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二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。
ex とある組織の特殊部隊、VSカチコミに来た謎の少女二人組
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(くそ……ほんと何がどうなってやがる……!)
後方で侵入者の迎撃に当たりながら、組織幹部のリックは心中で苦悶の声を洩らす。
予定外の事の連続だった。
今自分達のバックには人知を超えていると言っても過言ではない程の高い知力を持つ研究者の男が居る。
この設備も、自分の持つ魔術を内包した指輪も、全部その研究者が作った物だ。
そして自分達のここまでの行動は全て、その研究者が使う未来予知の魔術によって決定されている。
未来予知などにわかには信じがたいが、その魔術によって導き出された行動に従った結果、自分達の組織は主要四ヶ国から聖結界を消す為に聖女を追放させるに至った。
それもおそらくその未来予知の魔術が無ければ無しえなかった戦果だ。
そして今回の行動も、その予知通りに動いていた。
指定した時間、指定した場所でハロルドの魔術で操られた駒が子供を影に沈めて攫う。
やや強引、無茶に思えるような時と場所でも、予知によって導き出されているのだから成功すると、そう考えていた。
だけど目の前で、その予知から大きく外れた事態が起きている。
(しかも侵入者がよりにもよってこんな化物二人とは……しかもハロルドの方にも居るんだろ……ほんとに何がどうなって……ッ)
そうこうしている間にも、一応念の為配備されていた特殊部隊の精鋭達が二人の化物になぎ倒されていく。
ボーイッシュな女の方は炎の魔術を。
小さいガキの方は電撃の魔術をそれぞれ使う。
そして、それはそれとして近接戦闘が冗談のように強い。
寧ろ炎や電撃はおまけで、とにかく物理でぶん殴ってくる。
ボーイッシュの方は徒手空拳。
ガキの方はおそらく結界を棒状にして鈍器にして。
それらを振るって蹂躙している。
涼しい顔で、一切息を切らす事無く。
そして特にヤバいのは……徒手空拳で戦うボーイッシュの女の方だ。
(あの女……完全に素人じゃねえ)
棒状の結界を振るっているガキの方は、異常な程の強化魔術の出力でゴリ押しているのが分かるが……ボーイッシュの女の方は違う。
強化魔術で身体能力が上がった肉体での暴力の振るい方を、完全に熟知している。
故にただただ周囲に人が倒れる。
生かしたまま、全てを倒していく。
「……ッ」
もう九割だ。
自分を含め50人近く居た精鋭部隊が、この場に張り巡らされた魔術の出力を底上げし、更に内数人は指輪持ちであったにも関わらず……もう残っているのは自分を含め5人。
万事休す。
……こんな筈では無かったのに……どうしようもなく追い込まれている。
意味の分からない女達の所為で。
そんな思いが積もりに積もって、思わず言った。
「くそ! てめえら一体何なんだよ! どこの誰の差し金だ! 何の目的で此処に来た!」
そう叫ぶと、ボーイッシュの女の方が言う。
静かな怒りの籠った声音で。
「差し金っつーか、先に喧嘩売ってきたのはそっちだろ?」
「……は?」
「とぼけんなよ。ウチの店に来てたお客さんの子供が店出てすぐに、ちょっと目ぇ放した隙に居なくなったって話だ。反応を追ったら此処の何処かにいるっぽいんだけどよ……子供が一人でこんな所まで来れるかよ」
そう言って指を鳴らす。
「その子今日誕生日らしいんだわ……戦う理由なんてそれで充分だろ」
「……ッ」
またしても予知が外れた。
予知通りならば、こんな化物の逆鱗に触れる事は無かったのだ。
そして、続いてガキの方も答える。
「私は偶然会ったんで付き添いで来ました」
「……ッ」
ガキの方も、此処に来た経緯はそんな適当な物だったのかもしれない。
だけど……ボーイッシュの女程ではないにしても普通にキレているのは声音を聞けば理解できる。
自分達に対して。
まあ……立場が逆ならそうなるのは容易に想像できる。
そして、ボーイッシュの女が構えを取りながら言う。
「まあそんな訳だ。一刻も早く連れて帰りてえ。だからさっさと……雑魚には消えて貰う」
「雑魚……ね」
事実、そうなのだろう。
目の前の女二人が何処の誰だか知らないが、それでも世界中探しても上から数えた方が早いような強者だ。
それと比べれば、いくら精鋭部隊とはいえ遥かに劣る。
残念ながら、目の前の二人はそれだけ規格外だ。
だが手も足も出ない訳ではない。
自分達は50人で編成された部隊だ。
極論を言えば、最後の一人になっても勝てば部隊の勝利だ。
そして最初の数人がやられた時点で、こうなる可能性も想定できたが故に、こうなる事を前提とした戦術を組むのは当然。
既にその前提で動いている。
そして地の利もこちらにある。
故にまだ勝機は10パーセント程度だが残っている。
それに賭ける事にした。
自分達は此処で負ける訳にはいかないのだから。
後方で侵入者の迎撃に当たりながら、組織幹部のリックは心中で苦悶の声を洩らす。
予定外の事の連続だった。
今自分達のバックには人知を超えていると言っても過言ではない程の高い知力を持つ研究者の男が居る。
この設備も、自分の持つ魔術を内包した指輪も、全部その研究者が作った物だ。
そして自分達のここまでの行動は全て、その研究者が使う未来予知の魔術によって決定されている。
未来予知などにわかには信じがたいが、その魔術によって導き出された行動に従った結果、自分達の組織は主要四ヶ国から聖結界を消す為に聖女を追放させるに至った。
それもおそらくその未来予知の魔術が無ければ無しえなかった戦果だ。
そして今回の行動も、その予知通りに動いていた。
指定した時間、指定した場所でハロルドの魔術で操られた駒が子供を影に沈めて攫う。
やや強引、無茶に思えるような時と場所でも、予知によって導き出されているのだから成功すると、そう考えていた。
だけど目の前で、その予知から大きく外れた事態が起きている。
(しかも侵入者がよりにもよってこんな化物二人とは……しかもハロルドの方にも居るんだろ……ほんとに何がどうなって……ッ)
そうこうしている間にも、一応念の為配備されていた特殊部隊の精鋭達が二人の化物になぎ倒されていく。
ボーイッシュな女の方は炎の魔術を。
小さいガキの方は電撃の魔術をそれぞれ使う。
そして、それはそれとして近接戦闘が冗談のように強い。
寧ろ炎や電撃はおまけで、とにかく物理でぶん殴ってくる。
ボーイッシュの方は徒手空拳。
ガキの方はおそらく結界を棒状にして鈍器にして。
それらを振るって蹂躙している。
涼しい顔で、一切息を切らす事無く。
そして特にヤバいのは……徒手空拳で戦うボーイッシュの女の方だ。
(あの女……完全に素人じゃねえ)
棒状の結界を振るっているガキの方は、異常な程の強化魔術の出力でゴリ押しているのが分かるが……ボーイッシュの女の方は違う。
強化魔術で身体能力が上がった肉体での暴力の振るい方を、完全に熟知している。
故にただただ周囲に人が倒れる。
生かしたまま、全てを倒していく。
「……ッ」
もう九割だ。
自分を含め50人近く居た精鋭部隊が、この場に張り巡らされた魔術の出力を底上げし、更に内数人は指輪持ちであったにも関わらず……もう残っているのは自分を含め5人。
万事休す。
……こんな筈では無かったのに……どうしようもなく追い込まれている。
意味の分からない女達の所為で。
そんな思いが積もりに積もって、思わず言った。
「くそ! てめえら一体何なんだよ! どこの誰の差し金だ! 何の目的で此処に来た!」
そう叫ぶと、ボーイッシュの女の方が言う。
静かな怒りの籠った声音で。
「差し金っつーか、先に喧嘩売ってきたのはそっちだろ?」
「……は?」
「とぼけんなよ。ウチの店に来てたお客さんの子供が店出てすぐに、ちょっと目ぇ放した隙に居なくなったって話だ。反応を追ったら此処の何処かにいるっぽいんだけどよ……子供が一人でこんな所まで来れるかよ」
そう言って指を鳴らす。
「その子今日誕生日らしいんだわ……戦う理由なんてそれで充分だろ」
「……ッ」
またしても予知が外れた。
予知通りならば、こんな化物の逆鱗に触れる事は無かったのだ。
そして、続いてガキの方も答える。
「私は偶然会ったんで付き添いで来ました」
「……ッ」
ガキの方も、此処に来た経緯はそんな適当な物だったのかもしれない。
だけど……ボーイッシュの女程ではないにしても普通にキレているのは声音を聞けば理解できる。
自分達に対して。
まあ……立場が逆ならそうなるのは容易に想像できる。
そして、ボーイッシュの女が構えを取りながら言う。
「まあそんな訳だ。一刻も早く連れて帰りてえ。だからさっさと……雑魚には消えて貰う」
「雑魚……ね」
事実、そうなのだろう。
目の前の女二人が何処の誰だか知らないが、それでも世界中探しても上から数えた方が早いような強者だ。
それと比べれば、いくら精鋭部隊とはいえ遥かに劣る。
残念ながら、目の前の二人はそれだけ規格外だ。
だが手も足も出ない訳ではない。
自分達は50人で編成された部隊だ。
極論を言えば、最後の一人になっても勝てば部隊の勝利だ。
そして最初の数人がやられた時点で、こうなる可能性も想定できたが故に、こうなる事を前提とした戦術を組むのは当然。
既にその前提で動いている。
そして地の利もこちらにある。
故にまだ勝機は10パーセント程度だが残っている。
それに賭ける事にした。
自分達は此処で負ける訳にはいかないのだから。
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