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二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。
ex 受付聖女、尾行
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時刻は少し遡る。
(……さて、今日中にやっておく事はこれで終わりっすねー)
そんな事を考えながら、シズクは王都の人通りの多い通りを歩いていた。
明日は冒険者としての初仕事に出向く。
これまでずっと送り出す側だったのに、今回は自分が送り出される側になると思うと変な感じはするけれど、とにかく楽しみではある。
あと普通にそろそろ生活費が付きかけているので単純に嬉しい。
ここ最近新しい友達ができた事もあり、勢いでお金を使い過ぎた。
(いやー明日は楽しみっす)
本当に色々な意味で。
と、そんな事を考えるシズクの視界に、見覚えのある人物が飛び込んでくる。
(あ、シエルさんだ)
なんだか何かの捜査官みたいな黒いサングラスを付けて帽子を被っているが間違いなくシエルだ。
そんなシエルが、その恰好通り何かの捜査官みたいに壁に張り付いて、まるで誰かを尾行しているような動きをしている。
(……よし)
なんか面白そうなので声を掛けてみる事にした。
「どしたんすかシエルさん。無茶苦茶不審者っすよ」
「うわ……ッ!? びっくりした、シズクちゃんか。脅かさないでよー」
突然声を掛けられて驚いた様子を見せるシエル。
「いやぁ、すみませんっす。で、何やってんすか?」
「っと、そうだ。大事件だよシズクちゃん」
「大事件?」
「手短に言うとあっちゃんが男作ったっぽい」
「え、ま、マジっすか!?」
「しー! 声が大きい」
「すんませんっす」
だけど仕方ない。
大事件だ。
大事件過ぎる。
(え、アンナさん王都に来たのほんと最近だったっすよね? そして最初の二、三日は誰かしら一緒にいた感じだし……じゃあほんとこの一、二日で!? えぇ……マジっすかぁ!?)
「……あ、マズイマズイ見失う。細かい話は後。追うよシズクちゃん」
「え、あ、は、はいっす!」
正直人の比較的デリケートなプライベートの話なので、寧ろ止めるべきではとは思ったけど……なんというか、凄く申し訳なくはあったが好奇心が勝った。
勝ったというか好奇心だらけだ。
故にシエルと共にアンナと、アンナに腕を掴まれている長身の男を追う事になった。
「あ、良かったらこのサングラスと帽子使う? スペア持ってるし」
「なんでそんなの携帯してるんすか。後それ付けてた方が目立つっすよ……やるならもっとこういう手を打つべきっす」
そう言ってシズクは魔術を発動する。
付与する対象は自身とシエル。
「これは?」
「尾行するにはもってこいの魔術っすね」
効力は……認識を阻害する魔術。
流石に正面から見られた場合や、自分達を探しているような相手にはあまり大きな効果が得られないが、向こうがこちらに気付いておらず、行動も尾行程度に抑えるならそれなりに効力を発揮する。
「……これで、気付かれにくくなったっすよ」
「なんだかよく分からないけど、ナーイス」
そう言って差し出してきた手に軽くハイタッチ。
もうシズク自身も結構ノリノリだ。
と、そんな楽し気な空気でデートらしき行為の尾行を始めたのだが、そこで異物に気付く。
(ん? あの子も……あの二人を追ってるんすかね?)
此処までアンナとその隣を歩く男に集中し過ぎて気付かなかった、別の物陰に隠れるいつから居たのか分からないもう一人の尾行者。
とても不安そうな表情を浮かべた、シズクと同い年位の黒髪の、どこか気品が感じられる女の子がそこに居た。
(……さて、今日中にやっておく事はこれで終わりっすねー)
そんな事を考えながら、シズクは王都の人通りの多い通りを歩いていた。
明日は冒険者としての初仕事に出向く。
これまでずっと送り出す側だったのに、今回は自分が送り出される側になると思うと変な感じはするけれど、とにかく楽しみではある。
あと普通にそろそろ生活費が付きかけているので単純に嬉しい。
ここ最近新しい友達ができた事もあり、勢いでお金を使い過ぎた。
(いやー明日は楽しみっす)
本当に色々な意味で。
と、そんな事を考えるシズクの視界に、見覚えのある人物が飛び込んでくる。
(あ、シエルさんだ)
なんだか何かの捜査官みたいな黒いサングラスを付けて帽子を被っているが間違いなくシエルだ。
そんなシエルが、その恰好通り何かの捜査官みたいに壁に張り付いて、まるで誰かを尾行しているような動きをしている。
(……よし)
なんか面白そうなので声を掛けてみる事にした。
「どしたんすかシエルさん。無茶苦茶不審者っすよ」
「うわ……ッ!? びっくりした、シズクちゃんか。脅かさないでよー」
突然声を掛けられて驚いた様子を見せるシエル。
「いやぁ、すみませんっす。で、何やってんすか?」
「っと、そうだ。大事件だよシズクちゃん」
「大事件?」
「手短に言うとあっちゃんが男作ったっぽい」
「え、ま、マジっすか!?」
「しー! 声が大きい」
「すんませんっす」
だけど仕方ない。
大事件だ。
大事件過ぎる。
(え、アンナさん王都に来たのほんと最近だったっすよね? そして最初の二、三日は誰かしら一緒にいた感じだし……じゃあほんとこの一、二日で!? えぇ……マジっすかぁ!?)
「……あ、マズイマズイ見失う。細かい話は後。追うよシズクちゃん」
「え、あ、は、はいっす!」
正直人の比較的デリケートなプライベートの話なので、寧ろ止めるべきではとは思ったけど……なんというか、凄く申し訳なくはあったが好奇心が勝った。
勝ったというか好奇心だらけだ。
故にシエルと共にアンナと、アンナに腕を掴まれている長身の男を追う事になった。
「あ、良かったらこのサングラスと帽子使う? スペア持ってるし」
「なんでそんなの携帯してるんすか。後それ付けてた方が目立つっすよ……やるならもっとこういう手を打つべきっす」
そう言ってシズクは魔術を発動する。
付与する対象は自身とシエル。
「これは?」
「尾行するにはもってこいの魔術っすね」
効力は……認識を阻害する魔術。
流石に正面から見られた場合や、自分達を探しているような相手にはあまり大きな効果が得られないが、向こうがこちらに気付いておらず、行動も尾行程度に抑えるならそれなりに効力を発揮する。
「……これで、気付かれにくくなったっすよ」
「なんだかよく分からないけど、ナーイス」
そう言って差し出してきた手に軽くハイタッチ。
もうシズク自身も結構ノリノリだ。
と、そんな楽し気な空気でデートらしき行為の尾行を始めたのだが、そこで異物に気付く。
(ん? あの子も……あの二人を追ってるんすかね?)
此処までアンナとその隣を歩く男に集中し過ぎて気付かなかった、別の物陰に隠れるいつから居たのか分からないもう一人の尾行者。
とても不安そうな表情を浮かべた、シズクと同い年位の黒髪の、どこか気品が感じられる女の子がそこに居た。
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