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二章 聖女さん、新しい日常を謳歌します。
41 聖女さん、解析の結果
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ルカと別れた後、移動した先の部屋で解析を続けながら、それがうまく行った後にどうやってこの状況を打開するかを考えた。
やる事は以前ルカと戦った時と同じ。
空間の断絶。
一定範囲を魔術が付与されたこの空間から断絶し、あの男を引きずり下ろす。
ルカとミカっていう王女様のパスが切れちゃうけど、そこまで配慮していられる状態じゃない。
とにかく、そうやってあの男を引きずり降ろして、それからルカとバトンタッチしてぶん殴る。
それで勝つ。
「……ははは、参ったな」
……そんな風に先の事を考えているのは、半ば現実逃避のようなものだったのかもしれない。
取らぬ狸の皮算用とでも言えばいいのかな。
あの時と違って空間そのものがおかしいんだから解析が進まないと、そんな結界は張れないんだからさ。
「……何にも分かんないや」
冷汗が流れ出る。
それ程酷い有様だ。
何も。
何も分からない。
「……ッ」
それでもほんの一ミリずつ位は進めている気はするから。
例えば日常生活を送りながら一日八時間とかをこの未知の魔術の研究にあてて、そしたら半年とか一年もすればこの魔術について色々と解明できるのかもしれないけれど……それだけ時間を掛けてもかもしれないという域を出ない。
「くっそぉ……ッ!」
この短時間では目の前で自分が戦っているものが果たして魔術という枠組みに入る物なのかという疑問が沸いてくるという、一ミリも生産性の無い考えが浮かんでくるだけ。
本当にただ時間を浪費しているだけだ。
ルカがなんとか時間を稼ごうとしているのに……ッ!
そうこうしている内に、二分程経過したのかもしれない。
多分、三分も立っていない筈だ。
「……ッ!」
それなのに部屋の中にあの男が入ってきた。
解析を中断して思わず距離を取る。
取ってそこで、気付いた。
コイツがここに来たという事は、ルカはどうした。
「……」
殺されたのか?
コイツに。
……目の前の男に。
それを否定しようとした。
だけど……殺されない理由なんてのは無いだろう。
生きているかもしれない可能性を想像できない。
「こんんんんのやろおおおおおおおおおおおおおおッ!」
半ば衝動的に風属性の魔術を打ち込んだ。
瞬時に限界まで圧縮した風の塊。
だがそれも簡単に腕を振り払って弾かれる。
分かってた。
……完全に化け物染みている。
コイツにルカが殺されたかもしれない。
本当に殺されたかもしれない。
「……」
そう考えると頭の中がぐちゃぐちゃになる。
さっきまで隣に居たルカは生きているのか死んでいるのか。
そんな、もう他人とは言えない男の安否と。
そして。
自分自身が殺されるという直感。
最初にこの男と相対した時と比べてもより強い、手足の震えが止まらない。
こんな事に首を突っ込んだのは自分だし、そして首を突っ込んだ事に後悔はしていないけれど……それでも。
「……ッ!」
怖くて泣きたくなる。
一体どうすればこの状況を脱する事ができるのか。
何も分からない。
何も浮かばない。
こんなのは今までで初めてだ。
知らないこんなのは。
気を抜けば不安で押し潰されそうになる。
と、そんな私に対し男が口を開いた。
「……取引をしよう」
どこか優しい声音で、そんな事を。
やる事は以前ルカと戦った時と同じ。
空間の断絶。
一定範囲を魔術が付与されたこの空間から断絶し、あの男を引きずり下ろす。
ルカとミカっていう王女様のパスが切れちゃうけど、そこまで配慮していられる状態じゃない。
とにかく、そうやってあの男を引きずり降ろして、それからルカとバトンタッチしてぶん殴る。
それで勝つ。
「……ははは、参ったな」
……そんな風に先の事を考えているのは、半ば現実逃避のようなものだったのかもしれない。
取らぬ狸の皮算用とでも言えばいいのかな。
あの時と違って空間そのものがおかしいんだから解析が進まないと、そんな結界は張れないんだからさ。
「……何にも分かんないや」
冷汗が流れ出る。
それ程酷い有様だ。
何も。
何も分からない。
「……ッ」
それでもほんの一ミリずつ位は進めている気はするから。
例えば日常生活を送りながら一日八時間とかをこの未知の魔術の研究にあてて、そしたら半年とか一年もすればこの魔術について色々と解明できるのかもしれないけれど……それだけ時間を掛けてもかもしれないという域を出ない。
「くっそぉ……ッ!」
この短時間では目の前で自分が戦っているものが果たして魔術という枠組みに入る物なのかという疑問が沸いてくるという、一ミリも生産性の無い考えが浮かんでくるだけ。
本当にただ時間を浪費しているだけだ。
ルカがなんとか時間を稼ごうとしているのに……ッ!
そうこうしている内に、二分程経過したのかもしれない。
多分、三分も立っていない筈だ。
「……ッ!」
それなのに部屋の中にあの男が入ってきた。
解析を中断して思わず距離を取る。
取ってそこで、気付いた。
コイツがここに来たという事は、ルカはどうした。
「……」
殺されたのか?
コイツに。
……目の前の男に。
それを否定しようとした。
だけど……殺されない理由なんてのは無いだろう。
生きているかもしれない可能性を想像できない。
「こんんんんのやろおおおおおおおおおおおおおおッ!」
半ば衝動的に風属性の魔術を打ち込んだ。
瞬時に限界まで圧縮した風の塊。
だがそれも簡単に腕を振り払って弾かれる。
分かってた。
……完全に化け物染みている。
コイツにルカが殺されたかもしれない。
本当に殺されたかもしれない。
「……」
そう考えると頭の中がぐちゃぐちゃになる。
さっきまで隣に居たルカは生きているのか死んでいるのか。
そんな、もう他人とは言えない男の安否と。
そして。
自分自身が殺されるという直感。
最初にこの男と相対した時と比べてもより強い、手足の震えが止まらない。
こんな事に首を突っ込んだのは自分だし、そして首を突っ込んだ事に後悔はしていないけれど……それでも。
「……ッ!」
怖くて泣きたくなる。
一体どうすればこの状況を脱する事ができるのか。
何も分からない。
何も浮かばない。
こんなのは今までで初めてだ。
知らないこんなのは。
気を抜けば不安で押し潰されそうになる。
と、そんな私に対し男が口を開いた。
「……取引をしよう」
どこか優しい声音で、そんな事を。
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