたらコイツは結構適任なのかもしれない。
コイツにどう思われようと、そんなにダメージなさそうだしね。
そして私は一拍空けてから言う。
「色々と教えて貰っといて悪いんだけど……まあ、手を打つ気力が湧かないなって」
「ほう」
「私自分の居た国の事が正直あんまり好きじゃなくて……その為にデカいリスク背負って行動できないなって。そう思った感じで」
「ああ、なるほど。そういう事なら仕方ないな……変な重圧を背負わせたみたいで済まなかった」
……あれ? 肯定されちゃったよ……なんか予想と違うな。
「えーっと……なんかこう、無責任だとか、そういう非難みたいな言葉返ってくるかと思ったんだけど」
そういう事を言われてもコイツなら別にノーダメージだから良いかって思って言った訳だし。
「なんだ? そういう事を言って欲しかったか?」
「あ、いや、そういう訳じゃないけど……いや、でもほら。私にはそれなりに色々とやれる力があって、それで何かが起きてる事も分かって。それなのに何もしないってのは……あまり良くない事なんじゃないかなって」
「まあやれるに越した事は無いだろうさ。だけどやれない事が必ずしも良くないなんてのは違う。そんな横暴な理屈で個人の感情が塗り潰されてたまるか」
「それで……いいのかな?」
「いいだろう。寧ろちゃんとそういう事で悩める時点で立派な部類だと思うし……それで悩める奴が踏み出せないというなら、それこそ真に問題なのは向うの方だろう……何が有ったのかはプライベートな話だろうから聞かないが。とにかくお前が気に病む必要は無いだろう」
「……そっか」
そう言ってくれると少し心が軽くなる。
うん、やっぱとりあえず人に話してみるのって大事だわ。
マジでほんと……助かった。
そしてそんな私に男は言う。
「ただもし……もしもだ。あの二人……いや、もう三人か。その内の誰か一人がやれる事をやりたいというような事を言った場合……その時は手助けの一つや二つはしてやってくれると、こうして情報を出してる俺からすれば嬉しい」
「いやそりゃ勿論! そん時は手助けどころか全力で手を貸すって! もう命張りまくりだよ!」
「なるほど……そこまで啖呵を切れるのか。だとすればやっぱりお前は立派だよ。一体何をすればこんな奴に愛想を尽かされるんだ」
「ははは……まあ、色々とね」
私は苦笑いを浮かべてそう言う。
その何かを追及してくる事は無い。
さっきのプライベートな話だから聞かないって言ってたのもそうだけど……ほんとコイツ人間出来てるわ。
そして、ちゃんと誰かの為にやれるだけの事をやれる人間。
「で、アンタは何でそこまでやれるの?」
「俺か?」
「多分だけどアンタ、必要があれば人を殺すような、そういうの絶対向いて無いよね?」
「何故そう思う?」
「これまでの自分の発言を振り返ってみたら良いんじゃないかな?」
私と戦った時も、言動が悪人としては無茶苦茶だった訳だし……まあ、性根がもの凄い善人より何だと思う。
そんな奴が自分の倫理観とか、そういうのを踏みにじりながら進める理由ってのは何かあるんだろうか?
「……まあいい。俺が動ける理由か……多分つまらんぞ?」
「いいから」
「単純に俺は自分の国が好きだったし、自分の周囲の人間もとても大切な人達ばかりだった。国の為なら、その人達の為なら。俺はなんだってできると思う」
そして、と男は言う。
「あの方も俺と同じような考えだ。そんな人に一人でやらせる訳にはいかない。第一仮に俺がそういう人間じゃなかったとしても、あの方がそういう人な時点で専属の執事だった俺のやる事は変わらない。だから俺の動機なんてのは個人的な感情と仕事のどちらも。公私混同という奴だ」
「それ使い方間違ってない?」
「間違っていたとして今この流れでそこ突っ込むか?」
「いや、あの……なんかごめん」
気になったし……まあ流せば良かったかな。
ま、まあとにかく。
「まあとりあえず分かったよ。立派じゃん」
「いや、そんな大した事は無いさ」
謙遜しはじめたら、さっきアンタが私に掛けた言葉が色々と無茶苦茶になりそうだから止めてくれないかな。
アンタが立派じゃなかったら、私一体何なの?
「……というかさっきからあの方あの方言ってるのが、アンタの国の聖女って事で良いんだよね?」
「そうだが」
「アンタの国、聖女に専属の執事なんか就いてるんだ。対応手厚いね。私の所は基本お金貰えるだけだったのに」
「それはそれでどうなんだとは思うが……まあウチの国を基準に考えるのはお勧めしないな。何しろあの方は王の妹で、我が国の王女だからな」
「へぇ、王女……王女!?」
え、嘘、マジで!?
「凄い驚き様だな」
「いやそりゃ普通に驚くでしょ!? ……て、事は何? シルヴィとステラは状況的に仕方ないとはいえ、一国の王女様をボコボコにしたの!?」
「まあ、そういう事になるな……」
「えーっと、あれからご容態の方は……」
「怪我は治癒魔術で治したが、あの二人の小さい方だったかに放たれた電撃の枷の様な物がまだ完全には解除できていない。後は結構酷い状態で魔術を無理矢理使ったみたいだからな。お前が張った結界を破壊した当たりの記憶が朧気らしい」
「えーっと、あの……なんか色々ごめんなさい」
「いや、謝るな。全面的に俺達が悪いんだから……というか自分の国の王を馬鹿と呼んでいる失礼さはどこへ行ったんだ」
「いや、自国の馬鹿と他国のお姫様じゃ話が違うでしょ」
「違う……違うかぁ?」
「違うでしょ……二人にこれ言ったらどんな反応するかな」
「どんな反応をするかはともかく、言うならちゃんと俺達からの謝罪と感謝の言葉もよろしく頼むぞ」
「分かってる」
とにかくこの話も含めて、今日の事は明日集まった時に話そうと思う。
……流石に今日は会う確率低いだろうし。
いや、シズクには会うかも。
家に帰る時自宅の中通る訳だしね。
……さて、私がこうやって全く予想もしていなかった休日を送っている中で、皆は今頃何をしているのだろうか?
まだもう少し話が続きそうな中で、ふとそんな事を考えた。
それはつまりこれから行われるかもしれない国家転覆を……そしてその先にある何かを阻止するという事なんだと思う。
男が隠していた自分達の素性を明かしてまで教えてくれた前例のおかげで、ただこの国で冒険者をしているだけじゃ辿り着かなかったであろう、やるべき事がある程度見えてくる。
……だけど、一筋縄ではいかないと思う。
あくまで起きるかもしれない事を事前に知る事が出来ただけ。
何をどうすれば解決に至るのかなんてのは、そう簡単に浮かぶとは思えない。
そして一番一筋縄で行かないのは……他ならぬ私自身の感情の話だと思う。
「……どうした?」
浮かない顔でも浮かべてしまっていたのか、男にそんな声を掛けられる。
「いや、別に」
大したことは無いよ。
湧いてきたのはほんの僅かな自己嫌悪だけ。
元々追放された時にあれ以上食い下がらなかった時点で。
この先どうなろうと、もうどうでもいいと思った時点で今更なのかもしれないけれど。
近い将来滅ぶかもしれないなんて曖昧な事じゃなくて、大変な事が起きる事が確定的に分かっていても、あまり気が乗らない、何とかしないといけないという感情が湧いてこない。
そんな自分がちょっと嫌だ。
なんかこう、自分の中の良くない部分を見付けてしまったような、そんな感覚がする。
「……別になんて事は無いだろう。今の話を聞いて浮かべた表情だ。何か今の話と関係があるんだろう? 話してみろ」
「……」
誰かにするような話じゃないと思うんだけど……まあ、でも抱え込んでるより吐き出してしまった方が楽か。
そして皆にはこういう嫌な部分はあんまり見せたくないから……嫌われたくないし。
だとしたらコイツは結構適任なのかもしれない。
コイツにどう思われようと、そんなにダメージなさそうだしね。
そして私は一拍空けてから言う。
「色々と教えて貰っといて悪いんだけど……まあ、手を打つ気力が湧かないなって」
「ほう」
「私自分の居た国の事が正直あんまり好きじゃなくて……その為にデカいリスク背負って行動できないなって。そう思った感じで」
「ああ、なるほど。そういう事なら仕方ないな……変な重圧を背負わせたみたいで済まなかった」
……あれ? 肯定されちゃったよ……なんか予想と違うな。
「えーっと……なんかこう、無責任だとか、そういう非難みたいな言葉返ってくるかと思ったんだけど」
そういう事を言われてもコイツなら別にノーダメージだから良いかって思って言った訳だし。
「なんだ? そういう事を言って欲しかったか?」
「あ、いや、そういう訳じゃないけど……いや、でもほら。私にはそれなりに色々とやれる力があって、それで何かが起きてる事も分かって。それなのに何もしないってのは……あまり良くない事なんじゃないかなって」
「まあやれるに越した事は無いだろうさ。だけどやれない事が必ずしも良くないなんてのは違う。そんな横暴な理屈で個人の感情が塗り潰されてたまるか」
「それで……いいのかな?」
「いいだろう。寧ろちゃんとそういう事で悩める時点で立派な部類だと思うし……それで悩める奴が踏み出せないというなら、それこそ真に問題なのは向うの方だろう……何が有ったのかはプライベートな話だろうから聞かないが。とにかくお前が気に病む必要は無いだろう」
「……そっか」
そう言ってくれると少し心が軽くなる。
うん、やっぱとりあえず人に話してみるのって大事だわ。
マジでほんと……助かった。
そしてそんな私に男は言う。
「ただもし……もしもだ。あの二人……いや、もう三人か。その内の誰か一人がやれる事をやりたいというような事を言った場合……その時は手助けの一つや二つはしてやってくれると、こうして情報を出してる俺からすれば嬉しい」
「いやそりゃ勿論! そん時は手助けどころか全力で手を貸すって! もう命張りまくりだよ!」
「なるほど……そこまで啖呵を切れるのか。だとすればやっぱりお前は立派だよ。一体何をすればこんな奴に愛想を尽かされるんだ」
「ははは……まあ、色々とね」
私は苦笑いを浮かべてそう言う。
その何かを追及してくる事は無い。
さっきのプライベートな話だから聞かないって言ってたのもそうだけど……ほんとコイツ人間出来てるわ。
そして、ちゃんと誰かの為にやれるだけの事をやれる人間。
「で、アンタは何でそこまでやれるの?」
「俺か?」
「多分だけどアンタ、必要があれば人を殺すような、そういうの絶対向いて無いよね?」
「何故そう思う?」
「これまでの自分の発言を振り返ってみたら良いんじゃないかな?」
私と戦った時も、言動が悪人としては無茶苦茶だった訳だし……まあ、性根がもの凄い善人より何だと思う。
そんな奴が自分の倫理観とか、そういうのを踏みにじりながら進める理由ってのは何かあるんだろうか?
「……まあいい。俺が動ける理由か……多分つまらんぞ?」
「いいから」
「単純に俺は自分の国が好きだったし、自分の周囲の人間もとても大切な人達ばかりだった。国の為なら、その人達の為なら。俺はなんだってできると思う」
そして、と男は言う。
「あの方も俺と同じような考えだ。そんな人に一人でやらせる訳にはいかない。第一仮に俺がそういう人間じゃなかったとしても、あの方がそういう人な時点で専属の執事だった俺のやる事は変わらない。だから俺の動機なんてのは個人的な感情と仕事のどちらも。公私混同という奴だ」
「それ使い方間違ってない?」
「間違っていたとして今この流れでそこ突っ込むか?」
「いや、あの……なんかごめん」
気になったし……まあ流せば良かったかな。
ま、まあとにかく。
「まあとりあえず分かったよ。立派じゃん」
「いや、そんな大した事は無いさ」
謙遜しはじめたら、さっきアンタが私に掛けた言葉が色々と無茶苦茶になりそうだから止めてくれないかな。
アンタが立派じゃなかったら、私一体何なの?
「……というかさっきからあの方あの方言ってるのが、アンタの国の聖女って事で良いんだよね?」
「そうだが」
「アンタの国、聖女に専属の執事なんか就いてるんだ。対応手厚いね。私の所は基本お金貰えるだけだったのに」
「それはそれでどうなんだとは思うが……まあウチの国を基準に考えるのはお勧めしないな。何しろあの方は王の妹で、我が国の王女だからな」
「へぇ、王女……王女!?」
え、嘘、マジで!?
「凄い驚き様だな」
「いやそりゃ普通に驚くでしょ!? ……て、事は何? シルヴィとステラは状況的に仕方ないとはいえ、一国の王女様をボコボコにしたの!?」
「まあ、そういう事になるな……」
「えーっと、あれからご容態の方は……」
「怪我は治癒魔術で治したが、あの二人の小さい方だったかに放たれた電撃の枷の様な物がまだ完全には解除できていない。後は結構酷い状態で魔術を無理矢理使ったみたいだからな。お前が張った結界を破壊した当たりの記憶が朧気らしい」
「えーっと、あの……なんか色々ごめんなさい」
「いや、謝るな。全面的に俺達が悪いんだから……というか自分の国の王を馬鹿と呼んでいる失礼さはどこへ行ったんだ」
「いや、自国の馬鹿と他国のお姫様じゃ話が違うでしょ」
「違う……違うかぁ?」
「違うでしょ……二人にこれ言ったらどんな反応するかな」
「どんな反応をするかはともかく、言うならちゃんと俺達からの謝罪と感謝の言葉もよろしく頼むぞ」
「分かってる」
とにかくこの話も含めて、今日の事は明日集まった時に話そうと思う。
……流石に今日は会う確率低いだろうし。
いや、シズクには会うかも。
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